高卒認定合格後、どうやって大学へ? 大学受験の進め方を元教員が解説

高校を中退してしまったら、高校に進学しなかったら、もう大学には行けないの?

そんなことはありません。高卒認定試験(高校卒業程度認定試験、略して「高認」)に合格して、そこから大学受験をするという道がしっかり用意されています。

この記事では、高卒認定から大学を目指す方に向けて、合格後にどう進めればいいのか――受験資格の注意点、行ける大学のレンジ、入試方式、合格後の勉強の進め方、出願手続きまでを、ひととおり整理します。

先に全体像をお伝えします。高卒認定から大学受験は、
(1) 受験資格(年齢)を確認し、
(2) 志望大学と入試方式(一般・学校推薦型・総合型)を決め、
(3) 合格後のギャップを埋める勉強を進め、
(4) 合格証明書などの書類をそろえて出願する
という流れで進みます。

一つずつ見ていきましょう。

そもそも高卒認定とは?(高卒資格との違い)

まず前提を簡単にご説明します。

高卒認定試験(高認)は、「高校を卒業した人と同等以上の学力がある」と国が認定するための試験です。よく誤解されますが、高認に合格しても「高卒」の学歴(高校卒業資格)が手に入るわけではありません。学歴としては中学卒業のままです。

ただし、大学・短大・専門学校の受験資格は高卒認定により得られます。

つまり「高卒の肩書き」は付かないけれど、「大学を受験する権利」は得られるということです。そして大学に進学して卒業すれば、最終学歴は「大学卒」になります。ですから、大学進学を目指すうえで、高認は十分に強力なパスポートになります。

高卒認定について詳しく知りたい方はこちらの記事もご参照ください。

受験資格と年齢の注意点

高卒認定に全科目合格すれば大学受験資格が得られますが、年齢に一つ注意点があります。大学に入学する年度の4月1日時点で、満18歳以上であることが必要です。

たとえば高認は16歳や17歳で合格することがありえますが、満18歳を迎える年度になるまでは、大学を受験して入学することはできません。資格を寝かせておくしかないということです。

一方、満18歳以上であれば年齢の上限はありません。何歳からでも、大学受験に挑戦できます。

調査書がなくても大丈夫?

高校を卒業していないため、高認合格者には大学受験の出願に必須の「調査書」がありません。こうした必要書類がない場合、どうするのでしょうか?

多くの大学は「合格証明書」または「合格成績証明書」で調査書を代替できます。大学の募集要項で確認すると、「高認合格者は合格成績証明書を提出」といった形で対応が明記されていたりします。記載がない場合は、各自で大学までお問い合わせください。

  • 高卒認定試験に全科目合格 → 大学受験資格が得られる
  • 入学年度の4月1日時点で満18歳以上であることが必要
  • 出願には 「合格証明書」「合格成績証明書」 を文部科学省に申請して取り寄せる必要あり

証明書は即日発行ではなく、通常1週間前後かかります。出願直前に慌てないよう、早めに準備するのが鉄則です。

高卒認定で行ける大学

「高卒認定で行ける大学なんて限られているのでは?」と心配する方がいますが、そんなことはありません。高卒認定からは、基本的にほとんどの大学を受験できます。

学力さえ届けば、地方の国公立大学から有名私立大学まで、進学先の選択肢は幅広く開かれています。ただの大学の種類紹介になってしまいますが、簡単に分類しておきます。

国公立大学

一般選抜(共通テスト+個別試験)で正面から学力勝負ができる方には、有力な選択肢です。地方国立大学のなかには、いったん別の道に進んでから学び直す「再チャレンジ」の受験生を、面接などで前向きに評価する傾向があるところもあります。

また、国公立というとかなりの高学力でないと相手にならないと考えている方もいらっしゃいますが、そうではありません。近年では私立大学が公立大学化したケースなどで、比較的入りやすい国公立大学もあります。そうした大学が近場にあれば、検討してみてもよいでしょう。

私立大学

大学は国公立よりも私立の方が多くあります。また私立大学の多くは入試方式が多彩で、一般選抜のほか、総合型選抜や社会人特別選抜など、学力試験以外の入り口を用意している大学も多くあります。自分の強みを活かせる方式を選べるのが魅力です。

近年、半数近くの私立大学が定員割れをしています。そのような大学ならば進学するためのハードルは高くありません。

また、夜間学部(第二部、フレックス等)であれば年齢もある程度バラけてきますし、学費が抑えられるところも魅力的です。日中働くことも可能なので、高認からの大学受験組と比較的相性のよい制度かもしれません。

通信制大学

また別の切り口として、通信制大学も増えています。通信制大学は私立大学(放送大学を除く)の仲間になります。

学力試験なし(書類選考が中心)で入学できるところが多く、働きながら・自分のペースで学位を取りたい方に向いています。慶應義塾大学の通信教育部のように、卒業すれば箔がつく名門もありますが、入学は易しくても卒業はかなり難しい、というタイプもあります。通信制大学は種類ごとに性格が大きく違うので、詳しくは以下の別記事にまとめています。

