不登校からの高校入試ガイド
【群馬 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

【公立】群馬県の高校入試には、本人が申請すれば内申点の影響をなくせるような仕組みはない。ただし公立の定員の半分以上を決める「総合型選抜」(大学入試の総合型選抜とは別物)では、学力検査と調査書の比がおおむね8:2前後の高校が多数派
【公立】2027年度(令和9年度)入試から調査書に欠席日数の欄はない。全員が提出するインタビューシートと面接も合否にはほとんど影響しないが、内申点という形で不登校の影響は残る
【公立】2026年度の全日制・フレックススクールの志願倍率は0.96倍で、定員割れの高校が多い。フレックススクール・定時制・通信制はさらに大きく定員を下回っている
【私立】私立の全日制は公立より厳しく、欠席日数の欄がある調査書を使い、欠席日数を出願資格の条件にしている学校もある。一方で県内に本校を置く私立通信制は受け皿になる

(※以下は2026年9月時点で調査した情報を基にしています)

中学校にほとんど通えていない。
通知表に「1」や斜線がついている。
それでも高校には行きたい。

そんな状況で群馬県の高校入試を調べ始めた方に、まず見立てをお伝えします。

群馬県の公立高校入試は、不登校の中学生にとって特別な救済制度はないものの、当日の学力検査で正面から戦いやすい設計になっています。それなりにチャンスのある県ということです。

理由を簡単にご説明します。群馬県の公立高校は、1回の受験で合否を決める選抜方法を2つ持っています。そのうちの1つ、定員の50〜90%を決める「総合型選抜」では、調査書(いわゆる内申書)の比重を合否の2割前後に抑えている高校が多く、合否の大部分は当日の学力検査の点数で決まります。

ただし、楽な道が用意されているわけではありません。調査書に記載された評定(いわゆる内申点)が低ければ、その分はそのまま影響します。一部の都道府県にみられる、長期欠席の生徒について内申点を点数に入れない、といった仕組みは群馬県にはありません。

一方で、私立高校は事情が違います。欠席日数を出願資格の条件にしている学校も多く、公立よりはっきり厳しいと考えてください。

本記事は、群馬県教育委員会が2026年8月3日に公表した「令和9年度群馬県公立高等学校入学者選抜実施要項」と「各高等学校の選抜方法等」、2026年度(令和8年度)入試の志願状況・合格状況などをもとに書いています。

ここでいう一次資料とは、県教育委員会が自ら作成して公表している実施大綱、実施要項、各高校の選抜方法等、志願状況といった公式文書のことです。塾や報道の情報は、これらを読み解く補助として使い、出典を明記して紹介しています。

そのうえで、不登校の中学生が群馬県の高校受験で取りうる選択肢を、公立の全日制、公立のフレックススクール・定時制・通信制、私立の順に解説していきます。

不登校でも群馬県の高校入試に合格できる?

結論から言えば、可能です。ただし、不登校の中学生だけが使える近道が用意されているわけではありません。

いわゆる不登校枠と呼ばれるような、長期欠席のある生徒を対象にした特別な選抜は、群馬県の公立高校では実施されていません。他県には、一定以上の欠席がある生徒について内申点を合否の点数に入れない仕組みを設けているところもありますが、群馬県の公立高校入試はそうなっていません。

ところが、そのうえで、不登校の中学生にとってプラスに働く材料が3つあります。

1つ目は、合否の大部分を当日の学力検査で決める高校が多いことです。各高校は「総合型選抜」と「特色型選抜」という2つの物差しで受検者全員を判定します。定員の多くを占める総合型選抜では、学力検査と調査書の比率がおおむね8:2前後の高校が多数派です。

2つ目は、2027年度(令和9年度)の入試から調査書に欠席日数を書く欄がないことです。何日休んだかという数字は、志願先の高校に届きません。

3つ目は、席が余っていることです。2026年度の公立の全日制とフレックススクールは、募集定員11,153人に対して志願者が10,745人で、志願倍率は0.96倍でした。3月の再募集では39校が合わせて1,101人を募集しましたが、志願したのは120人でした。定員割れしている高校は当たり前のようにあります。

一方で、押さえておくべき現実もあります。

内申点は中1から中3までの3学年分が関わり、その影響をなくせる方式はありません。また調査書の比重が小さい高校は、倍率が1.0を超える人気校に集中しています。そうした高校では、比重が小さくても内申点の差が合否を分ける場面は普通にあります。

特別扱いはしてもらえない。けれど、当日のテストで正面から戦える土俵は用意されている。これが群馬県の公立高校入試のおおまかな見取り図です。

なお、群馬県は2026年1月に、不登校に代わる呼び方として「UniPath(ユニパス)」を発表しました。県教育委員会の入試の資料にもこの言葉が出てきますが、本記事では一般的な呼び方である「不登校」を使います。

群馬県の公立高校入試の仕組みはどうなっている?

