不登校からの高校入試ガイド
【宮城 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

【公立】宮城県には本人が申請すれば多くの公立高校で内申点の影響をなくせるような仕組みがなく、ほとんどの公立高校で内申点が合否の判定に大きく影響する
【公立】内申点は中1から中3までの合計で、実技4教科が2倍になる配点。登校できない期間の影響が通知表の数字の印象以上に大きく出やすい
【公立】2026年度(令和8年度)入試から調査書の欠席欄がなくなったが、内申点という形で不利が残るため、不登校の影響がなくなったわけではない
【私立】受け入れの方針は学校ごとに異なるが、不登校の中学生にとっては公立より慎重な学校が多いと見ておいたほうがよい。学校説明会に足を運び、個別に質問できる機会に不登校であることを隠さず伝えるべき

(※以下は2026年9月時点で調査した情報を基にしています)

中学校にほとんど通えていない。
通知表には1や斜線が並んでいる。
それでも高校には行きたい。

そんな状況で宮城県の高校入試を調べ始めた方に、最初に正直な見立てをお伝えします。

宮城県は不登校の中学生にとって、他県と比べて戦いやすい地域とはいえません。

不登校になるとどうしても内申点(調査書の評定)が下がってしまうものですが、一部の自治体には、県内のほとんどの公立高校で内申点の影響をなくせる仕組みがあります。宮城県にはそうした仕組みがなく、多くの公立高校で内申点が合否の判定に使われてしまうのを回避できません。しかもその内申点は中1から中3までの3年間の合計で、不登校だと評価が下がりやすい実技4教科が2倍になる配点です。

不登校の生徒も通いやすいような新しいタイプの県立高校もつくられ始めていますが、まだ1校だけで、県全体で見れば全然足りていないのが現状です。

それでも、道がまったくないわけではありません。人口減少の影響で定員割れの公立高校が増えていて、学校を選べば進学先は確保できます。

本記事では、宮城県教育委員会が公表している2027年度(令和9年度)入試の一次資料(入学者選抜方針・選抜要項、選抜方法等一覧、入試制度説明資料)と2026年度入試の結果、県内の私立高校の公表情報をもとに、不登校の中学生が宮城県の高校受験で取りうる選択肢を解説していきます。

不登校でも宮城県の公立高校に合格できる?

結論からいうと、合格できる公立高校はあります。ただし、どの高校でも同じように受かるわけではありません。

宮城県の公立高校入試では、不登校により内申点が低い場合もそのまま影響します。不登校の生徒のために用意された特例的な選抜が県全体にあるわけではないので、制度に助けてもらうのではなく、学校選びと当日の学力検査で道を開く県だといえます。

押さえておきたいポイントは次の3つです。

  • 内申点は3年間の合計で、実技4教科が2倍になるため、不登校の影響が大きく出やすい
  • 学力検査を重く見る比重の学校は倍率が高く、内申点のビハインドを当日点だけで取り返すのは簡単ではない
  • 一方で定員割れの学校は多く、倍率が1.0倍を大きく割っていれば内申点の不利がほとんど問題にならない

このあたりを順番に見ていきましょう。

宮城県の公立高校入試の仕組みはどうなっている?

宮城県の公立高校入試は、3月上旬の第一次募集でほぼ決まります。推薦入試のような別日程の入試はなく、全員が同じ日に5教科の学力検査を受ける仕組みです。

2027年度(令和9年度)入試の主な日程は次のとおりです。

区分内容期日
出願希望調査受験生・保護者の志願先登録2026年12月10日〜2027年1月11日
出願希望調査中学校側の確認1月12日〜14日(予定)
第一次募集出願2月9日〜16日(予定)
第一次募集本試験(学校によっては面接等で2日目あり)3月3日
第一次募集追試験3月9日
第一次募集合格発表3月15日
第二次募集出願3月16日〜18日(予定)
第二次募集検査3月19日(予定)
第二次募集合格発表3月19日または23日(予定)

出願できるのは1人1校です。同じ高校に複数の学科やコースがあり、その高校が第2志望を認めている場合に限って、同じ高校の別の学科を第2志望にできます。出願希望調査のあとに志望校を変えることはできますが、出願したあとは変更できません。

