高卒認定試験の新科目「情報」は対策しすぎ注意|元教員がサンプル問題を全問解いてみた

- ■ 「情報」が仲間入りした高卒認定試験、その難易度は?
- ■ なぜいま「情報」が試験科目に?
- ■ 「情報」って全員が受けるもの?
- ■ 「情報」はどのくらい勉強すればいい?
- ■ 大問1:知識を問う……ふりをした常識テスト
- ■ 大問2:実質、国語と数学と道徳の問題ばかり
- ■ 大問3:題材は凝ってるが聞かれてるのは普通のこと
- ■ 大問4:プログラミング問題だが、必要なのは読解力
- ■ 大問5:数学Ⅰ「データの分析」の簡易版
- ■ 「情報」の全体的な特徴まとめ
- ■ 他の科目との難易度比較、最適な学習方法とは
- ■ まとめ:新科目「情報」、構えなくて大丈夫
- ■ 高卒認定の先にある「大学受験」を本気で目指すなら
- ■ 大学入試をがんばる通信制高校生、募集中
■ 「情報」が仲間入りした高卒認定試験、その難易度は?
今年度(令和8年度)より、高卒認定試験に新科目「情報」が加わります。この大きな変更について、受験生に向けて、詳しく説明していきます。
まずは大前提として、高卒認定試験(高等学校卒業程度認定試験、高認)について。
こちらの試験は、高校を卒業していなくても、合格すれば大学を受験する資格が手に入るというものです。試験は年に2回(8月と11月)あり、複数の科目を受けて、それぞれ合格していくスタイルです。
一度合格した科目は次回以降に持ち越せるので、何回かに分けて少しずつ合格科目を増やしていくことも可能です。
すべての科目に合格すれば、晴れて「高卒認定」を取得、大学受験のスタートラインに立てます。(あとは大学受験を受けて合格するだけですね、そっちが大変ですけど。)
そんな高卒認定試験ですが、令和8年度から新しい科目が1つ追加されました。それが「情報」です。
これまで誰も受けたことのない科目なので、受験生の中には、不安を感じている方も多いと思います。
ただし、どんな問題が出るかまったく予測不可能というわけではありません。
今回の科目追加に際して、文部科学省はすでにサンプル問題を公表しています。

私は元数学教員という立場なので、「情報」の教員ではありませんが、とりあえずこのサンプル問題を全問解いてみました。
結論からいうと……
「情報」、そんなに難しくないです。
- 大問の多くが他教科や常識で解ける
- 大問4のプログラミングだけは少し注意
- 対策は最小限でいい、人によってはまったく不要
といったような特徴があり、率直な感想としては、高卒認定試験の中でも屈指の易しい科目になりそうです。詳しい理由はこの後解説していきます。
なお、この記事はSchorbitのYouTubeアカウントで公開されている3本の動画解説シリーズと連動しています。各章の流れで動画も貼っていきますので、より詳しく見たい方はそちらもご覧ください。
■ なぜいま「情報」が試験科目に?
背景を簡単に触れておきます。
2025年度より、大学入学共通テストに「情報」という科目が登場しました。すべての大学受験で必須というわけではありませんが、国公立大学では多くが「情報」を課しています(英語や数学より配点は少ないですが)。
ちなみに高校で「情報」が必修になったのは2003年度ですから、20年間くらいは「情報」が受験科目ではなかったわけですね。ここ数年で大きく位置づけが変わったのです。
こうした流れの中で、高卒認定試験にも「情報」が加わったというのが大まかな経緯です。
■ 「情報」って全員が受けるもの?
基本的には、これから高卒認定試験を受ける方は全員が受験対象です。年齢は関係ありません。
ただし、過去にすでに高卒認定試験に合格している方は、「情報」を改めて受け直す必要はありません。合格資格はそのまま有効です。
また、高校で「情報Ⅰ」の単位をすでに取っている方は、「情報」の科目が免除されます。
ということは、単純に科目数が増えた分、受験生にとって負担感が増したのは間違いないところです。問題は、どれくらい増したのかですよね。
■ 「情報」はどのくらい勉強すればいい?
