不登校からの高校入試ガイド
【岡山 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

【公立】本命は3月の一般入学者選抜。5教科350点の学力検査と中1〜中3の内申点で判定されるので、内申点の不利はそのまま残る
【公立】調査書には欠席日数の欄がある。自己申告書を出すと学力検査を重視した選抜になることがあると様式に明記されているが、その効果は公表されていない
【公立】2026年度の一般入学者選抜は県立全日制全体で0.99倍。定員割れの高校が多く、学力検査のない第2次募集もある
【私立】推薦などで欠席日数を出願条件にする学校があり、学力入試も調査書を含めて判定される。受け入れの見込みは学校に直接確かめる
~ 目次 ~
  1. 不登校でも岡山県の高校入試に合格できる?
  2. 岡山県の公立高校入試の仕組みはどうなっている?
  3. 内申点が低くても当日のテストで逆転できる?
  4. 不登校の欠席日数はどう扱われる?
  5. 全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?
  6. 不登校から岡山県の私立高校に合格するには?
  7. まとめ:不登校から岡山県の高校受験を成功させるには?
  8. 不登校からの高校入試(岡山編)よくある質問
  9. ~高校入試をがんばる不登校生、募集中~

(※以下は2026年10月時点で調査した情報を基にしています)

「中学校にほとんど通えていない。岡山県の公立高校には行けるのだろうか」
「通知表に1が多くついている。内申点が関係ない入試はないのだろうか」

そんな不安を抱えて調べ始めた方に、まず見立てをお伝えします。

岡山県でも、不登校の中学生が全日制の高校に進む道はあります。2026年度の県立全日制の一般入学者選抜は、県全体で志願者が募集人員にわずかに届かない0.99倍でした。定員割れしている高校も少なくありませんし、一般入学者選抜のあとには学力検査のない第2次募集もあります。

ただし岡山県には、不登校の生徒の内申点を合否の点数に入れない、といった特例措置はありません。内申点は中1から中3までの3年分が使われ、音楽・美術・保健体育・技術家庭の実技4教科は中3の評定が実質3倍の重みになります。調査書には欠席日数を書く欄もあります。

つまり、岡山県は、不登校からの受験生にとって内申点の不利がそれなりに残るやや厳しい県といえます。それでも当日のテストに向けて準備をすれば、合格をめざせる高校はあります。

この記事は、岡山県教育委員会が公表している一次資料をもとに書いています。一次資料とは、教育委員会が作成・公表している「令和9年度岡山県立高等学校入学者選抜実施要項」や入学者選抜実施大要、学校別実施内容一覧、調査書などの様式、2026年度(令和8年度)入試の志願者数や第2次募集の資料といった公式文書のことです。私立高校については各校の募集要項を、出典を明記して紹介します。

以下、公立高校の仕組み、当日のテストで逆転できるか、欠席日数の扱い、定時制・通信制とフレックス制、私立高校の順に見ていきます。

不登校でも岡山県の高校入試に合格できる?

結論から言うと、合格できます。全日制も含めてです。まずは全体像を紹介します。

不登校の中学生にとってプラスに働く材料は4つあります。

1つ目は、定員割れしている高校が多いことです。2026年度の一般入学者選抜は、県立全日制全体で志願倍率0.99倍でした。志願者が募集人員を下回った学科は32校53科1コースあります。

2つ目は、一般入学者選抜で合格できなくても、第2次募集があることです。第2次募集には学力検査がありません。2026年度は29校50科1コースで、合わせて872人が募集されました。

3つ目は、自己申告書の様式に「学力検査や面接等の結果を重視した選抜が行われる」ことがあると書かれていることです。どのくらい影響するかは分かりませんが、欠席の多い受験生のための書類が選抜方法にまで触れているのは、岡山県の特徴です。

4つ目は、不登校の中学生のための選抜を行う全日制の高校があることです。岡山御津高校のフレックス制で、学力検査はなく、調査書も合否を決める資料にしません。ただし、定員はそれほど多くありません。

一方で、押さえておくべき現実もあります。

岡山県の公立高校入試には、一定以上の欠席がある生徒の内申点を合否の点数に入れない、といった特例措置はありません。内申点は中1から中3までの3年分が使われ、実技4教科の比重も大きくなっています。そして調査書には欠席日数の欄があり、何日休んだかは志願先の高校に伝わります。

また、私立高校は公立とは別で、推薦などの出願条件に欠席日数を挙げている学校があります。

当日のテストに向けて準備をし、倍率を見ながら志望校を選べば道はある。ただし内申点の不利は簡単には消えない。これが岡山県の高校入試のおおまかな見取り図です。順に説明していきます。

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岡山県の公立高校入試の仕組みはどうなっている?

