不登校からの高校入試ガイド
【新潟 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

要約:新潟県の不登校からの高校入試ポイント
(※以下は2026年8月時点で調査した情報を基にしています)
中学校にほとんど通えていない。
通知表に「1」や斜線が並んでいる。
それでも高校には行きたい。
そんな状況で新潟県の高校入試を調べ始めた方に、まず正直な見立てからお伝えします。
新潟県は、高校受験に関していえば、不登校の中学生にとって特別に厳しい県ではありません。むしろ、欠席日数の扱いという一点だけを見れば、全国でもやや前に進んでいる県です。調査書から出欠の記録の欄そのものがなくなり、何日休んだかという情報は志願先の高校に届かなくなりました。
ただし、手放しで喜べるわけでもありません。
公立高校入試では、内申点は中1から中3までを均等に足し上げる方式で、最低3割の影響があります。しかも合否判定で調査書の比重をゼロにできる仕組みは新潟県にはなく、どの高校を受けても最低3割は調査書の点数が総合得点に反映されます。
さらに、いま新潟県の高校入試は制度の転換期にあります。令和9年度入試、つまり2027年春の入試から、選抜制度が大きく変わるのです。
本記事は、この転換の途中に、新潟県教育委員会が公開している資料をもとに書いています。
ここでいう一次資料とは、県教育委員会が自ら作成して公表している入学者選抜要項、入学者選抜の概要、調査書の様式に関する通知、学校・学科ごとの募集人数と選抜方法等といった公式文書のことです。塾や情報サイトの解説は、これらを読み解く補助として使い、出典を明記して紹介しています。
そのうえで、不登校の中学生が新潟県の高校受験で取りうる選択肢を、公立、公立の定時制・通信制、私立の順に解説していきます。
不登校でも新潟県の公立高校に合格できる?
結論から言えば、可能です。
新潟県の公立高校入試には、不登校の生徒だけが使える特別な選抜枠はありません。他県には、一定以上の長期欠席がある生徒について内申点を合否資料から外す特例措置を設けているところもありますが、新潟県にそうした制度はないのです。
それでも悲観する必要がない理由が3つあります。
1つ目は、調査書に欠席日数が載らないこと。令和8年度入試から様式が変わり、出欠の記録は選抜資料から完全に消えました。
2つ目は、学校によっては合否の7割が当日の学力検査で決まること。調査書の比重を3割まで下げている高校が、普通科を中心に数多くあります。
3つ目は、そもそも定員が埋まっていないこと。令和8年度の一般選抜は全日制全体で志願倍率0.99倍、つまり県全体で見れば志願者数が募集人数に届いていません。
一方で、正直に押さえておくべき現実もあります。内申点は3年分が均等に加算されるので、中1・中2のブランクは制度上取り戻せません。
救済制度はない。けれど不利益も小さく、しかも席は余っている。これが不登校生にとって、新潟県の公立高校入試のおおまかな理解です。
新潟県の公立高校入試は令和9年度からどう変わる?
2027年春(令和9年度)の入試から、新潟県の公立高校入試は新しい制度になります。執筆時点で大抵の情報は出ていますが、詳細を示す実施要項はまだ出ていません。
すでに判明していることの中で、変更点は大きく4つです。
| 項目 | これまで(令和8年度まで) | 令和9年度から |
|---|---|---|
| 特色化選抜 | 2月に実施(実績要件と校長推薦) | 廃止 |
| 一般選抜 | 全員が同じ選抜 | 一般枠と学校設定枠の2枠制 |
| 2次募集 | 3教科の学力検査と面接 | 学力検査を廃止(調査書と面接など) |
| 日程 | 学力検査は3月上旬 | 2月25日を目安に前倒し |