インフルエンザなどで本試験を受けられなかった場合は追試験があります。対象は感染症や発熱、月経随伴症状、自然災害、試験会場に向かう途中の事故などです。緊張や不安で当日行けなかったという理由がどこまで認められるかは示されていないので、別室受験などの配慮が必要な場合は、事前に中学校を通じて相談しておくのが現実的です。

(参照:令和9年度宮城県公立高等学校入学者選抜関係/宮城県教育委員会)
※年度ごとの選抜方針・要項・様式が掲載されています

合否は学力検査と内申点の組み合わせで決まる

第一次募集の合否は、共通選抜と特色選抜という2つの選抜方法で決まります。受験生がどちらかを選ぶのではなく、出願すれば両方の対象になり、学校が決めた順番で判定されます。

このうち、どの学校にも共通するのが共通選抜です。多くの全日制高校では、募集定員の50〜90%(※)をこの方法で決めます。材料は2つです。

  • 学力検査:国語・数学・社会・英語・理科の5教科、各100点の500点満点
  • 調査書点:中学校から高校に提出される書類(調査書)に書かれた各教科の成績、いわゆる内申点を点数にしたもの。195点満点

(※体育・美術に関する学科と定時制では共通選抜の割合は10〜90%、後で触れる新しいタイプの高校では10%です)

この2つを、学校ごとに決めた比重で組み合わせて判定します。比重は学力検査:調査書で7:3、6:4、5:5、4:6、3:7の5段階です。合計点を出すのではなく、学力検査点と調査書点を縦横にとった相関図の上で、両方の満点に近い受験生から順に合格とする方式です。

つまり、共通選抜ではどれだけ学力検査の比重を高くした学校でも、内申点が判定から消えることはありません。不登校生にとっては厄介な制度ですが、これが宮城県の公立高校入試を考えるうえでの出発点になります。

特色選抜は、残りの定員を学校ごとの方法で決める選抜です。学力検査や内申点の倍率を教科ごとに変えたり、面接や作文を加えたりします。中身は学校ごとにまちまちなので、志望校の配点は県が公表している選抜方法等一覧で確認してください。

なお、県の要項には、学校に登校していない生徒を積極的に受け入れるために、特色選抜の内申点の倍率を通常より低く設定できるという規定もあります。ただし、これは学校側が配点を工夫できるという規定で、受験生が申請すれば内申点の影響をなくせる仕組みではありません。

(参照:令和9年度宮城県公立高等学校入学者選抜方法等一覧/宮城県教育委員会)
※学校・学科ごとの比重と配点が掲載されています

実技4教科が2倍になる内申点は不登校の中学生にかなり不利

共通選抜で使う内申点は、中1から中3までの3年間の評定を合計して出します。内訳は次のとおりです。

  • 国語・数学・社会・英語・理科:3年間の評定の合計(最大75点)
  • 音楽・美術・保健体育・技術家庭:3年間の評定の合計を2倍(最大120点)

特に実技教科の評定が2倍される点は、不登校生にとってかなり不利に働きます。残念なことですが、はっきりお伝えしなければならない点です。

少し補足しておくと、あらゆる教科の成績は定期テストだけで決まるわけではありませんが、実技教科はとりわけその傾向が強くなります。具体的にいえば、美術なら課題の作品を別室で仕上げて提出すれば評定がつくこともあるかもしれませんが、音楽の歌唱やリコーダーの実技、保健体育の実技は、教室に行けないと評価の材料がそろわないことがほとんどです。

学校によって対応は違いますが、私が教員として見てきた限りでは、不登校の中学生で、5教科では何とか定期テストを受けるなどして2か3がついていたとしても、評価の材料が足りない実技教科では1または斜線になるケースは珍しくありません。5教科なら家で勉強して定期テストで点を取れば評定を取り戻す余地がありますが、実技4教科はそれがとても難しいのです。

その取り戻しにくい4教科が、ちょうど2倍になっているわけです。195点満点のうち120点、つまり6割以上を実技4教科が占めます。通知表に並んでいる数字の印象よりも、内申点としてのマイナスはさらに大きいと考えておいてください。

具体的な数字で見てみます。9教科すべてが3だと内申点は117点です。5教科は3のままで実技4教科だけが1になると、5教科45点+実技24点で69点。実技の評定が落ちただけで48点も下がります。

これが内申点の比重5割の学校なら、合否の半分をこの点数が左右することになります。決定打といえるほど、大きな不利といわざるをえません。

内申点が低くても当日のテストで逆転できる?