ここからは岡山県の県立高校の入試制度を見ていきます。この章で説明する内容は次の2つです。

  • 本命は3月の一般入学者選抜で進学校の普通科は2月の選抜を行っていない
  • 内申点は3年分を200点に換算し実技4教科は実質3倍になる

本命は3月の一般入学者選抜で進学校の普通科は2月の選抜を行っていない

岡山県の県立高校(全日制)の入試は、2月の特別入学者選抜と3月の一般入学者選抜の2つを基本にしています。不登校の中学生にとって本命になるのは、3月の一般入学者選抜です。

2027年度(令和9年度)入試の主な日程は次のとおりです。

選抜検査日結果
特別入学者選抜2027年2月9日・10日2月18日に選抜結果を通知
一般入学者選抜3月9日(学力検査)・10日(面接)3月17日に合格発表
第2次募集3月23日(全日制)3月23日以降に通知

特別入学者選抜は、主に専門学科や総合学科で行われる選抜です。国語・数学・英語の学力検査と面接に加えて、学校ごとに口頭試問や小論文、作文、実技などを行い、中1から中3までの評定と合わせて判定します。

ここで合格が決まったら、必ずその学校に入学することが出願の条件になっています。2月の結果は要項で「合格内定」と呼ばれる扱いで、正式な合格発表は一般入学者選抜と同じ3月17日です。

工業・商業・農業などの専門学科では、定員の80%を特別入学者選抜で募集する学科が多くあります。2026年度は県立全日制の定員10,625人のうち、4,582人がこの段階で合格が決まりました。

一方、岡山朝日、岡山操山、岡山芳泉、岡山一宮、岡山城東、倉敷青陵、倉敷南などの普通科は、特別入学者選抜を行っていません。進学校の普通科をめざすなら、勝負の場は最初から3月の一般入学者選抜1回だけです。

一般入学者選抜は、受検者全員が国語・社会・数学・理科・英語の5教科の学力検査を受けます。各教科45分・70点で、350点満点です。2027年度はすべての学校・学科で面接もあります。出願は原則1校で、同じ高校の中なら第2志望・第3志望を書ける学科もあります。ただし出願したあとに志願先を変えることはできません。

なお、県立高校の普通科には学区があり、学区外から受け入れる人数は学校ごとに定員の5〜20%と決まっています。志望校を考えるときは、まず自分の住んでいる学区を確かめてください。

岡山県教育委員会「県立高等学校の入学者選抜」のページ
(参照:県立高等学校の入学者選抜/岡山県教育委員会)
※年度ごとの実施要項のPDFが掲載されています。

内申点は3年分を200点に換算し実技4教科は実質3倍になる

一般入学者選抜で学力検査と並んで使われるのが調査書です。調査書とは、中学校から高校に提出される書類(俗に内申書とも呼ばれる)のことです。そこに書かれている各教科の評定、いわゆる内申点が、合否の判定に使われます。

岡山県では、内申点を次のように計算して200点満点の「換算点」にします。

対象計算満点
中1と中2の9教科評定をそのまま合計90点
中3の9教科評定の合計を2倍90点
中3の実技4教科評定の合計をもう一度加える20点
合計200点

中3の評定は2倍になり、中3の音楽・美術・保健体育・技術家庭の4教科は、さらにもう一度加えるので実質3倍です。

この配点は、不登校の中学生にとって、通知表の数字の印象以上に不利が大きいと考えてください。というのも、実技教科は授業中の実技や作品で評価される部分が大きく、教室に行けないと評価の材料がそろいません。家で勉強して取り戻すこともほとんどできません。その取り戻しにくい教科の比重が、いちばん大きくなっているからです。

調査書の評定が不登校でどうなるかは、別の記事でも詳しく説明しています。

合否は、この換算点と学力検査の合計点をもとに判定されます。要項では、高校がそれぞれを10段階か5段階に分け、縦軸と横軸で組み合わせた「相関表」で判定すると書かれています。別々に評価するように見えますが、内申点と当日点の両方が良い受験生から合格していく仕組みであることに変わりはなく、二つを足し合わせて上から順に合格にするのとそれほど大きな違いはありません。満点で比べると、換算点200点に対して学力検査350点で、内申点は全体の3分の1強にあたります。

もう一つ、一般入学者選抜には、学校ごとに定員の5〜15%を「調査書及び面接等の結果を重視した選抜」で選ぶ枠があります。学力検査の結果が一定以上の受験生の中から、生徒会活動や部活動、校外での活動の実績などを重視して選ぶ枠です。進学校の普通科の多くも設けています。

学校行事や部活動に参加できていないと書ける実績が少なくなるので、不登校の受験生にとってはむしろ不利に働く枠だと考えてください。

内申点が低くても当日のテストで逆転できる?