ここは多くの方が気になるところだと思います。
正直に言うと、サンプル問題を見る限り、特別な対策はほとんどいらない印象でした。情報Ⅰの問題集を1冊やり込むようなことは、少なくとも今回の試験では必要ないと感じます。
理由は主に3つです。
- 選択問題で、不正解の選択肢の作り方が比較的やさしいので、消去法が効きやすい
- 国語の読解力と一般常識で答えにたどり着ける問題が多い
- 他科目(数学・公民など)の知識がそのまま流用できる
特に2026年度に限っていうと、新しい科目が追加された場合、初回は問題の難易度が穏やかに作られがちです。今後の年度では難化していく可能性もありますが、初年度に当たる2026年の試験については、構えすぎなくても合格圏には届くだろうと予想しています。
もちろん何の準備もしない、というのは少し不安だと思いますので、できる対策としては次のような程度で十分です。
- サンプル問題を一度自分で解いてみる
- 必要なら情報Ⅰの教科書を一通り眺める(中古でメルカリなどで安く買えます)
- 普段からインターネットやパソコンに馴染んでおく
特に最後の項目が重要で、日常的にネットで買い物をしたり、SNSや動画サイトに触れていたりする方は、それだけで多くの問題に対応できます。
一般的に、高卒認定試験の合格点は40点~50点と見込まれます。情報は他科目より易しい印象なので、合格ラインを高めに見積もったとしても、十分に届くはずです。
問題の中で唯一、大問4のプログラミングだけは少し注意が必要です。ここは後ほど詳しく扱います。
シリーズ第1弾の動画では、全体像と対策の話を口頭で詳しく解説しています。記事と合わせてどうぞ。
■ 大問1:知識を問う……ふりをした常識テスト
まずはサンプル問題の大問1から見ていきましょう。
大問1は5問構成で、配点は各4点(合計20点)。一問一答に近い形式で、情報科目の基礎知識を問う体裁になっています。
出題内容を並べると次のとおりです。
- フローチャートとは何か
- 標本化周波数とデータ量の関係
- ネット情報に惑わされない方法
- 2進数が情報処理に使われる理由
- URL、IPアドレス、データの仕組み
専門用語が並んでいるので難しそうに見えますが、実際に解いてみるとそうでもありません。
たとえばフローチャートを問う問題は、選択肢に「ロゴマーク」「キャラクターデザイン」「ゲームタイトル」が並んでいて、明らかにジャンル違いです。フローチャートという言葉を知らなくても、消去法で答えにたどり着けます。
他の問題も似た構造で、不正解の選択肢が雑なケースが多い印象です。あやふやな知識でも、選択肢を絞り込んでいけば正解できる作りになっています。
このパートは正答率を高くキープしたいところです。ここで8割取れれば、残りの大問で多少落としても合格が見込めますから。
■ 大問2:実質、国語と数学と道徳の問題ばかり
続いて大問2です。
大問2は4問構成で、配点は各5点(合計20点)。生徒3人の会話文を題材にして、ブレインストーミング、著作権、ベン図、生成AIの使い方などを問う形になっています。
問題のテーマを並べてみます。
- ブレインストーミングのルール
- 著作権・肖像権を侵害しない行動
- ベン図の使い方
- 生成AIの不適切な使い方
ここで気づくことが1つあります。「情報」の試験なのに、内容の半分以上は他の教科の領域です。
ブレインストーミングは、どちらかというと「公共」や「総合的な探究の時間」で扱われる話題です。著作権・肖像権は「公共」の領域(もちろん「情報」でも習いますが)。ベン図に至っては完全に「数学Ⅰ」「数学A」の集合の内容です。生成AIの使い方は、情報モラルというよりは「日常的に何を考えて生成AIと付き合うか」という常識の問題です。
つまり、大問2は「情報」というラベルを貼っているだけで、実態は国語・公民・数学・道徳の混合問題に近いです。情報の知識を蓄えなくても、これまでに学校で習った内容や、社会人としての一般常識で十分に対応できます。
会話文も長めですが、解くのに会話文の内容を細かく追う必要はありません。キーワードだけ拾えば正解できる問題が多いです。
■ 大問3:題材は凝ってるが聞かれてるのは普通のこと
大問3に進みます。
大問3も4問構成で、配点は各5点(合計20点)。「高校生が高齢者向けにスマートフォン活用教室を開催する」というよくわからない設定を題材として進行します。