内申点にビハインドがある場合、学力検査の比重が高い学校を選べば当日のテストで巻き返せるのではないか。そう考えるのは自然ですし、制度の上では間違いではありません。

ただ、宮城県の実際の倍率を見ると、話はそう単純ではありません。

学力重視の比重を選んでいるのは倍率の高い進学校

2027年度の選抜方法等一覧で、共通選抜の比重を学力7:内申3にしている、つまり当日の得点を重視している全日制の学科は19あります。ここでいう学科とは、普通科や商業科、工業科など学校の中の区分のことです。1つの学校に複数の学科がある場合もあるので数字は少しずれますが、ほぼ学校の数と思って読んでください。

この比重を2026年度(令和8年度)の出願倍率と突き合わせると、はっきりした傾向が見えてきます。

比重(学力:内申)学科数出願倍率1.0倍超出願倍率0.9倍未満
7:319125
6:4482023
5:5511526
4:6202
(独自集計。2027年度の比重を2026年度の出願倍率に当てはめているので、比重が年度で変わった学科があれば数字はずれます)

学力7割の学科で倍率が1.0倍を超えているのは、宮城一1.61倍、仙台一1.41倍、仙台三1.36倍、泉1.33倍、仙台東1.26倍、泉館山1.22倍、仙台二1.19倍、宮城野1.13倍などです。いずれも仙台市内の進学校で、第二次募集の枠もありませんでした。

倍率が1.2倍や1.4倍あるということは、同じくらいの学力の受験生が合格ラインの周りにひしめいているということです。そうなると、比重が3割に抑えられていても、実技4教科の分だけで数十点開く内申点の差が最後の順位を分けることになります。

したがって、学力重視の比重だから不登校の中学生に有利とは簡単に言えません。内申点にビハインドがある状態でこうした学校に挑むなら、それを上回るだけの当日点が必要になる、それは現実的にはかなり厳しいだろう、という見方が妥当です。

(参照:令和8年度宮城県公立高等学校入学者選抜に係る第一次募集等の合格状況について/宮城県教育委員会)
※学校・学科別の出願倍率が掲載されています

定員割れの学校があることは救い

一方で、倍率が大きく1.0倍を割っている学校も少なくありません。2026年度で、宮城県内の全日制高校全体の出願倍率は0.93倍でした。全体として均しても定員割れしているわけです。

とくに目立つのが、内申点の比重が5割や4割の学校です。伊具0.19倍、涌谷0.23倍、岩ヶ崎0.25倍、村田0.27倍、本吉響0.28倍、岩出山0.31倍など、定員の半分にも届かない学校がいくつもあります。

倍率がここまで低いと、内申点の比重がどうであれ、学力検査で大きな問題がなければ合格できる可能性は高いです。定員割れが合格を保証するわけではありませんが、内申点の比重が大きい学校のほうが、不登校の中学生にとっては現実に入りやすい。制度の見た目とは逆のことが起きているわけです。d

どうしても全日制に行きたいというときは、比重よりも先に倍率を見てください。倍率が1.0倍を大きく割っている学校なら、内申点の不利はそれほど心配しなくていい。倍率が付いている学校なら、比重がどうであれ内申点の差は残る。この順番で考えるのが現実的です。

仙台市内に住んでいると入りづらいケースも

ここで一つ、少し意外な傾向にも触れておきます。

2026年度の地区別の出願倍率を見ると、仙台市とその周辺にあたる中部南地区が1.18倍、中部北地区が1.09倍だったのに対し、南部地区は0.67倍、北部地区は0.68倍、東部地区は0.72倍でした。