可能性はあります。ただし、制度が不登校の中学生の不利を埋めてくれるわけではありません。この章で説明する内容は次の4つです。

  • 内申点の不利は当日のテストで取り返すしかない
  • 自己申告書を出すと学力検査を重視した選抜になることがある
  • 不登校でも行ける全日制高校は倍率で探す
  • 不合格でも第2次募集がある

内申点の不利は当日のテストで取り返すしかない

岡山県の一般入学者選抜は、内申点と当日点の両方で合否が決まります。内申点で足りない分は、当日の学力検査で取り返すしかありません。

どのくらいの差になるのか、換算点で見てみます。3年間の評定がすべて1なら、換算点は200点満点中40点です。すべて3なら120点で、その差は80点あります。換算点200点と学力検査350点が同じような重みで見られると考えると、この80点の差を当日のテストで追いかけることになります。

倍率が1.0倍を超える高校では、合格ライン付近に同じくらいの学力の受験生が集まります。そこで内申点の差を当日点だけで埋めるのは簡単ではありません。

中1・中2で行けなかった期間がある場合、その学年の評定は換算点に残ったまま動きません。逆に、中3になってから行けなくなった場合は、中3の評定が2倍、実技4教科が実質3倍で計算されるので、その分の不利が大きく出ます。

ただし、ここで言っているのはあくまで倍率が1倍を超える高校の話です。定員割れしている高校では事情がまったく違います(このあと説明します)。

また、このような内申点の不利を和らげる仕組みとして、岡山県には自己申告書があります。次で見ていきましょう。

自己申告書を出すと学力検査を重視した選抜になることがある

自己申告書は、欠席日数が多い場合や、すでに中学校を卒業している場合などに、希望すれば出願のときに提出できる書類です。中学校からこの用紙を配布された人のうち、希望する人が出す形になっていて、欠席日数の基準は書かれていません。

書く内容は、提出する理由(欠席日数が多い、過年度卒業である、など)と、志願の動機・理由、長所や優れた活動、高校生活への抱負です。保護者が「高等学校に理解してほしいことがら」を書く欄もあります。ほかの出願書類と一緒に中学校に出し、中学校から志願先の高校に届けられます。封をして出すこともできます。

自己申告書は国の方針を受けて多くの自治体で導入されている書類で、岡山県だけの仕組みではありません。ただ、岡山県の様式の備考には、次のように書かれています。

自己申告書を提出すると、面接が行われ、状況によっては、学力検査や面接等の結果を重視した選抜が行われる。

ほかの都道府県の要項では、自己申告書は「選抜の資料に加える」「総合的に審査する」と書かれるのが一般的です。岡山県は、学力検査を重視した選抜に変わることがあると、選抜の方法にまで触れています。内申点で不利がある受験生が当日のテストで取り返す道を、文書の上ではっきり示しているということです。

ただし、どういう「状況」なら学力検査を重視した選抜になるのか、その場合に内申点をどのくらい軽く見るのかは公表されていません。選抜に使った資料も公表しないと要項に書かれています。自己申告書を出せば内申点の不利が消える、と考えるのは早すぎます。

それでも、欠席が多い受験生にとって出して損になる書類ではありません。休んでいた期間に何をしていたか、高校で何をしたいかを自分の言葉で伝えられます。

なお、2027年度の一般入学者選抜は、自己申告書を出さなくても全員が面接を受けます。面接は過去の欠席を弁明する場ではなく、これまでの学習への取り組みや、これからの意欲を伝える場だと考えて準備してください。また、自己申告書を出したいときは、早めに中学校の教員に相談して用紙をもらってください。

不登校でも行ける全日制高校は倍率で探す

内申点の不利をはっきり消せないことを見てきました。実は、志望校選びで最も大きな材料は倍率です。

2026年度の一般入学者選抜は、県立全日制全体で募集人員5,698人に対して志願者5,650人、志願倍率は0.99倍でした。志願者が募集人員を下回った学科は32校53科1コースあり、普通科でも井原0.18倍、林野0.10倍、矢掛0.08倍のように大きく定員割れしている学校があります。