※関連資料はすべてこのページからダウンロード可能
なぜ特色化選抜がなくなるのか
制度変更のきっかけは、中学校の部活動が地域クラブへ移りつつあることです。
廃止される特色化選抜は、スポーツ・文化・科学分野で秀でた実績を持つ生徒を対象にした推薦入試でした。出願には中学校長の推薦に加えて、各高校が定める実績要件を満たす必要がありました。
ところが、部活動が学校の管轄から地域のクラブへ移っていくと、この仕組みは成り立たなくなります。実績の土台だった中学校の部活動そのものが縮小していくからです。
新潟日報の記事では、県教委が特色化選抜を廃止するのは中学校の部活動の地域移行に伴う対応であること、県教委はおおむね10年ごとに入試制度を見直しており、今回の変更は特色化選抜を導入した平成15年度以来であることが報じられています。

日程も変わります。
令和9年度は、出願が2月8日から10日、志願変更が2月16日から18日、本検査は2月25日と26日の2日間、合格発表が3月8日です。2次募集は3月11日・12日に出願し、3月15日に選抜、翌16日に発表となります。
一般枠と学校設定枠はどう違う?
新しい一般選抜には2つの募集枠があります。
一般枠は、すべての学校・学科に設定され、すべての志願者が出願する枠です。中身はこれまでの一般選抜と同じで、全日制なら5教科の学力検査と調査書の評定で選抜されます。
学校設定枠は、各高校の校長の裁量で設けられる新しい枠です。希望する人だけが、一般枠に加えて同じ学校に出願できます。募集人数は定員の5%刻みで、最大50%まで設定できます。
重要なのは選抜の順番です。
学校設定枠を設けている学校では、先に学校設定枠の合格者を決め、その後に一般枠の合格者を決めます。学校設定枠で不合格でも、そのまま一般枠で判定してもらえるので、受けること自体で損はしない設計になっています。
学校設定枠は不登校生に不利になりやすい
正直にお伝えします。
学校設定枠は、廃止された特色化選抜の受け皿としての性格が強く、不登校の生徒にとっては使いにくい枠です。
理由は選抜方法にあります。
学校設定枠では、調査書と学力検査に加えてその他の検査等が課されます。その中身として、多くの学校が志願理由書の提出を求め、あわせて部活動やボランティア、科学分野の活動などの実績を証明する書類の提出を求めています。
さらに、学校設定枠では調査書の特定教科を2倍にできる仕組みもあります。9教科のうち4教科まで指定でき、上限は195点。調査書の重みが一般枠より増す場合もあるということです。

もう一点。学校設定枠は、旧特色化選抜より規模が大きくなります。
県内の学習塾まつがくの解説記事では、令和9年度は40校48学科で学校設定枠が導入される見込みで、旧特色化選抜の26校33学科から拡大していると紹介されています。

塾のサイトでは、「学校設定枠に挑戦すればチャンスが2回になる」と前向きに解説されることが多いようです。
それ自体は間違いではありません。ただ、実績や活動歴で勝負する枠に定員の一部が先に配分されるということは、内申にも活動実績にも頼れない受験生から見れば、一般枠で争う席がその分だけ減るということでもあります。
簡単にいうと、学校設定枠は不登校の中学生にとっては損な仕組みです。
不登校の受験生は、学校設定枠は基本的に見送り、一般枠で勝負すると割り切ってしまってよいと考えます。そのうえで、志望校が学校設定枠に定員の何割を割いているかは、必ず確認しておいてください。