学力7割の比重をとっている学校でも、白石0.96倍、古川0.89倍、石巻0.89倍、石巻好文館0.84倍、気仙沼0.84倍と、仙台市外の伝統校は定員を割っています。かつての地域の進学校に、以前ほど苦労せずに入れるようになっているということです。これは不登校とは関係なく、少子化と、人口が都市部に集まっていることの表れだといえます。

裏を返すと、仙台市内に住んでいて近くの進学校を目指す場合は、どこも倍率が高いため出願先に困る、ということになります。都会に住んでいるほうが不利に働く場面があるという現象が起きているわけです。

第二次募集という最後のルート

第一次募集で不合格だった場合も、定員に満たなかった学校では3月中旬に第二次募集があります。2026年度の全日制の第二次募集は、募集人数2,397人に対して出願者は88人でした。枠は大きく余っています。

第二次募集では学力検査を行わない学校もあり、その場合は調査書だけ、あるいは調査書と面接などで判定されます。学力検査がない分だけ内申点の存在感は大きくなりますが、公立高校に進学先を確保する最後のルートとして覚えておいてください。

(参照:令和8年度宮城県公立高等学校入学者選抜の結果について/宮城県教育委員会)
※高校教育課のページから入試関連の資料をたどれます

不登校の欠席日数はどう扱われる?

不登校のご家庭がいちばん気にするのが欠席日数でしょう。宮城県ではここ数年で扱いが大きく変わりました。

2026年度入試から調査書に欠席欄がない

2025年度(令和7年度)入試までは、宮城県の調査書に欠席の状況という欄があり、学年ごとの欠席日数が書かれていました。欠席が学年で7日以上ある場合は、その理由まで書く決まりでした。

これが2026年度(令和8年度)入試から削除されました。2027年度の調査書の様式を見ても、書かれるのは各教科の学習の記録、総合的な学習の時間の記録、行動の記録、特別活動等の記録、スポーツ活動等の記録、特記事項だけで、欠席日数を書く欄はありません。

河北新報は2025年8月、宮城県教育委員会が調査書から欠席の状況の記載を削除する方針を決めたと報じています。高校側は欠席状況を合否の指標にしていなかったものの、欠席が多いと不利になるという誤解を招かないようにするための措置とされています。

(参照:欠席日数が多いと高校入試に不利? 誤解解消へ宮城県教委が調査書から「欠席記載欄」削除方針 | 河北新報オンライン)
※記事を読むには会員登録が必要となります。

2026年度入試から始まった変更で、2027年度入試が2回目になります。保護者世代の記憶はもちろん、数年前に受験した兄や姉の情報もすでに古くなっています。インターネット上にも、調査書に欠席日数が書かれると説明している記事がまだ残っているので、情報の年度には注意してください。

なお、同じ報道では、欠席の状況は今後も入試とは切り離した別の形で高校に伝えられるとされています。入学後の指導に使うためのもので合否とは関係ありませんが、欠席の事実が高校からまったく見えなくなるわけではありません。

欠席欄がなくても不登校の不利は内申点に残る

ここで短絡しないでほしいのは、欠席欄がなくなったから不登校は受験に影響しない、ということにはならない点です。

先ほど見たとおり、宮城県の多くの公立高校では内申点が合否の判定に使われ、その内申点は3年間の合計で、実技4教科が2倍になります。欠席日数という形ではなくても、内申点という形をとって、不登校の影響は得点計算の中で自動的に表れます。

宮城県は内申点の比重がそれなりに高く、その中でも実技教科の割合が大きい県です。欠席欄がなくなったことで欠席日数そのものを理由に不利に扱われる心配はなくなりましたが、内申点を通じた不利はしっかり残っていると考えてください。

ちなみに、高校側が不登校であることを本当に分からないのかといえば、実技教科に1がついていれば事情はおおよそ察しがつくので、分かるといえば分かります。この辺りについては私立高校のパートで解説します。

逆に、事情を高校に伝える書類としては、中学校長が作成する副申書があります。心理的な事情などで特別な配慮が必要な場合に中学校から提出するもので、高校はその内容に配慮できるとされています。ただし、合否にどう影響するかは公表されていないので、過度な期待は禁物です。必要かどうかは中学校の担任と相談してください。

不登校の生徒が通いやすい新しい公立高校はある?