ここからは、群馬県の公立高校入試の仕組みを見ていきます。この章で説明する内容は次の3つです。

  • 入試は2月の1回だけで、全員が学力検査と面接を受ける
  • 総合型と特色型の2つの物差しで、受検者全員が判定される
  • 内申点は中1から中3までの評定を合計する

入試は2月の1回だけで全員が学力検査と面接を受ける

群馬県の公立高校(全日制)の入試は、2月の1回だけです。県教育委員会の正式な呼び名は「全日制課程選抜」で、推薦入試や前期・後期といった区分はありません。以前は前期選抜と後期選抜の2回に分かれていましたが、2024年度の入試から1回にまとまっています。

2027年度(令和9年度)入試の主な日程は次のとおりです。

事項日程
出願(WEB出願システムで志願情報を登録)2027年1月4日(月)〜1月29日(金)
志願先の変更1回目:2月2日(火)・3日(水)、2回目:2月5日(金)〜8日(月)
本検査1日目(学力検査)2月16日(火)
本検査2日目(面接等)2月17日(水)
追検査2月24日(水)
合格発表3月3日(水)
再募集の検査3月16日(火)

1日目は全員が国語・数学・英語・社会・理科の5教科の学力検査を受けます。各教科100点の500点満点が基本ですが、上位校の一部は国語・数学・英語を1.5倍にして650点満点にしています。2日目は全員が面接等を受けます。面接の形は集団面接・個人面接などから高校ごとに決められています。

出願できるのは1つの高校の1つの学科(またはコース)だけです。学科とは普通科・商業科など学校の中の区分のことで、ほぼ学校の数と思って構いません。同じ高校に複数の学科があり、高校が認めている場合に限って第2志望も書けます。公立高校を2校受けて、受かったほうに行くという選び方はできません。

そのかわり、出願後に志願先を変更できる期間が2回あります。倍率を見てから志望校を動かせるので、ここは覚えておいてください。なお通学区域は全県一区で、県内のどの公立高校にも出願できます。

(参照:令和9年度群馬県公立高等学校入学者選抜実施要項/群馬県教育委員会)
※実施要項と様式集が掲載されています

総合型と特色型の2つの物差しで受検者全員が判定される

群馬県の公立高校入試でいちばん特徴的なのが、この2つの選抜制度(物差し)です。

まずこの言葉についての注意から。総合型選抜という名前を聞くと、大学入試の総合型選抜(かつてのAO入試)を思い浮かべる方が多いと思います。大学入試の総合型選抜は、志望理由書や面接で人物を評価する自己推薦型の入試です。群馬県の公立高校入試の総合型選抜は、名前が同じだけでまったくの別物です。むしろ当日の学力検査を最も重視する選抜制度です。

各高校は、募集定員の50〜90%を「総合型選抜」、10〜50%を「特色型選抜」に割り当てます。受検者は出願のときに型を選びません。全員が同じ学力検査と面接を受け、高校の側が全員を2つの物差しで順番に判定します。

判定の流れは次のとおりです。まず受検者全員を一方の物差しで判定して合格者を決めます。続いて、そこで合格しなかった人全員をもう一方の物差しで判定します。どちらの物差しを先に使うかは高校ごとに違います。

2つの物差しの違いは、学力検査・面接・調査書のどこに重みを置くかです。総合型選抜は学力検査を重視し、特色型選抜は調査書の評定や部活動・生徒会活動などの記録、面接を重視します。特色型選抜の中をさらに細かい区分に分けている高校もあります。

不登校の中学生にとっての本命は総合型選抜です。特色型選抜は部活動などの実績を重く見る区分が多く、学校に通えていない状態では点数を積みにくいからです。とはいえ、全員が同じ試験の結果で両方の物差しにかけられるので、一方で合格しなくてももう一方で判定されます。受け直しは必要なく、特色型選抜を意識する必要はありません。

内申点は中1から中3までの評定を合計する

受験の際、中学校から高校に提出される書類を調査書と呼びます。俗に内申書とも呼ばれるものです。この調査書に載っている9教科の評定(いわゆる内申点)が、点数に換算されて合否に使われます。

