不登校からの高校入試ガイド
【福島 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

【公立】入学者のほとんどは3月の前期選抜1回で決まる。不登校の生徒のための特例措置はなく、学力検査と内申点を同等に見るので、内申点の不利はそのまま残る
【公立】調査書に欠席日数の欄はない(2027年度入試から)。ただし評定で不利があれば、内申点を通じて合否に影響する
【公立】2026年度の前期選抜は全日制全体で0.92倍。定員割れしている学校が多く、学力検査のない後期選抜もある
【私立】推薦入試は評定に1がないことを出願資格にする学校が多い。一般入試は出願できるが判定の中身は外から見えないので、受け入れの見込みは学校に直接確かめるしかない

(※以下は2026年11月時点で調査した情報を基にしています)

「中学校にほとんど通えていない。福島県で不登校でも行ける全日制高校はあるのだろうか」
「通知表に1が多くついている。内申点が関係ない入試はないのだろうか」

そんな不安を抱えて調べ始めた方に、まず見立てをお伝えします。

福島県でも、不登校の中学生が全日制の高校に進む道はあります。2026年度の県立高校の前期選抜は全日制全体で志願倍率0.92倍で、志願者が募集定員に届いていません。定員割れしている高校は少なくありませんし、前期選抜のあとには学力検査のない後期選抜もあります。

ただし福島県には、不登校の生徒の内申点を合否の点数に入れない、といった特例措置はありません。主な選抜である一般選抜は、当日の学力検査と内申点を同等に扱います。内申点は中1から中3までの3年分が使われ、音楽・美術・保健体育・技術家庭の実技4教科は2倍で計算されます。

つまり福島県は、不登校の受験生にとって内申点の不利がそのまま残る厳しい県といえます。それでも、倍率を見ながら適切な志望校を選んだり、当日のテストに向けて準備をしたりすれば、合格をめざせる高校は確実にあります。

この記事は、福島県教育委員会が公表している一次資料をもとに書いています。一次資料とは、教育委員会が作成・公表している「令和9年度福島県立高等学校入学者選抜実施要綱」や入学者選抜の基本方針、各高等学校の選抜方法一覧、調査書などの様式、2026年度(令和8年度)入試の志願状況や合格者の資料といった公式文書のことです。私立高校については各校の募集要項を、出典を明記して紹介します。

以下、公立高校入試の仕組み、当日のテストで逆転できるか、欠席日数の扱い、定時制・通信制、私立高校の順に見ていきます。

不登校でも福島県の高校入試に合格できる?

結論から言うと、合格できます。全日制も含めてです。まずは全体像を紹介します。

不登校の中学生にとってプラスに働く材料は3つあります。

1つ目は、定員割れしている高校が多いことです。2026年度の前期選抜は、県立全日制全体で志願倍率0.92倍でした。全日制の募集定員11,360人に対して、前期選抜で合格が決まったのは9,387人です。普通科でも志願者が募集定員の半分ほどしかいない学校があります。

2つ目は、前期選抜で合格できなくても、後期選抜があることです。後期選抜は定員に満たなかった学校で行われ、学力検査がありません。2026年度は全日制で1,686人が募集され、受験したのは102人でした。

3つ目は、調査書に欠席日数を書く欄がないことです。2027年度入試から欄そのものがなくなり、何日休んだかという数字は志願先の高校に届きません。

2027年度の入試は前年度と同じ仕組みで行われ、選抜方法に大きな変更はありません。

一方で、押さえておくべき現実もあります。

福島県の公立高校入試には、一定以上の欠席がある生徒の内申点を合否の点数に入れない、といった特例措置はありません。一般選抜は学力検査と内申点を同等に扱い、内申点では実技4教科が2倍になります。多くの学科では、学級活動や学校行事などの記録も点数になります。内申点で不利がある受験生は、合格者の大半が決まったあとの、中身が公表されていない判定に回ることになります。

また、全日制の普通科には学区制度があり、住んでいる場所によって出願できる高校が決まることも押さえておいてください。

一方、私立高校は公立高校とは別で、推薦入試では評定に1がないことを出願資格にしている学校が多くあります。一般入試は出願できますが、合否の判定方法は公表されていません。

まとめると、倍率を見ながら適切な志望校を選び、当日のテストに向けて準備をすれば道はある。ただし内申点の不利は簡単には消えない。これが福島県の高校入試のおおまかな見取り図です。順に説明していきます。

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福島県の公立高校入試の仕組みはどうなっている?