このように、高卒認定で行ける大学は「限られた一部」ではなく、学力と目的しだいで広く選べます。大切なのは、自分の学力と目指す方向に合った大学・入試方式を見極めることです。

入試方式は大きく3つ(高認生は一般・総合型が中心)

大学入試の方式は、大きく「一般選抜」「総合型選抜」「学校推薦型選抜」の3つに分かれます。ただし、高認の方にとって現実的な選択肢は、一般選抜と総合型選抜の2つです。

学校推薦型は高校から発行する調査書が前提となるため、原則として使えません。ここでは中心となる2つを軸に説明します。

一般選抜(共通テスト利用を含む)

最もスタンダードな方式です。共通テストや大学ごとの個別試験で学力を評価して合否が決まります(国立大学は原則その両方が必要)。

調査書がなくても不利になることはほとんどなく、純粋な学力勝負で合否が決まるので、学力に自信がある方にはこの方式がおすすめです。出題範囲は高認よりはるかに広くなりますが、受験科目をしぼることはできます。

なお、難関大学の合格難易度は極めて高く、高認の難易度とは相当な開きがあります(この点は後ほど詳しく触れます)。

一般選抜の進め方は、別記事でも解説しています(通信制高校からを想定した記事ですが、高卒認定からでも独力で受験準備を進める点はそのまま当てはまります)。

  • 最もスタンダードな入試方式
  • 共通テストや大学ごとの個別入試で学力を評価して合格(国立大学は原則その両方が必要となる)
  • 調査書がなくても不利になることはほとんどなく、学力勝負で合否が決まるので、学力に自信がある人はこの方式がおススメ
  • 出題範囲は高認よりはるかに広い(ただし科目数は絞ることができる)
  • 難関大学の合格難易度は極めて高い(高認の難易度とは相当な開きがあるので覚悟を!)

総合型選抜(旧AO入試)

志望理由書や小論文、面接などで評価される方式です。「高認合格者も出願可」と明記している大学が多くあります。

高認からの場合は、高校での活動歴がない分だけ、「なぜその大学で学びたいのか」「これまでどんな経験を積んできたのか」「今後どんな研究をしたいのか」を、ていねいに伝えることが大切です。社会人経験や独自の活動歴がある方にとっては、むしろ大きな強みになることもあります。

  • 志望理由書や小論文、面接などで評価される入試方式
  • 「高認合格者も出願可」と明記している大学が多い
  • 高校での活動歴がない分、「なぜ大学で学びたいのか」「どんな経験を積んできたのか」「今後どんな研究をしたいか」を丁寧に伝えることが大切
  • この方式でも大学のランクによって合格難易度に極端な開きがある、難関大学の合格難易度は極めて高い

総合型選抜の具体的な準備は別記事で解説しています(こちらも通信制高校からを想定していますが、高卒認定からの場合も考え方は同じです)。

学校推薦型選抜(公募・指定校)

校長推薦や調査書が必須となるため、高認の方は原則として対象外です。

合格率のきわめて高い「指定校推薦」という形式などが有名ですが、高校卒業(あるいは卒業見込み)として受験するのでない限り、その手段をとることはできません。

  • 校長推薦や調査書が必須のため、高認生は原則対象外
  • 「指定校」という合格率のきわめて高い形式がある

高卒認定だと「不利」になる?

以上のように、大学入試の方式は大きく3つに分かれますが、高認生の主戦場は一般選抜と総合型選抜です。この2つについては、「高認だから不利」ということは基本的になく、学力や経験を正面から評価してもらうことができます。

とくに一般選抜は学力だけで合否が決まるため、調査書がないことはほとんど影響しません。また、社会人経験や独自の活動歴がある人にとっては、総合型選抜で強みになるケースもあります。

不利があるというよりは、学校推薦型(指定校含む)のように、高認からだと存在しないルートがあるという理解が正確です。現状を正しく理解して、自分に合う入り口を選ぶことが大切です。

志望校はいつ決める?(受験スケジュールの目安)

高卒認定からの受験は、学校のように「みんなで足並みをそろえるペース」がありません。だからこそ、一般的な受験生がどんなスケジュールで動いているのかを、目安として知っておくと役に立ちます。

あなたがこの通りに動く必要はありませんが、知っておいて損はないという程度です。

まず、入試の時期は方式によってかなり違います。

  • 総合型選抜:出願は9月1日以降が一般的(合格発表は11月以降。いわゆる「年内入試」)
  • 共通テスト:1月中旬 ※一般選抜の人がほぼ受けるテスト
  • 一般選抜:入試本番は2月が中心(私立は2月初旬から、国公立の二次は2月下旬から。出願は1月ごろ)

総合型選抜は志望校を早く決める

一般的な高校生の場合、総合型選抜を狙う人は、高3の夏休みごろまでには志望校をほぼ固めています

9月から出願が始まるので、夏のオープンキャンパスのころには決めておくという流れです。学力試験で競う部分がないぶん準備はしやすい反面、代わりに志望校選びと自己アピールの準備を早めに始める必要があります。

