高卒認定合格後、どうやって大学へ?
【通信制大学 編】

前回に引き続き、高卒認定試験に合格した方を想定して、そこから大学受験までの流れをご説明します。この記事では昨今、人数が増えている通信制大学に入学する場合の流れを整理しました。


◆ 出願資格と年齢要件

高卒認定試験に合格すると、通信制大学への進学が可能になります。ただし、すぐに願書が出せるわけではありません。出願には 文部科学省から「合格証明書」や「合格成績証明書」を取り寄せる必要があり、発行には通常1週間前後かかります。

そのため、大学を検討する際は まず高認の合格通知が届いたらすぐに証明書を申請するのが大切です。準備を怠ると、出願締切に間に合わないリスクがあります。

証明書さえ整えば、通信制大学への門は開かれます。では実際に、通信制大学にはどんな種類があり、どういった学び方ができるのでしょうか。以下でジャンルごとに整理します。


◆ 調査書がなくても大丈夫

前回も書いたのですが、大事なことですので再掲します。

高校を卒業していないため、高認合格者には調査書がありません。出願書類に「調査書必須」となっていた場合はどうするのでしょうか?

多くの大学は「合格証明書」または「合格成績証明書」で調査書を代替できます。大学の募集要項で確認すると、「高認合格者は合格成績証明書を提出」といった形で対応が明記されていたりします。記載がない場合は、各自で大学までお問い合わせください。


1. 名門大学の通信教育部(難関・厳格系)

代表例:慶應義塾大学通信教育部、早稲田大学人間科学部eスクール、法政大学通信教育部、近畿大学通信教育部

これらそうそうたる名門大学にも通信制部門(通信教育部という名称になっています)が設置されています。これらの大学に対しては、ほとんどの人が通学型大学としてのイメージしか持っていませんので、下世話な言い方をすれば、卒業すればかなりの箔がつくことになります。ところが、入学するのは簡単でも卒業するのは難しいのがこれらの特長です。

  • 学費は比較的安いが、時間がかかりやすく、卒業難易度が高いのが特徴。
  • 入学の敷居は低く(書類選考中心)ても、卒業は非常に難しい
  • たとえば慶應の通信は「卒業率5%前後」ともいわれており、強い自己管理力と継続学習能力があり、卒業できる自信のある人しか入学はおススメできない。
  • ネームバリューを得たい社会人や再チャレンジ層に人気

2. 伝統的な大規模校(放送大学など)

代表例:放送大学、佛教大学通信、創価大学通信、玉川大学通信

伝統的という表現が適切かどうかはわかりませんが、日本で通信制大学というと最も認知されているのは放送大学ではないでしょうか。ケーブルテレビなどで「いろんなチャンネルがあるんだなあ」とザッピングしているときに一度は目にしたことのある方も多いはず。

他にも、佛教大学、創価大学、玉川大学など、有名大学の通信教育部でわりと古くからあるものもこのカテゴリーに属するといえるかもしれません。

  • 放送大学は国内最大規模で、在学生数8万人超
  • 教員免許や福祉系資格など、資格取得のために活用する人も多い
  • 慶應通信ほどではないが、佛教大・玉川大・創価大の通信も簡単に卒業できるわけではない。(入学さえすれば大抵卒業できるというレベルではない。)
  • 「科目履修生」として単科受講できる柔軟な制度も特徴。

3. 新興オンライン大学(完全オンライン型)

代表例:東京通信大学(2018年)、managara(2021年)、東京経営大学(2025年)、ZEN大学(2025年)、サイバー大学(2007年)

目下、話題をかっさらっているのがこれらの大学です。通信制高校のようにオンラインを中心として「新しい学びができる」という打ち出しをしています。

N高と同じ学校法人が運営するZEN大学が話題となっていますが、そのコンセプトを冷静に考えると、サイバー大学はかなり先見の明があったといえるかもしれません。

なお、東京経営大学は「資格の大原」でおなじみの大原学園グループですね。東京経済大学などと名前が似ていますが、振興の大学です。

  • 完全オンライン完結を打ち出す大学が増加中。学生もそれにつれて増加中。
  • 東京通信大学は2025年4月時点で6000名以上、ZEN大学は初年度だけで3000名以上が入学。
  • スクーリング(対面授業)は原則不要または最小限。
  • 新しいタイプの学問が学べることをウリにしていることが多い。
  • 働きながら、子育てをしながらでも学びやすい環境が整っている。
  • 就職市場でのブランド力はまだ発展途上だが、オンライン型の通信制高校卒業生にとっては最も相性の良い大学といえる。

4. 準大規模 資格志向型(教育・心理・芸術など)

代表例:武蔵野大学通信(教育・心理・福祉)、星槎大学通信(教育・福祉)、京都芸術大学通信(芸術)

他に存在感があるのは武蔵野大学の通信制でしょうか。伝統ある大学としてはわりとオンライン寄りのカリキュラムになっているそうです。

星槎大学はグループで通信制高校なども運営しておりますので、不登校支援や通信教育系での一貫校ともいえますね。そして京都芸術大学も、芸術系が通信で学べるという明確な特徴をもっています。

  • 教員免許や心理や福祉資格、芸術系スキルなど、特定分野に特化している。
  • 「特定の資格を取りたい」「専門スキルを深めたい」という明確な目的を持つ人に向いている。

5. 入学方法と時期

  • 入学資格:高卒または高卒認定試験合格。放送大学など一部は「18歳以上」で個別審査も可能。
  • 入学時期:春(4月)・秋(10月)が中心。東京通信大学などでは年4学期制で科目等履修生を随時受け入れ。
  • 選抜方法:多くは書類選考のみで、一般入試のような学力試験は課されない。
  • 学費:通学型より抑えめで、総額200〜300万円台で卒業できる大学が多い。

まとめ

通信制大学は、

  • 名門大学の通信教育部(ブランド力はあるが卒業は難しい)
  • 放送大学などの伝統的大規模校(幅広い学びと資格取得に対応)
  • 新興オンライン大学(完全オンライン完結で柔軟)
  • 専門特化型(資格・スキル習得向け)

という4つのジャンルに大きく分けられます。

自分が「ブランド重視」「資格取得」「働きながら学位」「専門スキル」と、どの目的を優先するのかを明確にすることで、最適な大学を選べます。


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