定員割れしている高校では、中学の欠席が多い、当日のテストの点数が低いといった理由で不合格になることはほとんどありません(受け入れが厳しくなるような別の事情がある場合は不合格になることもありえます)。内申点の扱いを細かく気にする段階の話にはなりません。

一方で、進学校の普通科は倍率が1倍を超えています。2026年度の一般入学者選抜の志願倍率は、岡山芳泉1.18倍、岡山操山1.13倍、岡山一宮1.14倍、岡山城東1.34倍、西大寺1.35倍、倉敷青陵1.13倍、倉敷天城1.11倍、倉敷古城池1.15倍、総社南1.15倍でした。こうした高校では、ここまで説明した内申点の不利がそのまま合否に響きます。

岡山県の一般入学者選抜は、出願したあとに志願先を変えることができません。出願の前に、前年度の倍率を確かめて志望校を決めてください。学校の評判や偏差値より先に倍率を見ることが、不登校の中学生の志望校選びの出発点です。

岡山県教育委員会「県立高等学校の入学者選抜」のページ
(参照:令和8年度岡山県公立高等学校一般入学者選抜志願者数について/岡山県教育委員会)
※年度ごとの志願者数のPDFが掲載されています。

不合格でも第2次募集がある

一般入学者選抜で不合格になっても、公立高校への道が閉じるわけではありません。

岡山県では、一般入学者選抜のあとに欠員がある学校・学科で第2次募集を行います。一般入学者選抜を受けて、県内の公立・私立のどの高校にも合格していない人が出願できます(私立に合格していても入学の手続きをしていなければ出願できます)。2027年度は3月17日に実施校と募集人員が発表され、3月18日と19日に出願、全日制は3月23日に面接が行われます。

第2次募集には学力検査がありません。面接を行い、調査書と、一般入学者選抜で受けた学力検査の結果、面接の結果などをもとに判定します。新たに当日のテストを受け直すことはありませんが、3月9日の学力検査の得点は資料として使われます。

規模も小さくありません。2026年度は29校50科1コースで、合わせて872人が募集されました。普通科の進学校である岡山朝日でも23人の第2次募集がありました。

倍率のある高校に挑んで結果が読めない年でも、うまくいかなければ第2次募集で別の高校を受けるという道が残されています。ただし第2次募集で残っている学校が、通いやすい学校や学びたい内容の学校とは限りません。

こちらをあてにするのではなく、一般入学者選抜に向けて準備するのが定石となります。

不登校の欠席日数はどう扱われる?

ここからは、不登校のご家庭が気にする欠席日数の話です。岡山県の公立高校入試では、欠席日数は調査書に書かれて志願先の高校に伝わります。ただし、欠席日数がそのまま点数になるわけではありません。

岡山県の調査書には欠席日数の欄がある

岡山県の県立高校入試で使う調査書には、2027年度(令和9年度)入試でも「出欠の記録」の欄があります。中1と中2は指導要録に書かれた欠席日数をそのまま写し、中3は一般入学者選抜なら1月末現在の欠席日数を書きます。各学年で欠席が15日以上か連続して6日以上ある場合は、主な欠席理由も必ず書かれます。

近年は調査書から欠席日数の欄をなくす都道府県が増えていますが、岡山県は残っているということです。何日休んだかは、志願先の高校に伝わると考えておいてください。

ただし、欠席日数が合否の点数に入るわけではありません。点数として使われるのは、評定から計算した換算点と学力検査の得点です。欠席の影響が実際に表れるのは、欠席日数の数字よりも、内申点のほうです。学校に行けていなければ定期テストも提出物もそろわず、評定は下がります。そして評定に1が多くついていれば、欠席日数の欄がなくても不登校であることは高校側に伝わります。

欠席日数と合否の関係は、別の記事でも詳しく説明しています。

なお、文部科学省は毎年、高校入試の実施について各都道府県に通知していて、その中で不登校の生徒については欠席日数など特定の記録だけで判断せず、多面的に評価するよう求めています。

また制度面について補足をすると、教育支援センターやフリースクールに通って中学校長の判断で出席扱いになった日は、欠席日数に数えられません。岡山県では調査書に欠席日数が載るので、出席扱いになるかどうかは、ほかの都道府県より意味を持ちます。利用している学びの場が出席扱いの対象になるかは、在籍している中学校に確かめてください。