群馬県の実施要項には、調査書をどう点数にするかは書かれていません。各高校の選抜方法等にも、調査書の満点は載っていますが、計算の方法は載っていません。

ただし、県教育委員会が文部科学省の全国調査に回答した内容から、中1から中3までの3学年の評定を使うことは分かっています。県内の塾でも、9教科の評定を3学年分足して計算すると説明されています。9教科×5段階×3学年で、満点は135点です。

(参照:群馬県の公立高校受験で必要な内申点の計算方法と入試問題の傾向と対策/W早稲田ゼミ)

実際に、総合型選抜で調査書の満点をちょうど135点にしている高校が8つあります(高崎、高崎北、高崎女子、前橋女子、渋川、前橋商業、吉井、館林商工)。学力テストが100点×5教科で500点満点、調査書が45点×3学年で135点満点ですから、この場合、話はシンプルです。これらの高校では、評定の1とテストの1点が同じ重さになっていると考えて間違いはないでしょう。ほかの高校は、この135点を自校が決めた満点(60点〜450点)に換算していると考えられます。

ここで注意したいのは、休んでいた時期がいつであっても、その分は数字として残るということです。中1・中2で評定が1や斜線だった場合は、中3でどれだけ立て直してもその2年分のビハインドは残ります。中3で不登校になった場合も、中3の分がそのまま残ります。

ただし、この調査書の135点は、合否を決定的に左右するほどの数字ではありません。学力検査の500点と比べてどれくらいの重さで使われるかは高校によってかなり違い、そこが志望校選びの最重要ポイントになります。次の章で詳しく見ていきます。

内申点と不登校の関係については、別の記事でも詳しく解説しています。

内申点が低くても当日のテストで逆転できる?

ここからが、不登校の中学生が群馬県の公立高校に合格するための本題となります。

結論からいえば、巻き返しの余地は十分にあります。ただしそれは特別な救済制度があるからではありません。総合型選抜で調査書の比重を小さくしている高校が多いという、全員に共通するルールの側にあります。

総合型選抜では合否の7〜8割以上が当日の検査で決まる

各高校が総合型選抜でどれだけ調査書を重く見ているかは、県教育委員会が公表している各高等学校の選抜方法等で確認できます。学力検査・面接・調査書の満点が、高校ごと・学科ごとに点数で載っています。

面接の比重はほとんどの高校で小さいので、ここでは学力検査と調査書の2つだけを比べます。2027年度の総合型選抜について、学力検査の満点と調査書の満点の合計のうち調査書が占める割合を集計すると、次のようになりました。実技検査のある学科を除いた全日制の64区分(学科やコースごとの選抜の単位)が対象です。

調査書の割合区分の数主な高校
15%未満9前橋、太田、桐生、太田東、館林、館林女子、前橋南、高崎経済大学附属(普通コース)
15〜20%9高崎、伊勢崎、伊勢崎清明、市立前橋、太田女子、富岡、渋川工業
20〜25%19高崎北、高崎女子、前橋女子、渋川、沼田、前橋東、前橋西、大間々
25〜30%14高崎東、高崎商業、前橋工業、桐生清桜、玉村、吾妻中央
30%以上13藤岡工業、藤岡北、伊勢崎興陽、榛名、大泉、富岡実業

表の目的は、県内の高校の大部分で当日の学力検査が主役になっていることを示すことです。64区分のうち37区分は調査書の割合が4分の1未満で、中央値でみると学力検査と調査書の比はおよそ77:23です。面接も当日の検査なので、学力検査と面接を合わせた当日の点数で見ると、64区分のうち56区分が合否の7割以上を当日に決めています。

たとえば高崎女子の総合型選抜は、学力検査500点に対して調査書135点です。調査書が評定を単純に足した点数なら、評定の1とテストの1点がほぼ同じ重さになります。

ただ、この比率をそのまま不登校の中学生に当てはめると見通しを誤ります。高崎女子のような進学校を志願する受験生は評定に4や5が並んでいることが多く、調査書はたとえば110点前後になります。オール1に近い状態(27点)だと、その差は80点を超えます。上位の受験生が集まる高校で、5教科500点のテストで80点以上の差をつけるのは現実的ではありません。

比率が8:2でも、内申点のビハインドが大きければ当日の点数だけでは取り返せません。比率は土俵の形を示すだけで、届くかどうかは競う相手の内申点と倍率で決まります。

一方で、調査書の割合が30%を超えるのは、専門学科や総合学科、郡部の小規模校が中心です。藤岡工業のように調査書が半分近くを占める学科もあります。

比率が大きいから受かる、とまでは言えません。比率が大きいから当日の点数である程度追いつける。この理解が正確です。どこまで追いつけるかは、他の受験者の学力帯(いわゆる偏差値帯)や次に見る倍率によって大きく変わります。

