不登校だと高校受験に「落ちる」は本当?
元教員が「落ちやすいケース」を整理します

■不登校だと高校受験に「落ちる」のは本当?

「不登校だと高校受験に落ちるのではないか」
「実際に落ちた人がどんなのか知りたい」
「不登校だと高校受験が不利どころか無理なのでは」

こうした不安や関心で、この記事にたどり着いた方が多いと思います。

結論から正直に書きます。

不登校で高校受験に落ちる人は、たしかにいます
ただし、落ちるケースには典型的なパターンがあり、それを知っていれば多くは回避できます

私は高校で長らく教員を務めていて、入試関係の担当もしていました。つまり、高校入試について「受け入れ側」を長く経験してきた人間です。

当事者・保護者の体験談、学習塾やフリースクール支援者の語りとはまた違う角度から、現場で起きていることをこの記事ではお伝えしたいと思います。

ただし、実際の合否判定会議の様子などは守秘義務もあるのでお伝えできません。一部については、具体的な高校の特定につながらないようにあえて「ぼやけた」形で書いていきますが、その点、ご容赦ください。

■ネットの「不登校でも合格できた」体験談を鵜呑みにしてはいけない理由

最初に厳しいことを書きます。

SNSやWebサイトには「不登校でも高校受験に合格した」という体験談が広く出回っています。ところが、そうしたエピソードを読んで「そういうもの」と思い込み、そのまま自分のケースに当てはめて安心するのは危険です。

理由はいくつもありますが、大きなところだけご紹介します。

まず、こうした情報はいろんな経験者からまんべんなく発信されるものではなく、強い偏りがあります。端的にいえば、受験がうまくいった人ほど発信しがちです。それにより絶対数として成功事例が多いような気がしてしまうのです。

また、そうした事例紹介では、その人の都道府県・受験年度・基礎学力といった肝心の前提条件が抜け落ちている場合がほとんどです。後にも触れますが、高校受験においてこれらの条件は決定的に重要で、これらの情報が違うと高校受験の体験記としてはほとんど役に立ちません。

「中1からほぼ学校に行かなかったけど全日制高校に受かった」──こうした記述は読み手を励ましますが、ご自分が落ちる可能性を判断する材料としては不適切なのです。この人が住む地区の高校が定員割れしていて実質誰でも合格する状態だったかもしれませんし、実は家でそれなりに勉強していて学力が高かったかもしれません。

一方で、「不登校の子はいくら勉強できる子でも全日制高校には落ちていた」みたいなエピソードが語られたとしても、実はこのエピソードが随分と昔の話で、現在の公立高校の入試制度とは異なる時代のものかもしれません。つまり、当時は道が開かれていないから不合格だったものの、今同じ得点をとったら制度が変わっているため合格するのかもしれません。

ということで、インターネット上に出回っているあらゆる「不登校からの高校受験」の実体験は、再現性が高くないのです。

ついでに言えば、AIに不登校の高校受験について尋ねても、的確な答えが得られにくいのが現状です。AI自体がこうした雑多な体験談から学習してしまうのと、都道府県や年度といった決定的な前提を読み込めないからです。

「不登校だと落ちる」かどうかを冷静に見極めたいなら、情報源はかなり厳選する必要があります。

■高校受験で「落ちる」かどうかはほぼ出願段階で決まっている

ここからが本題です。

元教員として現場を見てきた立場で正直に書きますが、不登校に限らず、いまの高校受験で落ちるかどうかは、受験当日ではなく出願先を決めた段階でほぼ決まっています

いまの高校受験は、一部のトップ校を除けば倍率がそれほど高くありません。倍率が低い、いやもっというと定員割れしている高校を選びさえすれば、不登校でも普通に合格していくのが実情です。それなのに落ちる人がいるのは、簡単にいえば、情報不足のまま、合格可能性が低い高校に出願してしまう人がわずかにいるからです。

「落ちる人はどんな人ですか」と聞かれたら、私はまずこう答えます。

「自分が本当にその高校に入れるかどうか、まともに検証せずに受けた人です」と。

不登校の場合、この情報不足のダメージがさらに大きくなります。

以下、私立と公立に分けて整理します。

■私立高校で不登校が落ちるケース:実質的に受け入れない学校がある

まずは私立高校から説明していきます。

ネット上では「不登校の子は公立だと内申点が低くて厳しいけど私立だったら受かる」といった根拠不明の議論を目にすることがあります。

おそらく昨今の公立高校入試の制度変更を知らないことや、私立が公立の滑り止めであるというイメージや、私立のオープン入試や一般入試がどの都道府県にも普及しているといった誤解からきているのでしょうが、こうした意見は間違いです。