合否を決める内申点と学力検査の比重は?
そこで、不登校の受験生が主戦場にすべき一般枠の仕組みを見ていきましょう。
一般枠では、調査書の評定と学力検査の得点を、それぞれ1000点満点に換算します。そのうえで、各高校が定めた比重で圧縮して足し合わせ、1000点満点の総合得点を出します。
比重は次の5パターンから各校が選びます。
調査書:学力検査 = 7:3,6:4,5:5,4:6,3:7
学力検査は5教科各100点の500点満点です。ただし2教科まで配点を2倍にする傾斜配点が可能で、その場合は最大700点満点になります。
内申点は中1から中3まで均等に加算される
調査書の評定(いわゆる内申点)は、中1・中2・中3のそれぞれで9教科×5段階=45点、3学年分を足して135点満点です。
最もシンプルなルールですが、これは不登校の中学生にとってはけっして有利なルールとはいえません。
3学年が均等に扱われるため、中1・中2で評定が「1」や斜線だった場合、その分は中3でどれだけ挽回しても取り戻せません。中3の評定だけを見る県や、中3の評定を3倍に重く見る県と比べると、後からの巻き返しがききにくい設計です。
もちろんこれは、中1~2はちゃんと通えていて、中3だけ不登校だった場合の不利益が小さいというふうに言うこともできます。ですので、不利な制度とまではいえません。
なお、不登校などで評定を記入できない教科がある場合、調査書ではその欄に斜線が引かれ、理由が別欄に記載されます。この場合、中学校の判断で副申書を添付することもできると要項に定められています。
普通科は調査書3:学力検査7が多い
では、その内申点はどれくらい影響してくるのか。
比重は学校ごとに違いますが、傾向ははっきりしています。
三条市の個別指導塾である真友ゼミのブログでは、実業高校や総合高校は5:5または6:4、普通科高校は7:3(学力検査重視)になっていることが多いとして、三条・三条東・巻・加茂が7:3、三条商業が5:5、新潟県央工業が6:4という具体例が紹介されています。

令和9年度についても、県教委が公表した学校・学科ごとの資料では、新発田・新潟・長岡の理数科や新潟中央の学究コースなどが一般枠で3:7を採用していることが確認できます。
つまり、多くの普通科では合否の7割が当日のテストで決まります。内申点にハンデがある受験生にとって、これは十分に戦える土俵です。
ただし、比重が3割に圧縮されても内申差が消えるわけではありません。135点満点の調査書で、オール2の人とオール4の人では54点の開きがあります。倍率がつく上位校では、この差が合否にかなり影響します。
内申点が低くても当日のテストで逆転できる?
前述の通り、新潟県には内申点を見ない特別枠がありません。ですから逆転の戦略は、制度の裏技ではなく、志望校選びと学力の積み上げという正攻法になります。
比重7:3の学校と定員割れを組み合わせる
現実的な勝ち筋は以下の2つです。
1つは、調査書3:学力検査7の高校を選んでそれに見合うだけの学力を身につけること。もう1つは、倍率が1.0を下回っている高校を選ぶことです。このどちらかで構いません。
後者について補足します。令和8年度の一般選抜は、全日制の募集人員11,709人に対して志願者数11,680人、全体の志願倍率は0.99倍でした。県全体で定員が埋まっていない状態です。
まつがくの倍率分析記事では、新潟中央高校普通科0.94倍、新潟西高校0.94倍、新潟東高校0.76倍、新津高校0.97倍、新設の碧高校0.95倍など、近年人気が高まっていた高校でも定員割れが出たことが報告されています。
同記事では、難関校の高倍率と中堅校以下の定員割れという二極化が今後も続く可能性、そして私立高校の授業料支援の拡充によって絶対に公立というこだわりが薄れつつあることにも触れられています。

倍率が1.0前後の高校であれば、当日の学力検査で平均並みの得点が取れれば、内申点のビハインドを抱えていても合格圏に入る見込みは十分に立ちます。そして定員割れをしていれば、ほとんどの場合で合格します。
なお、新潟県では出願後に1回だけ志願変更ができます。令和9年度は2月16日から18日です。志願状況を見てから動けるので、このタイミングでどう判断するかが合否を分けるといえるでしょう。
2次募集に学力検査がなくなる。だから最悪の事態は起きない
令和9年度の変更点で、ここについてははっきりとした安心材料です。
令和9年度から、欠員補充のための2次募集で学力検査が実施されなくなります。選抜に使うのは調査書と面接、学校によってはその他の検査。加えて、一般選抜で学力検査を受けていれば、その結果を参考にすることもできるとされています。
そして2次募集の規模は小さくありません。令和8年度は全日制37学科・定時制7学科の合計42校44学科で実施され、全体の志願倍率は0.11倍でした。