ここからは福島県の県立高校の入試制度を見ていきます。この章で説明する内容は次の2つです。

  • 本命は3月の前期選抜で、後期選抜は定員に満たなかった学校だけで行われる
  • 一般選抜は学力検査250点と内申点195点を同等に見る

本命は3月の前期選抜で、後期選抜は定員に満たなかった学校だけで行われる

福島県の県立高校(全日制)の入試は、前期選抜と後期選抜の2つです。どちらも3月に行われるので、他県よりもやや遅い実施となります。そして、不登校の中学生を含めて、ほとんどの受験生にとって本命になるのは前期選抜です。

1つ注意があります。「前期」「後期」という名前は、他の都道府県の入試とは意味が違います。公立高校入試において前期・後期と2つに分けている場合、ほとんどの都道府県では、「前期」が推薦タイプ(内申書・面接中心)で数割の定員を確保するもの、「後期」が筆記タイプ(学力試験が中心で内申書と合わせて合否判定)を指します。

ところが、福島県はそれとは異なり、前期選抜は、全員が5教科の学力検査を受ける本番の入試で、入学者のほとんどがここで決まります。つまり前期選抜に推薦タイプと筆記タイプが含まれています。後期選抜は、前期選抜で定員に満たなかった学校・学科だけで行われる入試で、他の都道府県でいう二次募集や再募集に近いものです。インターネットで調べるときは、他の都道府県の「前期・後期」の説明と混同しないようにしてください。

2027年度(令和9年度)入試の主な日程は次のとおりです。

選抜検査日結果
前期選抜2027年3月3日(学力検査)、3月3日〜5日(面接など)3月15日に発表
後期選抜3月23日(面接・作文など)3月24日に発表

前期選抜の出願は2月上旬で、出願したあとに1回だけ志願先を変えることができます。

前期選抜には、特色選抜と一般選抜の2つがあります。特色選抜は、各高校が「志願してほしい生徒像」を示し、志願理由書や面接、部活動などの実績も見て選ぶ枠で、定員の5〜50%を学校ごとに決めています。先ほど述べた推薦タイプにあてはまります。一方、一般選抜は、定員から特色選抜の合格者を引いた残りを、学力検査と調査書で選ぶ枠で、先ほど述べた筆記タイプにあてはまります。

1つの高校に限って、特色選抜と一般選抜の両方に出願できます。両方に出願すると、先に特色選抜で判定され、そこで合格にならなければ、そのまま一般選抜で判定されます。学力検査は1回受ければ両方に使われます。

もう1つ、志望校を考える前に知っておいてほしいのが通学区域です。福島県では、全日制の普通科に県北・県中・県南・耶麻・会津・相馬・双葉・いわきの8つの学区があり、保護者が住んでいる市町村によって出願できる普通科が決まります。学区の外の普通科は、隣り合う学区の高校に限って出願でき、その場合に入学が認められるのは募集定員の20%の範囲までです。

一方、専門学科(商業科・工業科・理数科など)、総合学科、定時制、通信制は、県内のどこに住んでいても出願できます。

このあと倍率を見ながら志望校を探す話をしますが、近くにある定員割れの普通科が自分の学区の外だった、ということも起こりえます。まず自分の住んでいる学区を確かめてください。

福島県教育委員会「令和9年度入学者選抜に関すること」のページ
(参照:令和9年度入学者選抜に関すること/福島県教育委員会)
※年度ごとの実施要綱や選抜方法一覧のPDFが掲載されています。

一般選抜は学力検査250点と内申点195点を同等に見る

一般選抜で使われるのは、当日の学力検査と調査書です。調査書とは、中学校から高校に提出される書類(俗に内申書とも呼ばれる)のことで、そこに書かれる各教科の評定(いわゆる内申点)が合否の判定に使われます。

学力検査は、国語・社会・数学・理科・英語の5教科で、各50点の250点満点です。

内申点は、中1から中3までの9教科の評定を合計した135点に、音楽・美術・保健体育・技術家庭の実技4教科の評定をもう一度足して、195点満点にします。つまり、実技4教科は実質2倍の計算をされるということです。これは県内のすべての県立高校で共通のルールです。

