不登校からの高校入試ガイド
【広島 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

要約:広島県の不登校からの高校入試ポイント
(※以下は2026年5月時点で調査した情報を基にしています)
中学校にほとんど通えていない。
通知表には「1」や斜線が並んでいる。
それでも高校には行きたい。
そんな状況で広島県の高校入試を調べ始めた方に、最初に正直な見立てをお伝えします。
広島県は、不登校の中学生にとって特別に厳しい県ではありませんが、特別に優しい県でもありません。全国的にみればちょうど中間くらいというのが実情に近いと思います。
不登校生にとって有利に働くポイントは、公立高校入試でいうなら大きく3つあります。
1つ目は、令和5年度の入試制度改革で、調査書から欠席日数の欄が消えたこと。
2つ目は、合否判定の6割を当日の学力検査が占める、やや学力重視の設計になっていること。
3つ目は、内申点の計算で中3の評定が3倍扱いになるため、中1・中2のブランクを後から取り戻せることです。
ところが、見方を変えれば「これだけ」であり、不登校の生徒だけが使える特例的な選抜制度は、広島県の公立入試には存在しません。
つまり、特別扱いはしてくれないけれど不利益も受けにくい、そんなバランスの県です。そして私立高校については、他県同様に比較的厳しい状態です。
本記事では、広島県教育委員会が公開している令和8年度入試の一次資料(実施要項、志願状況など)と、県内の学習塾・私立高校の公表情報をもとに、不登校の中学生が広島県の高校受験で取りうる選択肢を、公立、公立の定時制・通信制、私立の順に解説していきます。
不登校でも広島県の公立高校入試に合格できる?
先に全体像だけつかんでおきましょう。
広島県の公立高校入試は令和5年度に大きく変わり、それまでの選抜Ⅰ(推薦型)と選抜Ⅱ(一般型)が「一次選抜」に一本化されました。推薦入試は存在せず、全員が同じ土俵で、学力検査・調査書・自己表現の3つで勝負する形です。
つまり、公立高校入試は一発勝負になったということです。
広島県内の学習塾である鷗州塾の解説記事では、選抜Ⅰ・Ⅱの統合により「受検のチャンスは原則一次選抜の1回」になったこと、これまでのように選抜Ⅰと選抜Ⅱで別の高校を受けることはできなくなったこと等が詳しく説明されています。

そのうえで、不登校のご家庭に最初に押さえておいてほしいことがあります。
広島県には、不登校の生徒のために用意された特別な選抜制度がありません。一部の県にある長期欠席者向けの特例選抜や、内申点を一切見ずに当日のテストだけで一定割合の合格者を決める枠のようなものは、広島県の公立入試には存在しないのです。
それでも絶望する必要はありません。
広島県は、調査書に欠席日数を載せず、合否判定に占める内申点の比重も小さめという、不登校生が結果的に不利益を受けにくい制度設計になっています。
救済はしないが、不利があったとしても小さい。この距離感を念頭に置きながら、制度の中身を正しく理解して戦い方を組み立てていきましょう。
また、公立高校入試が一発勝負と聞くと不安になるかもしれませんが、後述するように、出願後に1回だけ志望校を変えられる志願変更の制度や、定員割れ校で実施される二次選抜もあります。
順に見ていきます。

広島県の公立高校入試の仕組みはどうなっている?
広島県の一次選抜は、毎年2月下旬に2日間かけて行われます。令和8年度は2月25日に5教科の学力検査、翌26日に自己表現、3月9日に合格発表という日程でした。
出願は原則1人1校1課程1学科(同一校内で第3志望まで併願できる学科もあります)で、出願後、2月中旬の期間内であれば志願変更ができます。
一次選抜で定員に満たなかった学校・学科では、3月17日に二次選抜が実施され、翌18日に発表されます。

