通信制大学とは? 種類・選び方・学歴のリアルを元教員が解説

「通信制大学とはどんなところ?」
「種類が多すぎて選べない」
「卒業しても学歴にならないのでは?」
こちらはそんな疑問に答える記事です。
大学受験を考えているすべての方(全日制または通信制高校生、高卒認定試験を受ける方、社会人)のうち、特に通信制大学を検討している方に向けて、種類・選び方・学歴のリアルを整理しました。
ひとくちに通信制大学といっても、慶應義塾大学のような名門の通信教育部から、放送大学、新しいオンライン大学まで、その性格はかなり異なります。
「入学は易しいが卒業は難しい」ところもあれば、働きながら学位を取りやすいところもある。この記事では、それらを大きく4つのタイプに分けて、それぞれの特徴と選び方を正直に解説します。
なお、通信制ではない一般的な大学(通学型)への進学を考えている方は、別記事で受験資格・入試方式・合格後の進め方を解説しています。特に高認受験者にっとっては、受験資格・入試方式・合格後の進め方に加え、出願手続き(証明書・調査書の扱い)も解説していますので、あわせてご覧ください。
通信制大学は「学歴にならない」って本当?
まず結論から簡単に述べます。
通信制大学を卒業すれば、れっきとした「大卒(学士)」の学歴になります。取得できる学位は通学課程とまったく同じで、最終学歴も「大学卒」です。「通信制大学は学歴にならない」というのは、基本的に誤解だと考えてよいでしょう。
では、なぜ「学歴にならない」と言われるのでしょうか。その不安の正体は、大きく2つに分けられます。
- 卒業のハードルが高い
通信制大学は入学こそ易しいものの、卒業はかなり難しい。途中で挫折して中退すれば、当然「大卒」にはなりません(たとえば慶應義塾大学の通信教育部は、卒業率5%前後ともいわれます)。つまり「学歴として実際に手にできる人が限られる」という現実が、この言葉の背景にあります。 - 就職市場での評価に差が出ることがある
学位そのものは同じでも、通常の大学(通学課程)ほどのブランド評価を得にくい場合があり、とくに新興のオンライン大学は評価がまだ発展途上です。これは「学歴として無効」なのではなく、「評価のされ方が違うことがある」という話です。
つまり問われるのは「学歴になるか・ならないか」ではなく、「卒業までやり切れるか」と「どう評価されるか」です。
自分の目的――資格を取りたいのか、学位がほしいのか、ブランドを重視するのか――に合った大学を選べば、通信制大学は十分に意味のある学歴になります。次の章から、その選び方をタイプ別に見ていきましょう。
1. 名門大学の通信教育部(難関・厳格系)
代表例:慶應義塾大学通信教育部、早稲田大学人間科学部eスクール、法政大学通信教育部、近畿大学通信教育部
これらそうそうたる名門大学にも通信制部門(通信教育部という名称になっています)が設置されています。これらの大学に対しては、ほとんどの人が通学型大学としてのイメージしか持っていませんので、下世話な言い方をすれば、卒業すればかなりの箔がつくことになります。
ところが、入学するのは簡単でも卒業するのは難しいのがこれらの特長です。
- 学費は比較的安いが、時間がかかりやすく、卒業難易度が高いのが特徴。
- 入学の敷居は低く(書類選考中心)ても、卒業は非常に難しい。
- たとえば慶應の通信は「卒業率5%前後」ともいわれており、強い自己管理力と継続学習能力があり、卒業できる自信のある人しか入学はおススメできない。
- ネームバリューを得たい社会人や再チャレンジ層に人気。
2. 伝統的な大規模校(放送大学など)
代表例:放送大学、佛教大学通信、創価大学通信、玉川大学通信
伝統的という表現が適切かどうかはわかりませんが、日本で通信制大学というと最も認知されているのは放送大学ではないでしょうか。ケーブルテレビなどで「いろんなチャンネルがあるんだなあ」とザッピングしているときに一度は目にしたことのある方も多いはず。
他にも、佛教大学、創価大学、玉川大学など、有名大学の通信教育部でわりと古くからあるものもこのカテゴリーに属するといえるかもしれません。
- 放送大学は国内最大規模で、在学生数8万人超。
- 教員免許や福祉系資格など、資格取得のために活用する人も多い。
