高卒認定試験の勉強法
大学受験を見据えた「受かり方」と「勉強の進め方」を元教員が完全解説

高卒認定試験に合格して、さらに大学受験にも合格して、大学生になりたい――。
この記事は、そんな方に向けたものです。
高卒認定試験にどう受かるのか、そしてその先の大学受験にどうつなげるのか。
巷に溢れる高卒認定試験の勉強法くは「合格点を取って受かること」をゴールにしていますが、この記事は少し違います。高卒認定はあくまで通過点。その先の大学受験でも勝つために、高卒認定をどう勉強するか――そこまで踏み込んで解説します。
私はもともと高校の教員で、いまはオンラインフリースクールを運営する中で、高卒認定試験を受ける生徒の学習も支援しています。YouTubeで高卒認定試験の解説動画も公開していますし、その先の大学受験も見てきました。
この記事は、そういった経験に基づいて書かれています。
■ 「受かればいい」とは限らない、成績評価(A・B・C)の話
「高卒認定試験の難易度はそんなに高くない」――ネットで検索すると、すぐにそう出てきます。これはその通りです。
ただ、この記事で最初にお伝えしたいのは、「合格するだけでいいかは人による」ということです。
あまり知られていませんが、高卒認定試験には、合格に加えて「成績の評価」がつきます。文部科学省が発行する合格成績証明書に、科目ごとにA・B・Cの3段階で記載されるのです。
注意したいのは、「何点でどの評価になるか」という点数の区分を、文部科学省は公表していません。文科省は、絶対評価の考え方を基本として合格水準を設定しているとだけ公表しています。以下、世間で言われている区分を記載しますが、こちらは高卒認定予備校などが調査・推定したもので、おおむね次の通りです。
- A評価:80点以上
- B評価:60〜79点
- C評価:合格最低点(おおむね40点前後とされる)〜59点
※この点数区分や合格点(約40点)は、文部科学省の公式発表ではなく、予備校などの情報に基づく目安です。また、免除した科目には評価はつきません。
さて、ではこのA・B・Cにどれだけ価値があるのでしょうか。
高認からの大学受験生にとって、合格成績証明書は全日制の高校生でいう「調査書」の代わりとして扱われます。したがって、そこに記載された成績評価は、大学受験における評定平均(調査書に記載された成績の平均値)と似たようなものと考えられます。
つまり、人によっては高認のゴールは合格ではありません。高い成績(A評価)で合格することです。
あくまで人によってですが、ギリギリで受かるのか、高得点でA評価を取って受かるのかは大学受験の合否に影響する可能性があります。
ここもまた、ひっかかりを覚える人も多いでしょう。わかりにくいことに、高い成績で合格をすることが大学受験に有利に働く人と、そうでない人がいるのです。
なぜそうなのかは、大学受験の仕組みを知らないとわかりません。
そこで、まず大学受験の話からさせてください。