どっちかといえば、不登校の生徒が入学する場合、私立高校の方が難易度が高いです。

SNSで「私立高校は受験料が欲しいから不登校生にも受けさせたがる、でも受けたら落とす」というような勘ぐりめいた話を見かけたこともあります。

なかなかおもしろい意見ですし、事業者視点でいえば経済合理的な判断でもあります。これについて、私立高校に長く勤務してきた経験から、私立高校の名誉のために言えば、実態は違います。

不登校の生徒を実質的に受け入れない方針の私立高校は、たしかに存在します。そこには、入学後に転学や退学してしまった場合、実質的な事業収入が減るからという、経営判断の側面もあります(公立にはこうした学校単位での経営収支の視点がありません)。

ただし、それは隠しているわけではなく、多くの学校が生徒募集要項や学校説明会等でメッセージとしてちゃんと表に出ています。ただし厄介なことに、文科省が「不登校というだけで受験できないとか機械的に不合格にするということはやめてほしい」といった通知を出していますので、そこまではっきりとは書いていない(書けない)のです。

(不登校児童生徒への支援の在り方について(通知) -文部科学省)

そうしたメッセージとは、具体的には、
「本校では中学発行の調査書を重視します」
「面接で中学時代の活動状況を確認します」
といった文言です。

こうした文言を生徒募集要項などに掲載しているかどうかぜひ確認してみてください。

ここを読み解けないまま、滑り止めといったイメージから「私立なら受かるかも」と出願してしまうと、当日の学力試験で良い点を取っても合格は厳しいです。逆に、調査書をほとんど合否に影響させないオープン入試とか一般入試と呼ばれているものであれば、不登校でもチャンスは十分あります。

つまり、私立高校の場合、どういう受け入れ方針の学校なのか、どういう性質の入試なのかをじっくり探ることが最も重要になります。

生徒募集要項を眺めるだけでは不十分なことも多いいです。不登校の生徒を合格させる気持ちがあるのかないのか。学校説明会と合わせて個別に相談できる機会を設けていることが多いので、そうした場所で確認する必要があります

また私立高校は、単願・専願(合格したら進学する)と併願(合格しても公立の入学を優先する)という2つの出願方式があります。ここもなぜか誤解している方がいますが、一般に、併願受験の方がハードルが高くなることが多く、不登校の不利がより強く働くことが多いです。

この辺りは、以下のYouTube動画でていねいに解説しましたので、ぜひご覧ください。

YouTube player

いずれにしても、不登校の中学生にとって、私立高校を受験する際に重要なのは情報です。どの私立を選ぶかによって、どのタイプの入試を受けるかによって、学力以前のところで結果がまったく変わります。

情報不足のまま、憧れだけで受験しないように注意しましょう。

■公立高校で不登校が落ちるケース:倍率・内申点・欠席日数・不登校枠等

では公立高校についてはどうでしょうか。情報不足の人が落ちるという本質は変わりません。

不登校が公立高校受験で不利になるかどうかは、お住まいの都道府県の入試制度に強く依存します。最近は、欠席日数が合否にまったく影響しない自治体(都道府県)や、内申点を度外視する制度を導入した自治体が増えています。(なお、こうした特別制度について、まれに「不登校枠」と呼ばれることがありますが、特別な枠があるわけではないので、この呼称は適切ではありません。)

一方で、こうした制度がまだ整備されていない県もあります。そうした地域に住んでいる場合、残念ながら、一気に不利になってしまいます。

たとえば、内申点と当日点がどちらも100点満点に圧縮されて1対1で評価される県で、ある不登校の受検者の中3の評定がオール1だったとします。不登校により内申点が20点となり、当日点が90点と高得点でも合計110点です。他の受験生がだいたい内申点70点、当日点70点で合計140点程度だったとすると、相対的に得点率が下がり、不合格になってしまいます。

当日点が他の受験者より極めて高くないと、いや、場合によっては極めて高くても、内申点での不利が響いて合格は難しくなります。さらに欠席日数が一定を超えると、合否判定で「審議対象」として扱われる自治体もあります。

それでも、倍率が1.0倍前後の高校であれば、不登校でも合格することが多いです。前後という表現は正確ではないですね。例えば1.0倍をギリギリ超えるくらい、1.03倍辺りまでなら合格することも少なくありません。