この配点は、不登校の中学生にとって、通知表の数字の印象以上に不利が大きいと考えてください。実技教科は授業中の実技や作品で評価される部分が大きく、教室に行けないと評価の材料がそろいません。家で勉強して取り戻すこともほとんどできません。その取り戻しにくい教科の比重が高くなっているからです。

調査書の評定が不登校でどうなるかは、別の記事でも詳しく説明しています。

さらに、学校によっては調査書の「特別活動の記録」(学級活動・生徒会活動・学校行事)や「その他の活動及び長所・特技等の記録」も55点満点で点数化し、内申点を250点満点にしています。全日制の学科のおよそ6割がこの方式です。学校行事や委員会活動に参加できていないと、ここに書かれる中身が少なくなります。

そして、学力検査と内申点の比重は、県の方針で「原則として同等」とされています。2027年度の各高校の選抜方法を見ると、全日制のほぼすべての学科が「同等」です。比重を変えているのは、橘・磐城・磐城桜が丘・いわき光洋の4校だけで、いずれも学力検査を重く見る方向です。

一般には学力検査の比重を重めにみる都道府県の方が多いため、学力検査と内申点を同じ重さで見る入試は、全国的に見ると内申点を重く見る部類に入ります。実技4教科の2倍、学校行事などの点数化まで含めて考えると、福島県の一般選抜では内申点の不利が小さくないと考えておいてください。

内申点が低くても当日のテストで逆転できる?

可能性はあります。ただし、制度が不登校の中学生の不利を埋めてくれるわけではありません。この章で説明する内容は次の4つです。

  • 学力検査と内申点の両方で定員内に入った人から先に合格が決まる
  • 特色選抜は内申点の不利を埋めてくれる枠ではない
  • 不登校でも行ける全日制高校は倍率で探す
  • 前期選抜で不合格でも後期選抜がある

学力検査と内申点の両方で定員内に入った人から先に合格が決まる

一般選抜の合格者は、2つの段階で決まります。

1段目では、学力検査の順位と内申点の順位が、どちらも定員の内側に入った人を合格にします。調査書の内容などに特に問題がなければ、ここで合格です。当日のテストも内申点も良い受験生から先に合格が決まる、ということです。

2段目では、1段目で合格にならなかった人について、学力検査の成績と調査書の記載事項(面接がある学校は面接の結果も)を十分に精査して、総合的に判定します。

不登校の場合、内申点で大きな不利があることが多く、当日のテストがどれだけ良くても1段目には入れません。勝負は2段目になります。

郡山市の駿英家庭教師学院のサイトでも、両方が定員内に入った人を合格にし、残りを総合的に判定するという判定の手順が紹介されています。

駿英家庭教師学院「福島県 高校入試の仕組み解説~選抜方法から合否判定まで」の記事
(参照:福島県 高校入試の仕組み解説~選抜方法から合否判定まで/駿英家庭教師学院)

問題は、この2段目で何をどのくらい重く見るのかが公表されていないことです。要項には「総合的に判定」とあるだけで、学力検査を重視するとはどこにも書かれていません。ですから、当日のテストでどこまで巻き返せるか、言い切ることができません。

「総合的に判定」とは、明文化しにくい差を説明せずに済む実施側にとって便利な表現です。評定に1が多くついている受験生同士でどちらかを合格とするシチュエーションで、数値化できない根拠で合否を決めることができます。

欠席日数の章で触れる自己申告書に何を書いたか。不登校とはいえ、別室には登校できていたか、フリースクールや教育支援センターには通えていたか、といった状況。そうした事情から、高校に入ってからも通えそうな受験生が合格となるわけです。

もちろん、判定の中身は公表されていないため、これはあくまで推測です。

特色選抜は内申点の不利を埋めてくれる枠ではない

特色選抜は「特色」という名前から、不登校の受験生にも別の道があるように見えるかもしれません。しかし、不登校の受験生にとっては、むしろ不利に働く枠です。

特色選抜では、学力検査と内申点に加えて、志願理由書、面接、部活動や地域クラブ活動の実績などが選抜の資料になります。調査書の特別活動などの記録を点数化する学校も多く、各校が示す「志願してほしい生徒像」には、部活動で顕著な実績がある人、生徒会活動に取り組んできた人、といった条件が並びます。学校に通えていない期間があると、ここで書ける材料が少なくなります。

