不登校からの高校入試ガイド
【岐阜 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

要約:岐阜県の不登校からの高校入試ポイント

【公立】調査書に出欠の記録の欄がない。文部科学省の全国調査でも、岐阜県は出欠を記載しない少数派の県に分類されている
【公立】ただし評定は必ず影響する。内申点は中1+中2+中3の2倍で180点満点。調査書と学力検査の比率は学校ごとに5段階から選ばれるが、学力検査重視の3:7を採るのは全134学科・群のうち12だけで、しかもそのほとんどが上位の進学校
【公立】事情を伝える自己申告書は、中学校を通さず本人と保護者が高校へ直接郵送する。欠席日数の多い者が対象と要項に明記されている
【公立】全日制の県平均倍率は0.93倍。第二次選抜は33校・1,410席の募集に対して出願85人。公立高校のどこにも行けないという事態は起きにくい
【私立】合否の決め方も配点も要項に書かれていない。受かる見込みがあるかどうかは、学校説明会の個別相談で直接確認するしかない
~ 目次 ~
  1. 不登校でも岐阜県の高校入試に合格できる?
  2. 岐阜県の公立高校入試の仕組みはどうなっている?
  3. 内申点が低くても当日のテストで逆転できる?
  4. 不登校の欠席日数はどう扱われる?
  5. 全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?
  6. 不登校から岐阜県の私立高校に合格するには?
  7. まとめ:不登校から岐阜県の高校受験を成功させるには?
  8. 不登校からの高校入試(岐阜編)よくある質問
  9. ~高校入試をがんばる不登校生、募集中~

(※以下は2026年8月時点で調査した情報を基にしています)

中学校にほとんど通えていない。
通知表に「1」や斜線が並んでいる。
それでも高校には行きたい。

そんな状況で岐阜県の高校入試を調べ始めた方に、まず正直な見立てからお伝えします。

岐阜県は、不登校の中学生にとって、他県と比較してやや厳しめの県です。

欠席日数そのものは志願先の高校に伝わりません。調査書に出欠の記録を書く欄がないからです。この一点だけを見れば、全国でもやや進んでいる部類に入ります。

問題はその先です。

欠席が伝わらなくなっても評定(内申点)は残ります。そして岐阜県の公立入試では、どの受験方式で受けても調査書の評定が合否に影響します。評定を合否資料から外せる仕組みは全日制にはありません。

さらに踏み込んで調べると、もう一段厳しい事実が出てきます。

調査書の比重を最も低く設定している高校、つまり当日のテストで最も戦いやすい高校は、県内で12学科・群しかなく、そのほとんどが偏差値上位の進学校です。内申の不利を圧縮できる高校ほど当日点のハードルが高い。これが岐阜県の現状です。

それでも、進学先が見つからないという事態にはなりません。理由は制度ではなく実態のほうにあります。岐阜県の公立全日制は、県全体で募集人員に志願者が届いていません。定時制と通信制にいたっては、席の半分以上が空いたままです。

特別な措置はない。内申の不利も残る。けれど席は余っている。これが岐阜県の高校入試のおおまかな見取り図です。

本記事は、岐阜県教育委員会が公表している令和9年度(2027年春)の入学者選抜要項と、令和8年度入試の出願状況・合格者数のデータをもとに書いています。

ここでいう一次資料とは、県教育委員会が自ら作成して公表している入学者選抜要項、実施概要一覧、調査書の様式と作成要領といった公式文書のことです。塾や情報サイトの解説は、これらを読み解く補助として使い、出典を明記して紹介しています。

そのうえで、不登校の中学生が岐阜県の高校受験で取りうる選択肢を、公立、公立の定時制・通信制、私立の順に解説していきます。

不登校でも岐阜県の高校入試に合格できる?