学力検査がなく、定員に対して志願者が1割程度。この2つを合わせて言えることは、はっきりしています。
新潟県では、テストで点が取れなくても、公立高校のどこかには入れます。
どこにも行けなくなるのではという不安は、制度と数字の両面から、持たなくて大丈夫です。まずそこは安心してください。
そのうえで、元教員として1つアドバイスをします。安心して勉強をやめてしまわないようにしてください。
多くの場合、入れる高校と行きたい高校は違います。2次募集で残っている学校は、通学に時間がかかったり、学びたい内容と合わなかったりすることが少なくありません。3年間通うのは自分自身です。
また、高校は入学がゴールではありません。単位を修得して卒業するところがゴールです。そのために基礎学力が必要なことは言うまでも空いrません。
選べる範囲を広げるためにも、入学後にスムーズに単位をとれるようにするために、学習を続けるべきです。学力があれば、2月の一般選抜で自分が行きたい高校を選べます。学力がなければ、3月に残っていた学校の中から選ぶことになります。

不登校の欠席日数はどう扱われる?
すでに記載した通りですが、新潟県立高校入試の最大の強みは、調査書に欠席日数の記載がないことです。
調査書に出欠の記録の欄がない
令和8年度入試から、新潟県の公立高校入試の調査書は大きく様式が変わりました。
県教育委員会の資料によれば、それまで記載されていた各教科の学習の記録(観点別評価)、行動の記録、出欠の記録、特別活動の記録、総合的な学習の時間の記録、総合所見がすべて削除され、残ったのは各教科の学習の記録(評定)だけです。県教委は、合否判定に本当に必要な事項だけに絞ることで、調査書の取扱いの透明性と客観性を高められると説明しています。
つまり、何日休んだかという情報は、制度上、志願先の高校に届きません。
この変更について、新潟日報の記事では、廃止されたのは部活動の成果や学級活動といった特別活動を記録する欄や欠席日数などであり、県教育委員会はこれらがもともと合否判定には関係していなかったため受験生への影響はないとしている、と説明されています。