比率より先に倍率を見る

繰り返しになりますが、注意してほしいことがあります。ある高校の配点で、当日の筆記試験の比重が大きく、調査書の比重が小さいからといって、そのまま不登校の中学生に有利とまでは考えないでください。

調査書の割合が15%未満の高校を見ると、前橋、太田、桐生、館林、太田東など、県内でも学力上位の進学校が並んでいます。こうした高校は倍率が1.0を超えることが多く、2026年度の志願倍率は前橋が1.12倍、高崎が1.26倍、伊勢崎が1.23倍でした。合格ライン付近には同じくらいの学力検査の点数の受験生が並ぶので、比重が小さく圧縮されていても、内申点の差が順位を分ける場面は頻繁にあります。

逆に、調査書の割合が大きい高校には定員割れしている学校が多く含まれます。2026年度の志願倍率は、調査書の割合が47%の藤岡工業が0.55倍、38%の榛名が0.39倍でした。こうした高校では、調査書の比重が大きくても、志願者全員が定員の内側に収まっています。

つまり、志望校を考えるときの順番は、比率より先に倍率です。倍率が1.0を大きく割っている高校なら、調査書の比重はほとんど気にしなくて構いません。倍率が1.0を超える高校を狙う場合に、はじめて総合型選抜の比率を確認する意味が出てきます。

志望校の比率と前年度の倍率は、どちらも県教育委員会のホームページで確認できます。偏差値や通学時間と並べて、この2つを必ず見比べてください。

(参照:令和9年度群馬県公立高等学校入学者選抜における各高等学校の「選抜方法等」について/群馬県教育委員会)
※学校・学科ごとの選抜の順番と配点が掲載されています

志願者の数が募集定員を下回っている

制度の話から離れて、実態の話をします。近年、どこの都道府県でも定員割れの高校が増えています。群馬県も例外ではありません。

2026年度の公立の全日制とフレックススクールは、募集定員11,153人に対して志願者が10,745人、受検者が10,575人、合格者が10,044人でした。県全体の志願倍率は0.96倍で、志願者の数そのものが定員を下回っています。

最初の志願の段階で、県内の公立の全日制とフレックススクールのおよそ半数で志願者が定員に届いていません。そして合格発表のあと、欠員のある39校が再募集を行いました。募集人員は合わせて1,101人でしたが、志願したのは120人でした。

再募集とは、他県でいう2次募集にあたる仕組みです。2月の本検査で合格が決まらなかった人が、欠員のある公立高校をもう一度受けられます。群馬県では3月16日に行われ、検査は面接と作文です。学力検査はありません。

定員割れしている高校では、中学の欠席が多い、当日のテストの点数が低いといった理由で不合格になることはほとんどありません(受け入れが厳しくなるような別の事情がある場合は不合格になることもありえます)。

不登校であるか否かにかかわらず、群馬県では公立高校のどこにも行けないという状況にはなりにくいということです。まずそこは安心してください。

なお、2027年度の募集定員は10,880人で、2026年度より273人減ります。7校で1学級ずつ減るためです。これは15歳の人口に合わせて席の数を調整するもので、受験生が減る分だけ席も減らしているという意味合いです。倍率が急に上がるわけではないので、悲観する必要はありません。

(参照:令和8年度群馬県公立高等学校入学者選抜合格状況と再募集実施校等について/群馬県)
※合格状況と再募集の実施校が掲載されています
(参照:令和8年度群馬県公立高等学校入学者選抜における志願状況等の情報について/群馬県教育委員会)
※学校・学科別の志願倍率が掲載されています

調査書を使わない選抜は制度上はあるが実施している高校はない

最後に、制度の話を1つ付け加えます。実は、群馬県には、調査書を使わずに選抜することを認める仕組みが用意されています。

文部科学省が公表している全国調査で、群馬県教育委員会は特色型選抜について次のように回答しています。「不登校経験者等、多様化する生徒の受入れを想定し、高等学校での学習への意欲等をより重視する区分を設ける場合、検査項目等から調査書を除くことができる。」

背景には、現在の入試制度をつくる際に県教育委員会の検討委員会が2021年3月にまとめた報告があります。報告では、不登校経験者などについて「高校での学習への意欲等をより重視した選抜の方法を工夫する」ことが必要だとされ、委員会の議論では不登校の生徒のための定員枠の設定も話題にのぼっていました。

ところが、2025年度から2027年度までの各高校の選抜方法等をすべて確認したところ、調査書を点数に入れない区分を設けた高校は1つもありませんでした。制度は用意されているものの、実際に使っている高校はないということです。

今後この仕組みを使う高校が出てくれば、不登校の中学生にとって内申点の影響をなくせる入口になります。各高校の選抜方法等は毎年公表されるので、受験する年度の資料で確認してみてください。現時点では、総合型選抜の当日点で勝負するのが現実的な作戦です。

(参照:令和6年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)/文部科学省)
※PDFファイル(全国の状況をまとめた資料)が開きます
(参照:群馬県公立高校入学者選抜制度の在り方について(報告)/群馬県教育委員会)
※2021年3月にまとめられた報告です

不登校の欠席日数はどう扱われる?