そのうえで、欠席の事情や高校生活への意欲を伝えたい場合は、先ほど紹介した自己申告書を出すことができます。

当日の体調が不安な場合の備え

入試当日に不安がある場合は、事前に手を打つことも可能です。

病気や障害などの事情で受検に特別な配慮が必要な場合は、中学校の校長が事前に志願先の高校と相談します。県の資料には、これまでに行った配慮の例として、別室での受検、座席の位置の変更、検査時間の延長、面接の順番や形の配慮などが挙げられています。

配慮の内容は、中学校と志願先の高校、県教育委員会の相談を経て決まるので、希望がそのまま認められるとは限りません。不登校であることが配慮の対象として明記されているわけでもないので、集団での受検に強い不安がある場合は、出願までに余裕を持って中学校の教員に相談してください。

一般入学者選抜の当日に受検できなかった場合の追検査は、2027年度は3月17日です。ただし対象は、学校で予防すべき感染症にかかった人や、不慮の事故や急な入院などでやむを得ず受けられなかった人に限られます。緊張や不安で当日行けなかった場合は対象にならないと考えておいてください。

岡山県教育委員会「県立高等学校の入学者選抜」のページ
(参照:岡山県立高等学校入学者選抜における特別な配慮について/岡山県教育委員会)

さて、ここまで岡山県の公立高校入試の仕組みを見てきました。ただ、制度がわかっても、お子様の場合に実際どうなるのかは見えにくいかもしれません。

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全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?

毎日の通学に不安がある場合も、岡山県には学費を抑えられる公立の選択肢があります。全日制の新しい取り組みとして、不登校の中学生のための選抜を行う学校もあります。この章で説明する内容は次の3つです。

  • 岡山御津高校のフレックス制は不登校の中学生のための選抜
  • 定時制は県立の烏城高校と市立の学校
  • 公立通信制は岡山操山高校の1校

岡山御津高校のフレックス制は不登校の中学生のための選抜

岡山市北区の岡山御津高校キャリアデザイン科では、2025年度から「フレックス制に係る入学者選抜」を行っています。対象を不登校の中学生に絞った、岡山県の新しい取り組みです。

県教育委員会は、不登校を経験した生徒が増えていることを受けて、全日制の高校に在籍したまま、一部の科目を他校の通信制課程で学んで単位を取れるようにし、全日制を卒業しやすくする仕組みだと説明しています。岡山御津高校に在籍しながら、岡山操山高校の通信制課程の科目を履修する形です。

出願できるのは、中3で原則として年間30日以上欠席していて、その理由が心理的・情緒的・身体的・社会的な要因で登校しない、または登校したくてもできない状況にある人です。病気や経済的な理由による欠席は除かれます。校内の教育支援センターや教育支援センターに通っている人も対象です。

あわせて、岡山御津高校の学校説明会などに出席してフレックス制を理解していることと、合格が決まったら必ず入学することが条件です。

選抜は志望理由書と面接で行い、学力検査はありません。調査書は提出しますが、参考資料にとどめ、合否を決める資料にはしないと要項に書かれています。内申点や欠席日数で不利になることがない選抜だということです。2027年度は1月26日から28日に出願し、2月9日か10日に面接、2月18日に結果が通知されます。

ただし、募集はキャリアデザイン科の定員120人の20%、24人だけです。そして人気があります。2026年度は24人の募集に28人が志願し、24人の合格が決まりました。初年度の2025年度は志願者10人だったので、1年で3倍近くに増えたことになります。

県内1校の小さな枠で、住んでいる地域によっては通える範囲にありません。それでも、不登校を経験した生徒が全日制で学べる道を県がつくり始めたことは、選択肢が増える動きです。関心がある場合は、出願の条件にもなっている学校説明会の日程を早めに確かめてください。

定時制は県立の烏城高校と市立の学校

岡山県の県立の定時制は、岡山市北区の烏城高校1校です。昼間部と夜間部があり、単位制の普通科です。

烏城高校は、3年で卒業できる定時制です。入学するときに、3年で卒業する「3修制」と4年で卒業する「4修制」のどちらかを選びます。昼間部の基本の授業時間は午前10時から午後2時半ごろまでで、昼間部と夜間部の共通の授業を午後に追加で受けると、3年での卒業をめざせます。学校の紹介でも、不登校を経験した人や学び直しを望む人を受け入れていると書かれています。

岡山県立烏城高等学校のトップページ
(参照:岡山県立烏城高等学校)

2026年度の一般入学者選抜は、昼間部が募集50人に志願57人で1.14倍、夜間部が募集28人に志願18人で0.64倍でした。夜間部は定員割れしていますが、日中に通える昼間部は志願者が募集人員を上回っています。定時制だから必ず入れるとは限らないということです。