欠席が多いから出願できない、欠席が多いから減点される。新潟県の公立入試では、こうした心配は構造的に起こりません。
残るのは評定への影響だけです。学校に行けていなければ定期テストも提出物も揃わず、評定は下がります。ここに特別な配慮はありません。不登校ならばオール1であることも多いでしょう。
しかし、それが致命的かは何ともいえません。135点満点の調査書の話であり、比重3:7の学校ならさらに3割に圧縮されます。学力次第で取り戻せる差だともいえます。
事情を伝える自己申告書(様式5)
欠席日数が伝わらないとはいえ、評定が低い背景や高校生活への意欲を自分の言葉で伝えたい場合もあるでしょう。
新潟県では、次のどちらかに当てはまる志願者が、希望すれば自己申告書を提出できます。
- 中学校のいずれかの学年で、欠席日数が30日以上の人
- 中学校のいずれかの学年で、欠席日数と、教育支援センター(フリースクールを含む)への通所等により出席扱いとなっている日数の合計が30日以上の人
内容は、欠席が多い理由、志望の動機、高校生活への抱負など。原則として本人が記入し、保護者の署名欄もあります。
そして重要なのが、要項に書かれた次の一文です。高等学校長はこの記載内容を参考とするが、記載内容によって志願者に不利が生じることのないよう配慮すると明記されています。
書いたことでマイナスになることはない、と県が公式に約束している書類だということです。
ただし、こちらの書類は文科省の意向を受けて、ほとんどの自治体で実施されているものです。これを出せば内申点の不足が埋まるという性質のものではありません。合否判定でどれだけの重みを持つかは公表されていないので、過度な期待は禁物です。
それでも、欠席の情報が一切伝わらない新潟県において、自分の事情と意欲を公式ルートで伝えられる唯一の手段が自己申告書です。提出する価値は十分あります。
教育支援センターやフリースクールに通っている場合
自己申告書の対象条件に出席扱いとなっている日数が含まれていることからも分かるとおり、新潟県も教育支援センターやフリースクールへの通所を出席扱いとする運用を前提にしています。
これは全国共通の仕組みで、在籍中学校の校長判断によります。ただし、公立入試では欠席日数そのものが調査書に載らないため、出席扱いを取ることの意味はあまりありません。
当日の体調が不安な場合の備え
入試当日に不安がある場合は、事前に手を打っておけます。
別室受検などの配慮が必要なときは、中学校長を通じて特別措置実施申請書を提出します。また、身体・健康上の理由など本人に責任のない事情で学力検査を欠席した場合には、追検査を受けられます。令和9年度の追検査は3月2日・3日です。
全日制以外に不登校から通いやすい公立高校はある?
毎日の通学に不安がある場合、新潟県には学費を抑えられる公立の選択肢が揃っています。
自分のペースで学べる定時制
新潟県の県立定時制は9校あり、そのうち7校が単位制です。
最初に、いちばん気になるところからお伝えします。新潟県の公立定時制は、入試の合否をそれほど心配しなくてよい状況です。
令和8年度の一般選抜では、定時制全体の募集人数670人に対して志願者数は435人。志願倍率は0.64倍でした。全日制全体の0.99倍と比べても、かなり低い水準です。
学校別に見ると、その傾向はもっとはっきりします。募集を行った12の単位のうち、志願者が定員に届いたのは西新発田の午前部(1.08倍)だけで、残りはすべて定員割れでした。
| 学校・課程 | 募集人数 | 志願者数 | 倍率 |
|---|---|---|---|
| 市立明鏡(午前部) | 105 | 96 | 0.91 |
| 荒川(午前部) | 35 | 34 | 0.97 |
| 長岡明徳(午前部) | 105 | 74 | 0.70 |
| 高田南城(午前部) | 70 | 43 | 0.61 |
| 新潟翠江(午前部) | 35 | 19 | 0.54 |
| 堀之内(午前部) | 70 | 34 | 0.48 |
| 定時制全体 | 670 | 435 | 0.64 |
この数字が意味することは単純です。定時制については、内申点がどう扱われるか、配点がどうなっているかを細かく気にする段階の話ではありません。受検して、当日に極端なことがなければ、基本的には入れると考えて構いません。
むしろ大事なのは、入ったあとにどう学ぶか、卒業までに何年かかるか、自分の生活リズムに合うかどうかです。以下はその視点で読んでください。
そもそも、定時制というと夜間に4年かけて通うイメージが強いかもしれませんが、いまは午前部を中心とした単位制の学校が増えています。
例えば、新潟市立明鏡高校は、午前中に授業を受ける午前部と、夕方から夜にかけての夜間部がある単位制の定時制高校です。同校の公式サイトでは、基本は4年間で卒業だが、午後の授業も選択することで3年間での卒業も可能だと説明されています。少人数での授業や、一人ひとりに合わせた丁寧な指導も紹介されています。
なお、同校は夜間部の募集停止に伴う午前部の教育課程変更について案内を出しています。受検を検討する場合は最新の募集状況を確認してください。