※入学者選抜のページから年度ごとの実施要項PDFがダウンロードできます)
合否を決める3つの要素と「6:2:2」
一次選抜の合否は、次の3つの資料で決まります。
| 資料 | 内容 | 配点 |
|---|---|---|
| 一般学力検査 | 国社数理英の5教科(各50分) | 各50点×5=250点満点 |
| 調査書 | 9教科の評定(学習の記録) | 225点満点 |
| 自己表現 | 個人ごとの面談形式(10分以内) | 検査官1人あたり15点満点×2〜3人 |
そして重要なのが、全校共通の「一般枠」では、この3つを学力検査6:調査書2:自己表現2の比重で換算して合否を決めるというルールです。数字のとおり、合否の6割は当日のテストで決まります。
学校によっては、これに加えて定員の50%以内で「特色枠」という独自比重の選抜を先に行いますが、これは次章で詳しく扱います。
内申点は「中3が3倍」。中1・中2の穴は取り戻せる
調査書の225点満点の内訳は、実施要項に次のように定められています。
- 中1の9教科の評定(5段階):45点
- 中2の9教科の評定(5段階):45点
- 中3の9教科の評定を3倍:135点
つまり、中3の成績だけで内申点全体の6割を占める計算です。
中1・中2でほとんど登校できず評定が「1」や斜線だったとしても、中3で定期テストを受けて評定を立て直せれば、内申点での不利はかなりの部分まで取り戻せます。
たとえば中1・中2がオール1(9点+9点=18点)でも、中3でオール3を取れば27×3=81点が加わり、合計99点。3年間フルで欠席していた場合(45点)との差は歴然です。
3年間の評定をそのまま同じ重みで足し合わせる県と比べて、不登校からの巻き返しがききやすい設計になっています。
これは裏を返せば、中1~2まで元気に通えていたとしても、中3で不登校になると一気に内申点が落ちてしまうということでもあります。
広島の塾・広大研のブログでも、内申点と当日点の内訳を具体的に試算しながら、中3の成績と学力検査がいかに合否を左右するかが解説されています。

内申点が低くても、当日のテストで逆転できる仕組みはある?
この制度のもとで、不登校中学生の高校入試の逆転合格は可能でしょうか。
結論からいうと、広島県では特別な救済枠を探すまでもなく、全員に適用される一般枠のルールそのものが不登校生の武器になります。
ここを正しく理解しておきましょう。
全校共通の「一般枠6:2:2」。ただし内申差がゼロになるわけではない
一般枠の比重6:2:2は、どの公立高校を受けても変わりません。
調査書の配点は換算後の2割にとどまり、しかもその中身は前述のとおり中3の評定が6割を占めます。つまり、中1・中2の不登校によるマイナスは、合否全体からみると影響が抑えられる構造です。
ただし、ここで冷静に考慮すべきことがあります。比重が2割に圧縮されるとはいえ、調査書でつく差が消えてなくなるわけではありません。
調査書は225点満点なので、たとえばオール3とオール5では90点の開きがあります。倍率がしっかりつく上位校では、合否ライン付近に同じくらいの学力の受験生がひしめくため、圧縮されてもなお残る内申差が最後の順位を左右する場面は普通にあります。
つまり、内申点にハンデを抱えた状態で人気校・上位校に挑むなら、それを上回るだけの高い当日点が必要になるということです。
逆に、倍率が1.0前後かそれを下回る学校であれば、内申点でのビハインドが合否を分ける場面はほとんどなくなります。志望校の倍率と、自分がどれだけ得点を伸ばせそうかを冷静に照らし合わせることが、広島県での志望校選びの出発点になります。
なお、広島県の公立高校入試は、平均点がそれほど高くないため、市立基町高校、県立広島高校などの上位校を除けば、内申点を度外視して、筆記試験(学力検査)で戦うことはまったく無謀ではありません。(それに見合った学力が必要になるのはもちろんですが。)
「特色枠」はむしろ内申重視、ただし怖がる必要はない
もう一つ、「特色枠」という広島県の独自制度についても解説します。これは不登校の生徒にとっては、多くの場合、不利に働きます。
一次選抜では、学校ごとの判断で定員の50%以内に「特色枠」という選抜が設けられることがあります。比重や傾斜配点を各高校が自由に決められる枠ですが、注意が必要です。
というのも、特色枠の配点比重は学校ごとに決められる仕組みで、必ずしも学力検査重視になるとは限らないどころか、その逆の方向性に舵を切っている高校が多いからです。
広島の学習塾情報サイト「学チャン」の解説記事では、広島市立基町高校(普通科)の特色枠が学力検査:調査書:自己表現=4:4:2に設定されている例や、安古市高校が令和7年度入試から特色枠の比重を4:4:2から2:6:2(調査書重視の方向)に変更した例が、入学者選抜シートの画像つきで紹介されています。

