中3の夏休み明け(2学期)で不登校…
今から間に合う高校受験の進め方を元教員が解説

■中3の2学期に不登校だと進路の焦りが押し寄せる

「中学3年生の夏休み明けから学校に行けなくなった」
「ずっと不登校のまま、気づいたら中3の2学期になってしまった」

そういうご家庭からご相談を受けることがあります。これは通常の不登校の相談とは異なります

中3のこの時期になると、「学校に通えていない」こととは別のもう一つの不安が押し寄せてきます。
進路——つまり高校受験です。

「もう全日制には間に合わないのではないか」
「高校受験は普通の中学生と同じようには進められないだろう」

そうした焦りを感じている方々に、結論から先にお伝えします。中3の夏休み明け・2学期から不登校になっても、やり方次第で高校への進学は十分に可能です。

ただし、多くの中3生と同じスケジュール感では進みません。だからこそ、何をどう進めればよいのかをこの記事では具体的にお伝えします。まだその時期になっていない方にとっても、今後どういうイベントが待っているかを知る意味でご参考になるかと思います。

さて、焦りの引き金になりやすいのが、大抵は中3の2学期に行われる三者面談です。

中学校に進路の方向を説明しなければならない、その「締め切り」が時間切れの不安を強めます。この三者面談で何が求められているかを明らかにして、そのためにすべきことを整理するのが本記事の目標です。

なお、私は元教員で、中学・高校で教員を務め、高校で入学試験を実施する側も経験しています。受験する側だけでなく、生徒を受け入れる高校の側がどう見ているか——その視点も持ったうえで書いてまいります。

■中3の2学期、不登校の家庭が置かれる状況とは?

まず、この時期に多くの不登校生徒の家庭が直面している状況を整理していきます。

そもそも不登校に関わらず、高校受験の志望校は、中学生本人がはっきり決めているとは限りません。むしろ、本人の中で決まっていないことのほうが多いくらいです。

かといって親が「あなたはここにしなさい」と100パーセント決めてしまうというケースもまれです。すぐにわかると思うのですが、そうした決め方は本当に危険で、入学後に「思っていた高校生活と違った」ときに「親に言われたからだ」と責任を押し付ける形になり、親子間不和の種になりやすいからです。

自らの意志で志望校を決めることは、後々のトラブルを減らす意味でも本人の成長を促す意味でも重要です。

ただ、現実に中学生はそこまで自立していないため、そうそう本人任せにもできません。ただ見守っていてもまったく動き出すことなく、しびれを切らして「高校どうするの?」ときいても何も答えが返ってこないなどはよくある状況です。

自分で学校説明会に参加して、パンフレットを見比べて検討し、第一志望・第二志望を決め、模試の結果でその妥当性を検証する——それが理想ではありますが、そこまで自力で進められる中学生はほとんどいません。ですから、ある程度、親が進行役を担う必要があるのが実情です。

不登校の場合、この進路選択が多くの中3生と同じスケジュールでは進まず、遅々としてしまいます。そして、進路選択の行き詰まり方にはいくつかのパターンがあります。

一つは、志望校がそもそもないという状態です。

本人は「中学校にも行きたくない、高校だって行かなくてもいい」と感じている。けれど「では中卒で働くのか」と言われればそれもできず、結果として「自分は何もできない」と塞ぎ込んでしまう——。なんなら軽はずみに「高校行かないで死んでやる」と口走ったり。これは最悪のケースに思われるかもしれませんが、けっして珍しいことではありません。

他には、行きたい高校はあるけれど、それが妥当なのか判断できないという状態です。

学校に通えていないのに全日制高校を志望していて、「入学できても通えなければ卒業できないのでは」とか、「志望校があっても合格できなければ意味がない、不合格だったとしたらどうなるのか」という不安を抱えているケースです。