ここからは、不登校のご家庭がいちばん気にする部分についてお伝えします。先に結論を言うと、2027年度の群馬県の公立高校入試では、欠席日数そのものは合否の点数に入りません。

調査書に欠席日数の欄はない

2027年度(令和9年度)の入試から、群馬県の公立高校入試で使う調査書には欠席日数を書く欄がありません。

実施要項に示された調査書の項目は、学籍の記録、各教科の学習の記録、総合的な学習の時間の記録、特別活動の記録、行動の記録、参考となる諸事項等の記録の6つです。2026年度までの調査書にあった「出欠の記録」は削除されました。

県教育委員会は削除の理由として、「UniPath(不登校)を含め様々な理由により欠席日数が多くなった生徒にとっての心理的負担を軽減する観点」を挙げています。何日休んだかという数字は、制度として志願先の高校に届かなくなりました。

ただし、これで不登校の影響が消えるわけではありません。欠席日数が伝わらないことと、内申点の影響は別の話です。

学校に行けていなければ定期テストも提出物もそろわず、通知表の評定は下がり、それに伴って調査書の内申点も下がります。評定に1がついていたり、評定がつけられずに斜線が引かれていたりすれば、長期の欠席があったことは高校側にも伝わります。また、内申点は合否の点数そのものなので、そこでの不利は発生します。

なお、文部科学省は毎年、高校入試の実施について各都道府県に通知していて、その中で不登校の生徒については欠席日数など特定の記録だけで判断せず、多面的に評価するよう求めています。

高校受験の欠席日数については以下の記事にまとめてありますので、ご一読ください。

(参照:入学者選抜における主な見直し事項(令和9年度群馬県立高等学校入学者選抜実施大綱)/群馬県教育委員会)
※実施大綱と見直し事項の資料が掲載されています
(参照:【高校受験2027】群馬県公立高、実施大綱を公表…調査書「出欠席の記録」削除/リセマム)

面接とインタビューシートは合否にほとんど影響しない

群馬県の公立高校入試には、インタビューシートという独自の書類があります。

インタビューシートは、全日制・フレックススクール・定時制の志願者全員が出願のときに提出する書類です。1月18日から29日までに、パソコンなどで作成してPDFでWEB出願システムに登録します。実施要項では、志願する理由や学校内外の活動歴などを記入し、面接の際に参考とするものと位置づけられています。つまり面接とセットで用いる書類です。

書く項目は3つです。1つ目は志願する理由、2つ目はこれまでの3年間を振り返って頑張ったことや成長したと思うこと、3つ目は高校が設定した質問への回答です。3つ目は質問を設けている高校だけで、内容は各高校の選抜方法等に載っています。

不登校の中学生にとって大事なのは2つ目の項目です。実施要項には、やむを得ない事情により欠席日数が多いことなど、志願先の高校に伝えたい内容を書いてもよく、「記載の有無や内容によって不利が生じることはない」と明記されています。欠席の事情を書くかどうかは自由で、書いても書かなくても不利にはならないということです。

そして、インタビューシートそのものには点数がつきません。点数になるのは面接です。その面接も、総合型選抜では合否に占める割合が小さく、中央値で10%程度です。前橋、桐生、太田、前橋女子などは5%しかありません。面接の割合が30%以上になるのは、定員割れしている郡部の小規模校です。

インタビューシートも面接も、合否にはたいして影響しません。うまく書けるか、うまく話せるかを心配しすぎる必要はありません。面接で聞かれたら、過去の欠席を弁明するより、高校で何をしたいかを自分の言葉で話せば十分です。

当日の体調が不安な場合の備え

入試当日に不安がある場合は、事前に手を打っておけます。

障害や病気などで中学校で配慮や支援を受けている場合は、中学校長が志願先の高校に「受検上の配慮に係る状況報告書」を出し、配慮を申し出ることができます。

締め切りは原則として1月25日で、高校長が中学校長と協議して対応を決めます。報告書には障害や病気の種別を選ぶ欄がありますが、不登校という項目はありません。不登校であることを理由にこの配慮が受けられるとは限らないので、まずは中学校に相談してください。