2割と6割では大きな違いです。このような場合、内申点に頼れない不登校生が特色枠で合格するのは、正直なところ望み薄です。ただ、それで諦める必要はありません。
広島の特色枠は「特色枠か一般枠のどちらかを選んで出願する」ものではなく、まず特色枠で合格者を決め、そこで合格にならなかった受検生全員を、改めて一般枠6:2:2で判定するという二段階方式です。
特色枠がどんな比重でも、定員の50%以上は必ず一般枠の学力重視ルールで争われます。内申が弱い受験生の土俵は、制度上つねに確保されているわけですから、志望校を変える決定的な理由にはなりません。
定員割れと志願変更をどう活かすか
もう一つの現実的な追い風が、定員割れです。
令和8年度一次選抜の志願状況をみると、全日制全体の志願倍率は0.94倍で、忠海0.26倍、御調0.20倍、三原東0.44倍など、偏差値中位から下位の学校を中心に大幅な定員割れが広がっています。
| 状況 | 令和8年度の実例 |
|---|---|
| 全日制全体の志願倍率 | 0.94倍 |
| 大幅な定員割れの例 | 御調0.20倍、忠海0.26倍、三原東0.44倍、大竹0.38倍など |
| 定時制(14校17学科)の倍率 | 0.28倍 |

倍率が1.0を下回る学校なら、当日の学力検査と自己表現で大きな問題がなければ、内申点が低くても合格圏に入る可能性は高いです。
さらに広島県には出願後の志願変更制度があるため、2月上旬に公表される志願状況を見てから、倍率の落ち着いた学校へ1回だけ動くという戦い方も可能です。
一次選抜で不合格だった場合も、3月の二次選抜が残されています。二次選抜は学力検査がなく、調査書と自己表現(学校によっては面接や作文など)で判定される仕組みです。学力検査がないぶん調査書の存在感が増す点には注意しつつ、公立高校で進学先を確保する最後のルートとして覚えておいてください。

不登校の「欠席日数」や「自己表現」はどう扱われる?
不登校のご家庭が最も気にするのが、欠席日数と面接等がどう扱われるかでしょう。広島県はこの2点について、全国でも先進的な運用をしている県です。
調査書に「出欠の記録」の欄がない
驚かれるかもしれませんが、令和5年度以降、広島県の公立高校入試の調査書(中学校から高校に提出する書類、俗に内申書とも呼ばれる)には、欠席日数を書く欄がそもそもありません。
実施要項の別紙1「調査書情報の作成方法等について」に定められた作成項目は、志願先情報、出身中学校情報、志願者情報、そして学習の記録(9教科の評定)のみです。出欠の記録、部活動の記録、行動の記録、所見といった欄は存在しません。
何日休んだかという情報は、制度上、志願先の高校に届かないのです。
これは令和5年度の入試制度改革によるもので、実は他の都道府県でも同様の動きが起こっております。広島県以外でも、すでに東京都・神奈川県・大阪府・奈良県等がそうなっておりますし、他の県でも同様の方針を打ち出しているところが多くあります。
「欠席が多いからマイナスになるのでは」というよくある心配は、広島県の公立入試では構造的に起こりません。
ところが、欠席日数と連動して残る問題として、評定(内申点)があります。こちらについては、特別対応はありませんから、ある程度のマイナスは避けられません。ただし、その影響力はそれほど大きくはありません。広島県は前述のとおり、中3で巻き返しやすいようになっています。
「自己表現」は面接ではない。話し下手でも不利にならない
広島県の一次選抜では、受検者全員が2日目に「自己表現」という試験を受けます。
検査官2〜3人を相手に、自分のこと(得意なことやこれまで取り組んできたこと)や高校入学後の目標を、自分で選んだ言葉や方法で表現する10分以内の面談です。
面談や面接と聞くと「不登校のことを詰められるのでは」と身構えてしまいますが、県教委が公開しているQ&Aには、そうした不安を和らげるような回答がはっきり書かれています。
話すことが苦手なことで直接不利になることはない、礼儀作法や話し方のテクニックをみるものではない、部活動・生徒会・ボランティアなどの実績は評価しない、といった内容です。
場面緘黙などで話すことが難しい場合の特別措置についても案内されています。