烏城高校の一般入学者選抜は、国語・数学・英語の3教科の学力検査と面接です。2月の特別入学者選抜でも、昼間部は定員の50%、夜間部は30%を募集しています。昼間部をめざすなら、3教科の学力検査と面接の準備をしておいてください。

このほか、倉敷市・玉野市・井原市・高梁市・備前市に市立の定時制があります。こちらは大きく定員割れしているところが多く、2026年度の一般入学者選抜は市立定時制全体で募集395人に対して志願138人、0.35倍でした。ここまで定員割れしていると、内申点がどう扱われるかを細かく気にする段階の話ではありません。市立の定時制は県立に準じて学力検査を行う学校と、独自の選抜を行う学校があるので、学校ごとに確かめてください。

市立の定時制は4年で卒業する形が基本の学校もあり、3年で卒業できるかどうかや時間割の組み方は学校によって違います。各校のパンフレット等で確認してください。

公立通信制は岡山操山高校の1校

公立の通信制課程は、岡山市中区の岡山操山高校の1校です。

選抜は書類選考と面接で行い、学力検査はありません。出願書類は入学願書と中学校の卒業証明書・成績証明書(中学校が作る調査書で代えることもできます)、志望理由書です。入学の時期は春と秋の2回で、2027年度は春の入学の出願が3月1日から28日、秋の入学の出願が8月25日から9月2日です。全日制の結果が出たあとからでも間に合う日程です。

ただし、岡山県は広大で、岡山市にある1校だけでは、全県をカバーしきれません。つまり、住んでいる場所によって通いやすさが大きく変わってきます。通信制でも学校に通うスクーリングがあるので、通学にかかる時間を先に確かめてください。

また公立通信制は学費を大きく抑えられる一方で、自分で計画を立ててレポートを進めていく自己管理の負担が、サポートの手厚い私立通信制より重くなりがちです。このあと紹介する私立通信制と並べて比較してみることをおすすめします。

不登校から岡山県の私立高校に合格するには?

続いて私立高校について見ていきましょう。

最初にお伝えしておくと、私立高校は一般的に公立高校より入学が厳しいと考えてください。そして入試のルールは学校ごとに違うので、志望校ごとに確かめるしかありません。

公立高校は、県教育委員会が調査書の様式と選抜方法を定めて公表しています。一方、私立高校は各校が基準を決めるため、判定方法が公表されていないのが一般的です。不登校だと分かった時点で不合格にしている可能性さえあります。ここまで説明した公立の決まり(自己申告書の扱いやフレックス制、第2次募集など)は、私立には当てはまりません。

私立の入試は1月下旬で県内共通の日程

岡山県の私立高校の入試は、1月下旬に行われます。2027年度は1月28日・29日が県内の私立高校の共通日程(選抜1期)で、公立の一般入学者選抜より1か月以上早く結果が出ます。学校によっては、2月に2回目の入試(選抜2期)を行うところもあります。

入試の区分は学校によって呼び方が違いますが、おおむね推薦入試、面接中心の入試、学力試験の入試があり、それぞれ専願と併願に分かれます。専願は合格したら必ずその学校に入学するという約束で受ける入試で、併願は公立高校と並行して受けられます。創志学園高校のように、選抜1期では県内のほかの私立高校と併願できないと書いている学校もあります。

中学生の多くは、私立の学力試験の入試で合格をもらっておき、そのうえで公立の一般入学者選抜に臨む形になります。

私立高校の授業料については、近年、国の就学支援金が拡充され、負担は軽くなっています。公立高校の授業料はすでに無償化されているので、公立と私立の学費の差が縮まったということです。その分だけ私立を志望する受験生が増え、私立の倍率が上がることも考えられます。

推薦や面接入試は欠席日数を出願条件にする学校がある

残念ですが、私立の推薦入試や面接中心の入試は、不登校の中学生には厳しいと考えてください。

たとえば就実高校の2027年度の募集要項では、特別推薦入試と併願推薦入試の出願資格に、3年間の欠席日数が合計20日以内であることと、「中学校等に在籍する3年間を通して全ての教科に『1』の評定がないこと」が挙げられています。創志学園高校の面接入試も、各学年の欠席日数が9日以内(中3は12月まで)であることと、3年間を通してどの教科にも1がついていないことが出願の条件です。こうした条件がある区分は、条件に当てはまらなければ出願できません(できても受かりません)。

出願資格に欠席の条件を書いていない学校でも、欠席が見られていないわけではありません。おかやま山陽高校は入試に関するQ&Aで、調査書について「もちろん成績も見ますが、出欠を重視」すると答えています。