結論から言えば、可能です。ただし近道は用意されていません。

いわゆる不登校枠と呼ばれるような、不登校の生徒を対象にした特別な入試制度は岐阜県の公立高校にはありません。他県には、一定以上の長期欠席がある生徒について内申点を合否資料から外す特例措置を設けているところもありますが、岐阜県の全日制にそうした制度は見当たりません。

そのうえで、不登校の受験生にとってプラスに働く材料は2つあります。

1つ目は、調査書に欠席日数が載らないこと。様式に出欠の記録を書く欄そのものがありません。

2つ目は、県全体で定員が埋まっていないこと。令和8年度の第一次選抜は、全日制の募集人員12,925人に対して出願者12,009人。県平均で0.93倍です。

一方で、正直に押さえておくべき現実もあります。

内申点は中1から中3までの評定を使い、中3を2倍にして計算します。そして、調査書の比重をゼロにできる仕組みは全日制にはありません。

つまり岐阜県は、欠席そのものは問われないけれど、評定(内申点)のビハインドはそのまま影響する県です。オール1の状態から見れば、不利は明確にあります。この前提を共有したうえで、どこまで圧縮できるかを考えていきましょう。

岐阜県の公立高校入試の仕組みはどうなっている?

まず制度の骨格を押さえます。

岐阜県の公立入試は、令和7年度入試(2025年春)から大きく変わりました。WEB出願システムの導入、第一次選抜と第二次選抜への再編、独自検査の新設です。令和9年度入試はこの新しい制度の3年目にあたり、大きな変更は予定されていません。

第一次選抜と第二次選抜、そして1校1学科の原則

令和9年度の日程は次のとおりです。

区分内容期日
第一次選抜出願2月5日(金)正午から2月10日(水)正午
第一次選抜出願変更2月12日(金)から2月16日(火)正午
第一次選抜検査3月3日(水)・3月4日(木)
第一次選抜追検査3月9日(火)・3月10日(水)
第一次選抜合格発表3月12日(金)午前9時
第二次選抜出願3月13日(土)から3月15日(月)午後4時
第二次選抜検査3月18日(木)
第二次選抜合格発表3月23日(火)午前9時

出願は、全日制の県立高校の中から1つの高校の1つの学科を選ぶのが原則です。複数の公立高校を併願することはできません。ただし同じ高校の中であれば、第2志望と第3志望を登録できます。

出願も合否の確認もWEB出願システム上で行われ、各高校での受検番号の掲示はありません。入学考査料は2,200円です。

第一次選抜の学力検査は、国語・数学・英語・理科・社会の5教科で、各100点の500点満点。3月3日に1日で5教科を実施します。理数科とグローバルビジネス科に限り、一部の教科に1.5倍までの傾斜配点を設けることができます。

第二次選抜は、第一次選抜で募集人員に満たなかった学科で実施されます。全員に面接があり、学校によって国語・数学・英語から選ばれた学力検査(各30分)や小論文が加わります。

(参照:入学者選抜/岐阜県教育委員会)
※年度ごとの選抜要項や実施概要一覧のPDFがこのページに掲載されています

内申点は中1+中2+中3の2倍で180点満点

調査書の評定(いわゆる内申点)は、9教科を5段階で評価した数字を使います。

計算方法は選抜要項に明記されていて、第1学年と第2学年の各教科の評定の合計値に、第3学年の各教科の評定の合計値を2倍した値を足すという形です。

つまり、中1で45点、中2で45点、中3で45点の2倍の90点、合計180点満点になります。

中3の比重が2倍になっているので、中1・中2の穴を中3である程度取り戻せる設計です。3学年を均等に足す県と比べれば、後からの巻き返しがきかないわけではありません。

とはいえ、中1・中2の評定が消えるわけでもありません。例えば中1・中2がオール1(9点+9点=18点)で、中3でオール3まで持ち直したとしても、27点の2倍で54点が加わって合計72点。180点満点の中では低い水準にとどまります。これでは相当不利な条件で学力試験に入ることになります。

そして重要なのは、この180点が、どの高校を受けても必ず合否判定に入るということです。

内申点が低くても当日のテストで逆転できる?