実績を評価しない検査だという点は、学校行事や部活動の経験が乏しくなりがちな不登校生にとって大きな安心材料です。中学校生活の空白を問う場ではなく、いまの自分とこれからを語る場だと捉えてください。
配点面でも過度に恐れる必要はありません。
広大研のブログでは、自己表現は3つの観点を各3〜5点で評価する仕組みで「9/15=6割が最初から点数として保証されている」こと、原稿の持ち込みが可能なこと(そのまま読み上げるのはNG)、志望理由を無理に盛り込む必要はないことなどが、塾講師の視点で解説されています。

なお、導入当初にあった「自己表現カード」は令和7年度入試から廃止されています。古い解説記事にはカード前提の説明が残っているので、情報の年度には注意してください。
事情を伝えたいときは「自己申告書」(様式第5号)
欠席日数が伝わらないとはいえ、評定の低さの背景や、高校生活への意欲を自分の言葉で伝えたい場合もあるでしょう。
広島県では、特別の事情のある志願者と過年度卒業生が、自己申告書(様式第5号)を提出できます。
志望の動機・理由や高校生活への抱負を本人が記入し、保護者の記入欄も設けられた書類で、提出された場合は選抜資料に加えて総合的に判断すると実施要項に明記されています。
自己申告書は全国一律で導入されているわけではないものの、国の方針をもとに、多くの都道府県で導入が進んでいるものです。
合否への影響度は公表されていないため、これで内申点の不足が埋まると期待するのは禁物です。それでも、前向きな意欲を公式ルートで伝えられる手段として提出する価値はあります。
なお、入試当日の体調不良に備えた追検査もありますが、対象は非常災害や感染症など本人に責任のない事由に限られています。
緊張や不安による欠席はカバーされない可能性が高いため、別室受検などの配慮が必要な場合は、事前に特別措置願(様式第3号)を中学校経由で申請しておくのが現実的です。

全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?
毎日の通学に不安がある場合、広島県には全日制以外の公立の選択肢も揃っています。県内で特に特徴的なのが、広島市中心部にある広島みらい創生高校です。
広島みらい創生高校(フレキシブル課程)
広島みらい創生高校は、定時制の「平日登校コース」と通信制の「通信教育コース」を一体運用するフレキシブル課程の単位制高校です。
学ぶ時間帯・科目数・卒業までの年数を自分で決められ、3年での卒業も可能です。2年次以降はコースをまたいで科目を履修することもできます。
文部科学省のインタビュー記事では、同校の先生の話として、平日登校コースの約半数、通信教育コースの4分の3が中学校までに不登校を経験していることが紹介されています。
広島大学と連携したソーシャルスキルトレーニングなど、不登校経験者を前提としたサポートが組み込まれた学校です。

入試については、一次選抜で他の公立と同じく学力検査が課されます(一般枠6:2:2)。
ただ、令和8年度の志願倍率は平日登校コース0.80倍、通信教育コース0.48倍。この数字を踏まえると、入学のハードルは高くありません。学力検査で極端なことがなければ、基本的には受かると考えていてください。
同校の二次選抜(3月下旬)は、二次選抜を実施する他校との併願が認められている点も、実施要項に付属する同校の選抜基本方針に明記されています。公立なので学費も安く、入学者選抜料950円、入学料1,100円、平日登校コースの授業料は1単位1,740円です。
全日制での進級や卒業が不安な場合、現実的に通うことが可能な場合、検討に加えてもよいでしょう。
定時制と県立東高校(公立通信制)
他の公立の定時制高校や通信制高校についてみていきましょう。
県内には定時制課程を置く高校が14校あり、令和8年度の志願倍率は全体で0.28倍と、こちらも入学のハードルは高くありません。
ただし広島県の定時制の一次選抜は、全日制と同じ5教科の学力検査で行われる点には注意してください。学力検査に代えて作文・面接で受検できるのは、満20歳以上の志願者に限られます。
もう一つ知っておきたいのが卒業までの年数です。
定時制は1日の授業時間が少ないぶん、4年かけて卒業するのが伝統的な形で、広島県の夜間定時制も基本はこの4年型です。ただ、3年での卒業ルートが明示されている学校もあります。
前述のみらい創生高校に加えて、福山市の芦品まなび学園高校(午前部・午後部・夜間部の三部制・単位制)は、公式サイトに、自分の在籍する時間帯で年間19単位を修得でき、他の時間帯から年間上限11単位を選択することで3年でも卒業できると明記されています。
定時制への進学を希望する中で3年卒業にこだわりたい場合は、確認できた範囲では、この2校が候補となるでしょう。