- 慶應通信ほどではないが、佛教大・玉川大・創価大の通信も簡単に卒業できるわけではない。(入学さえすれば大抵卒業できるというレベルではない。)
- 「科目履修生」として単科受講できる柔軟な制度も特徴。
3. 新興オンライン大学(完全オンライン型)
代表例:東京通信大学(2018年)、managara(2021年)、東京経営大学(2025年)、ZEN大学(2025年)、サイバー大学(2007年)
目下、話題をかっさらっているのがこれらの大学です。オンライン対応の通信制高校のようにオンライン中心で「新しい学びができる」という打ち出しをしています。
特に2025年度などは、N高と同じ学校法人が運営するZEN大学の開学が話題となっていますが、そのコンセプトを冷静に考えると、サイバー大学はかなり先見の明があったといえるかもしれません。
なお、同じ年度に開学した東京経営大学は、「資格の大原」でおなじみの大原学園グループですね。東京経済大学などと名前が似ていますが、振興の大学です。
- 完全オンライン完結を打ち出す大学が増加中。学生もそれにつれて増加中。
- 東京通信大学は2025年4月時点で6000名以上、ZEN大学は初年度だけで3000名以上が入学。
- スクーリング(対面授業)は原則不要または最小限。
- 新しいタイプの学問が学べることをウリにしていることが多い。
- 働きながら、子育てをしながらでも学びやすい環境が整っている。
- 就職市場でのブランド力はまだ発展途上だが、オンライン型の通信制高校卒業生にとっては最も相性の良い大学といえる。
4. 準大規模 資格志向型(教育・心理・芸術など)
代表例:武蔵野大学通信(教育・心理・福祉)、星槎大学通信(教育・福祉)、京都芸術大学通信(芸術)
他に存在感があるのは武蔵野大学の通信制でしょうか。伝統ある大学としてはわりとオンライン寄りのカリキュラムになっているそうです。
星槎大学はグループで通信制高校なども運営しておりますので、不登校支援や通信教育系での一貫校ともいえますね。そして京都芸術大学も、芸術系が通信で学べるという明確な特徴をもっています。
- 教員免許や心理や福祉資格、芸術系スキルなど、特定分野に特化している。
- 「特定の資格を取りたい」「専門スキルを深めたい」という明確な目的を持つ人に向いている。
入学方法と時期について
大学に限らず、学校といえば日本では4月に入学して3月に卒業するものというイメージが強いかもしれません。そして、その直前には入学試験がある。
実は通信制大学の場合、そこがかなり多様になっています。春入学と秋入学を二種類用意しているところも多いですし、選考も入学試験というほどのものはなく、書類選考のみとなっているところが多いです。
基本的に、「入学よりも卒業で苦労するのが通信制」というイメージをもっておくとよいかもしれません。
- 入学資格:高卒または高卒認定試験合格。放送大学など一部は「18歳以上」で個別審査も可能。
- 入学時期:春(4月)・秋(10月)が中心。東京通信大学などでは年4学期制で科目等履修生を随時受け入れ。
- 選抜方法:多くは書類選考のみで、一般入試のような学力試験は課されない。
- 学費:通学型より抑えめで、総額200〜300万円台で卒業できる大学が多い。
まとめ
通信制大学は、
- 名門大学の通信教育部(ブランド力はあるが卒業は難しい)
- 放送大学などの伝統的大規模校(幅広い学びと資格取得に対応)
- 新興オンライン大学(完全オンライン完結で柔軟)
- 専門特化型(資格・スキル習得向け)
という4つのジャンルに大きく分けられます。
自分が「ブランド重視」「資格取得」「働きながら学位」「専門スキル」と、どの目的を優先するのかを明確にすることで、最適な大学を選べます。
また入学時の選考もそれほど厳しくないため、「入学できるか」でそれほど悩む必要はありません。ですが、「卒業できるか」でそれなりのハードルが課されています。
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今回は通信制大学をご紹介しました。
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