2026年度の特色選抜の定員枠は、全日制全体で定員の22%ほどでした。進学校の普通科では定員の5〜10%程度の学校が多く、いずれにしても、多くの受験生にとっては一般選抜が本命です。

ベスト個別のコラムでも、定員枠が小さい特色選抜だけを頼りにするのはリスクが高く、特色選抜に出願する場合も一般選抜に向けた準備を怠らないよう呼びかけています。

ベスト個別「福島県立高校の特色選抜、受ける?受けない?」の記事
(参照:福島県立高校の特色選抜、受ける?受けない?/ベスト個別)

とはいえ、特色選抜に出願して損になることはありません。特色選抜で合格にならなくても、そのまま一般選抜で判定されるからです。志望校の「志願してほしい生徒像」を読んで、当てはまりそうなら出願を考えてもよいでしょう。そのうえで、勉強の中心は一般選抜の学力検査に置いてください。

不登校でも行ける全日制高校は倍率で探す

ここまで、福島県の公立高校入試では内申点の不利をはっきり消せないことを見てきました。ところが、制度面の不利を覆すほど大きな好材料があります。実は、志望校選びで最も大きな材料は倍率です。

2026年度の前期選抜は、県立全日制全体で志願倍率0.92倍でした。普通科でも、西会津0.35倍、湖南0.40倍、伊達0.46倍、只見0.53倍のように、大きく定員割れしている学校があります。専門学科にも定員割れの学科が多くあります。

定員割れしている高校では、中学の欠席が多い、当日のテストの点数が低いといった理由で不合格になることはほとんどありません(受け入れが厳しくなるような別の事情がある場合は不合格になることもありえます)。志願者が定員に届かなければ、ほぼ全員が1段目の「両方が定員内」の条件を満たすからです。

一方で、進学校の普通科は倍率が1倍を超えています。2026年度の前期選抜の志願倍率は、安積黎明1.40倍、磐城桜が丘1.28倍、福島東1.25倍、会津1.23倍、須賀川桐陽1.21倍、郡山1.19倍、郡山東1.15倍、橘1.11倍、葵1.08倍、安積1.07倍、福島1.07倍、磐城1.01倍でした。こうした高校では、ここまで説明した内申点の不利がそのまま合否に影響します。

福島県教育委員会「令和8年度入学者選抜に関すること」のページ
(参照:令和8年度入学者選抜に関すること/福島県教育委員会)
※前期選抜・後期選抜の志願状況や合格者の状況のPDFが掲載されています。

なお、2027年度の全日制の募集定員は前年度より300人減りますが、中学校の卒業見込者も528人減っています。受験生が減る分だけ定員を減らしているので、受験生にとって不利な変更ではありません。また2027年4月には、福島西高校と福島北高校が統合して福島学芸高校が開校します。

志望校を選ぶときは、学校の評判や偏差値より先に、前年度の倍率を確かめてください。そのうえで、前期選抜の学力検査に向けた勉強を進めましょう。福島県の学力検査は各教科50点の県内共通の問題です。郡山市などに教室を持つNSG教育研究会のサイトでは、前年度の問題の出題傾向が教科ごとに詳しく分析されていて、何をどう勉強すればよいかの参考になります。

NSG教育研究会「福島県の高校入試情報」のページ
(参照:福島県の高校入試情報/NSG教育研究会)

前期選抜で不合格でも後期選抜がある

また、前期選抜で不合格になっても、公立高校への道が閉じるわけではありません。

前期選抜で定員に満たなかった学校・学科では、3月下旬に後期選抜が行われます。前期選抜を受けたかどうかに関係なく出願できますが、前期選抜で合格した人は出願できません。2027年度は3月16日・17日に出願し、3月23日に面接などが行われ、3月24日に結果が発表されます。

後期選抜には学力検査がありません。調査書と面接、小論文または作文で判定します。前期選抜で受けた学力検査の成績は使われません。学校によっては、面接の中で中学校の数学や英語などの内容を問うことがあります。

規模も小さくありません。2026年度の後期選抜は、全日制で1,686人が募集され、受験したのは102人でした。定時制では200人の募集に対して受験が8人です。

倍率が1倍を超える高校に挑んで結果が読めない年でも、うまくいかなければ後期選抜で別の高校を受けるという道が残されています。ただし後期選抜で募集のある学校が、通いやすい学校や学びたい内容の学校とは限りません。

こちらをあてにするのではなく、前期選抜に向けて準備するのが定石です。

不登校の欠席日数はどう扱われる?