だからこそ、気になる大学のオープンキャンパスには早めに足を運んでおくことが大切です。

ただし「夏までに決めないと絶対ダメ」というわけではありません。総合型選抜も1期・2期…と複数回に分けて実施され、2月や3月に選考のある大学もあります。とはいえ大半の人は秋までに動くため、「年内入試」と呼ばれているわけです。

一般選抜は志望校を1つに絞らなくていい

一方、一般選抜は事情が大きく異なります。志望校はあったほうがいいですが、なくても成立します。

大事なのは受験科目を絞り込み、その学力を入試レベルまで上げること。実際には、複数の大学・学部を受けて、受かったところに進学するという形が一般的です。「どうしてもここ」と1校に固める必要はなく、受験する候補を多めに用意しておくほうが重要になります。

具体的な志望校を早く決めれば、過去問演習で多少は有利になります。ただ、総合型のように早期に確定させる必要はありません。

極端に言えば、私立の入試が本格化する2月の直前、1月ごろに決めても問題ないくらいです。それよりも、2月のどの日にどこを受けるか(受験スケジュール)を具体的に組むことのほうがずっと大事です。

繰り返しになりますが、高卒認定からの場合、この一般的なペースに無理に合わせる必要はありません。自分の準備状況に合わせて進めて大丈夫です。

ただ、世の中の受験生がいつ動いているかを知っておくと、自分の計画も立てやすくなります。

高卒認定の合格後に待つ「ギャップ」と勉強の進め方

以下は特に一般選抜を考えている方向けの内容になります。

高卒認定から一般選抜で大学を目指すうえで最も重要なところです。知っておいてほしいのは、高卒認定の学力と、大学受験で求められる学力は、まったくの別物だということです。

高卒認定の合格点は各科目40点前後で、出題範囲も中学〜高校1年程度が中心です。一方、大学受験の一般選抜で求められるレベルは、その先のずっと高いところにあります。

高認に合格した直後の多くの人は、いわば基礎レベル止まりです。ここから受験レベルまで引き上げる過程で、想像以上のギャップに苦労する人が少なくありません。これは仕方のないことですので、あらかじめ知っておけば、必要以上にショックを受けずに済みます。

では、そのギャップをどう埋めるか。やるべきことは、おおむね次の流れです。

1. 計画を立てる

まず志望学部と受験科目を固めます(将来の仕事なども含めて入念に考えましょう)。そのうえで、受験科目を入試レベルまで引き上げていきます。

高認合格直後は基礎レベル止まりが普通なので、スモールステップで少しずつレベルを上げるのがコツです。受験まで1年あるなら「基礎3ヶ月 → 応用3ヶ月 → 過去問半年」といった具合に、具体的なスケジュールへ落とし込みましょう。

全国模試は個人でも申し込めるので、節目で受けておくのがおすすめです。自宅受験の制度も最近は普及していますが、近場に受験会場があれば会場で受験してテスト慣れしておくことも大切です。

2. 続けられる環境を整える

独学で進めるのか、予備校やオンラインの学習環境を使うのか。自分が継続できるスタイルを早めに見極めることが大切です。「いつやるか・どこでやるか」を決めて、続けられる仕組みを作りましょう。

まずは独学でチャレンジして、厳しいようなら塾予備校を探すという順番でもまったく問題ありません。誤解している人も多いのですが、大学受験は、塾や予備校の利用率がそれほど高くありません。高校受験と違い、塾任せでは受からないという方が正確かもしれません。

高認を合格するくらいの方であれば、独学でゴールを目指すのも悪くないでしょう。

3. モチベーションを保つ

ゴールを具体的に描くこと――「大学に受かりたい」ではなく「◯◯大学で△△を学びたい」と言えるようになると、勉強の持続力がぐっと上がります。周囲に宣言するのも一つの手です(諸刃の剣ではありますが……)。

また、高認から大学を目指す仲間の存在は、大きな励みになります。オンラインで一緒にがんばる仲間をつくるのもよいでしょう。たとえばStudyplusのような、学習状況を共有するアプリもあります。

(Studyplus 学習記録管理と共有のアプリです)

まとめ:高卒認定から大学受験へ

高卒認定試験に合格していれば、大学への道はしっかり開かれています。ポイントを整理すると――

  • 受験資格:入学年度の4月1日時点で満18歳以上であること
  • 行ける大学:地方国立から私立、放送大学・通信制大学まで幅広い
  • 入試方式:一般選抜・総合型選抜が中心(学校推薦型は原則対象外)
  • 合格後:高認の学力と受験学力のギャップを、計画的に埋めていく
  • 出願:合格証明書・合格成績証明書を早めに準備(調査書は代替可)

そして、「高認だから不利」ということは基本的にありません。むしろ、社会人経験や独自の活動歴がある人にとっては、総合型選抜で大きな強みになるケースもあります。自分の学力と目的に合った大学・入試方式を選び、一歩ずつ進んでいきましょう。

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