さらに、本人は通信制高校を志望しているが親は反対しているなどといった、親子でズレがある場合もあります。

こうした行き詰まりを抱えた不登校中学生の家庭はどうなるか。

おおまかにいえば、今の世の中では、徐々に「通信制高校」という道に収斂していくケースがほとんどです。通信制高校は入試が書類審査だけというところも多く、出願すればおおむね合格できます。

そのため「ここに決めました」の段階でほぼ安心できてしまう。全日制を目指す多くの中3生が合格発表まで安心しきれないのとは、感覚がまったく違います。

同じ不登校でも早めに通信制に決めてしまえば、すぐにその安心が手に入る。行き詰まりは不安を呼び起こし、進路が決まったという安心によって解消されるもの。そのため、その「誘惑」は確かに強いものです。

がんばって調べて、対策して合格を勝ち取る。その面倒くささを回避できるという意味でも、ついついその道に流れてしまいがちです。

ただ、この記事はあえてその道をまだ選んでいない家庭に向けて書いています。

早く決めれば安心は手に入りますが、それが本人にとって正しい選択とは限りません。まだ決めていない、焦らず考えたい——それはけっして悪いことではありません。ここから現実的な進め方を一緒に考えていきましょう。

■2学期の三者面談——中学校の教員は何を考えているか

中3の2学期、進路の焦りの引き金になりやすいのが三者面談です。

担任の教員に志望校を伝え、「分かりました」となればその場は終わります。ですが、それがたとえば11月の頭にあるとして、それまでに進路の方向を決めなければならない。なのに本人は動き出せない。この締め切りが、時間切れの不安を一気に強めます。

それでは、三者面談で中学校の教員が恐れているもの、求めているものとは何でしょうか。

教員経験からいうと、担任がいちばん避けたいのは、自分のクラスから「中学浪人」を出すことです。高校受験に不合格になり、行きたい高校に行けないどころか進学先が一つもない——その状態は、担任にとって何としても避けたい事態です。

つまり担任も保護者と同じで安心したいのです。

「この子ならおそらく入れるだろう」という高校を志望している状態にしたい。たとえ第一志望が厳しそうでも、「それが無理ならここ」という妥当な第二志望が存在する状態にしたい。その気持ちが、面談での担任の発言の土台になっています。

ですから、たとえば「通信制高校を考えています」と伝えて、強く反対されることはまずありません。担任からすれば、それで進学先がほぼ確定し、安心できるからです。ただし、くり返しになりますが、それが本人にとってよい選択かどうかはまた別の問題です。

そしてもう一つ、大切な前提にも触れておきましょう。

三者面談で、学校側に何かを決定する権限があるわけではありません。進路の決定権は最終的に本人(および家庭)にあります。家庭の方針が定まっているならそれを伝えればよいのであって、学校にとやかく言われる筋合いのものではありません。

学校側が警戒しているのは、突き詰めれば二つです。一つは、不合格になりそうな高校だけを志望していないか。もう一つは、そもそも進路が何も決まっていないのではないか。この二つは、どちらも「進路未決定のまま中学卒業」というコースにつながりかねないからです。

そのため、妥当な希望進路がない場合、三者面談で学校側がこちらを焦らせてくる可能性は高いと考えておいてください。進路未決定をそれだけ恐れているからです。

ただ、こちらが過度に慌てる必要はありません。

夏が過ぎると焦りが募るのは自然なことですが、慌てて結論を出すよりも、今からでも最善の道を選ぶことのほうが大切です。学校側の不安に引きずられず、家庭として進路を組み立てていく——その姿勢で面談に臨んでください。

■志望校がないなら、まず「候補」をつくるところから

中3の夏休み明け、9月。三者面談がたとえば11月にあるとすれば、進路の方向を決めるまで残りは2か月ほどです。

ここからの進め方は、本人に志望校があるかないかで大きく変わります。

「この高校に行きたい」という具体的な学校名がある、あるいは「こういう高校がいい」という方向性がはっきりしている——そういう状態なら、その希望に沿って動けばよく、話は比較的わかりやすい。