宮城県では、これまでの学校に合わなかった生徒も含め、多様な生徒を受け入れる新しいタイプの全日制県立高校づくり(idealスクールの新設)も始まっています。2027年度に仙台市青葉区に開校する広瀬ideal高校がその1校目で、単位制で学級を固定しない学校として紹介されています。

入試では全員が学力検査と面接を受けたうえで、内申点を使わず、学力検査と面接で選ぶ方式が用意されています。学力検査点と内申点を使わず、面接の得点を中心に、評定以外の調査書の記載事項も参照して選ぶ方式もあります。内申点にビハインドがある受験生にとっては注目すべき選択肢です。

ただし、まだ県内に1校、募集200人しかないので、現実的に通えるのは仙台市内や周辺に住んでいる人に限られます。しかも2027年度が初めての入試で倍率の前例がなく、入学の難易度は今の段階ではまったく分かりません。受ける場合は、不合格だったときの進路も並行して考えておいてください。

(参照:idealスクールの新設について/宮城県)

全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?

毎日の通学に不安がある場合は、定時制や通信制も選択肢になります。

定時制は倍率0.39倍で席は大きく余っている

先に結論をお伝えすると、宮城県の公立定時制は受験を心配しすぎなくていい状況です。2026年度(令和8年度)の定時制全体の出願倍率は0.39倍で、募集定員960人に対して出願者は370人でした。定員の半分以上が空いています。

定時制には、1日の授業時間を朝・昼・夜などに分けて自分で選べる多部制の学校もあります。県内では東松島(午前・午後・夜間の3部)、田尻さくら(午前・午後夕間の2部)、仙台大志(午前午後・午後夜間の2部)、貞山(昼・夜)などです。他の部の授業を組み合わせて3年で卒業できるかどうかは学校ごとに案内されているので、各校のパンフレットやウェブサイトで確認してください。

ちなみに、大崎市の田尻さくら高校と仙台市立の仙台大志高校は、特色選抜で内申点を点数に入れず、学力検査と面接だけで判定しています。田尻さくらは募集の9割、仙台大志は6割がこの選抜です。もっとも、倍率がこれだけ低ければ、内申点の扱いを気にする必要はほとんどありません。

公立通信制の美田園高校

宮城県では、たった1つだけですが公立の通信制もあります。それが美田園高校です。春の一期と秋の二期の2回募集があり、選抜は書類と面接で行われます。学力検査はありません。2026年度の一期は募集450人に対して出願者は133人でした。合格するかどうかで不安になる必要はありません。

ただし、宮城県の公立の通信制はこの1校しかありません。スクーリングは名取市の本校が中心で、原則として日曜か月曜に通う形です。大崎市でも地域スクーリングが行われていますが、年6回だけなので、本校に通う回数が大きく減るわけではありません。

名取市は仙台周辺からは通いやすい場所です。一方で、県の北部や沿岸部、県南の端に住んでいる場合は、週1回でも通い続けるのは簡単ではないでしょう。住んでいる場所によっては、公立の通信制は現実的な選択肢にならないこともありえます。

公立の通信制は学費を大きく抑えられる反面、自分で計画を立ててレポートを積み上げる自己管理の負担が、サポートの手厚い私立通信制より重くなりがちです。費用とサポートのどちらを取るか、私立通信制と並べて比べてみることをおすすめします。

不登校から宮城県の私立高校に合格するには?

つづいて私立高校です。

先にお伝えしておくと、私が教員として見てきた限りでは、不登校の生徒の受け入れに慎重な私立高校は少なくありません。世間では逆の意見も散見されますが、不登校の中学生にとって、私立は一般的に公立より入学までのハードルが高いと見ておいたほうがよいでしょう。

そのうえで最も大事なのは、受け入れの方針が学校ごとに大きく異なることです。これから推薦と一般入試それぞれの傾向を紹介しますが、最終的にはそれぞれの学校に確かめないと分からないという前提で読んでください。

