高卒認定試験は簡単すぎ? それとも難しい?
答えは「あなたの下積み次第」です

高校を途中で辞めてしまった。でも、やっぱり大学には行きたい。
そんなあなたにとって、高卒認定試験(正式には高等学校卒業程度認定試験、略称は高認)は最適な選択肢になります。
ただ、いざ受けようとすると
「もともと勉強が苦手な自分でも受かるのか」
「どれくらい勉強すれば合格できるのか」
「何割とれば合格するのか」
ということ、つまり難易度が気になるはず。
ネットを見れば、「簡単すぎ」という声もあれば「難しい、何度受けても受からない」という声もあり、混乱してしまいます。合格率などのデータを見たところで、当然、受かっている人も落ちている人もいるわけで、結局、自分が合格側になりそうか不合格側になりそうかピンとこない。
高卒認定試験の難易度・難しさは他でもない“自分にとって”どのくらいなのか──。
この記事では、その問いに、様々な人の事情まで加味してていねいに答えていきます。
■ 結論:高卒認定の難易度は「これまで積み上げてきたもの次第」
先に結論をお伝えします。
この記事では「高卒認定は簡単です」とも「難しいです」とも言いません。
なぜなら、簡単か難しいかは相対的な話だからです。高校生の年代ともなると、学力は人によってすでに大きく開いています。同じ問題であっても、ある人にとっては簡単で、ある人にとっては難しい。
あまりにも当たり前のことですが、インターネット上の分析の多くが、どういうわけかこのことを強調していません。本来は、「こういう人にはこのくらいの対策が必要」「こういう人にはこのくらいで十分」と、受ける人に沿って難易度を語らなければ、あまり意味がありません。
ところが、世の中の難易度解説の多くは、問題そのものだけを見て「簡単/難しい」を語ってしまっています。それでは、肝心のあなたへの答えにはならないのです。そのため、この記事では対象者ごとに分けて難易度を解説していきます。
申し遅れましたが、私はもともと学校の教員で、高校で数学を教えていました。
最近はオンラインフリースクールを運営する中で、高卒認定試験を受ける生徒の学習も見ています。自分でも高卒認定試験の問題を実際に解いて、その難易度を確かめてきました(YouTubeで解説動画も公開しています)。以下の内容は、その経験にもとづいて書かれたものです。

■ データで見れば、合格のハードルはむしろ低い
まず客観的な事実をざっと紹介します。
高卒認定試験は、ざっくりいうとおおむね半数の人が全科目に合格し、1科目以上であれば9割の人が合格しています。合格点は各科目100点満点中40点前後です(予備校の調査などからの推定)。
年2回(8月・11月)のチャンスがあり、一度合格した科目は一生有効で、次回以降に持ち越せます。定員で人を落とす選抜試験ではなく、基準点を取れば必ず受かる資格試験です。
ですから、一般論として、特別に難易度が高い試験とは言えません。
ただし、ここで慌てて付け加えなければならないことがあります。中学までの勉強をほとんどしてこなかった人が、数ヶ月勉強しただけで受かるかというと、それはかなり厳しいです。
やはり、ここまでの「下積み」があるかないかの差がとても大きいのです。
下積みのない人が、少し対策しただけでいきなり受かるほど甘い試験でもありません。合格率が高いというデータも、この「人によって難易度がまるで違う」という前提込みで読む必要があります。
なお、どのくらいの人が合格しているか等は、以下の記事でデータをもとに詳しくまとめたものがあります。合わせてご覧ください。
■ カギを握るのは「数学」と「英語」(科目には2つのタイプがある)
高卒認定の試験科目は、「国語」「数学」「英語」「公共」「地理」「歴史」「情報」、それに「理科」(複数の科目から選んで受けるため、ここではまとめてこう呼びます)まで、全部で9〜10科目にわたります。(令和8年度から「情報」が必修に加わったので要注意です。)