このほか、新潟翠江高校(新潟市西区)と高田南城高校(上越市)は、定時制課程と通信制課程を併設しています。
念のために入試の配点についても記載しておくと、定時制の一般枠の選抜は、調査書135点、3教科の学力検査300点、面接100点の合計535点満点です。全日制と違って面接があり、学力検査は3教科に減ります。
学力検査のない公立通信制
公立の通信制課程は、新潟翠江高校と高田南城高校の2校です。
この2校の入学者選抜には学力検査がありません。中学校長が提出する出願書類と面接の結果などをもとに、各校が総合的に審査します。令和9年度も、通信制課程の選抜内容は変更なしとされています。
出願期間も特徴的で、令和8年度は2月16日から4月2日までと長く設定され、合格発表は4月9日まででした。公立高校の中では、最後まで出願を受け付けてくれるルートです。
ですから、公立の定時制・通信制については、入れるかどうかで悩む必要はほとんどありません。悩むべきは、そこで3年なり4年なりを続けられるかどうかの方です。
新潟翠江高校の通信制課程は、スクーリングに参加しながら自宅で学習し、レポートを提出していく形です。

公立通信制は学費を大きく抑えられる一方、自学自習で単位を修得する自己管理の負担が私立通信制より重くなりがちです。サポートの手厚さを取るか、費用を取るか。私立通信制と並べて比較検討することをおすすめします。

不登校から新潟県の私立高校に合格するには?
続いて私立高校です。
先に、新潟県の高校進学の全体像を数字で押さえておきます。
令和8年3月の中学校卒業見込者は18,042人。これに対して公立高校の募集人数は全日制・定時制あわせて12,540人です。単純に引き算をすると、5,500人ほどが公立以外の進路に進む計算になります。
その受け皿が私立高校です。新潟県私立中学高等学校協会のまとめによれば、2026年度の県内私立高校の募集定員は全日制・通信制あわせて20校5,113人。内訳は全日制16校で4,158人、通信制6校で955人です。
つまり、県内の中学3年生のおよそ4人に1人分の席が私立に用意されている計算になります。滑り止めとして受けるだけの場所ではなく、実際に相当数の生徒が進学していく進路だということです。
そして近年、この比率は動いています。私立高校の授業料支援が拡充され、公立と私立の費用差が縮まったためです。
不登校の受験生にとって、この変化は両面があります。私立が現実的な選択肢として広がっている一方で、志望者が増えれば倍率も内申の目安も上がりやすくなるということです。
私立の日程はほぼ横並び。1月と2月の2回ある
新潟県の私立入試の日程は、県内のほとんどの学校が同じ日に実施します。おおまかな流れは次のようになります。
| 時期 | 主な区分 | 選考方法の傾向 |
|---|---|---|
| 1月中旬 | 推薦・専願 | 面接中心。学力検査を課す区分もある |
| 1月中旬(専願の翌日) | 一般(1月)=併願 | 書類審査と面接。学力検査なしの学校が多い |
| 2月上旬から中旬 | 一般(2月)=併願 | 3教科の学力検査と面接 |
| 3月中旬 | 2次募集にあたる入試 | 面接中心。若干名の募集 |
令和8年度入試の場合、1月20日に専願、翌21日に一般(1月)、2月10日前後に一般(2月)という日程で実施されました。公立の一般選抜より1か月以上早く決着することになります。
ただし、すべての学校が完全に足並みを揃えているわけではありません。新潟日報の報道によれば、令和7年度入試では19校のうち16校が1月21日に一斉に始まった一方、開志国際は22日、新潟第一は30日、新潟明訓は2月4日と、独自の日程を組んだ学校が3校ありました。