不登校のお子さんを持つ多くのご家庭が、欠席日数を気にされています。ところが、結論からいうと、福島県の公立高校入試では欠席日数を気にする必要はありません。調査書に欠席日数を書く欄がないからです。何日休んだかという数字そのものは、志願先の高校に届きません。

福島県の調査書には欠席日数の欄がない

福島県の県立高校入試の調査書には、2027年度(令和9年度)入試から「出欠の記録」の欄がありません。

2026年度入試までの調査書には欠席日数を書く欄がありましたが、その時点ですでに「出欠の記録は選抜資料としない」とされていました。そして2027年度入試の様式から、出欠を記載する欄そのものがなくなりました。県教育委員会の資料でも、中学校で不登校だった生徒が出願できるかという問いに、出願できること、調査書には出欠に関する情報を書く欄がないことが示されています。

ただし、これを「欠席がどんな形でも合否に影響しない」と読むのは早すぎます。学校に行けていなければ定期テストも提出物もそろわず、評定は下がります。その分は内申点という形で、得点計算の中に不利として表れます。評定に1が多くついていれば、欠席日数の欄がなくても、長く休んでいたことは高校側におおよそ伝わります。つまり、欠席そのものは直接合否に影響しないものの、内申点という形をとって間接的に合否に影響するのです。

欠席日数と合否の関係は、別の記事でも詳しく説明しています。

なお、文部科学省は毎年、高校入試の実施について各都道府県に通知していて、その中で不登校の生徒については欠席日数など特定の記録だけで判断しないよう求めています。教育支援センターやフリースクールに通って中学校長の判断で出席扱いになった日は欠席日数に数えられませんが、福島県の公立高校入試ではそもそも欠席日数が調査書に載らないので、出席扱いが合否に直接関わる場面はほとんどありません。

また、自身の事情を伝えたい場合は、自己申告書を出すことができます。志願先の高校の校長に申し出ておいたほうがよいと考える事情がある人が、本人の希望で出せる書類で、保護者も補足を書けます。本人が厳封して校長あての親展とし、書留で郵送するか持参します。高校は、選抜のときに志願者を理解するための補助資料として扱うとされています。

自己申告書は国の方針を受けて多くの自治体で導入されている書類で、その運用実態は自治体ごとに異なるようですが、多くの場合、これを出せば内申点の不利が埋まるというものではありません。

当日の体調が不安な場合の備え

入試当日に不安がある場合は、事前に手を打つこともできます。

障がいなどで受験に配慮が必要な場合は、中学校長を通して志願先の高校に「受験上の配慮申請書」を出します。申請は原則として2026年12月末までで、中学校は学校での生活や学習の様子、配慮の内容を説明する書類を添えます。

配慮の対象として示されているのは障がいなどのある志願者で、不登校であることが明記されているわけではありません。別室での受験など、集団での受験に強い不安がある場合は、出願までに余裕を持って中学校の教員に相談してください。

前期選抜の当日に受験できなかった場合の追検査は、2027年度は3月9日・10日です。対象は、インフルエンザなど学校で予防すべき感染症にかかった人、やむを得ない病気やけがで欠席した人、事故や災害で会場に行けなかった人です。病気やけが、事故の場合に受験できるかどうかは、高校と県教育委員会が協議して決めます。緊張や不安で当日行けなかった場合は対象にならないと考えておいてください。

さて、ここまで福島県の公立高校入試の仕組みを見てきました。ただ、制度がわかっても、お子様の場合に実際どうなるのかは見えにくいかもしれません。

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全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?