ここからが岐阜県の本題です。

結論を先に言うと、逆転の余地はあります。ただしその余地はそれほど大きくありません。

調査書と学力検査の比率は学校ごとに5段階から選ばれる

岐阜県では、調査書の評定と学力検査の結果をどの比率で見るかを、高校・学科ごとに次の5段階から選びます。

調査書:学力検査 = 7:3,6:4,5:5,4:6,3:7

3:7を採用している学校なら、合否の7割が当日のテストで決まります。内申点にハンデを抱えた受験生にとっては、ここが最も戦いやすい土俵ということになります。

各高校がどの比率を採っているかは、県教育委員会が公表する実施概要一覧で確認できます。令和9年度の一覧を集計すると、次のような分布になりました。

比率(調査書:学力検査)採用している学科・群の数
7:3(調査書重視の最大)2
6:47
5:592
4:621
3:7(学力検査重視の最大)12
合計134

圧倒的多数が5:5です。全134学科・群のうち92、およそ7割が、調査書と学力検査を同じ重みで見ています。

そして残念なことに、学力検査重視の3:7は12だけ。全体の1割にも届きません

学力検査重視の高校ほど当日点のハードルが高い

さらに厳しい話をします。

3:7を採用している12の学科・群を並べてみると、岐阜、岐阜北、長良、岐山(普通科・理数科)、加納(音楽科・美術科)、各務原西、大垣北、大垣東(理数科)といった顔ぶれになります。県内でも上位に位置する進学校が中心です。

つまり、内申の不利を最も圧縮できる高校は、そもそも当日のテストで高得点を取らなければ届かない高校だということです。

逆に、不登校の受験生が現実的に志望校として検討することの多い中位から下位の高校は、そのほとんどが5:5です。調査書が合否の半分を占めます。

内申点が低いからといって、比率が学力検査寄りの高校を選ぶという戦い方は岐阜県ではほとんど機能しません。それは実質的に上位校を目指すことと同じ意味になるからです。志望校を検討するときは、その学校の偏差値帯と比率をセットで見てください。

なお、7:3という調査書重視の最大値を採っているのは、羽島高校の普通科と土岐紅陵高校の総合学科の2つだけでした。この2校を避ければよいという単純な話ではありませんが、自分の受ける学科の比率は実施概要一覧で必ず確認してください。

独自検査は不登校生の味方にはなりにくい

また、岐阜県の公立入試には、独自検査という選抜方法があります。各高校が入学定員の30パーセントを上限に設け、面接・小論文・実技検査・自己表現の中から検査を選んで実施するものです。独自検査を受けた受験生については、通常の選抜より先に合格者が決まります。

先に合格が決まるのならこれでラクに合格を決めたいと思うかもしれませんが、残念ながら悪手です。選抜の要件を見ると、不登校の受験生には使いにくいものです。

要件一覧を確認すると、評価する分野として挙げられているのは体育的活動と文化的活動がほとんどです。中身は部活動や外部クラブチームでの大会実績で、郡市大会以上の登録選手であることや、県大会でのベスト8以上といった具体的な基準が並びます。中学校に通えていない状態では、そもそも要件を満たしません。

ただし、社会的活動という分野を設けている学校が数校あります。中身は、地域行事の運営や社会福祉施設でのボランティア活動に3年間で5日から10日以上参加していること、あるいは生徒会役員を1期以上務めていることなどです。

学校の外での活動が評価対象に入っている点は、不登校の生徒にとって完全に閉ざされているわけではないことを意味します。地域の活動に継続的に関わってきた場合は、志望校がこの選抜を行っているか確認する価値はあります。ただし募集人員の割合は定員の1.5パーセントから8パーセント程度と小さく、ここを主戦場に据えるのは現実的ではありません。

つまり、独自検査にあまり期待してはいけないということ、言い換えれば、学力勝負にかける必要があるということです。

それでも席は余っている。全日制の県平均は0.93倍

ここまで厳しい話が続きましたが、岐阜県には制度とは別のところに活路があります。

令和8年度の第一次選抜の出願状況を見ると、全日制の募集人員12,925人に対して出願者は12,009人。県平均の倍率は0.93倍でした。県全体で916人分、席のほうが余っている状態です。

その後の流れも見ておきましょう。

段階数字
全日制の入学定員12,925人
第一次選抜の出願者12,009人(0.93倍)
第一次選抜の合格者11,514人
第二次選抜の募集人員1,410人(33校で実施)
第二次選抜の出願者85人(0.06倍)

