不登校からの高校入試ガイド
【東京都 編】
都立・私立の選択肢と制度を完全解説

■ 都道府県ごとに不登校からの高校入試を解説

中学校で不登校を経験し、これからの進路に不安を抱えている生徒や保護者の方は少なくありません。

「全日制は無理なのか」
「内申点がないから私立しか選べないのか」

といった悩みは、正確な情報を知ることで解消できる場合が多くあります。

Schorbitでは、今後、都道府県ごとに正確な情報をまとめていきたいと思います。初回は東京都です。

一言でいうと、東京都はめぐまれています

不登校生徒の受け入れに積極的な都立高校や、独自の入試枠を設ける私立高校など、多様な選択肢が用意されています。

本記事では、東京都の高校入試における不登校生への対応や、チャレンジスクールとエンカレッジスクールの違いについて、難関校や進学校に進学することは可能かなど、入試制度の仕組みを交えて解説します。

現状を正しく理解し、最適な進路選びの一助となれば幸いです。

(注意:2026年2月時点での情報です)


■ 東京都の不登校入試事情:全日制への道はある

東京都における高校入試では、不登校経験者であっても全日制高校への進学は十分に可能です。

かつては「出席日数が足りないと公立は厳しい」と言われましたが、現在は制度改革が進み、多様な学びの場が整備されています。

特に都立高校では、不登校の生徒が不利にならないような配慮規定や、学び直しを前提とした学校種別が存在します

諦める前に、まずはどのような制度が利用できるのか、東京都特有の仕組みを把握することが重要です。

  • 都立高校における不登校生徒への配慮
  • 不登校でも受験しやすい学校の種類

以下では、これらを順に確認していきます。


■ 都立高校における不登校生徒への配慮

東京都の公立高校入試では、不登校を理由に欠席が多い生徒に対して、調査書(内申書)の扱いに関する特別な配慮が行われています。

通常、一般入試では学力検査の点数と調査書の点数を合算して合否を判定しますが、不登校の事情がある場合は「自己申告書」を提出することで、欠席日数を減点対象としない、あるいは調査書の比重を下げるといった措置が取られることがあります。

(東京都教育委員会のウェブサイトから自己申告書のファイルがダウンロードできます)

これにより、当日の学力検査でしっかりと点数を取れれば、全日制高校への合格も現実的な目標となります。

東洋経済オンラインの「”内申点で不利”な「不登校の中学生」、ベストな進路を勝ち取る「戦略的高校受験」の秘訣」という記事では、内申点が合否に大きく影響する通常の入試制度において、不登校生がいかに戦略的に受験校を選ぶべきかが解説されています。

記事内では、全日制普通科だけにこだわらず、柔軟な単位制や通信制も視野に入れることで、結果的に希望する進路に近づけると指摘されています。

東洋経済オンライン – “内申点で不利”な「不登校の中学生」、ベストな進路を勝ち取る「戦略的高校受験」の秘訣 全日制普通科や通信制に落とし穴、注意点は?

[参考] 自己申告書とは
不登校の理由や、高校生活への意欲を記載して提出する書類です。これを提出することで、調査書の「欠席日数」や「評定」を入試判定でどう扱うか、学校側が配慮する仕組みになっています。

制度名内容対象者
自己申告書欠席理由を説明し、内申点の減点を緩和する措置長期欠席者全般
調査書不要枠調査書を用いず、面接や作文のみで選考する枠チャレンジスクール等
特別選考学力検査と調査書の比率を変更して判定する特定の指定校

■ チャレンジスクールとエンカレッジスクール

東京都には、不登校経験者や中退者を積極的に受け入れる学校として「チャレンジスクール」と「エンカレッジスクール」があります

これらの学校があることは、東京都の最大の特徴といっていいでしょう。これらについて詳しく知りたい方は、東京都教育委員会(下の画像)をご参照ください。

要点のみ説明していきます。

これら2つは、名前は似ているものの、「学校の仕組み」も「合格するための戦い方」も全く異なります。特にチャレンジスクールは、「試験がないから楽に入れる」と安易に考えていると、高倍率の壁に阻まれ不合格になるリスクがあります。