一方、県東部の福山市には、もう一つの公立の通信制高校である東高校があります。
この学校の選抜には学力検査がなく、志望理由書1:調査書1:自己表現1の比重で総合判断されると実施要項に定められています。スクーリングは日曜・火曜(および木曜夜間)で、三原市と世羅町にも学習会場が設けられています。

公立の通信制は学費を大きく抑えられる反面、自学自習で単位を積み上げる自己管理の負担が私立通信制より重くなりがちです。
サポートの手厚さを取るか、費用を取るか、私立通信制と並べて比較検討することをおすすめします。
不登校から広島県の私立高校に合格するには?
つづいて私立高校について見ていきましょう。
広島県の私立入試は例年1月中旬から下旬に集中していて、公立の一次選抜より1か月以上早く決着します。日程の全体像は、広島県私立中学高等学校協会のサイトで毎年公表されています。

広島の私立入試は「推薦・専願・併願」、ただし専願の意味に注意
広島の私立入試の受け方は、大きく推薦・専願・併願に分かれます。
ここで注意したいのが、広島でいう専願は他県の単願とはニュアンスが違うことです。一般的な意味での専願は、推薦の方になります。
「必ずその学校に入学するか」「公立と併願できるか」という2つの軸で整理すると、実質3パターンに分かれます。
少し古い資料ですが、広島県教育委員会が平成28年に私立各校の募集要項等を調査してまとめた資料では、次のように整理されています。
| 呼び方 | 必ず入学? | 公立との併願 | 他の私立との併願 |
|---|---|---|---|
| 推薦入試/専願②(単願) | する(無条件で確約) | できない | できない |
| 専願①(一般入試の一種) | 公立が不合格の場合のみする | できる(公立が本命) | できない |
| 併願(一般入試の一種) | しない | できる | できる |

推薦入試と専願②は、中学校長の推薦が要るかどうかという出願条件の違いはありますが、受験生からみた結果(合格したら必ずその私立に進学する、他は一切受けられない)はほぼ同じです。
「本命がその私立の人向け」とまとめて理解して構いません。
専願①は、広島特有のわかりにくさの元になっている枠です。名前は「専願」ですが、実際には公立が本命で、公立に落ちたときの保険としてその私立への入学を確約する仕組みです。受験生からすると、公立との併願は成立していて、私立同士の併願だけができない、という位置づけになります。
併願は、公立とも他の私立とも自由に組み合わせられる、一番制約のないパターンです。
なお、「専願①」「専願②」という番号呼称はこの県教委資料独自の便宜的な分類ですが、専願①が指す「公立本命・私立は保険」という運用そのものは今も生きています。
広島市安佐南区の個別指導塾オールウェイズのブログでも、広島の専願について「実際には併願のように見えても、公立結果にかかわらず受けた私立に行く可能性を確約している点が特徴」と説明されており、推薦・専願とも内申点の基準を満たすことが前提になるとされています。
また、私立高校無償化の影響で私立第一志望の層が増え、専願の倍率や内申基準が上がる可能性にも触れられています。

私立の合否は内申基準が軸。不登校生には公立より狭き門
広島の私立入試の実態は、正直にいえば、各校が設けている内申基準を満たしているかどうかで受かりそうかが事前にほぼ見えている世界です。
育伸社がまとめている広島県の私立募集要項一覧をみると、たとえば出願条件として「3年次9教科の評定合計が専願30・併願31以上」のように、具体的な内申の数字を明示している学校が確認できます。
専願の方が併願より基準がやや緩いという傾向も読み取れます。