■ 一般選抜か総合型選抜かで「必要な成績」が変わる
大学受験には、一般選抜・総合型選抜・学校推薦型選抜があります。ただし、高卒認定の方は学校推薦型を使えないことが多いので、ここでは一般選抜と総合型選抜の2つで比べます。
- 一般選抜(筆記):高卒認定の成績(A・B・C)は、基本的に合否に関係ありません。ギリギリ合格ラインを超える点数(40〜50点)で全科目に受かり、その証明書を出せれば問題ありません。学力は筆記試験で示すからです。
- 総合型選抜(小論文・面接が中心):高校時代の成績=評定平均が選考に影響するかどうかは、大学によります。重視する大学もありますし、まったく気にしない大学もあります。高卒認定生はこの評定の代わりに合格成績証明書のA・B・Cが見られるため、評定を重視する大学を志望するなら、高評価(=高得点)を目指したいところです。
ただし、総合型選抜だからといって必ずしも評定(この場合は高認のA~C評価)が重要なわけではありません。評定をほとんど見ない大学も多くあります。
ですから、まずは志望大学を決めること。その大学の合否判定基準が成績(評定)を見るのかどうかを必ず調べること。その上で、成績がみられるのならただの合格ではなく、A評価での合格を目指す。
これが最も効率のよい順番となります。
高認からどうやって大学に行くか、その全体像は別記事にまとめていますので、ぜひご一読ください。
■ 「いつ・何回受けるか」の戦略が変わる
高卒認定試験は8月と11月に年2回のチャンスがあります。年度末までに満16歳になる年から、つまり高1の年代からならいつでも受けられます。
では、いつ受けるべきなのでしょうか?
つまり、しっかり学習が終わって確実に高得点がとれると確信してから受けるべきか、それともそれほど学習が進んでいない状態でもダメ元で受けてみるべきか。どちらが正解なのでしょうか?
ここが面白いところで、高卒認定試験は先ほどの一般選抜か総合型選抜かによって、「いつ受けるか・何回受けるか」の最適な戦略が変わります。
一般選抜狙いなら:どんどん受けてしまう
一般選抜からの大学受験を考えている場合は、成績評価が関係ないので、早く合格してしまうのが得策です。
受かりそうな科目はどんどん受ける。落ちても構いません。
受かったらラッキーくらいの気持ちで全科目を受け、落ちた科目だけ次回また受ける。全部受かれば、高卒認定はそこで「終わり」です。
もちろん一般選抜の人にとっては、そこからが本番で、大学受験の勉強が本格的に始まります。ただ、高卒認定試験というハードルに関していえば、本当にそれだけで、ほとんど記憶に残らない通過点に過ぎません。
総合型選抜で高得点が要るなら:十分に勉強してから受ける
総合型選抜からの大学受験を考えている場合は、多くの場合、ここが正反対になります。
注意してほしいのは、高卒認定は一度合格した科目を再受験できないこと。中途半端な点数で受かってしまうと、評価がCで固定され、後から「やっぱりAを取りたい」と思っても上書きできません。
ですから、評定を重視する大学を狙うなら、十分に勉強した科目を、十分に勉強してから受ける。これが鉄則です。最初から高得点(A評価)を狙って受験に臨んでください。
ただし、くどいようですが、もう一度注意を書かせてください。
総合型選抜のすべてが評定平均を気にするわけではありません。評定を見ない大学を志望するなら、高卒認定はギリギリ合格でまったく構いません。その場合はこの注意は気にせず、一般選抜同様、どんどん受けてしまって大丈夫です。

■ どこまで勉強する? 「合格」と「大学受験」は別物
ここまでは「高卒認定で何点取るべきか」という話でした。次は「学力をどこまで上げるべきか」を解説していきます。
先ほど、一般選抜の人は「何点取るか」は気にしなくていいと言いましたが、これは学力にだわらなくていいという意味ではありません。むしろ逆で、学力そのものにはこだわるべきです。
ここが少しややこしいので、丁寧に説明してみます。
一般選抜は、受験科目を絞ることが多い方式です。とくに私立大学では3科目入試が基本となります。例えば文系の世界史選択なら、英語・国語・世界史の3教科だけしか受験には使用しません。
この場合、その3科目についての高卒認定試験は「受かって当然」です。そして、そこでの勉強は、高卒認定試験のためではなくその先の大学受験に向けた勉強として、出ない分野も含めてまんべんなくやるべきです。
一般的には「高卒認定は過去問から始めて、出るところだけ勉強するのが効率的」と言われます。
確かにその通りなのですが、受験で使う科目にこれをやってしまうと、その後の大学受験の勉強につながりません。
一般選抜を想定している場合、受験科目だけは、高校の教科書を用いて一通り学んでおきましょう。たとえば世界史を受験科目にするなら、高卒認定の「歴史」(範囲は歴史総合に当たる近現代中心)は一部しか出ませんが、出題される問題ベースではなく、教科書や資料集で一通り詳しく理解しておく。それが、大学受験の世界史を学ぶ上での土台になります。
逆に、総合型選抜で「高い成績を取れればよい」だけなら、話は変わります。
この場合は過去問ベースの勉強で十分です。
たとえば高卒認定の「数学」は、数学Iの範囲が最初から最後まで満遍なく出るわけではなく、毎回出る範囲がある程度決まっています。だから市販の教科書や問題集を全部やると、むしろ勉強しすぎになります。過去問を先に解いて、出るところだけを押さえるのが効率的です。
なんなら、数学は範囲をやや絞りにくいほうで、ほかの科目はもっと絞りやすい。ですから高得点狙いでも、基本的にすべてを勉強する必要はなく、過去問ベースで事足ります。