これらの科目は、大きく2つのタイプに分けられます。
一つは、これまでの積み重ねが特になくても、数ヶ月しっかり勉強すれば取れるようになるタイプ。つまり、これまで学校でこの科目に関する授業を受けてきたかどうかが、それほど大きく影響しないタイプです。もう一つが、これまでの積み重ねがそのまま効いてくるタイプです。
後者の「積み重ねが必要な科目」として代表的なのが「数学」と「英語」です。ほかにも積み重ね的な要素を持つ科目はありますが、この2つがいちばん分かりやすいので、ここではこの2科目を取り上げて説明します。
「数学」で考えてみましょう。
小学校から学校に通えておらず、算数をちゃんとやってこなかったため、九九が怪しい、分数が出てくると手が止まる──そういう状態だと、「数学」はかなりしんどいことになります。
そこまででなくても、中学の3年間がまるまる不登校で、x や y という文字をほとんど書いたことがない、y=x が何を意味するのか分からない、つまり「関数」という考え方を知らない。この状態ですと、2次関数から学び始めるのはかなり厳しくなります。中学の最後だけ不登校だったとしても、中学3年の後半で習う三平方の定理が抜けたままでは正弦定理・余弦定理はおろか、sin, cos という記号の意味を理解するのは難しいでしょう。
「英語」もまったく同じです。
アルファベットを書き慣れていない、時制の変え方が分からない、不定詞や関係代名詞、受動態がピンとこない。小学校か、中学校3年間か、中学校の一部か。学習内容の抜け漏れは人によっていろいろな段階にあり得ますが、それを抱えたまま高校の「英語」に挑むのはかなり厳しいものがあります。
では、ほかの科目はどうでしょうか。
たとえば「国語」も、積み重ねといえば積み重ねの科目です。ただし、数学や英語とは少し性格が異なります。「国語」の力は、普段から文章を読んでいれば自然と身についていくものだからです。
日本で暮らし、本などを読んで語彙力がある程度高まっていれば、特別な対策をしなくても、いきなり解いて合格点を取れる人は少なくありません。本を読む習慣がまったくなかったとしても、日々なんらかの文章は目にしているはずで、その意味での下積みは、ほとんどの人にある程度あります。ですから「国語」は、積み重ねの科目ではあるものの、多くの場合、心配しすぎる必要はありません。
「地理」「歴史」「公共」「情報」、それに「理科」の各科目も見ておきましょう。
これらは、出題としては単なる暗記問題にならないよう工夫されているため、パッと見では暗記科目に見えないものもあります。ただ基本的には、必要な知識をある程度頭に入れ、出題の形式に慣れさえすれば合格できる科目です。
その知識は確かに小学校・中学校の学びとつながってはいますが、そこが抜けていたとしても、一から学び直すのにそれほど大きな時間はかかりません。また、出題範囲も高校の教科書まるごとという感じではなく、過去問をみればある程度ヤマをはることができます。つまり、暗記には見えなくてもある程度は知識で解けてしまいますし、その知識を積み直すのにもさほど時間はかからないのです。
こうして見ると、本当に「これまでの積み重ね」がそのまま難易度を左右するのは「数学」と「英語」です。逆に言えば、この2科目以外は、多くの場合、最終的にはなんとかなってしまうことが多いのが現実だと想定されます。
いずれにしても、高認の試験科目には「積み重ねタイプ」と「そうでないタイプ」の2種類の混在しています。不登校などで学習が抜けた期間のある場合、このうちの「積み重ねタイプ」で苦労することになり、難易度や対策期間に大きな影響を与えるのはこちらのタイプです。

■ 中学までしっかり勉強してきた人の場合
ここからが、この記事のいちばんの核心です。
積み重ねの科目は、結局、「あなたがこれまでどれだけやってきたか」で必要な時間が決まります。まずは、中学まで一通り勉強してきた人のケースから見ていきましょう。
たとえば高校受験をがんばって全日制高校に合格したものの、その後に通えなくなって辞めてしまったというような人。この場合、高卒認定はほとんど勉強しなくても受かる科目が多いです。高卒認定の中身は、おおむね高校入試と大きくは変わらないレベル感だからです。
さきほどあれだけ注意を促した「英語」などが顕著ですが、ほとんど高校入試の問題だと思って解いても合格点はとれるでしょう。つまり、高校入試の勉強をした人にとってはまったく対策の必要がない科目ということです。
科目ごとの対策時間の目安はこうです。
高校でその科目に少しでも触れたことがあれば1〜2週間ほど、まったく初めて見る科目でも1ヶ月はかかりません。なぜなら、高校の教育課程の単元がすべて出るわけではなく、毎年出題される一部の単元に絞られているからです。過去問を見て、そこだけを押さえれば1ヶ月あれば十分です。(具体的な対策の進め方は別の記事に譲ります。ここでは「どのくらい時間がかかるか」だけをお伝えしておきます。)
科目数にもよりますが、準備期間はトータルでせいぜい3〜6ヶ月見ておけば十分でしょう。
さらに、中学までしっかりやってきた人の中には、高校に進んでからも、ある程度の期間、勉強をがんばってきた人もいます。その場合、高校1年である程度単位を修得していれば、科目の免除を受けられることがあります。免除された分だけ受験する科目が減るので、ほとんど対策しなくてもすべて受かってしまう人も少なくありません。
仮に高校1年の後半で辞めてしまい、一切単位を修得できていなかったとしても、そこまで心配はいりません。高1の秋や冬まで勉強してきた内容は、そのまま高卒認定試験で問われる知識になるからです。高校に入ってある程度がんばってきたこと自体が、高卒認定試験の準備期間をぐっと縮めてくれます。
したがって、こうしたタイプの人によっては、高認は1週間から1ヶ月ほどの対策で十分に合格できると言っても言い過ぎではありません。