第一次選抜が終わった時点で、県内の全日制には定員の約11パーセントにあたる1,410席が空いていました。それを埋めるための第二次選抜には、85人しか出願していません。倍率にすると0.06倍です。

(参照:令和8年度入学者選抜の出願状況/岐阜県教育委員会)
※年度ごとの出願状況・合格者数のPDFがこのページに掲載されています

この数字が意味することははっきりしています。

岐阜県では、公立高校のどこにも行けないという状況にはなりにくい。33校が3月の時点でまだ席を残していて、そこに出願する人がほとんどいないのですから、行こうと思えば全日制の公立高校に行けます。

ただし、県全体が定員割れだということと、行きたい高校に入れるということは別の話です。人気校や人気学科は1倍を超えます。学校間の差は大きいので、志望校の倍率は志願状況の公表を待って確認してください。

そのうえで、元教員として1つお伝えしておきたいことがあります。

席が余っているからといって、勉強をやめてしまわないでください。3月に残っている高校は、家から遠かったり、学びたい内容と違ったりすることが少なくありません。3年間通うのは自分自身です。

それに、高校は入学がゴールではありません。単位を取って卒業するところがゴールです。入学後に授業についていけずに苦しんで転学や退学するというケースも珍しくありません。どちらにしても中学の基礎学力は重要なのです。

学力があれば、3月上旬の第一次選抜で自分が行きたい高校を選べます。学力がなければ、3月下旬に残っていた学校の中から選ぶことになります。

選べる範囲を広げるためにも、学習は続けてください。

不登校の欠席日数はどう扱われる?

ここからは、不登校のご家庭が最も気にする部分を整理します。先に結論だけ言ってしまえば、不登校であっても欠席日数はほぼ入試に影響しません。

調査書に出欠の記録の欄がない

すでに何度か述べた通り、岐阜県の公立高校入試で使う調査書(中学校から高校に提出する書類で俗に内申書とも呼ばれます)には、欠席日数を書く欄がありません

選抜要項に添付された調査書の様式を見ると、記載項目は次の5つだけです。

  1. 学籍の記録
  2. 各教科の学習の記録(観点別学習状況と評定)
  3. 特別活動の記録
  4. 学校内外における諸活動の記録
  5. 特記事項

出欠の記録という項目は様式のどこにも存在しません。調査書作成要領にも、出欠に関する記載は一切ありません。

これは岐阜県だけの動きではなく、全国で同じ方向の見直しが進んでいます。岐阜県は、その中でも早い側に位置しています。

文部科学省が令和7年12月に各都道府県へ示した「令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)」によれば、調査書に出欠の記録を記載している都道府県は47のうち37で、岐阜県は記載していない10のひとつに数えられています。

(参照:令和7年度 高等学校入学者選抜の改善等に関する状況調査(公立高等学校)/文部科学省 ※PDFへの直リンクです)

欠席が多いから出願できない、欠席が多いから減点される。
岐阜県の公立入試ではこうした心配は制度上不要です。

残るのは評定(内申点)や特別活動の記録の影響だけです。学校に行けていなければ定期テストも提出物も揃わず、評定は下がります。ここに特別な配慮はありません。そして前の章で見たとおり、その評定は合否の半分を占める学校が大半です。

欠席が伝わらないことと不登校の影響が消えることは別だ、という点だけは混同しないでください。

自己申告書は中学校を通さず、本人と保護者が高校に送る

評定が振るわないことの背景や高校生活への意欲を自分の言葉で伝えたい場合には、自己申告書という書類があります。これは国の方針を受けて多くの都道府県で導入されているもので、岐阜県だけの制度ではありません。

岐阜県の場合、対象が要項にはっきり書かれています。出願者のうち欠席日数の多い者等は自己申告書を提出することができるという書き方です。欠席が多い受験生を明示的に想定した書類だということです。

実務面で特徴的なのは、提出の仕方です。

この書類は中学校を経由しません。出願者と保護者が自分で記入し、簡易書留などで出願先の高校長に直接郵送します。中学校とのやりとりが難しくなっている家庭でも使えるルートが用意されているということです。

