不登校からの高校入試ガイド
【東京都 編】
都立・私立の選択肢と制度を完全解説

要約:東京都の不登校からの高校入試ポイント
(※以下は2026年9月時点で調査した情報を基にしています)
2026年9月更新:令和8年9月17日に公表された『令和9年度東京都立高等学校入学者選抜実施要綱・同細目』に基づき、記事全体を2027年度(令和9年度)入試対応に更新しました。
不登校でも東京都の高校入試に合格できる?
中学校で不登校を経験し、これからの進路に不安を抱えている生徒や保護者の方は少なくありません。
出席日数が足りない。
通知表に1や斜線が並んでいる。
全日制は無理なのか。
通信制しか選べないのか。
そういったことで悩んでいる方も多いと思います。
先に結論を書きます。
安心してください。東京都は、不登校の中学生にとって制度がかなり整っている都道府県です。
都立高校の一般入試では、欠席で成績がつかなかった教科の内申点を当日のテストの得点などから計算する仕組みがあり、ほぼすべての都立高校で使われます。調査書に欠席日数を書く欄もありません。さらに調査書を使わないチャレンジスクールや、学び直しを前提にしたエンカレッジスクールもあります。
都立(公立)入試だけでみてもこれほど多様な道が開かれています。一言でいえば、東京都は他県よりもめぐまれています。
一方で、正直に押さえておくべき現実もあります。
斜線措置がある一方で、少しだけ出席して1や2がついた教科がある場合は、その数字がそのまま点数になります。また、当日のテストで点を取れなければ、どの制度を使っても合格には届かない学校も多くあります。さらに、私立高校は学校ごとに扱いが違い、外からは合否判断の中身が見えないため、不登校の受験生に厳しく対応している可能性があります。
Schorbitでは、都道府県ごとの不登校からの高校入試をシリーズでまとめています。本記事は東京都編です。都立高校の一般入試の仕組みを中心に、チャレンジスクールとエンカレッジスクールの違い、私立高校や難関校の現実まで解説します。
記事の内容は、東京都教育委員会が公表している一次資料に基づいています。一次資料とは、教育委員会が自ら作成・公表している入学者選抜の実施要綱や細目、学校ごとの選抜方法の一覧、様式などの公式文書のことです。塾や報道の情報は、一次資料と突き合わせたうえで紹介します。
長くなりますが、最後までお付き合いいただけると幸いです。
都立高校入試の仕組みはどうなっている?
不登校の中学生にとっての有利・不利を考える前に、都立高校の入試の基本ルールを確認しておきます。この章では次の2点を扱います。
- 推薦入試と一般入試(学力検査)の違い
- 合否を決める要素と内申点の計算方法
推薦入試と一般入試はどう違う?
都立高校の入試は、1月の推薦入試(正式名称は推薦に基づく選抜)と、2月の一般入試(学力検査に基づく選抜の第一次募集)が中心です。どちらか一方を選ぶ仕組みではなく、推薦入試で合格しなかった人も一般入試を受けられます。
2027年度(令和9年度)入試の日程は、推薦入試の検査が令和9年1月26日・27日、合格発表が2月2日です。一般入試は学力検査が2月21日、合格発表が3月1日です。
ただし不登校の中学生の場合、推薦入試で合格できる可能性はあまり高くありません。そのため推薦入試はあくまで挑戦の機会と考え、一般入試を本命にして準備を進めることをおすすめします。
推薦入試が不登校の中学生に厳しい理由は3つあります。
1つめは、推薦入試には当日の学力検査がなく、調査書と面接・作文などで合否が決まることです。調査書とは中学校から高校に提出する書類で、俗に内申書とも呼ばれます。そこに記載された成績(評定)のことは内申点と呼ばれます。総合成績に占める調査書点の割合は上限50%で、各校が定めます。つまり、当日のテストで取り返す場面がありません。
2つめは斜線の扱いです。後で説明する調査書における斜線による成績処理は、一般入試では全校共通のルールがあります。ところが推薦入試では、実施要綱に「各都立高校が適切に定める」とだけ書かれていて、どう扱うかは学校次第です。
3つめに、不登校の中学生の有力な選択肢であるチャレンジスクールは、そもそも1月の推薦入試を行っていません。
このため本記事では、内申点の不利を小さくできる制度が使える2月の一般入試を中心に解説します。
合否を決める要素と内申点の計算方法は?
都立高校の一般入試(全日制)は、当日の学力検査の得点と、調査書の評定(いわゆる内申点)を7:3の割合で合計して合否を決めます。これに英語スピーキングテスト(ESAT-J)の結果20点が加わり、合計1020点満点です。
| 項目 | 満点 | 計算のしかた |
|---|---|---|
| 学力検査 | 700点 | 5教科500点満点を1.4倍に換算 |
| 調査書点(内申点) | 300点 | 5教科の評定はそのまま、実技4教科は2倍にして65点満点。これを300点に換算 |
| スピーキングテスト | 20点 | A〜Fの6段階を20点〜0点に点数化 |
内申点が3割といっても、実感がわきにくいと思います。計算してみると、9教科すべてが5なら300点、すべて3なら180点、すべて1なら60点です。5と1の差は240点で、当日の5教科の点数に直すと170点あまりに相当します。3と5の差でも120点あり、当日の点数でいえば80点あまりの差になります。
もう1つ注意したいのが、音楽・美術・保健体育・技術家庭の実技4教科が2倍で計算される点です。実技教科は、出席して授業に参加しないと評価をもらいにくい教科です。不登校の中学生が取り戻しにくい教科の比重が大きいので、通知表の印象以上に不利になる計算です。
一部の学校(芸術や体育に関する学科など)は比率が6:4です。面接や実技検査を行う学校もあり、学校ごとの選抜方法は実施要綱の別表で公表されています。