毎日の通学に不安がある場合も、福島県には学費を抑えられる公立の選択肢があります。この章で説明する内容は次の2つです。

  • 定時制は6校で多くは定員割れしている
  • 公立通信制は郡山萌世高校の1校

定時制は6校で多くは定員割れしている

福島県の県立の定時制は、ふくしま新世(福島市)、郡山萌世(郡山市)、白河第二(白河市)、会津第二(会津若松市)、いわき翠の杜(いわき市)、福島工業(福島市・工業科)の6校です。

2026年度の前期選抜の定時制全体の志願倍率は0.58倍でした。ほとんどの学校・コースで定員割れしていて、内申点がどう扱われるかを細かく気にする段階の話ではありません。ただし、郡山萌世高校の昼間主コースは0.98倍、いわき翠の杜高校の昼間主コースは0.78倍で、日中に通えるコースには志願者が集まる傾向があります。

定時制も前期選抜で学力検査を受けます。多くの学校は全日制と同じ5教科で、白河第二高校は国語・数学・英語の3教科です。多くの学校で面接もあります。なお、18歳以上の人は学力検査を免除し、小論文や作文で選ぶことができると定められています。

郡山萌世高校の定時制は、郡山駅前のビルの中にある単位制の学校で、昼間主コースと夜間主コースがあります。学校のサイトによると、昼間主コースは午前10時過ぎから授業が始まり、昼と夜の共通の授業を取ることで3年で卒業できます。県内の広い地域から生徒が通っていると紹介されています。

福島県立郡山萌世高等学校「定時制課程概要」のページ
(参照:定時制課程概要/福島県立郡山萌世高等学校)

他の定時制で3年で卒業できるかどうかや時間割の組み方は、学校によって違います。各校のパンフレット等で確認してください。

公立通信制は郡山萌世高校の1校

福島県の公立の通信制課程は、郡山萌世高校の1校です。

選抜に学力検査はありません。調査書などの書類で総合的に判定します。出願期間は2027年度は2月1日から3月29日までと長く、全日制や定時制の結果が出たあとからでも間に合います。前期選抜や後期選抜を受けたうえで、最後の選択肢として出願することもできるということです。

学校は経営方針の中で、不登校や障がいのある生徒など、さまざまな事情を抱えた生徒を幅広い地域・年齢層から受け入れていると説明しています。

通信制でも、学校に通って授業を受けるスクーリングがあります。福島県は面積が広く、郡山市にある1校だけでは、住んでいる場所によって通いやすさが大きく変わります。学校はスクーリングの協力校を県内各地に設けているとしていますが、自分の住む地域から通えるかどうかは、出願前に確かめてください。

また公立通信制は学費を大きく抑えられる一方で、自分で計画を立ててレポートを進めていく自己管理の負担が、サポートの手厚い私立通信制より重くなりがちです。このあと紹介する私立通信制と並べて比較してみることをおすすめします。

不登校から福島県の私立高校に合格するには?

続いて私立高校について見ていきましょう。

最初にお伝えしておくと、私立高校は一般的に公立高校より入学が厳しいと考えてください。そして入試のルールは学校ごとに違うので、志望校ごとに確かめるしかありません。

公立高校は、県教育委員会が調査書の様式と選抜方法を定めて公表しています。一方、私立高校は各校が基準を決めるため、判定方法や配点が公表されていないのが一般的です。不登校だと分かった時点で不合格にしている可能性さえあります。ここまで説明した公立の決まり(調査書に欠席日数の欄がないことなど)は、私立には当てはまりません。この章で説明する内容は次の4つです。

  • 私立高校の推薦入試は評定に1がないことが出願の条件になっている
  • 一般入試は出願できるが当日の点数だけで決まるとは限らない
  • 受かる見込みは学校に直接確かめる
  • 福島県に本校がある私立通信制

私立高校の推薦入試は評定に1がないことが出願の条件になっている

福島県の私立高校の入試は、1月上旬から下旬にかけて、学校ごとの日程で行われます。多くの学校では推薦入試のすぐあとに一般入試が続き、どちらも公立の前期選抜より1か月以上早く結果が出ます。

入試の区分は学校によって呼び方が違いますが、おおむね推薦入試と一般入試があり、それぞれ専願(合格したら必ずその学校に入学する)と併願(公立高校と並行して受けられる)に分かれます。

併願という制度があるため、中学生の多くは私立で合格をもらっておき、そのうえで公立の前期選抜に臨む形になります。ただし不登校の生徒にとっては、この「合格をもらっておく」までのハードルが高くなります。