文部科学省は毎年の通知で、不登校の生徒を欠席日数など特定の記録だけで判断しないよう求めています。それでも私立高校の出願資格は各学校が決めるものです。不登校の中学生が私立を受けるなら、推薦ではなく学力試験の入試が中心になります。

おかやま山陽高等学校「入試に関するQ&A」のページ
(参照:入試に関するQ&A/おかやま山陽高等学校)

学力入試も調査書を含めて総合的に判定される

では、学力試験の入試なら当日の点数だけで判定されるのかというと、そうとは言い切れません。

創志学園高校と就実高校の学力入試は、出願資格が中学校の卒業見込みであることだけで、欠席日数や評定の条件はありません。出願はできるということです。ただし創志学園高校は、学力入試の合否を「筆記試験の結果・調査書の内容等により総合的に」判定すると書いています。

岡山学芸館高校は、学科試験の合計点と評定の合計のそれぞれに合格基準を示したうえで、それを目安に調査書の内容や受験態度などから総合的に判断するとしています。入試のQ&Aでは、評定が基準に足りなくても学科試験の合計点が基準に達すれば合格できる、ただし調査書の内容などから不合格になる場合もある、と答えています。

岡山学芸館高等学校「受験生の方(入学案内)」のページ
(参照:受験生の方(入学案内)/岡山学芸館高等学校)
※2027年度の生徒募集要項と入試のQ&Aが掲載されています。

この「総合的な判断」が厄介です。一見、学力勝負に見える入試でも、調査書を併せて見ると書いてある以上、内申点でのマイナスがないとは言えません。むしろある、と考えた方が自然です。

なお、私立の調査書にも欠席日数の欄があります。

おかやま山陽高校の募集要項は、中学校が岡山県の統一書式で調査書を作るよう案内していて、出欠の記録は中3が12月末現在、欠席が15日以上か連続6日以上なら理由を書くよう指定しています。すべての私立高校が同じ様式を使うとは限りませんが、私立でも欠席日数は高校側に伝わると考えておいてください。そして欠席の扱いが合否にどのくらい影響しているかは、外からは分からない状態です。

受かる見込みは学校に直接確かめる

ここまで見てきたとおり、私立はおそらく公立より厳しいものの、募集要項を読んでも判断がつかない部分が大きいです。だからこそ、志望校を検討する段階で必ずやってほしいことがあります。

学校説明会やオープンスクールなどで個別に質問できる機会があれば、そこで学校の教員に直接話を聞いてください。

相談の場で不登校であることが知られて不利になるのでは、と考える方もいるかもしれません。しかし、どのみち調査書で伝わるのですから、不登校であることは隠さずに伝えてください。そのうえで、家で勉強を続けていること、高校の授業についていける学力をつけようとしていることを示しましょう。

そして、出願できるか、どの入試区分で受けるのが現実的か、調査書の欠席や評定がどう見られるかを聞いてください。教員の反応から、受け入れの見込みはある程度察することができます。

私立の入試は1月下旬で、公立より先に結果が出ます。どの学校をどの区分で受けるかは、秋のうちに中学校の教員とも相談しながら決めておくと安心です。1校だけに絞らず、複数の学校に話を聞いておくのがよいでしょう。

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学びの多様化学校の美作高校Bloomコース

岡山県には、不登校の生徒を対象にした私立高校のコースが1つあります。津山市の岡山県美作高校の普通科Bloomコースで、2024年度に文部科学省から「学びの多様化学校」(旧称:不登校特例校)に指定されました。

学びの多様化学校は、不登校の児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程を組むことを国が認めた学校やコースです。学校の紹介によると、Bloomコースは中国地方で初めて設けられた学びの多様化学校で、心の理由で登校しにくい人や教室に入りにくい人を対象にしています。

通いやすさへの配慮として、始業の時間をほかのコースより1時間遅くしています。自宅や別室から受けられるオンライン授業もあり、毎朝教室に入ることが難しい時期でも学びを続けられるようにしています。

授業の特色は、人とかかわる力を育てる学びです。週に1日は鏡野町の奥津キャンパスなど学校の外で、人や自然と触れ合う体験型・探究型の授業を行います。自分の気持ちを言葉で伝える力などを身につける「ソーシャルスキルトレーニング」や、どんな大人になりたいかを考える「キャリアデザイン」といった授業もあります。国語・数学・英語は基礎から学ぶ科目が組まれています。2年に進級するときには、ほかのコースに移ることもできます。