宮城県の私立全日制は19校あり、入試の日程は全校でほぼそろっています。

区分期日
推薦入試2027年1月13日
一般入試A日程1月26日
一般入試B日程1月28日(東陵高校はB日程なし)
第二次入試実施する高校が独自の日程で行う

一般入試は、同じ高校をA日程とB日程の両方で受けることもできます。公立の本試験(3月3日)より1か月以上早く、全国的に見ても早めの日程です。

(参照:令和9年度 私立高等学校入試/宮城県私立中学高等学校連合会)

推薦は評定基準があり出願の段階で難しい

推薦入試では、評定などの出願条件や選考内容が学校・区分ごとに定められています。面接など学力試験を課さない区分もあれば、学力試験を行う区分もあります。多くの区分で、出願の条件として評定の基準が設けられています。

たとえば東北学院高校の2027年度入試の要項では、総合進学コースの推薦は中2〜中3の評定平均が3.5以上、国語・数学・英語の試験と調査書で選考する特別進学コースの自己推薦は4.5以上が条件です。東北高校の2025年度の要項では、推薦に中3の評定平均の基準があるうえ、中学3年間で9教科の評定がすべて記載されていることを条件にしている区分もありました(2027年度の条件は最新の要項で確認してください)。

不登校の状態で評定にビハインドがある場合、推薦入試は出願の段階で難しいと考えておいたほうがよいでしょう。

一般入試も調査書は見られる、合否の出し方は外から見えない

一般入試は学力試験が中心ですが、調査書も判定の材料になります。例えば、東北学院高校は筆記試験と調査書による総合審査、東北高校は学力試験・面接・調査書などによる総合判定としています。この総合審査や総合判定という言葉が厄介で、どちらも配点や判定の基準は公表されていません。

調査書の様式については、東北学院高校が宮城県の公立高校用の様式を、東北高校がそれぞれの都道府県の公立高校入試用の調査書の写しを指定しています。公立用の様式には欠席欄がないので、こうした学校では欠席日数は調査書経由では伝わらないことになります。

ただ、欠席欄の有無はそれほど大事ではありません。評定に多く1がついていれば、それだけで不登校であることはおおよそ伝わるからです。

ここで、公立と私立の違いを一度はっきりさせておきます。

公立も評定を判断材料にしていることに変わりはありません。ただ、公立は選抜の方法と比重を公表していて、内申点の不利はあくまで得点計算の中で表れます。私立は判定の方法も配点もほとんど公表されておらず、公立以上に中身が見えません。調査書から不登校だと判断できた時点で不合格にしている可能性さえ否定できません。

公立はおそらくそこまで極端なことはしていないので、まだ公立のほうがフェアに戦えると、筆者(元教員)の経験上では感じています。

なお、毎年、募集要項は変更されます。志望校の最新の募集要項は必ず確認してください。

(参照:高等学校生徒募集要項/東北学院中学校・高等学校)
(参照:入学試験要項/仙台育英学園高等学校)

私立高校の授業料については、2026年度(令和8年度)から国の高等学校等就学支援金が拡充され、所得制限なしで年額最大45万7,200円まで支給されるようになりました。私立を選ぶハードルが下がったぶん、私立を志望する受験生が増え、倍率が上がる傾向も見られます。

学校説明会に足を運び不登校であることを隠さず伝える

では、不登校の中学生が私立を目指すのは無理なのかというと、そうとも言い切れません。何度も書いているとおり、受け入れの方針は学校ごとに違うからです。

だからこそ、志望する学校の学校説明会に足を運んでください。そして、その場で個別に質問できる機会があれば、必ず自分の状況を伝えてください。

そのときは、不登校であることを隠さないことが大切です。どのみち評定で分かることなので、隠す意味はありません。伝えたいのは、一例をあげるなら次のようなことです。

  • 学校には通えていないが勉強は続けていること
  • 現状、高校に入ってからの学校生活になじめると考えていること
  • なぜその高校で学びたいのか

それでも現状、教室に入れていないなら受け入れは難しい、と考える学校であれば、おそらくその場で「難しい」と伝えてくれるはずです。受け入れられるかもしれないと考える学校なら、どの入試で受ければよいかなど、前向きな話をしてくれることでしょう。