内申点が低くても当日のテストで逆転できる?
ここからが東京都の入試の核心です。不登校の中学生には、内申点の不利を小さくできる道がいくつかあります。まず全体像を表にします。
| 番号 | 方式 | 対象になる人・学校 | 内申点の扱い |
|---|---|---|---|
| 1 | 通常の一般入試 | 全日制の都立高校の一般入試を受ける人 | 調査書の評定がそのまま内申点になり、当日点700点と内申点300点を合計する |
| 2 | 斜線になった教科の計算(斜線措置) | 欠席で成績がつかず、評定が斜線になった教科がある人。一般入試を行う都立高校で共通のルール | 斜線の教科だけ、当日の学力検査の得点などをもとに高校が内申点を計算する |
| 3 | 内申点を点数に入れない計算との比較(10:0) | 深沢・北園・武蔵野北の3校を受ける人 | 当日点7:内申点3の計算と、当日点だけの計算の両方を行い、高いほうを使う |
| 4 | 調査書を使わない入試 | チャレンジスクールを受ける人 | 調査書を提出せず、志願申告書・作文・面接で選考する |
表だけで全体をつかむのは難しいと思うので、順番に説明していきます。
1の通常の一般入試は、前の章で紹介した仕組みです。評定が低いと、その分だけ内申点が下がり、当日のテストで取り返す必要があります。ここまでが基本です。
しかし東京都には、内申点の不利を小さくできる方式があります。この章では、表の2と3を詳しく説明し、最後に現実的な戦略をまとめます。4のチャレンジスクールは後の章で扱います。この章で説明する内容は次の3つです。
- 成績がつかなかった教科はどう扱われるか(表の2)
- 内申点が合否の点数に入らない選び方ができる都立高校(表の3)
- 不登校の中学生のための現実的な戦略
成績がつかなかった教科はどう扱われる?
欠席が多く、中学校が成績をつけられなかった教科は、調査書の評定欄が斜線(/)になります。都立高校の一般入試では、斜線の教科を0点にはしません。高校が当日の学力検査の得点などをもとに、その教科の調査書点(調査書の評定を点数にしたもの、いわゆる内申点)を定めます。受験業界では斜線措置と呼ばれることもありますが、実施要綱にこの名前があるわけではありません。
実施要綱には、評定(内申点)をつけることができずに斜線となっている教科のある受検者について、学力検査の得点などの参考にできる資料を使って、受検先の都立高校が調査書点を計算すると定めています(2027年度版の実施要綱19ページ)。学校に行けていなくても、当日のテストで高い点を取れば、それに見合った内申点が計算上つくということです。

ただし斜線になるかどうかは、受験生が選べるものではありません。実施要綱は中学校長に対し、評価や評定を記載できる場合には必ず記載するよう求めています。斜線にするのは、出席日数が少なく、参考にできる資料を活用しても評価ができないと中学校長が判断した場合で、そのときは理由書を添付します(実施要綱28ページ)。
ここに制度の落とし穴があります。保健室登校などで少し出席し、斜線ではなく1や2の評定がついた教科は、その数字がそのまま内申点になります。当日のテストが得意な生徒にとっては、少し出席して1がつくより斜線になったほうが計算上は有利になる、という矛盾が生じます。
斜線の教科の内申点をどう計算するかは、各都立高校が学力検査の得点などをもとに決めるとされていて、具体的な計算式は公表されていません。当日の得点がそのまま満点扱いになるとは考えず、高い得点を取るほど有利になる、という程度に理解しておくのが安全です。
東洋経済オンラインの『”内申点で不利”な「不登校の中学生」、ベストな進路を勝ち取る「戦略的高校受験」の秘訣』という記事では、内申点が合否に大きく影響する入試制度のなかで、不登校の中学生がどう受験校を選ぶべきかが解説されています。全日制普通科だけにこだわらず、単位制や通信制も視野に入れることで、結果的に希望する進路に近づけると指摘されています。