問題のテーマは次のとおりです。
- 文字化けの原因
- 画像の読み込み速度を上げる方法
- 高齢者向けポスターの作り方
- 手順書の選び方
題材の設定は凝っているのですが、実際に問われている内容は素直です。
文字化けは「文字コードが違うと表示が崩れる」という1点さえ知っていれば解けますし、画像の読み込み速度は「ファイルサイズを小さくすればいい」というシンプルな話です。
高齢者向けポスターの問題に至っては、「情報」とほぼ関係ありません。「スマートフォンが苦手な人にWebサイトで案内を出すのは本末転倒」という、常識で判断できる問題です。
手順書の選び方は、パワーポイントの資料を見やすく作るときの発想と同じで、文字だらけの選択肢を避ければ正解です。
大問3も、HTMLや文字コードといった用語が並びますが、現代社会で普通にネットやスマホを使っている人なら、感覚的に正解にたどり着けるはずです。
ここまで見てきたように、大問1~3は知識・常識・読解力でほぼ対応できます。各問題のより詳しい解説は、シリーズ第2弾の動画で扱っています。
サンプル問題を見ながら一緒に解き進めたい方や、ここで触れた各問題の根拠を詳しく知りたい方は、こちらをご覧ください。
■ 大問4:プログラミング問題だが、必要なのは読解力
大問4はサンプル問題の中で唯一、構えが必要な大問です。
4問構成で、配点は各5点(合計20点)。テーマはプログラミングで、年月日を入力すると曜日を返すプログラムを題材にしています。
ただ、難しさの根本はプログラミングそのものにはありません。実際にコードを書く必要はないですし、複雑な処理を読み解く問題でもないです。
この大問でつまずきやすいのは、別のところにあって、ようは「問題文で説明されている仕様の意図が読み取りづらい」ことです。具体的には、
- 1月を13月、2月を14月として扱うという独特の処理が出てくる
- 後半は旧暦の概念が前提になっている(旧暦って何か知らないと意味不明になる)
プログラミングというよりも、「言われていることをそのまま理解する読解力」が試されている、と言ったほうが近いです。題材が直感的に分かりにくいので、文章を読んでもピンとこない時間がしばらく続きます。
ただし、そこさえ乗り越えれば、解くこと自体はそれほど難しくありません。
落ち着いて条件分岐の構造を追えば、フローチャートを読むレベルの感覚で正解にたどり着けます。プログラミング経験がなくても、論理を順に追えれば大丈夫です。
時間をかけて取り組むなら、ここはぜひ動画と一緒に進めてみてください。動画は後ほど紹介します。
■ 大問5:数学Ⅰ「データの分析」の簡易版
最後の大問5です。
4問構成で、配点は各5点(合計20点)。テーマはデータ分析で、都道府県別の交通事故発生件数や乗用車保有台数のデータを題材にしています。
問題のテーマを並べると次のとおりです。
- データ分析をする際の心構え
- ヒストグラムの読み取り
- 相関係数の解釈
- 散布図と回帰直線の読み取り
ここで気づく方も多いと思いますが、内容は数学Ⅰの「データの分析」とほぼ重なります。むしろ、数学Ⅰの問題よりも易しい印象です。
たとえば相関係数を問う問題は、計算する必要が一切ありません。すでに計算済みの表が与えられていて、その中から数値が一番大きいものを選ぶだけです。
1に近いほど相関が強い、という基礎さえ知っていれば解けますし、なんならその基礎も本文に載っています。
ヒストグラムや散布図の読み取りも、グラフを丁寧に見れば中学生レベルで対応できます。
数学Ⅰのデータの分析を一通り勉強している方は、この大問はほぼノー勉でも満点が狙えます。逆に数学Ⅰを未学習でも、グラフの見方さえ落ち着いて押さえれば、何問かは取れるはずです。
大問4と5については、文章だけで読むよりも動画で順を追って見るほうが理解しやすいです。プログラムの構造を画面で追いながら解説しているので、独学の補助としても役立つと思います。
シリーズ最終回、大問4と5の解説動画はこちらです。
■ 「情報」の全体的な特徴まとめ
以上で問題は終了となるわけですが、全体を通じてある事実が見えてきました。
「情報」というラベルが貼られていますが、中身は一般常識と他教科の寄せ集めに近いこと。各大問の正体を整理すると、こうなります。