難しいのは、本人が「将来どんな高校に行きたいか」をまだ何も話せない場合です。でも、親も中学校も「高校は進学させた方がいいだろう」と思っているし、おそらくは本人も高校に進学したがっている。

ここで述べるのは、その状態から「無理にでも志望校をつくっていく手順」です。

最初にやるべきは、全日制高校・定時制高校・通信制高校のうち、おおまかにどれを目指すのかを決めることです。ここが決まらないとそもそも動き出しようがありません。

本人がまったく何も言えない状態なら、ご家族で決めてしまう他ない。残り2か月という時間を考えれば、それは決して乱暴なことではなく必要な割り切りです。これまでの本人の学習状況や通学できそうかといった適性から選んでください。

方向がおおまかに決まったら、その候補にあたる学校の説明会や見学にできる範囲で足を運びます。

「本人が動けないのに見学なんて」と思われるかもしれません。ですが、保護者だけで学校説明会に行くことは基本的に問題ありません。全日制高校において、学校説明会は中学生と保護者がセットで参加するものですが、保護者だけというケースもさほど珍しくはありません。あまり気にせず行ってしまって構いません。

通信制高校にいたっては、本人が動けず保護者だけが来るというのはまったく珍しくなく、説明会という形よりも個別の見学や相談を受け付けているところも多いので、普通に進められます。もちろん、本人を連れて行けるならそれに越したことはありません。

さて、志望が全日制高校だったとします。学校説明会では、現状で不登校であることを率直に伝えてみてください。そのときの相手の反応は、学校によって、また公立か私立かによってかなり違います。

全日制の私立高校では、不登校の生徒に対して「あまり受け入れたくない」という空気を出してくるところも少なくありません。もしその空気をはっきり感じたら、残念ですが、その学校は難しいと考えたほうがよいでしょう。

一方、公立高校は、学校単位で「受け入れるかどうか」を判断することをしません。なぜなら、お住まいの都道府県単位で方向性が決まっているからです。ですから、公立については説明会での感触をそこまで心配しすぎなくて大丈夫です。

そして、現実的な志望校を何かしら決めなければ前に進めません。判断材料がまったくないのであれば、私のおすすめは近場から選ぶことです。

とくに全日制高校では、通学時間がその後の学校生活に与える影響が非常に大きく、「家から近い」というのはそれだけで重要な条件になります。今さらそれかと思われるかもしれませんが、迷ったときの軸として、通学距離はあなどれません。(付け加えておくと、本人の希望であえて地元の中学生が通っていない遠くの高校を受けるという逆パターンも「不登校あるある」です。)

■志望校が決まったら「学力が足りているか」を測る

おおまかにでも志望校ができたら、次にやることは、その学校に対して自分の学力が足りているかどうかを測ることです。

「学力を伸ばす」話ではありません。三者面談までに、今の学力で届くのかどうかをはっきりさせる作業です。

ここで真っ先に見るべきは、偏差値ではなく、その学校に受験倍率が発生しているかどうかです。

倍率が発生していない——つまり定員割れしている学校であれば、話は単純です。あとは出願の準備をきちんと進めれば、基本的に合格します。三者面談でも「ここを志望しています」と伝えれば、学校側もそれ以上は何も言わないはずです。(前年度の入試が0.98倍などギリギリで定員割れしている場合はその限りではありません。)

問題は、倍率が発生している学校を志望する場合です。倍率があるということは、当日の学力で線が引かれ、その線より下が不合格になるということです。だから、自分の学力がその線に届いているかを調べておく必要があります。

今が9月や10月だとすれば、受験本番まで4〜5か月。この期間で学力が大きく変わることももちろんあります。ありますが、それを当てにして(伸びることを織り込んで)志望校を立てるのはリスクが大きすぎます。基本は、今の時点で「届いているか」を確かめることです。