内申点が合否の点数に入らない選び方ができる都立高校は?
ここまで紹介してきた斜線の教科の計算は、一般入試を行う都立高校に共通するルールです。これとは別に、一部の都立高校だけが取り入れている合否判定の方法があります。当日のテストの得点と内申点の割合を2通りで計算し、受検者にとって有利なほうを使う方式です。
前の章で説明したとおり、都立高校の一般入試は当日の学力検査の得点と内申点を7:3の割合で合計します。この方式を取る学校では、この7:3の計算に加えて、内申点を点数に入れずに当日の得点だけで計算する方法でも得点を出します。当日の得点が10割で内申点が0割なので、10:0と呼ばれます。そして受検者ごとに、2つの計算のうち高いほうの得点で合否を判定します。
2027年度(令和9年度)入試でこの方式を取るのは3校です。深沢高校がすでに2026年度入試で実施していて、2027年度から新たに北園高校と武蔵野北高校が加わります。このことは都立高校受験の業界で大きく話題になりました。なお3月の第二次募集では、比率の組み合わせが6:4と10:0になります。
3校の学力帯と倍率を並べると、この方式の意味が見えてきます。これまで実施していた深沢高校は定員割れの学校でしたが、2027年度から加わる北園高校と武蔵野北高校は、偏差値60前後のいわゆる進学校です。
| 学校 | 学力帯の目安(模試の偏差値) | 2026年度第一次募集(受検者÷募集人員) | 導入の経緯 |
|---|---|---|---|
| 深沢(世田谷区) | 30台前半とされる | 72人÷130人=0.55倍 | 不登校経験者への配慮として導入 |
| 北園(板橋区) | 59〜60程度 | 391人÷253人=1.55倍 | 2027年度から。都教委は不登校とは別の狙いと説明 |
| 武蔵野北(武蔵野市) | 61程度 | 251人÷189人=1.33倍 | 2027年度から。北園と同じ |
表の偏差値は、模試によって数字が違うため、模試名を添えて紹介します。北園はV模擬の60%合格基準で59、新教育研究協会の模試(Wもぎ)で60、武蔵野北はV模擬で61とされています。深沢は模試名を明記した数字が見つからず、塾サイトなどで30台前半と紹介されています。倍率は、東京都教育委員会が公表した2026年度の合格状況をもとに、受検者数を募集人員で割って計算しました。
深沢高校がこの方式を導入した目的は、東京都教育委員会の入学者選抜検討委員会の報告書に書かれています。不登校経験のある生徒が、調査書に心理的な負担を感じることなく受検できる制度として導入したという説明です。報告書によると、2026年度の深沢高校の合格者のうち、10:0で計算した得点によって合格した人は第一次募集で20.8%、第二次募集で33.3%でした。報告書は継続実施とし、他校への展開は地域バランスなどを踏まえて検討するとしています。

一方、北園・武蔵野北の2校について、朝日新聞の報道では、都教委は深沢とは狙いが違うと説明しています。両校は進学指導推進校で、中学で一部の教科が振るわなかった生徒などもためらわずに挑戦できるようにする、というのが担当者の説明です。つまり不登校の中学生のための制度として作られたものではありません。

それでも、不登校の中学生にとってこの方式の意味は小さくありません。まず前提として、斜線になった教科は、前の見出しで説明したとおり、どの都立高校でも当日の得点などから内申点が計算されます。成績がつかないほど欠席した生徒は、すでにどの都立高校でも当日の実力で勝負できます。
この方式が助けになるのは、斜線措置では救われない生徒です。前の見出しで書いた落とし穴、つまり少し出席して1や2がついた生徒は、その評定がそのまま内申点になります。この3校に限っては、内申点を点数に入れない計算とも比べてもらえるので、評定に不利があってもその影響をなくせる可能性があります。これまでそうした学校は定員割れの深沢高校だけでしたが、2027年度からは偏差値60前後の進学校も選択肢に加わります。
ただし、北園・武蔵野北はそれなりの入試倍率が発生する進学校なので、当日のテストで合格ラインを超える学力がなければ入れない、という事実は変わりません。
不登校の中学生のための現実的な戦略は?
ここまでの制度を踏まえると、都立高校の一般入試での戦い方はシンプルです。当日のテストで点を取れる学力をつけることが、どのルートでも出発点になります。斜線措置も10:0の比較も、当日の得点が高いほど効果が大きくなる仕組みだからです。
志望校選びでは、倍率と自分の内申点の状況を合わせて考えます。2026年度の都立全日制普通科(コース制・単位制などを除く)全体の実質倍率は1.30倍でした。実質倍率とは、受検した人数を合格した人数で割ったものです。一方で定員割れの学校もあり、倍率が1倍を下回る学校では、内申点にビハインドがあっても当日の得点次第で十分に合格が見込めます。反対に倍率の高い進学校では、内申点3割の差がそのまま残ります。学力重視の比率だから不登校でも大丈夫とは一概にいえません。
都立のトップ校(日比谷・西など)は、国語・数学・英語で学校独自の問題(自校作成問題)を使う学校があり、倍率も高くなりがちです。斜線の教科は当日の得点などから計算されますが、その方法は公表されていません。1や2がついた教科があれば、先ほどの計算のとおり内申点で大きな差がつきます。受験者のほとんどが内申点の高い生徒なので、不登校の状態からトップ校を目指すなら、当日の得点で相当の上積みが必要です。現実的にはかなり厳しい道だと考えてください。
もう1つのポイントは、斜線と評定のどちらになりそうかを、中学校の担任の教員に早めに確認しておくことです。どちらになるかで、有利になる学校の選び方が変わります。10:0の比較を行う3校が選択肢に入るかどうかも、ここで判断できます。

不登校の欠席日数や面接はどう扱われる?
内申点の次に気になるのが、欠席日数そのものが合否に影響するのかという点です。この章では次の4つを扱います。
- 欠席日数は都立高校の合否に影響するか(面接と自己申告書の扱いも含む)
- フリースクールなどの出席扱いは都立高校の入試で意味があるか
- 英語スピーキングテストを受けられないとき
- 当日の体調が不安なときの備え
欠席日数は都立高校の合否に影響する?
欠席日数そのものが点数になることはありません。都立高校の調査書には、そもそも出欠の記録を書く欄がないからです。実施要綱が定める調査書の記載事項は、学籍の記録、各教科の学習の記録、総合的な学習の時間、諸活動の記録(スピーキングテストの結果を含む)などで、欠席日数は含まれていません(実施要綱28ページ)。
国も、欠席日数だけを理由に入試で不利に扱わないよう求めています。文部科学省は毎年、高校入試で配慮してほしい事項を各教育委員会などに通知していて、その中で、在籍する学校での出席の状況のみをもって不利益な扱い(例えば欠席日数のみをもって出願を制限するなど)をしないよう求めています。
あわせて、教育支援センターやフリースクール、自宅などで学習を続けている不登校の生徒について、その努力を適切に評価することが望まれるとしています。