記入欄は、出願者が欠席の理由等を書く欄と、保護者が高等学校に理解してほしいことがらなどを書く欄の2つで、字数の制限はありません。

選抜方法を定めた条文には、調査書の記録に自己申告書を含めて総合的に審査するという趣旨の記載があります。参考資料ではなく選抜資料として扱われるということです。

ただし、合否判定でどれだけの重みを持つかは公表されていません。これを出せば内申点の不足が埋まるという性質のものではないと考えてください。それでも、出しておいて損になる書類ではありません。

当日の体調が不安な場合の備え

入試当日に不安がある場合は、事前に手を打っておけます。

別室での受検や検査時間の延長などを希望する場合は、受検上の配慮申請書を使います。中学校長が出願先の高校長に提出する書類で、例えば令和9年度入試でいうなら、提出期間は令和8年7月1日から令和9年1月末日までです。

県教育委員会のQ&Aでは、配慮の内容として、検査場や座席位置の変更、検査問題の拡大やルビ振り、検査時間等の延長、器具等の持参使用や介助者の配置、薬の服用などが挙げられています。

(参照:入学者選抜Q&A/岐阜県教育委員会)

ただし、要項の文言は「障がいなどにより受検上の配慮を希望する者」となっていて、不登校が明示されているわけではありません。別室受検などを希望する場合は、早めに中学校に相談して、申請できるかどうかを確認しておいてください。

似た名前の書類に特別配慮措置申請書がありますが、こちらは国外での生活が3年以上あって入国または帰国から6年以内の受験生を対象に、学力検査の漢字にルビを振るためのものです。不登校は対象外なので、混同しないよう注意してください。

当日に受検できなかった場合には追検査があります。対象はインフルエンザ等の感染症や負傷など、やむを得ない事情に限られます。実施日は令和9年3月9日と3月10日です。

この追検査の手続きについて、要項に1つ大事な記載があります。原則は中学校長を経由して申請する形ですが、中学校長を経由しての手続が難しい場合は、出願者又は保護者等が手続を行うことができると明記されていることです。中学校とのやりとりが難しい家庭でも、当日の不測の事態に対応できるようになっています。

実態として、どれくらい利用されているかは定かではありませんが、ある種の奥の手として知っておくとよいでしょう。

全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?

毎日の通学に不安がある場合、岐阜県には学費を抑えられる公立の選択肢が揃っています。そして、こちらは全日制よりもはるかに入りやすい状況です。

定時制は席が大きく余っている

最初に、いちばん気になるところからお伝えします。岐阜県の公立定時制は、入試の合否をそれほど心配しなくてよい状況です。

令和8年度の第一次選抜では、定時制全体の募集人員740人に対して出願者は335人。倍率は0.45倍でした。募集を行った16の学科・部のうち、志願者が定員に届いたのは東濃フロンティア高校のⅡ部(ちょうど1.00倍)だけで、残りの15はすべて定員割れです。

第一次選抜の合格者は324人。416席が空いたまま第二次選抜に回り、そこには16人しか出願していません(0.04倍)。定員740人に対して、最終的に合格したのは340人ほどです。

主な学校の状況は次のとおりです。

学校・部募集人員出願者数倍率
華陽フロンティア Ⅰ部80740.93
華陽フロンティア Ⅱ部80480.60
華陽フロンティア Ⅲ部4040.10
東濃フロンティア Ⅰ部40240.60
東濃フロンティア Ⅱ部40401.00
東濃フロンティア Ⅲ部4010.03
定時制全体7403350.45
(令和8年度入学者選抜の出願状況/岐阜県教育委員会 ※リンク先には年度ごとの出願状況が掲載されています)

この数字が意味することは単純です。定時制については、内申点がどう扱われるか、配点がどうなっているかを細かく気にする段階の話ではありません。受検して、当日に極端なことがなければ、基本的には入れると考えて構いません

大事なのは、入ったあとにどう学ぶか、卒業までに何年かかるか、自分の生活リズムに合うかどうかです。

岐阜市の華陽フロンティア高校は、定時制のⅠ部・Ⅱ部・Ⅲ部と通信制課程を併設する単位制の高校です。公式サイトでは、単位制なので年間の履修に縛られず、3年間で修得することのほか4年以上かけて修得することも可能だと説明されています。過去に高等学校で修得した単位を生かせる仕組みもあります。東濃地区には東濃フロンティア高校が同じ三部制で置かれています。