■ 苦労するのは英語と数学(積み重ね型の科目)
高認の難易度を科目別に見ると、多くの方が指摘する通り、苦労しやすいのは英語と数学です。理由は、この2科目だけが「積み重ね型」だからです。
これまで積み重ねてきたもの(あるいはその欠如)が、ごまかせない形で表れます。
たとえば中学3年間まるまる学校に行っておらず、中学内容がほとんど分からない状態だと、高認の「数学」(高校の数学Iの範囲)はかなり手こずるはずです。そこはどうにも避けられません。逆に、中学まで一通りやってきた人なら、英語・数学もすぐに受かります。
一方、英語・数学以外の大半の科目は、合格点をとりたいだけならば、いきなり過去問を解いてみて「こういうところが出るのか」と知り、必要なところだけ勉強すれば十分です。
この「出発点によって苦労がまるで変わる」という話は、以下の難易度の記事で詳しく扱っています。興味のある方はぜひ目を通してください。
■ 英語・数学以外の具体的な勉強法(おすすめは「0円」戦法)
では、英語・数学以外の科目は、どう勉強すれば効率がいいのでしょうか。ネット上ではいろいろな方法が語られています。
- 高卒認定試験用のワークブックを使う
- スタディサプリやTryITのような動画教材で該当箇所を探して見る
どれも有効ですが、私が一番おすすめしているのは、なんと「0円で完結する戦い方」です。
文部科学省は、高卒認定試験の過去問題をネット上で無料公開しています。直近のものでなくても、たとえば「令和3年度 過去問」で検索すれば、第1回・第2回の問題と解答がすぐに見つかります。

※ここでは少し過去のものを取り上げていますが、もちろん直近の過去問題から学習していくのを推奨します。
ただし、この解答は選択番号が載っているだけで、「なぜそれが答えなのか」がわからない。だから一般に、勉強には不便で、ワークブックや教科書を別に用意した方がよいとされています。
ところが今の時代は、その「わからない部分」を生成AIが補ってくれます。
問題文をスクリーンショットで撮ってチャットAIに入れ、解説してもらうことができます。高卒認定の問題は、チャットAIが扱う題材として非常にベーシックなので、これがうまく機能します(マニアックな内容をAIで学ぶのは危険ですが、高認ならば問題ありません)。
はっきり言って、紙の書籍を一切買わなくても、勉強は十分に成り立ちます。
もちろん、画面上で完結するということではありません。自分で手を動かしてみる時間はとても重要です。
紙で自分で解いて答え合わせをし、わからない部分だけチャットAIにどんどん聞いていく。この進め方で効率よくゴールまで進めます。場合によっては、動画教材で該当箇所を探して学ぶのももちろんありです。
これはどちらかといえば、「とにかく高得点を取りたい(=合格すればよい)」場合の勉強法です。一般選抜を見据えた大学受験の土台作りとしては、これでは不十分ですが、それでも高認で高得点をとるならば、コスパ・タイパを最大化させたこうした勉強方法をおススメします。