ただし、欠席がまったく影響しないと考えるのは早計です。欠席が多ければ、授業に出られなかった教科の評定は低くなるか斜線になります。欠席日数は点数にならなくても、内申点を通じて得点計算のなかで機械的に不利になる場合があります。斜線措置があるのはそのためで、1や2がついた教科が不利になる点は前の章で説明したとおりです。
欠席の事情を高校に伝えたい場合は、自己申告書という書類を出すこともできます。これは東京都に限らず多くの都道府県にある仕組みで、実施要綱の細目では、都立高校に理解してほしい事情を説明する必要がある場合に、本人と保護者が記入して中学校長を通じて提出すると定められています。ただし合否にどう使われるかは公表されていないので、出せば不利が消える書類だとは考えないでください。
面接については、都立高校の一般入試では面接を行う学校と行わない学校があり、実施要綱の別表で学校ごとに公表されています。面接がある学校でも、欠席の理由を細かく説明する必要はありません。高校で何をしたいか、どう学んでいくつもりかを落ち着いて話せれば十分です。
フリースクールの出席扱いは都立高校の入試で意味がある?
ご存じの方も増えてきたようですが、実は教育支援センターやフリースクールに通った日を、在籍する中学校で出席として扱う制度があります。一般に出席扱いと呼ばれるもので、文部科学省が要件を示し、最終的には中学校の校長が判断します。保護者と学校が十分に連携していることや、施設での指導が社会的な自立を目指すものであることなどが要件です。

では、都立高校の一般入試で出席扱いに意味はあるのでしょうか。結論からいえば、出席日数が増えること自体は、都立高校の合否の点数には影響しません。前の見出しで書いたとおり、都立の調査書には出欠の欄がないからです。
調査書に欠席日数を書く都道府県では出席扱いが入試に関わることもありますが、都立高校の入試ではその心配はないと考えてよいと思います。つまり出席扱いになるかどうかをそこまで気にする必要はありません。
ただし出席扱いに意味が出てくる場面が2つあります。1つめは私立高校を受ける場合です。後の章で説明するとおり、私立高校の調査書や入試相談の書類には欠席日数を書く欄があることが多く、出席扱いになった日は欠席に数えられません。
2つめは成績です。文部科学省は、不登校の生徒が学校の外で行った学習の成果を、学校の判断で成績に反映できるとしています。フリースクールや自宅での学習が認められれば、斜線ではなく評定がつく可能性があります。
ここで注意したいのが、評定がつくことが都立高校の入試で有利かどうかは、その数字次第だという点です。高い評定がつけばもちろん有利です。しかし1や2がつくと、斜線のときより内申点が低く計算されることもあり得ます。出席扱いや学校外の学習の評価をどう進めるかは、志望校の入試の仕組みを踏まえて、中学校と相談しながら決めるのが現実的です。
英語スピーキングテストを受けられないときはどうなる?
東京都では、都内の公立中学校の3年生が11月に英語のスピーキングテスト(ESAT-J)を受け、その結果が都立高校の一般入試の総合得点に20点分加わります。前の章の表にあった20点がこれです。2026年度(令和8年度)は本試験が11月22日に行われ、当日受けられなかった人などのための追試験・再試験が12月13日に行われます。
このテストは導入のときから議論があり、報道でもたびたび取り上げられています。東京新聞の『英語スピーキングテスト、6万8000人が挑戦 東京都立高入試の合否判定に利用』という記事では、2025年度の試験の様子とともに、受験しなかった生徒の扱いが公平性に欠けるなどとして、都議や保護者らの団体が入試への活用中止を求めていることが紹介されています。

不登校の中学生にとって大切なのは、ESAT-Jを受けられないときの手続きです。やむを得ない理由でテストを受けられない場合、中学校を通じて東京都教育委員会に申請し、承認されれば不利にならないよう扱われます。この手続きは「結果活用に関する措置」と呼ばれています。
承認された場合の点数の出し方はこうです。2月の一般入試で、英語の学力検査の点数が自分と近かった受検者を上下5人ずつ以上選び、その人たちのスピーキングテストの結果を平均します。その平均が、テストを受けていない人の仮の結果として20点満点の中で加点されます。
2026年度のスピーキングテストの実施要項は、申請できる事情の例として、何らかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校したくてもできない状況にある場合を挙げています。不登校はこの申請の対象になり得るということです。申請の時期は、テストを最初から受けないのか、申し込んだが受けられなかったのかで異なります。
| 状況 | 申請期間(2026年度) |
|---|---|
| 最初から受験を申し込まない(入試に使わない体験受験も申し込まない) | 令和8年7月2日から10月23日まで |
| 申し込んだが本試験を受けられず、追試験・再試験も難しい | 令和8年11月24日から12月11日まで |
| 申し込んだが本試験も追試験・再試験も受けられなかった | 令和8年12月14日から12月18日まで |
気をつけたいのは、承認を受けずに受けなかった場合です。この場合は仮の結果が出されず、加点されません。都教委のQ&Aでも、休んだほうが入試で点数が高くなるという理由で受験しなかった場合は措置が適用されず、0点扱いになると説明されています。
テストを受けるつもりはあるものの、会場の雰囲気が不安という場合は、別室などで受けられる受験上の配慮も申請できます。配慮の案内書には、不登校などで心理面での配慮が必要な場合もこの区分で申請できると書かれています。