ここでは、両者の違いと、合否を分ける決定的なポイントについて解説します。

  • 2つのスクールの決定的な違い
  • 【対策必須】チャレンジスクールの合否基準
  • エンカレッジスクールの特徴と入試

① 2つのスクールの決定的な違い

最大の違いは、「定時制か全日制か」という点と、「内申書(調査書)の扱い」です。

チャレンジスクールは昼夜間定時制(三部制)で、自分の生活リズムに合わせて時間を選べる柔軟さがあります。一方、エンカレッジスクールは全日制であり、毎日決まった時間に登校し、クラス単位で活動するのが基本です。

東京都教育委員会の資料や過去の入試データを見ると、チャレンジスクールは内申書が一切不要であるため、学び直しを希望する生徒が殺到しやすい傾向にあります。

一方、エンカレッジスクールは内申書の提出が必要(点数化はしないが参考にする)であり、全日制という縛りもあるため、受験層が異なります。

選び方の基準

毎日朝から学校に通い、集団生活の中で成長したいなら「エンカレッジスクール」。

自分の体調やペースに合わせて、時間をかけて単位を取りたいなら「チャレンジスクール」。

比較項目チャレンジスクールエンカレッジスクール
学校の種別昼夜間定時制(三部制・総合学科)全日制(普通科・専門学科)
登校スタイル午前・午後・夜間から選択可能朝からの通学が基本
入試内容志願申告書・作文・面接面接・作文・実技・調査書
内申書提出不要必要(合否判定には点数化せず)
合否の決め手自己分析と意欲(プレゼン力)毎日通える継続力と基礎意欲

まずは自分が「どちらの環境なら通い続けられるか」を冷静に判断してください。ミスマッチな志望は、面接で見抜かれます。

②チャレンジスクールの合否基準

チャレンジスクールの倍率は、学校によっては2倍近く、あるいはそれ以上(立川緑高校などは2.5倍超)になることもあります。

「テストがないのに、どうやって合否を決めているの?」という疑問への答えはシンプルです。学校側は、「この生徒は、本校の特殊なシステム(単位制・自分で時間割を作る)を理解し、本当に卒業まで通えるか」を徹底的に見ています。

学力検査がない分、点差がつくのは「志願申告書」「作文」「面接」の3点のみです。ここで「ただ高校に行きたい」という曖昧な動機しか言えないようでは、確実に落とされます。

合否を分けるのは、「過去の消化」と「未来への具体的な計画」がリンクしているかどうかです。

  1. 過去と向き合う(自己分析)
    「なぜ学校に行けなかったのか」を隠さず、自分なりにどう捉えているかを言語化する必要があります。「なんとなく」ではなく、「こういう理由でつまずいたが、今はこう考えている」と説明できることがスタートラインです。
  2. システムへの理解を示す
    チャレンジスクールは自由度が高い分、自己管理能力が問われます。「自由そうだから」ではなく、「この学校のシステムなら、自分はこうやって勉強を進められる」という具体的なイメージを面接で伝えてください。
  3. 作文と面接の一貫性
    提出する「志願申告書」の内容と、面接での受け答え、当日の作文の内容にブレがないように準備します。これらがバラバラだと、「本心ではない」と判断されます。

やってはいけないNG回答

「勉強が嫌いなので、テストがないここを選びました」

「親に行けと言われたので来ました」

これらは「意欲なし」とみなされます。「今の自分を変えるために、この学校の○○という環境が必要です」という主体性が必須です。

ちなみに、最近YouTubeに面接対策動画を公開しましたので、興味ある方はそちらもご参照ください。

YouTube player

③エンカレッジスクールの特徴と入試

エンカレッジスクールは、小中学校で力を発揮できなかった生徒の「学び直し」を支援する全日制高校です。

30分授業や少人数指導など、勉強へのハードルを下げる工夫がされていますが、あくまで「全日制」です。そのため、入試では「毎日通う意思と体力があるか」が重要な評価ポイントになります。

入試には学力検査はありませんが、調査書の提出は求められます。これは成績を見るためではなく、「中学時代にどのような生活を送っていたか」「特別な配慮が必要か」を確認するためです。