日程がほぼ揃っているということは、私立を何校も併願するという戦い方は取りにくいということでもあります。1月に1校、そこで思わしくなければ2月にもう一度、という組み立てが基本になります。
1月入試には成績基準がある。2月入試にはない
不登校の受験生にとって、1月と2月の違いは日程だけではありません。出願資格が違います。
県内私立高校の募集要項を見ると、推薦・専願・一般(1月)については、出願資格に本校の定める成績基準に該当することや、学習態度や生活態度が良好であることを挙げている学校が目立ちます。つまり、内申点が一定の水準に届いていなければ、そもそも出願できません。
一方、一般(2月)の出願資格は、中学校卒業見込みの生徒または中学校を卒業した者、とだけ書かれている例が確認できます。成績基準が課されていないということです。そのかわり、選考には3教科の学力検査が入ります。
1月の一般入試は、内申がある人が面接だけで合格をもらえる入試。2月の一般入試は、内申を問わずに学力検査で判定される入試。おおまかにはこう整理できます。
内申点にハンデを抱えた不登校の受験生にとっては、2月の一般入試が本命ルートになります。
ただし、2月入試が易しいわけではありません。育伸社がまとめた2025年度の新潟県私立高校入試結果によれば、県内主要私立の一般(1月)は志願者数と合格者数がほぼ一致して倍率1.00倍だったのに対し、一般(2月)は受験者108人に対して合格者63人で1.71倍でした。
出願は開かれているが、競争はある。それが私立入試と理解しておいてください。
また、選考方法にはどの区分にも書類審査が含まれます。学力検査の点数と調査書をどの比率で見るかは公表されていないため、完全な当日点勝負だと言い切ることはできません。
これは多くの都道府県にみられる傾向で、一般に、公立よりも私立の方が、不登校の中学生にとっては合格しづらいといえます(逆の意見も目にしたことがありますが、ここは明言しておきます)。
私立の調査書は学校ごとに違う。必ず募集要項で確認を
公立入試の調査書から欠席日数の欄が消えたという話は、あくまで公立高校入試用の様式についてのものです。
私立高校の入試で使う調査書には、県が定めた統一様式がありません。どの様式を使うかは各校が決めています。
実際に、募集要項の中で調査書は新潟県の新様式に準じますと明記している学校があります。この場合、提出される調査書には出欠の記録の欄がないので、欠席日数そのものが数字として高校に伝わることはありません。
一方で、独自の様式を使い、出欠の記録欄を残している学校がある可能性も否定できません。志望校がどちらなのかは、その学校の募集要項を確認してください。
そのうえで、もう一段踏み込んだ話をします。
仮に調査書に欠席日数の欄がなかったとしても、それで欠席が完全に見えなくなるわけではありません。
理由は簡単で、欠席が記載されなくても評定は記載されるからです。評定に「1」が並んでいたり、評定をつけられずに斜線が引かれていたりすれば、長期の欠席があったことは高校側に十分伝わります。
もっとも、不登校を理由に不利に扱ってよいということではありません。文部科学省は令和元年10月の通知「不登校児童生徒への支援の在り方について」で、高校入試の多様化が進むなかで、高校で学ぶ意欲や能力を持つ不登校の生徒を適切に評価することが望まれるとしています。この通知は各都道府県教育委員会だけでなく、私立学校を所轄する各都道府県知事にも宛てて出されており、私立高校も対象に含まれています。
ただし、これはあくまで国からの通知であり、各校の合否判定をどこまで縛るものかは分かりません。公立入試の自己申告書のように、要項の中で「不利益が生じないよう配慮する」と明文化されているわけでもありません。私立高校の合否判定で、不登校の状況がどう扱われているかは、外からは確認できないのが実情です。
不登校生にとっての現実的な私立戦略
以上を踏まえると、方針はこうなります。
内申点に不安があるなら、2月の一般入試を軸に据える。そのために3教科の学力を上げておく。1月の入試は成績基準で出願できない可能性があるので、中学校の先生に基準を満たしているか早めに確認しておく。
加えて重要なポイントとして、事前に学校説明会や入試説明会での個別相談に足を運んでください。欠席や評定の状況を正直に伝えたうえで、出願は可能か、どの区分で受けるべきか、調査書はどの様式を使うのかを直接確認する。
募集要項の中には、受験上の特別な配慮が必要な場合や通学に不安がある場合は出願前に中学校長を通じて相談するようにと記載している学校もあります。相談の窓口は制度として用意されています。
なお、近年は私立高校の授業料支援が拡充され、私立志望者が増えています。倍率や実質的な合格ラインが上がる可能性がある点は頭に入れておいてください。
私立通信制という選択肢
全日制の出席ペースに不安が残る場合は、私立通信制も有力です。
近年は、広域通信制という全国展開している私立高校が話題ですが、新潟はそれ以外にも県内を本拠地としている通信制高校が多くあります。
開志学園高校、新潟英智高校(2025年度まで長岡英智高校)、創進高校の3校が県内の生徒を対象とした狭域制、開志創造高校とmanagara Highschool(新潟産業大学附属高校の通信制課程)の2校が全国から生徒を受け入れる広域制です。2026年4月には、新潟青陵高校にも通信制課程が開設されました。
広域制は全国どこからでも入学できる一方、狭域制は県内に校舎があるぶん、通学して先生と顔を合わせながら進めやすいという違いがあります。どちらが合うかは、家から通えるか、人と関わりながら学びたいかによって変わります。
在籍者数も増えています。2024年度時点で県内の私立通信制には約2,250人が在籍し、前年度から約19%増えました。公立通信制2校の約1,320人と比べても、私立の伸びが目立ちます。
通信制は学校によって方針もサポート体制も大きく違います。入学難易度は高くないので、合同説明会だけで決めず、実際にキャンパスに足を運んで選び抜くことをおすすめします。