当日の体調が不安なときの備えは?
都立高校の一般入試には、2月の学力検査の日に受検できなかった人が後日あらためて受けられる追検査があります。2027年度(令和9年度)の実施要綱では、その対象の書き方が変わりました。これまでの「やむを得ない入院等」から「やむを得ない事情等」になり、インフルエンザなどの感染症、月経随伴症状、痴漢被害などで受検できなかった人が対象として挙げられています。
追検査を希望する場合は、中学校長を通じて令和9年2月22日午後5時までに申請します。なお当日に1教科でも受検した人は対象外です。
持病や障がいなどを理由に、学力検査を受けるときの配慮を申請することもできます。申請は令和8年12月18日までで、中学校長を経由して行います。2027年度からは、推薦入試で配慮を申請していても、学力検査で配慮を受けたい場合は改めて申請するよう明記されました。人の多い教室が不安な場合などは、早めに中学校に相談してください。

チャレンジスクールやエンカレッジスクールとはどんな学校?
東京都には、不登校経験者や中途退学者などを積極的に受け入れる学校として、チャレンジスクールとエンカレッジスクールがあります。これらの学校があることは、東京都の大きな特徴です。詳しく知りたい方は、東京都教育委員会の都立高校の紹介ページ(下の画像)もご参照ください。

2つの学校は名前が似ていますが、学校の仕組みも入試の中身も大きく違います。最大の違いは、チャレンジスクールが昼夜間定時制で調査書を出さずに受けられるのに対し、エンカレッジスクールは全日制で調査書を点数化する点です。
また東京都には、この2つ以外にも、午前・午後・夜間から時間帯を選べる定時制の高校や、都立の通信制高校があります。この章では次の4つを扱います。
- チャレンジスクール
- エンカレッジスクール
- 昼夜間定時制の単位制高校
- 都立の通信制高校
まずチャレンジスクールとエンカレッジスクールの違いを表で比べます。
| 比較項目 | チャレンジスクール | エンカレッジスクール |
|---|---|---|
| 学校の種別 | 昼夜間定時制(三部制・総合学科) | 全日制(普通科・工業の学科) |
| 登校スタイル | 午前・午後・夜間の部から選ぶ | 朝からの通学が基本 |
| 入試の中身 | 志願申告書・作文・面接 | 面接・作文や小論文・調査書(学力検査なし) |
| 調査書(内申書) | 提出不要 | 提出し、観点別学習状況の評価を点数化 |
選ぶ基準は、どちらの環境なら通い続けられるかです。毎日朝から通い、クラスの中で過ごしたいならエンカレッジスクール、自分の体調やペースに合わせて時間帯を選びたいならチャレンジスクールが向いています。
ミスマッチな志望は面接で伝わってしまうので、体験入学などで学校の雰囲気を確かめておくことをおすすめします。
チャレンジスクールはどんな学校で入りやすい?
チャレンジスクールは、午前・午後・夜間の三部制の昼夜間定時制高校で、総合学科(普通科よりカリキュラムが柔軟な学科)です。
定時制というと4年間で卒業するイメージがあるかもしれませんが、他の部の授業も取ることで3年での卒業を目指せる仕組みがあります。実施校は六本木・大江戸・世田谷泉・稔ヶ丘・桐ヶ丘・小台橋・立川緑の7校です。このほか八王子拓真高校にも、チャレンジスクールと同じ方法で選考する募集区分(チャレンジ枠)があります。2027年度(令和9年度)の新設や統合はありません。
入試では調査書を提出しません。多くの都立高校の入試で提出する自己PRカードの代わりに、学校所定の志願申告書を出し、面接と作文で選考されます。過去の成績や欠席を問われずに受けられるのが最大の特徴です。
ただし、試験がないから楽に入れるとは考えないでください。2026年度の第一次募集では、7校と八王子拓真のチャレンジ枠の合計で、受検者1,884人に対し合格者は1,439人でした。学校ごとに差が大きいので、各校の数字を表にします。表の倍率は、受検した人数を合格した人数で割ったもの(実質倍率)です。
| 学校 | 受検人員 | 合格人員 | 実質倍率(受検÷合格) |
|---|---|---|---|
| 六本木 | 352人 | 208人 | 約1.7倍 |
| 立川緑 | 345人 | 180人 | 約1.9倍 |
| 大江戸 | 262人 | 205人 | 約1.3倍 |
| 稔ヶ丘 | 284人 | 236人 | 約1.2倍 |
| 世田谷泉 | 199人 | 173人 | 約1.2倍 |
| 桐ヶ丘 | 166人 | 164人 | 約1.0倍 |
| 小台橋 | 208人 | 208人 | 1.0倍 |
| 八王子拓真(チャレンジ枠) | 68人 | 65人 | 約1.0倍 |
立川緑は受検した人のおよそ2人に1人、六本木は5人に3人ほどしか合格していません。一方で小台橋や桐ヶ丘は、ほぼ全員が合格しています。学校の場所や人気で倍率が大きく変わるので、第一志望だけでなく、通える範囲の他の学校も調べておくと安心です(数字は東京都教育委員会の2026年度合格状況より)。
学力検査がない分、差がつくのは志願申告書・作文・面接の3つです。学校側が見ているのは、自分で時間割を組む単位制の仕組みを理解し、卒業まで通い続けられるかどうかです。ただ高校に行きたいという動機だけでは、倍率のある学校では不合格になりかねません。
準備のポイントは3つあります。まず、なぜ学校に行けなかったのかを隠さず、今の自分なりの捉え方を言葉にしておくこと。次に、この学校の仕組みなら自分はこうやって学べる、という具体的なイメージを持つこと。最後に、志願申告書と面接の受け答え、作文の内容に食い違いがないようにすることです。これらがばらばらだと、本心ではないと受け取られます。
反対に避けたいのは、勉強が嫌いなので試験のないこの学校を選んだ、親に言われたので来た、といった答え方です。今の自分を変えるために、この学校のこういう環境が必要だ、という主体的な理由を伝えることが大切です。