面接や作文に加えて、一部の学校では実技検査が行われることもあります。

学校名所在地特徴
足立東・蒲田足立区・大田区基礎学力の定着を徹底サポート
秋留台・東村山西多摩・多摩自然環境や部活動も重視
練馬工科など練馬区・中野区ものづくりを通じた学び直し

エンカレッジスクールはけっして高倍率ではない(定員割れも多い)ため、合格するためのハードルは高くありません。

受験する場合は、「中学では不登校だったが、高校からは毎日通いたい」という強い決意をアピールすることが合格への鍵となります。

体験入学などに参加し、「ここなら通えそう」という感覚を掴んでおくことも大切です。


■ 私立高校に合格するには?

公立高校だけでなく、私立高校にも不登校の生徒を受け入れる学校は数多く存在します。以下で詳しく述べていきます。

①内申点を見られるから無理?

「私立は内申点を見るから無理」と思い込んでいる方も多いです。確かに、その側面があるのも事実です。

しかし、「無理」ではなく、実際には入試形態を工夫することで、内申点に関係なく合格を目指すことが可能です。

特に東京都内の私立高校では、多様な生徒を受け入れるために独自の入試枠や相談会を設けているケースが増えています。ここでは、私立高校を受験する際に知っておくべき「オープン入試」などの戦略について解説します。

②一般入試の中にある2つのルート

東京都の私立高校入試(主に2月10日開始)は、募集要項上は「一般入試」という名称で統一されています。しかし、その中身は大きく2つのルートに分かれており、どちらで受験するかによって合否基準が全く異なります。

  1. 併願優遇ルート: 内申点が基準に達している生徒向け。事前に中学校を通じて相談を行い、実質的に合格の約束をもらってから一般入試を受けます。
  2. オープン入試(フリー受験)ルート: 優遇を利用しない生徒向け。事前の約束はなく、「一般入試」を実力勝負で受けるスタイルです。塾や受験業界では、優遇枠と区別するために「オープン入試」と呼ぶことが一般的です。

不登校で内申点が足りない場合は、1の優遇ルートは使えません。したがって、自動的に2のオープン入試(フリー受験)を目指すことになります。

願書を提出する際は「一般入試」を選択し、優遇措置の申請をしないことでこの枠での受験となります。

③オープン入試(フリー受験)の活用

このように、オープン入試とは、調査書(内申点)を合否判定の点数に含めず、当日の学力試験のみで判定する入試方式です。

主に東京都・神奈川県といった首都圏の私立高校で使われている名称です(地域によっては一般入試とも呼ばれます、関西などでは「当日点重視型」などと呼ばれるそうです)。

この方式であれば、たとえ中学校での欠席日数が多くても、あるいは通知表がオール1(またはスラッシュや空欄)であっても、当日のテストで合格ラインを超えれば入学できます

進学校から個性的な教育を行う学校まで、多くの私立高校がこの枠を設けており、不登校生にとって非常に有力な選択肢となります

逆にいうと、単願推薦、併願優遇といった他の私立高校入試の形式ですと、ほとんど合格を勝ち取ることは難しいといえます。

朝日新聞の「調査書不要の高校入試が広がる 不登校や病気の生徒に「チャンスを」」という記事では、私立高校を中心に、生徒の過去(欠席日数や成績)よりも現在・未来の可能性を評価しようとする動きが加速していると報じられています。

記事では、こうした入試形態が、不登校生徒にとって再挑戦の大きなチャンスになっていることが具体的な事例とともに紹介されています。

朝日新聞 – 調査書不要の高校入試が広がる 不登校や病気の生徒に「チャンスを」

メリットと注意点

  • メリット: 過去の成績が一切問われないため、実力さえあれば難関校も狙える。
  • 注意点: 当日点のみの勝負となるため、高い学力が求められる場合が多く、倍率も高くなりやすい。
入試方式特徴不登校生へのメリット
推薦入試内申点が基準。面接等が中心。基準を満たせば合格しやすいが、内申が必要。
併願優遇公立の滑り止め。内申基準あり。内申があれば安心だが、不登校生にはハードルが高い。
オープン入試当日の点数のみで判定。内申・欠席日数が関係ないため、逆転合格が可能。