その大きな理由が、推薦入試では、評定に1がないことを出願資格にしている私立高校が多いことです。県内の規模の大きい私立高校の2027年度の募集要項を見ると、推薦入試の出願資格に次のような条件が書かれています。

  • 尚志高校:各学年の評定に1がないこと
  • 日本大学東北高校:各学年の評定のすべての教科に1がないこと。あわせて中学校3年間の欠席日数が30日以内、遅刻と早退の合計が30回以内であること
  • 福島成蹊高校:中3の全教科に評定1がないこと。あわせて中3の欠席が20日以内であること
  • 帝京安積高校:中3の5教科に評定1がないこと

欠席日数の条件は、ある学校とない学校があります。しかし、評定に1がないという条件はほぼ共通しています。評定に1がついていれば、欠席日数の欄がなくても不登校であることはおおよそ伝わりますし、それ以前に、出願条件を満たさなければ出願できません。したがって、私立高校の推薦入試は、不登校の受験生を事実上の門前払いにしているに等しい状況です。

一般入試は出願できるが当日の点数だけで決まるとは限らない

一方、一般入試の出願資格は、確認した学校ではどこも中学校の卒業見込みであることだけで、評定や欠席日数の条件は書かれていません。尚志高校の併願、日本大学東北高校や帝京安積高校の一般入試も同じです。出願はできるということです。

では、一般入試なら当日の点数だけで判定されるのかというと、そうとは言い切れません。一般入試の選考は、多くの学校で国語・数学・英語などの学力試験と面接で行われますが、どの学校も調査書の提出を求めています。

たとえば日本大学東北高校は、一般入試の選考方法に学力試験・面接と並べて「書類審査」を挙げています。書類審査がある以上、調査書の評定もおそらく見られています。そして評定に1が多くついていれば、欠席日数が書かれていなくても、不登校であることはおおよそ伝わります。

さらに、欠席日数そのものを書かせている学校もあります。帝京安積高校は、県の公立高校と同じ様式の調査書に中3の「出席すべき日数」と「欠席日数」を書き足すよう中学校に求めていて、出欠の記録は参考にすると書いています。聖光学院高校も、一般選抜で自校の様式の調査書を求めていて、そこには中3の出欠の記録を書く欄があります。公立高校の調査書から欠席日数の欄がなくなっても、私立では欠席日数まで伝わる学校があるということです。

帝京安積高等学校「入試情報・募集要項」のページ
(参照:入試情報・募集要項/帝京安積高等学校)

一方、福島成蹊高校は、一般入試(1期)を国語・数学・英語の学科試験だけで行い、調査書に出欠を書いてもらうものの、一般入試の合否判定には使用しないと募集要項に明記しています。公立高校の合格発表のあとの3月18日には、2期の一般入試もあります。このように、学校によって扱いはまったく違います。

福島成蹊高等学校「入試情報」のページ
(参照:入試情報/福島成蹊高等学校)

調査書の評定を合否にどう使うのかをはっきり書いている学校はほとんどなく、確実なことは言えません。評定をまったく見ていない学校もあるかもしれません。そして、その場合は、不登校の中学生にとって公立よりも私立の方が入りやすいこともありえます。それでも、多くの場合、一般入試でも評定は合否の判断に使われていると考えておいたほうがよいでしょう。

なお、私立高校の授業料については、近年、国の就学支援金が拡充され、負担は軽くなっています。公立高校の授業料はすでに無償化されているので、公立と私立の学費の差が縮まったということです。その分だけ私立を志望する受験生が増え、私立の倍率が上がることも考えられます。

受かる見込みは学校に直接確かめる

ここまで見てきたとおり、私立は推薦入試の入り口がほぼ閉ざされている一方で、一般入試は募集要項を読んでも判断がつかない部分が大きいです。公立の一般選抜のように内申点の重みが数字で示されていないので、公立と比べてどちらが厳しいかは一概に言えません。だからといって、私立のほうが不登校の受験生に入りやすいとも言えません。

だからこそ、志望校を検討する段階で必ずやってほしいことがあります。

学校説明会やオープンスクールなどで個別に質問できる機会があれば、そこで学校の教員に直接話を聞いてください。

相談の場で不登校であることが知られて不利になるのでは、と考える方もいるかもしれません。しかし、どのみち調査書の評定で伝わるのですから、不登校であることは隠さずに伝えてください。そのうえで、家で勉強を続けていること、高校の授業についていける学力をつけようとしていることを示しましょう。