エンカレッジスクールはどんな学校で入りやすい?
先に結論を書くと、エンカレッジスクールは倍率の心配をそれほどしなくてよい学校です。2026年度の第一次募集では、6校とも受検者が募集人員を下回り、受検した人全員が合格しました。
| 学校 | 学科 | 2026年度第一次募集(募集/受検/合格) |
|---|---|---|
| 蒲田(大田区) | 普通科 | 109人/95人/95人 |
| 足立東(足立区) | 普通科 | 138人/116人/116人 |
| 東村山(東村山市) | 普通科 | 136人/128人/128人 |
| 秋留台(あきる野市) | 普通科 | 166人/146人/146人 |
| 中野工科(中野区) | 食品サイエンス科 | 84人/69人/69人 |
| 練馬工科(練馬区) | キャリア技術科 | 105人/93人/93人 |
エンカレッジスクールは、小中学校で力を発揮しきれなかった生徒の学び直しを支える全日制高校です。30分授業や少人数指導など、勉強へのハードルを下げる工夫がされていますが、あくまで全日制です。入試では毎日通う意思があるかが大切な評価の観点になります。
入試に学力検査はありませんが、調査書は点数化されます。ただし使われるのは1〜5の評定ではなく、観点別学習状況の評価です。これは教科ごとに「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」の観点でつけられるA・B・Cの評価のことです。テストがないとはいえ、中学時代の授業への取り組みが合否に関わる仕組みになっています。面接の一部で自己PRスピーチやパーソナル・プレゼンテーションを行う学校もあります。
受験する場合は、中学では不登校だったが高校からは毎日通いたい、という決意を伝えることが合格への鍵になります。
昼夜間定時制の単位制高校という選択肢は?
チャレンジスクール以外にも、午前・午後・夜間の部から時間帯を選べる昼夜間定時制の単位制高校があります。一橋・浅草・荻窪・新宿山吹・八王子拓真・砂川などです。これらの学校は一般入試と同じく学力検査と調査書で選抜しますが、多くの学校で倍率は高くありません。
このうち一橋・浅草・荻窪・八王子拓真・砂川の5校は、募集人員を2回に分けて募集する分割募集を行っています。2月の一般入試と同じ時期の分割前期募集と、3月の分割後期募集の2回、受ける機会があるということです。
2026年度の2月の募集(分割前期募集を含む)では、一橋が受検137人に対し合格136人、浅草が133人に対し133人、荻窪が75人に対し75人と、ほぼ全員が合格しました。一方で新宿山吹は243人に対し170人、砂川は156人に対し130人、八王子拓真(チャレンジ枠以外の一般の募集)は191人に対し178人で、倍率がついています。3年で卒業できるかどうかなどは、各校のパンフレット等で確認してください。
都立の通信制高校なら入りやすい?
東京都には一橋・新宿山吹・砂川の3校に都立の通信制課程があります。通信制なら確実に入れると思われがちですが、都立の通信制は倍率が発生しています。入試は2月の前期選抜と4月上旬の後期選抜の2回あり、前期選抜は学力検査と調査書で選抜します。
2026年度の前期選抜は、一橋が募集50人に受検66人・合格52人、新宿山吹が募集25人に受検71人・合格25人、砂川が募集50人に受検84人・合格50人でした。新宿山吹は受検した人の約3人に1人しか合格していません。
選抜での学力検査の点数と調査書点の比率は、2027年度(令和9年度)から砂川が20:3から8:1に変わり、一橋と同じになります。新宿山吹は20:3のままです。どちらも学力検査の比重がかなり大きい配分です。
前期選抜で合格できなかった場合も、4月上旬の後期選抜があります。なお、2月の全日制や定時制の一般入試(第一次募集・分割前期募集)に出願した人は、通信制の前期選抜には出願できません。