この仕組みは、不登校の受験生にとってかなり都合が悪いものです。
合否の軸が内申点である以上、不登校で評定が低い、あるいは評定自体がつかない状態では、専願・併願の土俵に乗る段階でつまずいてしまうからです。
公立の一般枠のように、当日のテストで内申を補える仕組みが制度として保証されているわけでもありません。結論として、広島県の私立高校は、不登校の中学生にとって公立より行きづらいルートだと考えておくべきです。
特に、中3になっても登校が難しく、定期テストをほとんど受けられていない場合、内申基準を前提とする私立入試の正面突破は相当に厳しくなります。
この状態から高校進学を目指すなら、まず公立の一般枠か、後述する通信制を軸に据えるのが現実的です。
なお、欠席日数そのものについては、首都圏の私立でよく見る「3年間で欠席20日以内」のような基準は、広島の要項では見当たりません。
ただし明文化されていないことは、影響がないことを意味しません。私立は公立と違って調査書の様式も選考基準も各校の裁量で決まるため、欠席がどう扱われるかは外からは見えないのが実情です。
それでも、扉が完全に閉ざされているとまでは言えません。欠席日数や内申点の不足を、模試の成績や検定などの別の材料で補えるかどうかは、学校ごとの方針次第です。
なお、先ほど「広島県の調査書から出欠の記録がなくなった」といったことを記載しました。それなのになぜ私立は出席が影響するのかと疑問に思われるかもしれません。
公立入試の調査書に出欠の記録欄がないという規定は、あくまで公立高校入試用の様式についてのものです。私立高校は公立とは別の調査書を使う都道府県は珍しくなく、広島県内の中学校がインターネット出願・調査書提出システムのmiraicompassを通じて私立高校向けに使う調査書テンプレートには、実際に出欠の記録欄が含まれています。
そのため、公立で通用した『欠席は見られない』という安心感をそのまま私立にも当てはめるのは禁物です。
むしろ見られると思っておいた方がよいでしょう。

だからこそ、不登校の受験生が広島の私立を目指すなら、夏から秋の学校説明会・オープンスクールで個別相談に足を運び、欠席や評定の状況を正直に伝えたうえで、出願可能か、どの方式で受けるべきか、内申以外に見てもらえる材料はあるかを直接確認してください。
学校側と接点を持っておくこと自体が、広島の私立受験では実質的な出願準備の一部になっています。
他に、全日制の出席ペースや内申基準に不安が残る場合は、県内の私立通信制も有力です。
福山市の東林館高校は在籍生徒の約7割が不登校経験者と紹介されており、広島市の並木学院高校など通学頻度を選べる学校もあります。全日制と通信制の両課程を持つ広島新庄高校のような学校を選んでおくと、入学後の保険にもなります。
もちろん、全国展開している広域通信制高校もありますが、こうした地元で運営している通信制高校も検討すべきかと思います。

まとめ:不登校から広島県の高校受験を成功させるには?
ここまで広島県の公立、定時制・通信制、私立を順に見てきました。
広島県は不登校から高校に入りやすい県なのか。
正直に答えるなら、どちらとも言えない、全国的にみれば中間くらいの県です。
不登校の生徒が使える特例選抜や、内申点を見ない一発勝負枠を用意している県と比べると、広島の制度は物足りなく映ります。その一方で、調査書に欠席日数が載らず、内申点の比重も小さめで、面接の代わりの自己表現も実績を問わない。不利益を受けにくい設計になっていることも確かです。
令和5年度の制度改革を経て、不登校生にとっての戦いやすさは全国の真ん中あたりに落ち着いたというのが本記事の見立てです。
そのうえで、公立高校入試の勝ち筋ははっきりしています。
中3の1年間で5教科の学力と評定をどこまで立て直せるか。そして、倍率のつく上位校では内申差も効いてくることを踏まえ、志願状況と自分の得点力を照らして志望校を選ぶこと。最悪、内申点でのビハインドは織り込んでしまっても、配点が少ないため、受験学力さえ身につけば筆記試験だけで巻き返せます。
また、定員割れの学校や志願変更の制度も現実的な武器といえます。
一方で私立高校は、内申基準が軸である以上、不登校生には公立高校より狭き門です。
それでも学校ごとに方針の幅はあるので、個別相談で事情を伝え、内申以外の材料で見てもらえる余地を早めに確認しましょう。全日制が難しければ、フレキシブル課程の高校、公立の定時制高校や通信制高校、他にも私立通信制という選択肢もあります。
これを読んでいるあなたが今どういう状態にあるかはわかりませんが、とにかく諦める必要はありません。これからの学習と情報収集は、いまからいくらでも積み上げられます。
皆さまに吉報が届くことを願っています。

不登校からの高校入試(広島編)よくある質問
~高校入試をがんばる不登校生、募集中~
ということで、今回は、不登校の中学生が広島県の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。
ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。
ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。
実は、私たちSchorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学3年生の支援プロジェクトを開始しました。
その名も、Schorbit REBOOT。
不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。
そんな中学3年生(中学2年生の途中から参加可能)を応援します。
詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。