(参照:華陽フロンティア高校の特色/岐阜県立華陽フロンティア高等学校)

入試の中身についても触れておくと、定時制の第一次選抜では全員に面接があり、これに加えて学力に関する検査が実施されます。この検査は、全日制と同じ5教科の共通問題か、各高校が作成する基礎的な学力をみる検査のどちらかを、高校が選ぶ仕組みです。

華陽フロンティアと東濃フロンティアは、国語・数学・英語の3教科に小論文を組み合わせる形をとっています。5教科すべてを仕上げなくても受けられる点は、学習に遅れがある場合に負担が軽くなります。

公立通信制は評定を使わない

岐阜県の公立通信制は、華陽フロンティア高校と飛騨高山高校の2校です。

ここも定時制と同様に、定員割れが続いておりますので、入学難易度を気にする必要はほとんどありません。

入試制度をみても、不登校の受験生にとって最も条件がよいルートかもしれません。理由は選抜要項の一文にあります。

通信制課程の調査書について要項にはこう書かれています。調査書の作成に際し、「2 各教科の学習の記録」の欄は記入しない。

つまり、評定が調査書に載りません。全日制では必ず影響する内申点が、通信制では合否資料に入らないのです。

検査の内容も、面接と自己表現だけです。学力検査はありません。自己表現については、県教育委員会のQ&Aで、自己表現シートに夢や意欲等を記入する検査だと説明されています。

先述の通り、倍率も低い水準です。令和8年度の前期選抜は、募集人員320人に対して出願者132人(0.41倍)。内訳は華陽フロンティアが240人の募集に112人、飛騨高山が80人の募集に20人でした。3月下旬の後期選抜は、190席に対して出願9人(0.05倍)です。

後期選抜は、公立高校に合格していない人が対象で、出願は3月23日から24日、検査は3月25日、発表は3月26日という日程です。公立の中では最後まで出願を受け付けてくれるルートになります。

評定を使わない、学力検査もない、倍率も低い。全日制の内申点で行き詰まった場合の受け皿として、岐阜県の公立通信制は現実的な選択肢です。

ただし、公立通信制は学費を大きく抑えられる一方で、自学自習で単位を修得していく自己管理の負担が私立通信制より重くなりがちです。サポートの手厚さを取るか、費用を取るか。私立通信制と並べて比較検討することをおすすめします。

不登校から岐阜県の私立高校に合格するには?

続いて私立高校です。

先に結論をお伝えします。岐阜県の私立高校は、不登校の中学生にとって公立より厳しいルートです。そしてその厳しさの中身は、外からはよく見えません。

だからこそ、この章でいちばんお伝えしたいのは制度の話ではありません。受かる見込みがあるかどうかを、学校説明会の個別相談で直接確かめてくださいということです。

私立の日程は1月下旬から2月上旬に集中する

岐阜県の私立全日制は16校あります。日程は、一般社団法人岐阜県私学振興会(岐阜県私立中学高等学校協会)が毎年まとめて公表しています。

令和8年度入試の場合、推薦入試が1月24日前後、一般入試が1月25日から2月7日にかけて実施されました。募集を行った16校のうち15校が推薦と一般の2区分を設けています。公立の第一次選抜(3月3日)より1か月以上早く決着することになります。

令和9年度の日程は、例年10月下旬に県の私学振興課が公表しています。本記事の執筆時点ではまだ発表されていません。

(参照:生徒募集要項/一般社団法人岐阜県私学振興会 岐阜県私立中学高等学校協会)

ここで押さえておきたいのは、この協会が公表しているのは日程と試験科目の一覧だけだということです。出願資格や欠席日数の扱い、調査書に関する取り決めは、一覧のどこにも載っていません。公立の自己申告書にあたるような県統一の仕組みも、私立側には見当たりません。

なお、令和8年4月から私立高校の授業料無償化が始まりました。公立と私立の費用差が縮まったことで私立を志望する層は増えており、岐阜県でも全日制の志願倍率は令和7年度の3.60倍から令和8年度は3.65倍へと上がっています。実質的な合格ラインが上がる可能性は、頭に入れておいてください。