不登校から東京都の私立高校に合格するには?
公立だけでなく、私立高校にも不登校の中学生を受け入れる学校はあります。
ただし先に書いておくと、全日制の私立高校は一般的に都立高校より不登校生の入学が厳しい場合が多いです。都立のように全校共通の救済ルールがなく、欠席日数をどう見るかも学校ごとに違います。何より大切なのは、学校ごとに方針が違うので一校ずつ確かめるしかない、ということです。この章では次の5つを扱います。
- 私立入試の基本方式と入試相談
- 私立で欠席日数はどう見られるか
- 優遇を使わない一般入試(オープン入試)という道
- 開成や早慶附属のような最難関の私立
- 私立通信制という選択肢
私立高校の入試方式と入試相談の仕組みは?
都内の私立高校の入試は、1月の推薦入試と、2月10日ごろから始まる一般入試が中心です。推薦入試の多くは、合格したら必ずその学校に入学する約束で受ける単願です。内申点や欠席日数の出願基準を設けている学校が多く見られます。
一般入試は、募集要項の上ではひとつの名称でも、中身は大きく2つのルートに分かれています。どちらで受けるかによって、合否の決まり方が違います。
1つめは併願優遇と呼ばれるルートです。都立高校などとの併願を認めたうえで、内申点が学校の基準に達している生徒を優遇する仕組みです。事前に中学校を通じて相談し、実質的に合格の見通しを得てから一般入試を受けます。この事前の相談が入試相談です。中学校の資料などでは、中学校の教員が12月15日ごろから私立高校に出向き、成績や欠席・遅刻の回数などを伝えて合否の見込みを相談する仕組みだと説明されています。
2つめが、併願優遇を使わずに一般入試を当日の試験で受けるルートです。塾や受験業界では、併願優遇と区別するためにオープン入試やフリー受験と呼ぶのが一般的です。不登校で内申点が基準に届かない場合、推薦や併願優遇は使えないことが多いので、このルートを目指すことになります。願書を出す際に一般入試を選び、優遇の申請をしないことでこの形での受験になります。
3つの入試方式を表にまとめます。
| 入試方式 | 特徴 | 不登校の中学生にとって |
|---|---|---|
| 推薦入試 | 内申点や欠席日数の基準がある学校が多い。面接などが中心 | 基準を満たせば合格しやすいが、満たすのは難しいことが多い |
| 併願優遇 | 都立の滑り止め。内申点の基準があり、入試相談を経る | 内申点があれば安心だが、ハードルが高い |
| 一般入試(オープン入試) | 当日の試験が中心。調査書の中身がどう見られるかは公表されていないことが多い | 内申点の基準で門前払いにならず、当日の実力で挑める |
表のとおり、推薦入試と併願優遇はどちらも内申点の基準を満たしていることが前提です。欠席日数の基準を設けている学校も多く、不登校の中学生がこの2つを使うのは難しいのが実情です。
そのため、不登校の中学生の場合は、基本的に当日の筆記試験を受けるオープン入試がメインの戦い方になります。
ただし、オープン入試でも調査書は提出します。そこで気になるのが、私立高校の調査書に何が書かれるのかです。
私立高校の調査書は、学校によって様式が違います。東京私立中学高等学校協会(以下、私学協会)が標準の様式を公開していますが、協会はこの様式をもとに各校が独自の様式を作ってよいとしていて、公立高校用の調査書でよいとする学校もあります。都内共通の様式があるわけではないので、出願先の募集要項で確認が必要です。

私立高校では欠席日数はどう見られる?
都立と大きく違うのがこの点です。都立の調査書には出欠の欄がありませんが、私立高校では欠席日数を書く欄がある書類が多く使われています。私学協会の2027年度用の標準様式を見ると、調査書には1〜3年それぞれの授業日数・欠席日数・出席日数と、欠席等の主な理由の欄があります。入試相談で使う受験希望者の名簿にも、学年ごとの欠席日数の欄があります。
推薦入試では、欠席日数を出願の条件にしている学校が珍しくありません。たとえば城北高校の2026年度推薦入試は中学3年の4月から12月までの欠席が10日以内、國學院大學久我山高校の2027年度推薦入試は3年の2学期末までの欠席が10日以内、早稲田実業学校の2027年度推薦入試は各学年の欠席が原則7日以内という条件です。
なお、先に紹介した文部科学省の通知は、私立高校の入学者選抜についても、公立の趣旨に沿って改善を図るよう求めています。とはいえ、私立が欠席日数をどう判断材料にしているかは外からは確認できないのが実情です。私立は公立以上に判断の中身が見えにくいので、公立のほうがまだ見通しを立てやすい、と考えておいたほうが安全です。
だからこそ、私立を考えるなら学校説明会などに足を運び、個別に質問できる機会があれば活用してください。欠席が多いことを隠す必要はありません。不登校であることは正直に伝え、今も勉強を続けていて高校の授業についていけることを示すのが大切です。そのときの教員の反応から、受け入れの見込みをある程度察することができます。
優遇を使わない一般入試(オープン入試)で合格できる?
オープン入試は、内申点の基準で門前払いにならず、当日の試験を中心に挑める入試です。中堅から上位の私立高校には、一般入試が当日の学力勝負に近い形になっている学校があります。一方で、調査書の様式に欠席日数の欄を設けている学校もあり、判定のしかたを募集要項で明記している学校は多くありません。
実際に、いくつかの学校の募集要項を確認しました。
| 学校 | 一般入試の判定について書かれていること | 調査書の様式と欠席 |
|---|---|---|
| 巣鴨(2026年度) | 5科目の合計点の上位から合格とすると明記 | 公立高校用の調査書でも可 |
| 城北(2026年度) | 選抜方法は学力試験と調査書。併願優遇はなし | 公立高校用の調査書 |
| 國學院大學久我山(2027年度) | Q&Aで、原則として3教科の総合点で判定すると説明 | 学校所定の調査書に3年の欠席日数と、4日以上なら理由の欄 |
| 広尾学園(2027年度) | 国語・数学・英語と面接。判定方法の記載はなし | 調査書に1〜3年の欠席日数を必ず記載するよう指示 |
この4校でいうなら、募集要項に合否判定の方針まで明記しているのは巣鴨だけでした。判定と調査書の関係がよく見えるのは國學院大學久我山です。Q&Aでは原則として当日の入試成績で判定し、ボーダー付近で同点や僅差の場合には配慮することもあると説明しています。それでいて学校所定の調査書には欠席日数の欄があります。一見すると学力勝負でも、中学校の記録は高校の手元に届いているということです。