そして、出願できるか、どの入試区分で受けるのが現実的か、調査書の評定や欠席がどう見られるかを聞いてください。教員の反応から、受け入れの見込みはある程度察することができます。

私立の入試は1月で、公立より先に結果が出ます。どの学校をどの方式で受けるかは、秋のうちに中学校の教員とも相談しながら決めておくのが定石です。1校だけに絞らず、複数の学校に話を聞いておくのがよいでしょう。

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福島県に本校がある私立通信制

全日制の通学ペースに不安が残る場合や、私立の全日制で受け入れの見込みが立たない場合は、私立通信制も有力な選択肢です。

入学のハードルは高くありません。私立通信制は、通学する日数やスクーリングの形、学習サポートの手厚さを学校ごとに選べるのが特徴です。費用は公立通信制より高くなりますが、通信制高校も国の就学支援金の対象になります。

県の私立学校名簿(2025年5月1日現在)によると、福島県内に本校を置く私立の通信制高校は次の3校です。

  • 大智学園高校(双葉郡川内村)
  • 尚志高校 通信制課程(郡山市)
  • 東日本国際大学附属昌平高校 通信制課程(いわき市)

このうち尚志高校と東日本国際大学附属昌平高校は、全日制がメインの高校が通信制の課程を併設している形です。

福島県「私立学校名簿」のページ
(参照:私立学校名簿/福島県)

通信制は学校によって方針もサポート体制も大きく違います。入学できるかどうかではなく、そこで3年間続けられるかどうかで選んでください。合同説明会だけで決めず、実際に足を運んで選び抜くことをおすすめします。

まとめ:不登校から福島県の高校受験を成功させるには?

ここまで福島県の公立の全日制、定時制・通信制、私立を順に見てきました。

福島県は不登校から高校に入りやすい県なのか。ここまでの分析を踏まえると、内申点の不利がそのまま残る厳しい県です。

公立高校には、不登校の生徒の内申点を合否の点数に入れない特例措置はありません。前期選抜の一般選抜は学力検査と内申点を同等に扱い、内申点は中1から中3までの3年分で、実技4教科は2倍です。学校行事などの記録を点数化する学科も多くあります。内申点で不利がある受験生は、合格者の大半が決まったあとの「総合的な判定」に回り、その中身は公表されていません。

それでも、2026年度の前期選抜は全日制全体で0.92倍で、定員割れしている高校も多くあります。調査書には欠席日数の欄がなく、前期選抜で不合格になっても学力検査のない後期選抜があります。

私立は事情が違います。推薦入試の多くで評定に1がないことが出願資格になっていて、一般入試も調査書が無関係になるとは思えません。志望するなら、学校に直接確かめるところから始めるしかありません。

とはいえ、ここまで読んでいただければ、不登校だからといって高校進学をあきらめる必要はないことが分かったはずです。全日制も含めてです。

今は福島県に限らず、全国どこでも定員割れしている高校はあります。福島県でも2026年度は、全日制の募集定員11,360人に対して前期選抜の合格者は9,387人で、後期選抜では1,686人が募集されました。多くの高校には、入ろうと思えば入れる時代です。

ただし、倍率が1倍を超える高校に入るには、不登校による不利は避けられません。福島県の前期選抜では内申点の不利が残るので、それを覆すだけの確かな学力が必要です。

それに、高校に入学することはゴールではありません。単位を取って卒業するところがゴールです。中学の内容が抜けたまま入学すると、授業についていけずに苦しむことになります。入ることと卒業できることは別の話です。残りの中学の期間で一生懸命勉強して、中学の内容を理解した状態で高校に進んでください。

過去の欠席日数も内申点も、いまから変えることはできません。けれども、5教科の学力は今日から伸ばしていけます。

みなさんの吉報を待っています。

不登校からの高校入試(福島編)よくある質問

~高校入試をがんばる不登校生、募集中~

ということで、今回は、不登校の中学生が福島県の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。

ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。

ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。

実は、私たちシン・ガッコウ Schorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学生の支援プロジェクトを開始しました。

その名も、Schorbit REBOOT。

Schorbit REBOOT ロゴ

不登校でも高校からはがんばりたい。
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そんな中学生を応援します。

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