まとめ:不登校から新潟県の高校受験を成功させるには?
ここまで新潟県の公立、定時制・通信制、私立を順に見てきました。
新潟県は不登校から高校に入りやすい県なのか。総合すると、どちらともいえない県だと言えます。
公立入試では調査書に欠席日数が載らず、自己申告書には不利益を生じさせない配慮が明記されている。普通科を中心に合否の7割が当日のテストで決まる高校が多く、県全体では定員が埋まっていない。ここまでは追い風です。
一方で、内申点は3年分が均等に加算されるので中1・中2の穴は残り、調査書の比重をゼロにできる仕組みもありません。令和9年度から始まる学校設定枠は、志願理由書や活動実績を評価する枠であり、不登校の受験生にとってはむしろ向かい風になります。
私立については実態が外からはわからず、書類審査がある以上、欠席の影響がないとは言い切れません。
そのうえで、公立の勝ち筋ははっきりしています。
学校設定枠は見送り、一般枠で勝負する。調査書3:学力検査7の高校を軸に、倍率が1.0前後の学校を志願状況を見ながら選ぶ。そして、当日の5教科でどれだけ点を積めるかに集中する。
私立は、1月入試の成績基準に届かなくても、2月入試という道が制度として開かれています。3教科の学力を上げておけば勝負になります。全日制が難しければ、定時制、公立通信制、私立通信制という選択肢もあります。
最後にもう一度お伝えします。
令和9年度から2次募集の学力検査がなくなり、その2次募集は42校44学科という規模で実施されています。新潟県で、公立高校のどこにもいけないという状況になることはありません。そこは安心してください。
そのうえで、受験勉強には依然として価値があります。
いわずもがなですが、受験学力は、どこでもいいから合格するためというより、選べる高校を増やすためのものであったり、入学後の学習をスムーズに進めるためのものです。過去の欠席日数も内申点も、いまから変えることはできませんが、5教科の学力は、今日からいくらでも積み上げられます。
受験を控えた皆さまに吉報が届くことを願っています。

不登校からの高校入試(新潟編)よくある質問
~高校入試をがんばる不登校生、募集中~
ということで、今回は、不登校の中学生が新潟県の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。
ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。
ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。
実は、私たちSchorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学3年生の支援プロジェクトを開始しました。
その名も、Schorbit REBOOT。
不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。
そんな中学3年生(中学2年生の途中から参加可能)を応援します。
詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。