測り方として一番手堅いのは、その学校の過去問題集を買って解き、合格点に乗っているかを見ることです。

模試よりも、偏差値よりも、まずは倍率と過去問
これが高校受験の世界を間近でみてきた私のおすすめです。

逆に、いちばん危ういのは、「偏差値」という言葉だけをなんとなく知っていて、「自分はだいたい偏差値これくらい」という曖昧な思い込みで合否を予想してしまうことです。

偏差値はそれほど安定したものではありません。どの試験をいつ受けたかによって変わる相対的な指標です。出どころのはっきりしない偏差値感覚で受験校を決めるのはかなり危険だと考えてください。

そしてもう一つ。倍率のある学校を受けるなら、「落ちそうなところしか志望していない」という状態は避けなければいけません。大事なのは、「ここを受けて落ちたら次はここ」というプランニングができていることです。

たとえば、先に私立を併願でおさえておく。あるいは私立を第一志望にして、落ちたら公立のここを受ける。そうやって受験を2段・3段の構えにしておけば、全滅は防げます。

さらにいえば、近年は定員割れが多いため、公立高校でも二次募集があります。「もしダメだったら二次募集でこの高校を受けるつもりです」というところまで描けていれば大丈夫です。

先述したように、三者面談で担任が気にしているのは、受験に失敗してそのまま中学卒業後に進学先のない状態——いわゆる「中学浪人」になってしまうことです。逆に言えば、その一点さえ防げる見通しを示せれば、学校側もそれ以上リスクを感じず、面談で渋られることはありません。

なお、不登校からの高校入試については、お住まいの都道府県ごとで制度が異なります。個別にまとめた記事を作成しましたので、受験校を決める前に必ず確認してください。

■まとめ

中3の夏休み明けから不登校になると、進路の時間切れを強く感じます。ですが、9月から三者面談までの2か月でやるべきことは、順序立ててみれば、それほど複雑ではありません。

まず、本人に志望校がなければ、全日制・定時制・通信制のどれを目指すかを家族で決め、その候補の学校を見に行って、現実的な志望校をつくる。志望校ができたら、倍率の有無を確認し、倍率があるなら過去問で学力が届いているかを測り、落ちたときの次の手まで用意しておく。

この記事で繰り返しお伝えしてきたとおり、三者面談で学校側が恐れているのは、進路が決まらないまま中学浪人になることだけです。その一点を防ぐ見通しさえ立てば、中3秋の三者面談は流れ作業のようなものであり、基本的には円満に終わります。

中3の2学期は、確かに焦りやすい時期です。それでも、やることを一つずつ片づけていけば進路は拓かれて行きます。皆さまの中学卒業後の歩みが素晴らしいものになるよう願っています。


■ 高校入試をがんばる不登校生、募集中

この記事でもお伝えしてきたとおり、中3の2学期から高校受験に間に合わせるためには、志望校づくりとプランニングが欠かせません。そして、それらを進めた先で最後に頼りになるのは、結局のところ「学力」です。

倍率のある全日制を狙うなら、過去問で合格点に届くだけの実力が要ります。倍率のない学校に進む場合でも、高校に入ってからの授業を考えれば、中学内容の取りこぼしは少ないほうがよい。どちらにしても、ここからの数か月をどう使うかが、進路の質を大きく左右します。

そして、これは不登校の中学生にとって、自力で取り組むのがいちばん難しい部分でもあります。学校に行けていない期間が長くなるほど、学習のブランクは積み重なっていきます。

Schorbitでは、不登校の中学2~3年生向けに、1年間で中学内容を学び直し高校入学の準備をする集中プログラム「Schorbit REBOOT」を提供しています。週4日、朝のオンラインホームルームから始まる規則正しい学習生活を通じて、生活リズムと学力を同時に整えていきます。

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また、これにSchorbitへのご相談は公式LINEから受け付けております。お子さまの進路についてお悩みの方は、ぜひ一度ご連絡ください。