このため、オープン入試は内申点や欠席日数がまったく関係ない入試だと言い切ることはできません。おそらくある程度は学力勝負になっているものの、調査書の内容でマイナスがないとまでは外からは判断できない、というのが正確なところです。それでも、推薦や併願優遇では基準で受けることすらできない生徒にとって、当日の実力で挑める数少ない道であることは確かです。
朝日新聞の『調査書不要の高校入試が広がる 不登校や病気の生徒に「チャンスを」』という記事では、私立高校を中心に、生徒の過去の欠席日数や成績よりも、現在や将来の可能性を評価しようとする動きが広がっていると報じられています。こうした入試が、不登校の生徒にとって再挑戦の機会になっている事例も紹介されています。

オープン入試のメリットは、過去の成績で出願を断られないため、学力さえあれば上位校も狙えることです。注意点は、当日の試験の比重が大きい分、高い学力が求められ、倍率も高くなりやすいことです。目指す場合は志望校の過去問対策に集中した勉強が必要になります。内申点の基準を気にしなくてよい分、受験勉強に集中できるという面もあります。
開成や早慶附属のような最難関の私立高校には進学できる?
学力さえあれば、不登校からでも開成や早慶の附属に行けるのか。結論としては、一般入試を受けること自体はできますが、推薦入試は欠席日数の条件で受けられないことが多く、一般入試でも調査書に欠席が載ります。最難関校の一般入試は非常に高い学力が求められるうえ、書類の面でも楽観はできません。
開成高校の2026年度の募集要項では、選抜方法は学力試験と調査書による総合的な判定です。中学3年の欠席日数の合計が30日以上の場合は、生徒と保護者が欠席状況説明書を作成して提出します。開成の入試Q&Aでは、欠席の理由が正当な場合は不利にならないと説明されています。2027年度の募集要項は10月中旬に公開予定とされています。

早慶の附属校では、欠席日数の出願条件があるのは推薦系の入試だけのようです。早稲田大学高等学院の場合、自己推薦入試には3年間の欠席の合計についての条件がありますが、一般入試の出願資格には欠席の条件がありません。ただしQ&Aでは、一般入試について内申書も合否に関係するかという問いに、関係しますと答えています。

早稲田実業学校と慶應義塾女子高校も、2027年度の一般入試の出願資格に欠席の条件はありません。ただし早稲田実業の所定の調査書には1〜3年の欠席日数と主な欠席理由の欄があり、慶應義塾女子も調査書に欠席日数と欠席の主な理由を記載するよう中学校に求めています。
不登校から難関大学を目指すなら、より現実的なのは、先に紹介したような高校募集を行っている私立の進学校の一般入試や、北園・武蔵野北のように10:0の比較を行う都立の進学校を受ける道です。どの道でも、当日の試験で合格ラインを超える学力が前提になります。
私立の通信制高校という選択肢は?
全日制へのこだわりを緩めれば、高校生活のスタートはある程度確実なものになります。
都立の通信制は前の章で書いたとおり倍率がつきますが、私立の通信制高校は書類選考と面接を中心に選考する学校が多く、入学のハードルは高くないのが一般的です。CMなどで知られる広域通信制高校(N高・S高・R高、屋久島おおぞら、クラーク、鹿島学園、ルネサンスなど)も、東京から通える選択肢に入ります。
全日制にどこも受からなかったらどうしようと不安な場合は、通信制高校を保険として考えておくと落ち着いて入試本番に臨めます。ただし通信制は自分で学習を進める力が求められます。学校ごとの通学日数やサポート体制は、各校の案内で確かめてください。

まとめ:不登校から東京都の高校受験を成功させるには?
東京都は、不登校の中学生にとって不利のないような制度が整った都道府県です。都立高校の一般入試では、成績がつかなかった教科の内申点を当日の得点などから計算する仕組みがほぼすべての学校で使え、調査書に欠席日数の欄もありません。2027年度(令和9年度)からは、北園・武蔵野北という進学校でも、内申点を点数に入れない計算とも比べて選ぶ方式が始まります。
一方で厳しい点もあります。少し出席して1や2がついた教科は、そのまま内申点として計算されます。実技4教科が2倍で計算されるので、見た目以上に不利になることもあります。私立高校は欠席日数を書く調査書が多く使われ、判断の中身は外から見えません。
それでも、全日制も含めて高校には行けます。東京都に限らず、全国どこでも定員割れの高校はあります。東京都でも2026年度の第一次募集では、エンカレッジスクール6校で受検した人全員が合格し、深沢高校は受検者が募集人員の半分ほどでした。選びさえすれば行けるのです。
ただし、希望する高校に入れるかどうかは別ですし、多くの場合、不登校によるビハインドは避けられません。それを覆すのは当日のテストで点を取れる確かな学力です。斜線の教科の計算も、10:0の比較も、オープン入試も、すべて当日の得点が高いほど力を発揮します。
もう1つ大切なことがあります。全日制に入れたとしても、卒業できるかどうかは別の話です。高校の授業は中学の内容の上に積み上がっていくので、中学の内容を理解した状態で進学することが、高校生活を続けるためのいちばんの備えになります。
今日から毎日少しずつでも勉強を進めていきましょう。この記事が、あなたの進路を考えるきっかけになり、春に吉報が届くことを願っています。

不登校からの高校入試(東京編)よくある質問
~高校入試をがんばる不登校生、募集中~
ということで、今回は、不登校の中学生が東京都の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。
ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。
ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。
実は、私たちSchorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学3年生の支援プロジェクトを開始しました。
その名も、Schorbit REBOOT。
不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。
そんな中学3年生(中学2年生の途中から参加可能)を応援します。
詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。