■ 一般選抜での受験科目向けのおススメ勉強法
このパートは一般選抜を狙う人――それも、受験科目を学習する場合に限った話です。あてはまるケースがあまり多くないことを前提として読み進めてください。
総合型で高得点(A評価)を取りたい場合でも、これから話すレベルまでやるのは、むしろやりすぎになってしまいます。前のセクションまでで十分です。実際、A評価がとれるようなら、学力としても十分に「高校卒業程度」といって遜色ないレベルに到達しています。
ところが、A評価の学力では足りない場合があります。
一般選抜で、その科目を受験科目として使う場合。このときだけは、高卒認定の合格レベルで止まるような学習をしてはいけません。いまのやり方で高得点を取れても、大学受験の勉強に切り替えた瞬間につまずくからです。
ではどう勉強すればいいか。
結論をいえば、ごくごく平凡な回答になってしまいますが、高校の教科書を一通り理解することです。やはり大学受験レベルへの土台として重要なのは、教科書を理解していることに尽きます。
ところが、高卒認定試験からの受験生は高校の教科書を持っていないことが多くあります(教科書は高校経由で購入するからです)。「教科書をやれ」といわれても「ありません」という方も多いことでしょう。
実は、うまい抜け道があります。
高校の教科書は3月になると、メルカリなどの中古市場に大量に出回ります。タイミングが合えば(あるいは合わなくても)、意外と安く古本で手に入るので探してみてください。教科書が一冊あるかないかは、想像以上に大きな違いになります。
大学受験といえば参考書と問題集だろうと考える方もいらっしゃるかもしれません。
それも間違いではないのですが、たとえば数学なら数研出版のチャート式のような定番書籍があります。とはいえ、高卒認定試験を受ける段階で大学受験向けのこの手の王道(青チャートで数学IAを一周する)を進むのはオーバーワークになります。
極力あっさりしたもので構わないので、まずは一冊を終わらせることが大事です。また、授業をあまり受けていない人は本当の基礎が抜けている可能性があるので、教科書と参考書はセットで進めてください。
たとえば理系科目でいうなら、記号の意味もわからず問題を解こうとしても、解説をみても理解できず、学習の効率が下がります。やはり教科書は手元に置いておくべきです。
ただし、これは全科目に当てはまるわけではありません。英語などは教科書が使いづらいので、文法書と問題集だけで十分です。
そういった個別事情もありますが、基本的には教科書も手に入れて、簡単な問題集を一冊終わらせるというのが一般選抜で受験科目にする場合の適切な勉強法となります。ここで培われた学力は、必ずしも高卒認定の点数には響きませんが、大学受験の土台としては不可欠です。
■ もっと深く知りたい人へ
補足になります。
まず、高卒認定試験について客観的なデータが知りたい場合はこちらのページをご覧ください。
また、この記事では一般選抜と総合型選抜で分けて解説を進めてきましたが、受験方式ごとの「合格までの具体的な進め方」は、別記事で詳しく解説しています。もし興味があればそちらもご参照ください。
順に、一般選抜を狙う方向け、総合型選抜を狙う方向けとなっています。これらはどちらも通信制高校からを想定した記事ですが、高卒認定からでも考え方はほとんどそのまま当てはまりますので心配いりません。
また、実際に高卒認定を受けた方の体験談も、戦略の話とは別の意味で、地に足のついたリアルな声として参考になります。外部の方のご意見ですが2つほど紹介します。
あるブログでは、合格までの道のりが率直に綴られています。その方いわく、勉強は過去問を中心に進めれば十分にいける――ただ、英語と数学だけはやはり手こずった、とのこと。「過去問中心でいける」という実感が生の言葉で語られています。
また別の方は、過去問にワークブックを組み合わせるやり方を紹介したうえで、何より「まず勇気を出して受けてみること」の大切さを語っています。受けようかどうか迷って一歩を踏み出せずにいる人には、きっと励みになるはずです。

■ まとめ
最後に、この記事のポイントをまとめます。
高卒認定試験からの大学受験を目指す方にとって、高卒認定試験での合格はあくまで通過点です。だからこそ、勉強を始める前に次の順番で考えてください。
- まず一般選抜と総合型選抜のどちらで大学に行こうとしているかを決める。
- 次に高卒認定合格時の成績評価(A・B・C)が重要かどうかを調べる。
- その上でまんべんなく高得点(A評価)で合格を狙うのか、それとも基本的に受かれば何でもよい(ただし受験科目だけはレベルが違うくらい仕上げて受ける)のか、戦略を立てる。
戦略が決まれば、あとは今回紹介した勉強法で、効率よく学習を進めていってください。
この記事を読んだみなさんが合格を勝ち取り、その先の大学受験へ進んでいけることを願っています。

■ 高卒認定の先にある「大学受験」を本気で目指すなら
この記事でも強調している通り、高卒認定試験に合格したら、それで終わりではありません。むしろ、合格してからが本番です。
せっかく大学受験のスタートラインに立てるのですから、その先の大学合格まで本気で目指したい方もいると思います。
私が運営しているオンラインフリースクール、シン・ガッコウ Schorbitは、高卒認定試験の対策もしつつ、基本は大学受験に向けて各自で学習を進めています。
コンセプトは進学校のシミュレーション。日中の時間をオンラインでマネジメントして、生徒一人ひとりの学習に伴走します。
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