Bloomコースは全日制の私立高校の中のコースなので、入試や欠席の扱いは、これまで説明してきた一般の私立高校とはおそらく違います。出願の条件や選考の方法は、学校の説明会などで直接確かめてください。県の北部に住んでいて、全日制に通いたいけれど毎日の通学に不安がある場合に、選択肢の一つになります。

岡山県美作高等学校「Bloomコース」のページ
(参照:Bloomコース/岡山県美作高等学校)

岡山県に本校がある私立通信制

全日制の通学ペースに不安が残る場合や、私立の全日制で受け入れの見込みが立たない場合は、私立通信制も有力な選択肢です。

入学のハードルは高くありません。私立通信制は、通学する日数やスクーリングの形、学習サポートの手厚さを学校ごとに選べるのが特徴です。費用は公立通信制より高くなりますが、通信制高校も国の就学支援金の対象になります。

岡山県内に本校を置き、通信制の課程を持つ私立高校には、次の学校があります。

  • 創志学園高校(岡山市)
  • 岡山理科大学附属高校(岡山市)
  • 岡山学芸館高校(岡山市)
  • 鹿島朝日高校(岡山市)
  • ワオ高校(岡山市)
  • 興譲館高校(井原市)
  • 滋慶学園高校(美作市)
  • 岡山県美作高校(津山市)

このうち創志学園・岡山理科大学附属・岡山学芸館・興譲館・美作は、全日制がメインの高校が通信制の課程を併設している形です。

通信制は学校によって方針もサポート体制も大きく違います。入学できるかどうかではなく、そこで3年間続けられるかどうかで選んでください。合同説明会だけで決めず、実際に足を運んで選び抜くことをおすすめします。

まとめ:不登校から岡山県の高校受験を成功させるには?

ここまで岡山県の公立の全日制、フレックス制と定時制・通信制、私立を順に見てきました。

岡山県は不登校から高校に入りやすい県なのか。ここまでの分析を踏まえると、内申点の不利がそれなりに残るやや厳しい県です。

公立高校には、不登校の生徒の内申点を合否の点数に入れない特例措置はありません。一般入学者選抜は内申点と当日点の両方で判定され、内申点は中1から中3までの3年分が使われ、実技4教科は実質3倍です。

調査書には欠席日数の欄もあります。自己申告書の様式には学力検査を重視した選抜に変わることがあると書かれていて、ほかの多くの都道府県より一歩踏み込んでいますが、どこまで影響するかは公表されていません。

それでも、2026年度の一般入学者選抜は県全体で0.99倍で、定員割れしている高校も多くあります。不合格になっても、学力検査のない第2次募集があります。岡山御津高校のフレックス制のように、不登校の中学生のための新しい選抜も始まりました。

私立は事情が違います。推薦などで欠席日数を出願条件にする学校があり、学力試験の入試も調査書を含めて判定されます。志望するなら、学校に直接確かめるところから始めるしかありません。

とはいえ、ここまで読んでいただければ、不登校だからといって高校進学をあきらめる必要はないことが分かったはずです。全日制も含めてです。

今は岡山県に限らず、全国どこでも定員割れしている高校はあります。岡山県でも2026年度は、一般入学者選抜で志願者が募集人員を下回った学科が32校53科1コースあり、第2次募集では872人が募集されました。多くの高校には、入ろうと思えば入れる時代です。

ただし、倍率が1.0倍を超える高校に入るには、不登校による不利は避けられません。岡山県の一般入学者選抜では内申点の不利が残るので、それを覆すだけの確かな学力が必要です。

それに、高校に入学することはゴールではありません。単位を取って卒業するところがゴールです。中学の内容が抜けたまま入学すると、授業についていけずに苦しむことになります。入ることと卒業できることは別の話です。残りの中学の期間で一生懸命勉強して、中学の内容を理解した状態で高校に進んでください。

過去の欠席日数も内申点も、いまから変えることはできません。けれど5教科の学力は、今日から伸ばしていけます。

みなさんの吉報を待っています。

不登校からの高校入試(岡山編)よくある質問

~高校入試をがんばる不登校生、募集中~

ということで、今回は、不登校の中学生が岡山県の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。

ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。

ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。

実は、私たちシン・ガッコウ Schorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学生の支援プロジェクトを開始しました。

その名も、Schorbit REBOOT。

Schorbit REBOOT ロゴ

不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。

そんな中学生を応援します。

いきなりお申し込みいただく必要はありません。ページのご案内から、保護者の方もご一緒に、面談で内容を確かめていただけます。

詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。