本検査の当日に体調不良や感染症の症状がある場合は、別室で受検する形がとられます。2026年度の県の案内では、前日までに症状が出たら中学校の教員に、当日に症状が出たら保護者などが志願先の高校に連絡するよう示されていました。

それでも受検できなかった場合には、2月24日に群馬県総合教育センター(伊勢崎市)で追検査があります。対象は、感染症やその疑いのある症状のほか、「本人の責に帰さない合理的な事由」で本検査を受けられなかった人です。例として、当日の事故や交通の遮断、入院や月経随伴症状などが挙げられています。

緊張や不安で受検できなかった場合がここに含まれるかどうかは、実施要項からは読み取れません。当日の体調に不安がある場合は、追検査を当てにするのではなく、配慮や別室受検の相談を早めに中学校と始めておいてください。

全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?

毎日の通学に不安がある場合も、群馬県には学費を抑えられる公立の選択肢がそろっています。そして、いずれも入学の難易度は高くありません。

フレックススクールは席が余っている

群馬県には、フレックススクールと呼ばれる公立高校が2校あります。前橋市の前橋清陵高校と、太田市の太田フレックス高校です。

入学することは難しくありません。2026年度の志願倍率は、前橋清陵が0.73倍(昼間部0.85倍、夜間部0.60倍)、太田フレックスが0.67倍(Ⅰ部0.89倍、Ⅱ部0.89倍、Ⅲ部0.23倍)でした。どちらも定員を下回っていて、合格発表のあとには2校で合わせて135人の再募集が行われています。受検すればまず入れると考えて構いません。

フレックススクールは全日制ではなく、定時制の高校です。昼と夜の時間帯に分かれた部から選んで通う定時制で、学年の区切りがない単位制をとっています。前橋清陵は昼間部と夜間部、太田フレックスは昼のⅠ部・Ⅱ部と夜のⅢ部に分かれていて、どちらの学校も通信制の課程を併せて置いています。

定時制と聞くと卒業まで4年かかる印象があるかもしれませんが、2校とも3年で卒業できます。太田フレックスでは、入学時に選んだ時間帯の授業だけを受けると、卒業までに4年かかりますが、ほかの時間帯の授業もあわせて受ければ、3年で卒業できます。学校のQ&Aでは、3年での卒業を目指す生徒が比較的多いと紹介されています。前橋清陵も、定時制の昼間部・夜間部ともに3年間で卒業できると案内しています。

入試は全日制に近く、「フレックススクール選抜」という別枠で、全日制と同じ2月16日・17日の日程で行われます。学力検査は国語・数学・英語の3教科です。5教科すべてを仕上げなくても受けられるのは、学習に遅れがある場合に負担が軽くなります。総合型選抜で調査書が占める割合は、前橋清陵の昼間部が20%、太田フレックスが10%です。

なお、全日制とフレックススクールは同時には出願できないので、どちらかを選ぶことになります。

太田フレックスの選抜方法等には、「高校でもう一度、学び直したい人」という言葉が、志願してほしい生徒像の最初に掲げられています。秋に入学するための選抜も行われていて、中学卒業後に時間がたってから高校に入り直したい場合の選択肢にもなります。詳細は各校のパンフレット等で確認してください。

他の定時制は受検した人が全員合格している

フレックススクールとは別に、群馬県には「定時制課程選抜」で入る定時制の高校があります。いずれも全日制の高校に併設された定時制で、フレックススクールとは入試の枠も日程も分かれています。

こちらの数字は、フレックススクール以上にはっきりしています。

2026年度の公立の定時制は、12校の募集定員520人に対して志願者が89人でした。志願倍率は0.17倍です。そして受検した88人は全員が合格しています。

定時制の入試は、面接と作文が中心です。検査日は2月16日の1日だけで、高校によっては国語・数学・英語から選んだ独自の学力検査を行います。調査書は提出しますが、ここまで席が余っていると、内申点がどう扱われるかを細かく気にする段階の話ではありません。受検して、当日に極端なことがなければ入れると考えて構いません。

さらに定時制には、3月の再募集のあとにもう一度、追加募集の機会があります。出願は3月19日から24日まで、検査は3月26日です。公立高校の中では最後まで開いているルートの1つです。

2027年度に定時制を置くのは、前橋工業、高崎工業、高崎商業、桐生工業、伊勢崎工業、沼田、館林、渋川工業、藤岡中央、富岡、安中総合学園、桐生市立商業の12校です。