■ 中学の内容が抜けている人の場合
一方、高校受験のときにあまり勉強していなかった、中学が不登校で授業をほとんど受けていない、あるいはもっと前の小学校から離れている──こうなると、話はずいぶん変わります。正直に言えば、合格までに相応の年月がかかります。
たとえば、小学校卒業まではきちんと分かっているけれど、中学3年間が抜けている人。この場合、中学3年分に高校1年分を足した4年分の内容を学習する必要があります。
ざっくり言うと、「英語」や「数学」だけで2年くらいはかかると見ていいでしょう(丸々4年はかかりませんが、その半分ほど)。一方、暗記系の科目(たとえば「歴史」)も、たとえば歴史上の大きな出来事がいつ頃のことかといった土台のイメージから入り直す必要があり、各科目に数ヶ月ずつはかかります。
どう計算しても、中学3年間まったく授業を受けていないなら、1〜2年は集中的に勉強しないと合格は難しいでしょう。
さらにいえば、小学校から離れている場合は、正直、一般的な見通しを立てるのが難しい状態です。もちろん、その場合でも、時間さえかければ必ず受かるように作られているのが高卒認定です。一段ずつ積み直していけば、必ず届きますので諦めないでください。
なお、ここで挙げたのは「中学卒業までしっかり勉強していたか」「中学の3年間がまるまる抜けているか」といった、極端な例です。
実際には「中学2年の途中から不登校だった」というような、ちょうど中間にあたる人がかなり多くいらっしゃると思います。その場合は、かかる時間もちょうどその中間くらいをイメージしていただければ大丈夫です。

■ 自分に合わせた難易度を診断しよう
このように、高卒認定の難易度も、必要な時間も、あなたがこれまで積み上げてきたもので大きく変わります。
だから、冒頭でお伝えしたとおり、「簡単か難しいか」をバッサリと言い切ることはできません。まず、自分がどちらに近いのかを見極めること──いわば自己診断が、とても大事になります。
加えてお伝えしたいことがあります。
高認合格後、大学受験を見据えている方が多いと思います。高卒認定そのものは、そこまで難しくありませんが、あくまで通過点です。
誤解してほしくないのは、高卒認定の難易度と大学受験(一般選抜)の難易度は、まったくの別物だということです。高卒認定である科目を50点取れたとしても、それは大学受験で戦える学力とは別物です。高卒認定で満点近くを安定して取れるようになり、さらにその上に1年積み上げて、ようやく一般選抜で使えるレベルに届く──それくらいの差があります。
一般選抜で挑むつもりなら高卒認定はスタート地点。ここからが本当の勝負という気持ちで勉強を続ける必要があります。
もちろん、大学に進む道は一般選抜だけではありません。総合型選抜(旧AO入試)という道筋もあります。
こちらは学力試験で点数を競う入試ではないため、高卒認定に受かる以上の学力が必ずしも必要なわけではありません。学力以外の強みを活かして進学したい人にとっては、現実的な選択肢になり得ます。高卒認定合格後の大学進学については、別記事にまとめていますのでそちらもご参照ください。
また、総合型選抜についての分析記事もございます。通信制高校に通う生徒向けに書かれていますが、基本的に高卒認定からの大学受験でも事情はほとんど変わりませんので、参考になるかと思います。
一方、そもそも学び直しが必要で、高認合格への目途がなかなか立たないという方へ。
正直に言えば、合格までに時間がかかるのは避けられません。でも、その学習時間は決して無駄ではありません。高卒認定は、時間をかけさえすればおおむね受かるように設計された試験です。いや、最悪受からなかったとしても、何年かけてでも一生懸命学び直して得た知識や能力は、その先で必ず役に立ちます。
どうか焦らず、頑張っていきましょう。

■ 高卒認定の先にある「大学受験」を本気で目指すなら
高卒認定試験に合格したら、それで終わりではありません。むしろ、合格してからが本番です。
せっかく大学受験のスタートラインに立てるのですから、その先の大学合格まで本気で目指したい方もいると思います。
私が運営しているオンラインフリースクール、シン・ガッコウ Schorbitは、高卒認定試験の対策もしつつ、基本は大学受験に向けていわゆる進学校のシミュレーションをしています。日中の時間をオンラインでマネジメントして、生徒一人ひとりの学習に伴走します。
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不登校でも大学からはがんばりたい。
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