この場合、300名の受検者のうち9名が不合格になるわけですが、その9名というのは明らかに学力がその高校に見合っていない「記念受験」状態であることが多いです。

問題は倍率1.2倍を超えるあたりで、ここは制度上の不利益がそのまま結果に響きます。高校受験における1.2倍は、感覚的にはかなり高い倍率だと思っておいてください。

1.2倍ということは、120人受けて20人が落ちる計算で、ほとんどの都道府県では人気校として扱われます。

お住まいの都道府県ごとの具体的な制度については、別記事で神奈川県、埼玉県、静岡県など個別にまとめています。受験校を決める前に必ず確認してください。

■学力不足で不登校が高校受験に失敗するケース

ここまでは「情報不足」により出願する高校を間違えたことで不合格になるといった話でした。ですが、もちろん純粋に学力不足で落ちるケースも多くあります。

不登校が原因というより、勉強してこなかったから筆記試験(学力検査)で得点がとれなくて落ちるということです。

中学3年間ほとんど勉強していなければ学力試験の点数が低くなります。その状態で多少倍率がある高校を受ければ、当然のように落ちます。こうしたある種の無謀な挑戦をして不合格になるケースももちろんあります。この場合、きっかけが不登校だったとしても、原因の本体は学力です。

特に中学の数学や英語は積み上げ型の教科で、中1の段階でつまずいたまま放置していると、中3で取り返すのは正直なかなか大変です。中3の秋にようやくやる気を出したが間に合わなかったということもあります。ただしこれは不登校とは関係なく、毎日学校に通っている生徒でも同じことが起こり得ます。

ここで一つ希望のある話をします。不登校でも、学校に頼らず独自で学力を身につけて高校受験を突破していく子はいます

完全独学は多くの中学生にはきついものがありますが、学習塾やオンライン学習サービスなどを組み合わせれば十分可能です。(もちろん私たちのサービスSchorbitを利用することも可能です。)学校に行かないかわりに、自宅で学習を進めて合格していくケースは、今はもうそれほど珍しいものではありません。

「学校に通えていない」ことと「学力がついていない」ことはイコールではありません。学校に通っている生徒の中でも、本当に通っているだけで学習内容が身についておらずい、中3の途中からいざ受験勉強を始めても基礎が抜けていて間に合わない、というほうが実はよくある話だったりもします。

ですから、あらためて述べるまでもないことですが、不登校とか関係なく、学力が不足している状態で人気校を受験すれば当然落ちます。不登校だからこそ模試などを受けて、自分の学力をある程度客観視することが重要です。

■高校受験に落ちても道は閉ざされない | 通信制高校という選択肢

万が一、高校受験に落ちてしまった場合についても書いておきます。

まず先に断っておくと、私は中学浪人をおすすめしません。理由はシンプルで、日本の全日制高校は、1年浪人してまで入る価値があるほど中身が変わる学校がほぼないからです。

となると、不合格だからといって高校入学年度を遅らせる選択肢はとらないとすれば、そこから進学先を探すことになります。大抵3月初旬に行われる全日制高校(公立高校)の受験に不合格となった場合、その時点で残された選択肢としては、全日制や定時制の二次募集、そして通信制高校となります

ここで通信制高校について、外側からは見えにくい事情を書きます。

通信制高校の多くは、合同説明会などに早い時期から出展し、保護者に対して「冬までに定員が埋まりますので、早めに入学手続きを」というメッセージを発します。実際に相談に行かれた方なら、似たような言い回しを聞いたことがあるはずです。

ただ、この発言はかなりブラフに近いものだと考えておいてください。

そもそも、横並びで実施される受験制度の中で、先に合格を確約していくような動き――いわゆる「青田買い」はルール上やってはいけないことで、早期に入学を促すようなメッセージは、文部科学省の目線からするとかなりグレーな対応でもあります。

また、この「定員が埋まる」が100%嘘とまでは言いませんが、大半は、早めに定員を確保したいという学校側の経営目標から出てくる説明だと理解しておいたほうが現実に近いです。

そして、ここからは意外と知られていない話です。

通信制高校の本音は、多くの場合、むしろ全日制を本気で受験するような学習意欲の高い家庭にこそ来てほしいと思っています。そのため、全日制を落ちてきた生徒を門前払いにはしません

最初から「全日制は無理」と諦めている家庭よりも、全日制にチャレンジして不合格だった受験生のほうが、高校受験を一生懸命準備するだけのガッツがある子という評価をしてくれます。その通信制高校の志望度は低いかもしれませんが、こうした性質は、それを補って余りあるプラス要素でもあります。