定時制は4年で卒業する形が基本ですが、3年で卒業できるかどうかは学校によって違うので、各校のパンフレット等で確認してください。大事なのは、入ったあとにどう学ぶか、自分の生活リズムに合うかどうかです。

公立通信制は書類審査で入れる

公立の通信制課程は、前橋清陵、高崎、桐生、太田フレックスの4校に置かれています。

入試は、提出された書類の審査で行うのが原則です。学力検査はありません。出願期間は3月4日から25日までで、全日制の合格発表のあとからでも出願できます。

学力検査がなく、出願期間も長い。全日制高校の進学に行き詰まった場合の受け皿として、現実的な選択肢です。

ただし、4校はいずれも県の中央部から南部にあります。通信制でもレポートの提出に加えて学校に通うスクーリングがあり、県の北部や山あいの地域に住んでいる場合は、通うこと自体が負担になることがあります。住んでいる場所によっては現実的な選択肢にならない場合もあるので、通学にかかる時間を先に確かめてください。

また公立通信制は学費を大きく抑えられる一方で、自分で計画を立ててレポートを積み上げていく自己管理の負担が、サポートの手厚い私立通信制より重くなりがちです。サポートを取るか、費用を取るか。

後で紹介する私立通信制と並べて比較検討することをおすすめします。

不登校から群馬県の私立高校に合格するには?

続いて私立高校です。

先に結論をお伝えします。私立の全日制は、一般的に公立より入学が厳しいと考えてください。そして何より、学校ごとに事情が違うので、志望校に直接確かめるしかありません。

ここまで見てきた公立の話と、私立の話は分けて考える必要があります。

公立は県が調査書の様式と選抜方法を定め、各高校の配点も公表しています。欠席日数が点数に入る余地も、制度として取り除かれています。一方、私立は各校が基準を決めていて、判定方法も配点も公表されていないことがほとんどです。不登校だと分かった時点でほぼ自動的に不合格になる可能性さえあります。

公立はそこまで極端な扱いはしていないと考えられるので、まだ公立のほうがフェアに戦えるというのが実情です。

私立の全日制は欠席日数を見ている

群馬県の私立高校は、通信制を除いて13校あります。入試は1月上旬から始まる学校が多く、公立の本検査(2月16日)より先に結果が出ます。

まず調査書の様式です。調査書から欠席日数の欄がなくなったという話は、あくまで公立高校入試用の様式についてのものです。

群馬県の私立高校には「群馬県私立高等学校標準様式」と呼ばれる共通の調査書があります。2027年度入試用の作成要領(2026年7月付け)を公開している学校もあり、そこには「出欠の記録」の欄があって、学年ごとの欠席日数と主な欠席理由を書く形になっています。作成要領には「欠席日数の取り扱いについては、各校で異なります」という一文も添えられています。

報道によれば、私立高校の会合に参加した11校のうち10校が、この標準様式を2027年度入試で使うことにしたとのことです。

さらに、欠席日数を出願資格の条件にしている学校もあります。たとえば前橋育英高校の2027年度の募集要項では、学力特別奨学生試験と一般試験の出願資格に「3年間の欠席日数が合計90日以内」、推薦試験には「各年度10日以内(3年次は11月末時点で7日以内)」という条件がついています。このほか、日数は示さずに「出席状況が良好」であることを出願資格にしている学校もあります。

これらは他県の私立高校と比べてもかなり厳しい書き方です。

文部科学省は毎年の通知で、不登校の生徒を欠席日数など特定の記録だけで判断しないよう求めています。それでも私立高校の出願資格や判定の方法は各学校が決めるもので、学校によっては欠席の多さがそのまま出願できるかどうかに関わります。公立で通用した「欠席は見られない」という安心感を、そのまま私立に当てはめないでください。

(参照:令和9年度 入学試験(調査書・調査書作成要領)/常磐高等学校)
※群馬県私立高等学校標準様式の調査書と作成要領が掲載されています
(参照:入試情報 生徒募集要項/前橋育英高等学校)
※2027年度の生徒募集要項が掲載されています
(参照:公立高入試の調査書から「出欠」消える 群馬、埼玉で見直し 私立高では統一様式への動き/みんなの学校新聞)

受かる見込みは学校に直接確かめる

ここまで見てきたとおり、私立については募集要項を読んでも判断がつかない部分が大きいです。

学力勝負に見える一般入試でも、募集要項に調査書を併せて見ると書いてあれば、内申点でのマイナスがないとは言えません。受かる見込みがあるかどうかは、インターネット上の情報を集めただけでは分からないのが実情です。