私立は合否の決め方が公表されていない

各校の募集要項を実際に読んでみると、公立との違いがはっきり出ます。

公立の選抜要項には、調査書の記録と標準検査の結果に基づいて総合的に審査するという判定の条文があり、調査書と学力検査の比率も5段階で公表されています。

私立の募集要項には、これに相当する記述がほとんどありません。

確認できた学校の要項では、「選考方法」や「試験内容」という見出しの下に、書類審査、面接、学力試験といった材料が並んでいるだけで、それらをどう組み合わせて合否を決めるかは書かれていません。配点や比重に至っては、確認できた範囲ではどの学校も記載がありませんでした。

わからないのは、調査書をどれだけ重く見るかであって、見るかどうかではありません。選考方法の欄には書類審査や調査書がはっきり挙げられていますし、調査書の提出はどの学校でも必須です。そこに評定が載っている以上、評定(内申点)は合否判定に入ります。公表されていないのは、それを学力試験の結果とどの比率で組み合わせるのかという部分だけです。

このため、マークシートの5教科だけで面接も作文もない入試区分があったとしても、それを当日点だけの勝負だと受け取るのは危険です。

不登校で評定に「1」が並んでいる状態は、私立入試において相当に不利だと考えておいてください。一方で、絶対に無理だと言い切ることもできません。各校がどの材料をどれだけ重く見ているかは公表されておらず、外からは確認できないのが実情だからです。

したがって、学校側に直に尋ねられる個別相談の機会が重要になります。

調査書の様式も学校によって違う

もう1つ、私立特有の事情があります。

公立の調査書に出欠の記録の欄がないという話は、あくまで公立高校入試用の様式についてのものです。私立高校が使う調査書は別です。

岐阜県には私立高校向けの共通様式が存在するようで、募集要項の提出書類欄に「県私立高校共通用紙」「岐阜県私学協会統一書式」といった指定を書いている学校があります。その一方で、本校所定の用紙と自校の様式を明記している学校もあります。共通様式を使う学校と独自様式の学校が混在していると考えるのが正確です。

そして、その共通様式の中身は公開されていません。欠席日数を書く欄があるのかないのかは、外からは確認できませんでした。一般論としては、公立の様式から出欠欄が消えても、私立の様式には残っていることが多いと言われています。

なんにしても、仮に欠席の欄がなかったとしても評定は載ります。評定に「1」が並んでいたり、評定をつけられずに斜線が引かれていたりすれば、長期の欠席があったことは高校側に十分伝わります

出願資格についても、学校ごとに幅があります。推薦入試のときだけ欠席日数の上限を出願条件に書いている学校もあれば、推薦と一般の両方に出席状況が良好であることを求めている学校もあります。逆に、欠席についてまったく触れていない学校もあります。

独自の様式や独自の条件を設けることが許されているぶん、線引きの位置が学校ごとに違うということです。

受かる見込みは説明会の個別相談で確かめる

ここまで見てきたとおり、私立については募集要項を読んでも判断がつきません。だから、志望校を検討する段階で必ずやってほしいことがあります。

夏から秋にかけて開かれる学校説明会や入試説明会、個別相談に足を運んでください。そして、欠席や評定の状況を正直に伝えたうえで、出願は可能か、どの区分で受けるべきか、調査書はどの様式を使うのかを直接聞いてください。

要項に書かれていない部分を知る手段は、これしかありません。逆に言えば、ここで手応えを得られるかどうかが、その私立を志望校に残すかどうかの判断材料になります。

不登校の生徒を受け入れる西濃学園高等学校

岐阜県の私立の中に、不登校の生徒を主な対象として設立された全日制の高校があります。揖斐郡揖斐川町にある西濃学園高等学校です。

学校法人西濃学園が2022年に開校した全日制の普通科で、各学年の定員は25人。学校のサイトでは、高校生活に不安を抱える生徒も安心して通える学校として紹介されています。少人数のクラス編成、生徒の希望と実態に応じてカリキュラムを組むこと、ソーシャルスキルトレーニング、臨床心理士によるカウンセリング、北アルプスでの夏山登山といった体験活動などが挙げられています。