オープン入試を目指す場合は、志望校の過去問対策に特化した勉強が必要です。

内申点を気にする必要がない分、受験勉強に集中できるという側面もあります。自分に合った学校を見つけ、戦略的に準備を進めましょう。


■ 難関進学校の実情について

「学力さえあれば、不登校からでも日比谷や開成といった超進学校に行けるのか?」

この問いに対する答えは、志望校のタイプによって大きく異なります。偏差値が高い学校ほど「実力主義」に見えますが、実際には入試制度の壁が存在するケースが多いのが現実です。

ここでは、トップ層を目指す生徒が知っておくべき「3つの壁」と「攻略ルート」を解説します。

1. 都立トップ校(日比谷・西など)の壁

結論:極めて厳しい

都立トップ校は「自校作成問題」という非常に難易度の高い独自入試を行っています。一見すると「難しい問題で差がつくから、当日点で逆転できる」と思われがちですが、事実はそうではありません。

合格者の平均点が50〜60点台でそこまで標準偏差も大きくないため、受験者間で点差がつきにくく、結果として「あらかじめ持っている内申点(300点分)」の差が合否に決定的な影響を与えます。

オール5のライバルが持つ内申点のアドバンテージを、誰もが高得点を取れない難問でひっくり返すのは非常に困難です。

2. 私立最難関(開成・早慶)の壁

結論:出席日数の要件が厳しい

私立の最難関校も、学力だけで突破するのは容易ではありません。

  • 開成高校: 中3の欠席日数が30日を超えると「審議の対象」となり、理由書の提出が必須です。門前払いではありませんが、正当な理由がない限り合格のハードルは高くなります。
  • 早慶附属校: 多くの学校で「3年間の欠席日数」に出願資格(例:30日以内)を設けており、条件を満たさないと受験すらできないケースが一般的です。

3. 私立進学校のオープン入試

結論:ここが本当の勝負所

不登校から難関大学進学を目指す場合、最も現実的かつ勝算があるのは、「高校募集を行っている私立進学校」のオープン入試(フリー受験)です。

これらの学校は、内申点や出席日数を合否判定の主軸にせず、当日のテストの点数のみで評価する傾向が強いです。

具体的な学校名としては、巣鴨、城北、国学院久我山、広尾学園などです。これらの学校は、一入試において内申点の足切りがなく(または緩やかで)、純粋な学力勝負が可能です。

[参考] 合否判定の比率

都立全日制(第一次募集・一般)の合否判定比率は、以下の通り固定されています。

【学力検査 : 調査書 = 7 : 3】

これに加え、現在はスピーキングテスト(ESAT-J)の20点が加算され、合計1020点満点で判定されます。

  • 学力検査(700点): 5教科500点を1.4倍換算
  • 調査書(300点): 65点満点(5教科×5 + 実技4教科×2倍)を約4.6倍して300点に換算
  • ESAT-J(20点): A〜F判定を点数化

■まとめ

東京都の高校入試において、不登校であることは決して進学の道を閉ざすものではありません

都立の「チャレンジスクール」や「エンカレッジスクール」をはじめ、一般入試における「自己申告書」の活用、そして私立高校の「オープン入試」など、生徒の状況に合わせた多様なルートが用意されています。

重要なのは、現在の学力や通学への意欲、そして将来の目標に合わせて、最適な学校を選ぶことです。

「全日制に行きたいけれど不安」という場合でも、制度を正しく理解し、適切な対策を講じることで合格の可能性は十分に広がります。

まずは学校説明会や個別の相談会に参加し、実際の学校の雰囲気を感じてみることから始めてみてください。過去にとらわれず、新しい一歩を踏み出すための選択肢は、意外と身近にあるものです。


■ 高校入試をがんばる不登校生、募集中

ということで今回は、不登校の中学生が東京都の高校入試を合格する方法について考えてきました。

実は、私たちSchorbitも、近日中に高校入試に向けたプロジェクトを開始する予定です。

不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。

そんな中学生の活動を応援します。

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