ですので、全日制高校を不合格になってから通信制高校を探しても時すでに遅し……ということはなく、「通信制はもう定員が埋まっていて間に合わないのでは」と諦める必要はまったくありません。

もちろん、教室のキャパシティや認可定員に達してしまった学校では断られることもあります。ただ、そうでなければ、3月でもかなりの割合で受け入れてくれます

また、通信制高校に進学することになった時点で大学進学へのルートが閉ざされてしまうわけでもありません。2026年現在、通信制高校から大学に進学する生徒の割合は年々増えていて、3割弱となっています。(私たちSchorbitのプログラムも、通信制高校・高校中退から大学受験を目指す方のために設計されたものです。)

■中学不登校の場合、高校受験の準備はいつ頃からすべき?

中学が不登校だと高校受験はどうなるのか、こうした不安の中には、高校進学に向けた準備をいつから始めるべきかというものがあります。

いちばん実践的な答えはこうです。中3の夏から情報収集を始めれば、間に合います。(逆をいえば、登校が不安定な場合、全日制高校をどれくらい視野にいれるかなどがそれまで決められないともいえます。)

実際には、中3の夏から全日制・定時制・通信制のいずれにするか、もし全日制なら公立か私立か、どのあたりの学力帯(偏差値)の高校を受験するかなどを考え始めれば、基本的には間に合います。

実際、全日制高校で、高校受験向けの学校説明会が頻繁に開かれるのは、中3の夏休みから11月にかけてです。

夏休みまでにお住まいの都道府県の制度を理解し、自分の学力帯を把握する。そして、夏休み以降、不登校でも受け入れ実績がある私立高校や倍率が低めの公立高校を調べて、それぞれの学校説明会に参加する。

これだけで、落ちる可能性はぐっと下がります。

「中3夏」と聞いて遅いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、焦る必要はありません。むしろ早すぎる時期に憧れだけで志望校を絞ると、情報が足りないまま判断してしまうリスクのほうが大きくなります。

最ももったいないのは、早い時期から不安を抱えすぎて、「早く安心したい」という気持ち一心で、夏より前に「もう通信制しか無理」と決めつけてしまうことです。多くの場合、実はそこからでも間に合います。

■まとめ:「落ちる」のは多くの場合、情報不足が原因

ここまでの内容を整理します。

不登校で高校受験に落ちるケースはたしかにあります。ただ、そのほとんどは「情報不足のまま、合格可能性の低い高校を選んでしまった」ことが原因です。

逆に言えば、各都道府県の制度や、それぞれの高校の不登校に対するスタンスを確認し、自分の学力に見合った受験校を組み立てれば、不登校でも合格は勝ち取れます。

そして、もし残念な結果になったとしても、通信制高校という選択肢があり、そこから大学受験に進む道も現実的に開かれています。

最後に逆説的なことを書いておきます。

この記事を最後まで読んで「なるほど、そうなっていたのか」と思える方は、おそらく大丈夫です。冷静に情報を集めようとしている時点で、落ちるリスクの大部分はすでに回避できています。

確かに高倍率が当たり前の大学受験では、合格か不合格かは時の運のような側面もあります。しかし高校受験では、合否は受ける前から決まっているようなところがあります

冷静に情報を収集し、「受かるところを出願したから受かる」のです。

不登校の中学生やその親である皆さまにとっての高校受験が成功裏に終わることを、心より願っています。


■ 高校入試をがんばる不登校生、募集中

記事の途中でも解説していたように、不登校生にとって高校受験で頼りになるのは最終的に「学力」です。

とはいえ、学校に行けていない期間が長くなるほど、学習のブランクは積み重なっていきます。「高校受験を合格できる気がしない」「高校には行きたい、でも高校に入ったところで授業についていける気がしない」という不安を抱えるお子さまは多くいらっしゃいます。

Schorbitでは、不登校の中学2~3年生向けに、1年間で中学内容を学び直し高校入学の準備をする集中プログラム「Schorbit REBOOT」を提供しています。週4日、朝のオンラインホームルームから始まる規則正しい学習生活を通じて、生活リズムと学力を同時に整えていきます。

不登校期間を「ボーナスタイム」に変え、通常の3倍速で中学カリキュラムを進める。そんな学習設計をご用意しています。

その名も、Schorbit REBOOT

不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。

そんな中学生を応援します。詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。

また、これにSchorbitへのご相談は公式LINEから受け付けております。お子さまの進路についてお悩みの方は、ぜひ一度ご連絡ください。