特徴的なのは寮があることです。学校側は、寮を完備していることで全国から入学が可能だと説明しています。ただし記事の執筆時点では、男女とも寮が満室のため、宿泊体験や入寮を希望する生徒の募集を一時停止しているという案内が出ています。

母体である西濃学園中学校は2009年の開校で、2017年に文部科学省から学びの多様化学校(かつての不登校特例校)の指定を受けています。

(参照:学びの多様化学校(いわゆる不登校特例校)の設置者一覧/文部科学省)

なお岐阜県内の指定校は、西濃学園中学校のほかに岐阜市立草潤中学校、北方町立北学園、高山市立宮中学校の計4校で、いずれも中学校段階です。

入試については、学校のサイトに詳しい募集要項が掲載されていないため、本記事では確認できませんでした。定員が25人と小さく、寮の状況も流動的です。関心がある場合は学校に直接問い合わせてください。

(参照:西濃学園高等学校について/学校法人西濃学園)

私立通信制という選択肢

全日制が難しそうな場合には、私立通信制という選択肢もあります。

入学のハードルは高くありません。作文と面接、あるいは書類と面接だけで選考する学校が多く、調査書の評定や欠席日数を気にする段階の話にはならないと考えて構いません。

岐阜県は、県内に本校を置く私立通信制が複数ある県です。全国展開している広域通信制のキャンパスだけでなく、地元に軸足を置いた学校から選べます

学校所在地通学のかたち
西濃桃李高等学校大垣市週5から月2回、年10日の集中スクーリングまで
ぎふ国際高等学校岐阜市週2・週3・週5
中京高等学校 通信制課程瑞浪市スクーリングは年約20日
啓晴高等学校岐阜市週2・週3・週5

通信制は学校によって方針もサポート体制も大きく違います。入学できるかどうかではなく、そこで3年間続けられるかどうかで選んでください。合同説明会だけで決めず、実際に足を運んで選び抜くことをおすすめします。

まとめ:不登校から岐阜県の高校受験を成功させるには?

岐阜県は不登校から高校に入りやすい県なのか。総合すると、どちらともいえない県です。強いていえば、やや厳しい側に寄っています。

調査書に出欠の記録の欄はありませんが、そういう県は近年珍しくなくなってきました。そして岐阜県では、評定(内申点)を合否判定基準から除く入試制度が全日制にありません。

しかも、調査書(評定、内申点)と学力検査の比率は5:5が全体の7割を占め、学力検査重視の3:7を採る12学科・群のほとんどは上位の進学校です。内申の不利を圧縮できる高校ほど当日点のハードルが高い、という構造になっています。

それでも、進学先がなくなることはありません。全日制の県平均は0.93倍。第二次選抜は33校・1,410席の募集に85人しか出願していません。定時制は0.45倍、公立通信制の前期は0.41倍で、席は大きく余っています。

勝ち筋は単純です。全日制を狙うなら、当日の5教科でどれだけ点を積めるかに集中してください。比率が5:5の学校が大半である以上、内申の不足は当日点で埋めるしかありません。志望校は、実施概要一覧で比率を確認したうえで、志願状況が出てから決めても間に合います。出願変更は1回できます。

評定で行き詰まった場合は、公立通信制を早めに候補に入れてください。調査書の各教科の学習の記録を記入せず、学力検査もない、岐阜県で唯一のルートです。

私立は、推薦ではなく一般入試を軸に、説明会の個別相談で事情を伝えるところから始めてください。要項を読んでも判断がつかない以上、直接聞く以外に方法がありません。

過去の欠席日数も内申点も、いまから変えることはできませんが、5教科の学力は今日からいくらでも積み上げられます。

受験を控えた皆さまに吉報が届くことを願っています。

不登校からの高校入試(岐阜編)よくある質問

~高校入試をがんばる不登校生、募集中~

ということで、今回は、不登校の中学生が岐阜県の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。

ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません

ひとえに、基礎学力を身につけること
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。

実は、私たちSchorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学3年生の支援プロジェクトを開始しました。

その名も、Schorbit REBOOT

不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。

そんな中学3年生(中学2年生の途中から参加可能)を応援します。

詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。