言葉そのものより、話したときの教員の反応から受け入れの見込みを察することが肝要です。この感触を確かめることが、私立の受験準備の中心になると考えてください。

私立通信制という選択肢

全日制の私立が難しそうな場合は、私立の通信制高校も選択肢になります。私立通信制の多くは書類と面接や作文で選考していて、入学のハードルは高くありません。

宮城県に本校を置く私立の通信制高校としては、次の6校があります。

  • 仙台育英学園高校(仙台市)
  • 仙台白百合学園高校(仙台市)
  • 東北生活文化大学高校(仙台市、2025年4月に通信制課程を開設)
  • クラークNEXT高校(仙台市、2026年4月開校)
  • 飛鳥未来きずな高校(登米市)
  • 東陵高校(気仙沼市)

いずれも県外からも生徒を受け入れる広域通信制ですが、本校が宮城県内にあるので、スクーリングなどで本校に通うことを考えれば県内に住んでいる人には通いやすい学校です。このほかにも、全国展開している通信制高校のキャンパスが仙台市を中心に県内各地にあります。

さらに、仙台市の東北高校が2027年4月に通信制課程を開設する予定です。河北新報の報道によると、定員は1〜3年で240人。宮城県と山形県から生徒を募集し、選考は書類審査と面接だけで行われます。2027年度入試を受ける今の中学3年生が、その最初の入学者になります。

ちなみに、仙台育英学園高校、仙台白百合学園高校、東北生活文化大学高校、東陵高校の4校と、上述の東北高校は、全日制の課程と同じ学校名で通信制の課程を置いています。全日制が通信制も併設しているという形になります。

通信制は学校によって方針もサポート体制も大きく違います。入学できるかどうかではなく、そこで3年間続けられるかどうかで選んでください。

まとめ:不登校から宮城県の高校受験を成功させるには?

ここまで宮城県の公立、定時制・通信制、私立を順に見てきました。

総合すると、宮城県は不登校の中学生にとってどちらかといえば厳しい県です。

本人の申請で多くの公立高校の内申点の影響をなくせるような仕組みはなく、多くの公立高校では内申点が判定に使われます。その内申点は3年間の合計で、不登校だと下がりやすい実技4教科が2倍になる配点です。

調査書の欠席欄はなくなりましたが、不登校の影響は内申点という形で残ります。学力重視の比重をとる学校はあっても、その多くは倍率の付く進学校で、内申点の差は3割でも残ります。

私立は一般に受け入れに慎重な学校が多いうえ、中身が外から見えにくいので、学校説明会等に足を運んで直接確かめることが欠かせません。

それでも、ここまで読んで不安になった方に、最後にお伝えしたいことがあります。

高校に行けるかどうかでいえば、行けます。全日制も含めてです。

すでに述べた通り、宮城県に限らず、全国どこでも定員割れしている高校があるからです。宮城県でいえば、2026年度は全日制の出願倍率が0.93倍で、定員の半分にも届かない学校がいくつもありました。全日制の第二次募集でも2,000人を超える枠がありました。

不登校だからもう高校には行けない、全日制には行けないと悲観する必要はありません。まずはそこは安心してください。

ただ、安心したうえで改めて考えてほしいのは、希望する高校に入るためには多少のビハインドは避けられないということです。それを覆すような確かな学力が必要となります。

もう1つ考えるべきは、全日制の高校に入れたとしても、卒業できるかは別の話だということです。中学の内容が抜けたまま入学すると、授業についていけずに苦しむことになりかねません。

定員割れの学校なら学力検査で高い点を取らなくても合格できるかもしれません。それでも受験勉強をして、中学の内容を理解した状態で高校に進んでください。そのために、今日から毎日少しずつでも勉強を積み上げていきましょう。

皆さまに吉報が届くことを願っています。

不登校からの高校入試(宮城編)よくある質問

~高校入試をがんばる不登校生、募集中~

ということで、今回は、不登校の中学生が宮城県の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。

ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。

ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。

実は、私たちSchorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学3年生の支援プロジェクトを開始しました。

その名も、Schorbit REBOOT。

不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。

そんな中学3年生(中学2年生の途中から参加可能)を応援します。

詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。