- 大問1:自動車免許の学科試験に似た常識・知識問題
- 大問2:国語の読解+公民+数学(ベン図)+道徳の混合
- 大問3:一般常識+わずかなIT用語
- 大問4:プログラミング(ただし難所は読解力)
- 大問5:数学Ⅰの「データの分析」の簡易版
情報科目として独自の専門知識を要求している箇所は、実はそれほど多くありません。
情報という名前を冠してはいるものの、実態は「現代を生きる人として知っておくべきこと」と「他教科で学んだことの簡易版」で構成されている、と言ったほうが近いです。
これは試験対策の方針にも関わる重要なポイントです。情報の試験のためだけに、専用の勉強時間を大きく確保する必要は薄いといえるでしょう。
■ 他の科目との難易度比較、最適な学習方法とは
高卒認定試験には複数の科目があります。主観ではありますが、難易度で2分割するとこのようになります。
[下積みが必要な科目]
- 英語:基礎単語・文法の積み重ねが必要
- 数学:図形や関数で詰まる人が多い
英語と数学が最難関科目です。これらのみ下積みが必要だからです。
もちろん、下積みがある人にとっては簡単ですが、もし中学時代も含めてまったく勉強していないという状態であれば、年単位の準備期間が必要となります。
[一通りの学習が必要な科目]
- 科学と人間生活:理科にしては暗記中心
- 歴史・地理:暗記量が多い
これらは中学内容とのつながりはあるものの、仮にそれらが抜けていたとしても純粋にその科目だけを学ぶことが可能です。もちろん暗記量は少なくないので、それなりに勉強時間を充てる必要があります。
しかし、基礎の基礎から積み重ねないとどうにもならない英語や数学に比べれば、随分とラクになります。イメージとしては数ヵ月の準備期間が必要です。
さて、これらの科目と比べて、「情報」はどこに位置づけられるでしょうか。
実は、これらよりも遥かに易しいです。暗記の負担も少なく、計算もほぼ求められておらず、読解力と常識でかなりの問題に対応できます。なんならまったく勉強しないでいきなり受験しても合格する可能性が少なくありません。
イメージとしては数日の準備期間でなんとかなります。
したがって、「情報」は、高卒認定試験の各科目の中で合格までの労力が最も軽い科目になる可能性が高い、というのが私の見立てです。
となると、「情報」の試験対策として、最低限やっておきたいことは次のとおりです。
- サンプル問題を一度自分で解いてみる
- 大問4のプログラミングの構造に慣れておく
- 普段からインターネットやパソコンに触れる
これだけです。もし追加するとしたら、「情報Ⅰ」の教科書を流し読みすることくらいでしょうか。
逆に、やらなくていいことも書いておきます。
- 情報Ⅰの問題集を1冊やり込む
- 教科書の太字(=専門用語)を片っ端から暗記する
他科目を後回しにして「情報」を対策する必要はありません。「情報」に時間を割くより、数学Ⅰや英語などもっと労力が必要な科目に時間を回したほうが、合格全体の戦略としては合理的です。
■ まとめ:新科目「情報」、構えなくて大丈夫
最後にこの記事の要点を整理します。
- 令和8年度から高卒認定試験に「情報」が追加される
- サンプル問題の難易度はかなり易しい
- 初年度(2026年度)は簡単と予想される
- 大問の多くが他教科や常識で解ける
- 唯一、大問4のプログラミングだけは少し注意
- 対策は最小限でいい、人によってはしなくてもいい
- 他の必須科目に時間を回したほうが合格戦略として合理的
新しい科目が増えると、それだけで不安が大きくなるものです。ただ、サンプル問題を実際に解いてみれば、そこまで身構える必要がないことが見えてきます。
この記事と3本の動画シリーズで、不安を少しでも軽くしてもらえたら嬉しいです。
■ 高卒認定の先にある「大学受験」を本気で目指すなら
高卒認定試験に合格したら、それで終わりではありません。むしろ、合格してからが本番です。
せっかく大学受験のスタートラインに立てるのですから、その先の大学合格まで本気で目指したい方もいると思います。
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■ 大学入試をがんばる通信制高校生、募集中
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