だからこそ、志望校を検討する段階で必ずやってほしいことがあります。

学校説明会などで個別に相談できる機会があれば、そこで学校の教員に直接話を聞いてください。

相談の場は、不登校であることがバレて不利になる場ではありません。どのみち調査書で伝わるのですから、不登校であることは隠さずに伝えてください。そのうえで、家で勉強を続けていること、高校の授業についていける学力をつけようとしていることを示しましょう。

そして、出願できるか、どの入試区分で受けるのが現実的か、欠席日数はどう扱われるかを聞いてください。教員の反応から、受け入れの見込みはある程度察することができます。

また、私立高校の授業料の実質無償化が進み、私立を志望する受験生が増える傾向は全国で見られます。1校だけに絞らず、複数の学校に話を聞いておくのがよいでしょう。

私立通信制という選択肢

全日制の通学ペースに不安が残る場合や、私立の全日制で出願資格の条件に届かない場合は、私立通信制も有力な選択肢です。

入学のハードルは高くありません。私立通信制は、通学する日数やスクーリングの形、学習サポートの手厚さを学校ごとに選べるのが特徴です。費用は公立通信制より高くなりますが、国の就学支援金の対象になります(全日制とは金額が異なります)。書類と面接、作文などで選考する学校が多く、評定や欠席日数を気にする段階の話にはならないと考えて構いません。

群馬県内に本校を置く私立通信制は、桐生市のR高等学校(学校法人角川ドワンゴ学園)の1校です。2025年2月に認可された広域通信制の高校です。このほか、全国展開している通信制高校のキャンパスが県内各地にあります。

通信制は学校によって方針もサポート体制も大きく違います。入学できるかどうかではなく、そこで3年間続けられるかどうかで選んでください。合同説明会だけで決めず、実際に足を運んで選び抜くことをおすすめします。

(参照:群馬県私立学校名簿/群馬県)
※県内の私立学校の一覧が掲載されています

まとめ:不登校から群馬県の高校受験を成功させるには?

ここまで群馬県の公立の全日制、フレックススクール・定時制・通信制、私立を順に見てきました。

群馬県は不登校から高校に入りやすい県なのか。ここまでの分析を踏まえると、公立については特殊な制度はないけれど普通にやっても戦いやすい県、私立についてはやや入りにくい県といえるでしょう。

内申点の影響をなくせる入試方式はなく、中1から中3までの評定がすべて合計されます。不登校の中学生にとっての特別措置はない県です。

それでも、総合型選抜では合否の7〜8割以上を当日の検査で決める高校が多数派で、学力検査と調査書の比はおおむね8:2前後です。2027年度からは調査書に欠席日数の欄もありません。インタビューシートと面接は合否にほとんど影響しません。そして公立の全日制は県全体で定員を下回っていて、フレックススクールと定時制、公立の通信制は席が大きく余っています。

私立は事情が違います。私立の全日制は欠席日数を記入する調査書を使い、出願資格に欠席日数の条件をつけている学校もあります。志望するなら、学校に直接確かめるところから始めるしかありません。

ここまで読んでいただければ、高校進学をあきらめる必要はないことが分かったはずです。

今は群馬県に限らず、全国どこでも定員割れの高校はあります。群馬県でも2026年度の志願倍率は0.96倍で、3月の再募集には1,101人分の席がありました。多くの高校には入ろうと思えば入れる時代です。

ただし、倍率が高い高校に入るには、不登校によるビハインドは避けられません。それを覆せるとしたら、当日の学力検査の点数を上げるしかありません。

それに、高校は入学がゴールではありません。単位を取って卒業するところがゴールです。中学の内容が抜けたまま入学すると、授業についていけずに苦しみ、転学や退学に至ることもあります。入ることと卒業できることは別の話です。

残りの中学の期間で一生懸命勉強して、中学の内容を理解した状態で高校に進んでください。過去の欠席日数も内申点も、いまから変えることはできません。けれど5教科の学力は、今日からいくらでも積み上げられます。群馬県の公立高校入試は、その努力がそのまま点数になる仕組みです。

受験を控えた皆さまに吉報が届くことを願っています。

不登校からの高校入試(群馬編)よくある質問

~高校入試をがんばる不登校生、募集中~

ということで、今回は、不登校の中学生が群馬県の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。

ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。

ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。

実は、私たちSchorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学3年生の支援プロジェクトを開始しました。

その名も、Schorbit REBOOT。

不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。

そんな中学3年生(中学2年生の途中から参加可能)を応援します。

詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。