不登校からの高校入試ガイド
【北海道 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

要約:北海道の不登校からの高校入試ポイント
■ 不登校でも北海道の高校入試に合格できる?
「出席日数が足りないから、高校には行けないかもしれない」
「定期テストを受けていないから、通知表は1ばかり……」
もし、そんな不安から高校進学を諦めかけているとしたら、いますぐ安心してください。実は、北海道の高校入試は、不登校の中学生にとって挑戦しやすい仕組みが整っています。
最大のポイントは、公立高校の入学者選抜において「出欠の記録」が選抜の資料として使われないという点です。また、個人調査書の成績の記録(内申点)が低くても、当日のテストの成績を重視する枠組みが用意されているため、実力次第で十分に挽回が可能です。
つまり、北海道において不登校を理由に高校進学を諦める必要はまったくありません。重要なのは、無理をして中学校へ行くことではなく、北海道の入試制度を正しく理解し、自分に合った準備を進めることです。
この記事では、北海道の高校入試制度(公立・私立)を「不登校生の視点」から徹底的に分析しました。制度の正しい知識があれば、高校への道は十分に開かれています。まずは、どのような仕組みになっているのかを知るところから始めましょう。
(※以下は2026年3月上旬時点で調査した情報を基にしています)
■ 不登校生が北海道の公立高校受験を突破するには?
公立高校入試からご説明します。
北海道の公立高校入試には、主に「推薦入学者選抜(2月実施)」と「一般入学者選抜(3月実施)」の2つのルートが用意されています。大きな特徴として、2023年度(令和5年度)入試から、公立高校の推薦入試は中学校長の推薦を必要としない「自己推薦」に変わりました。
つまり、生徒自身が「この学校で学びたい」という意欲を持っていれば、自らの意志で出願することが可能なのです。
不登校でも推薦入試(自己推薦)は受けられる?
「不登校で欠席が多いから、推薦なんて無理だろう」と思い込んでいる方は多いですが、実はそんなことはありません。
一般入試と同様に、推薦入学者選抜においても、個人調査書(内申書)の「出欠の記録」は選抜の資料として使用しないことが北海道教育委員会の実施要項に明記されています。欠席日数が多いこと自体が、推薦を受けられない理由や不合格の直接的な原因にはなりません。
自己推薦では学力検査(筆記テスト)を行わず、個人調査書、自己推薦書、面接(学校によっては作文や実技など)を総合して合否が決まります。各高校が掲げる「求める生徒像(スクール・ポリシー)」に合致し、入学後の前向きな意欲を自分の言葉でアピールできれば、不登校であっても合格のチャンスはあります。
なお、自己推薦で合格内定を出す人数(推薦枠)は、学科によって以下のように上限が定められています。
- 普通教育を主とする学科(普通科など):募集人員の10〜40%程度
- 農業・水産に関する学科:募集人員の50〜90%程度
- その他の専門学科・総合学科:募集人員の30〜50%程度
- 定時制の各学科:募集人員の30%程度
結論:不登校だと推薦入試での合格は厳しい?
中学校長の推薦が不要になったことで、不登校の生徒でも自己推薦に出願すること自体は可能です。また、推薦入学者選抜においても「出欠の記録」は選抜の資料として使用しないことが明記されています。
しかし結論から言うと、不登校によって内申点が低い生徒の場合、人気校の自己推薦での合格は「かなり厳しい」と言わざるを得ません。
なぜなら、自己推薦では当日の学力検査(筆記テスト)が行われず、個人調査書(内申書)、自己推薦書、面接(学校によっては作文や実技など)を総合して合否が決まるからです。ポイントは調査書です。
つまり、不登校によって定期テストを受けられず、内申点(調査書記載の評定)が極端に低かったり、斜線や「1」が多かったりする場合、当日のテストの点数で挽回するチャンスが一切ないため、合否判定においてどうしても不利になってしまうのです。
もちろん、「面接の練習も兼ねて推薦入試にチャレンジし、不合格なら一般入試に再出願する」という戦略を取ることは可能です。しかし、現実的な合格の可能性を考えるならば、不登校生は当日のテストの点数で大逆転が可能な「一般入学者選抜」を本命として対策を進めるのが、最も確実な王道ルートとなります。

基礎知識:内申点とランクの計算方法
北海道の公立高校入試(推薦・一般共通)の仕組みを正しく理解するために、まずは合否判定の重要な基準となる「内申点(学習点)」がどのように計算されるのかを知っておきましょう。
北海道の内申点は、中学1年生から3年生までの9教科(5段階評価)の成績をもとに、315点満点で計算されます。
- 中1の成績:9教科 × 5段階 × 2倍 = 90点
- 中2の成績:9教科 × 5段階 × 2倍 = 90点
- 中3の成績:9教科 × 5段階 × 3倍 = 135点
- 【合計】315点満点
中学3年生の成績が他の学年よりやや比重が大きくなっているため、中1・中2で不登校であまり成績がついていなくても、中3から学習を再開すれば内申点を上げやすい仕組みとなっています。ただ、そこまで大きな違いがあるわけではありません。
特徴的なのは、この合計点(315点満点)を20点ごとに区切り、上からAランク(315〜296点)、Bランク(295〜276点)、Cランク…とMランク(75点以下)までの13段階に分けていることです。これは、北海道独自の「内申ランク」と呼ばれています。

(参考:知っておこう、受験のこと,合否判定の仕組み | 北海道学力コンクール)
内申点がなくても希望あり! 合否を分ける「15%の当日点重視枠」とは
そのうえで、重要な事実を述べます。
北海道の公立一般入試(3月上旬実施)では、定員全員をまったく同じ基準で合否判定するわけではありません。実は、不登校で内申点がほとんどない生徒にとって、最大の希望となる独自のルールが存在します。
それが「定員の15%は、必ず学力検査(当日のテスト点)を重視して選抜しなければならない」という仕組みです。
具体的には、合格者は以下の3つの枠に分けて順番に決定されます。
- 最初の70%(標準枠): 内申点と当日のテスト点を同等に評価して選抜
- 次の15%(内申点重視枠): 標準枠で漏れた生徒の中から、「内申点」を重視して選抜
- 最後の15%(当日点重視枠): 標準枠で漏れた生徒の中から、「当日のテスト点」を重視して選抜
この「70%・15%・15%」という定員の割り振りは、北海道教育委員会が定めた絶対のルールです。つまり、どの公立高校を受験しても、必ず定員の15%分は「当日の点数が重視される枠」が確保されているのです。

※北海道教育委員会の公式情報が記載されていますが、年度ごとにURLが変わるので注意してください。
学校によって違う「重視の度合い」
つまり、不登校の生徒にとっては、学力を高めて、この当日点重視枠の15%を狙っていくのが基本戦略となります。
さらにここから、受験戦略を立てる上で最も重要なポイントがあります。
枠の割合(15%)は全校共通ですが、「その15%枠の中で、当日点をどれくらい極端に重視するか(配分比率)」は、各高校が自由に決めることができます。
例えば、この「当日点重視枠(15%)」における評価比率を見てみると、学校ごとに大きな違いがあることがわかります。
- 札幌南・札幌西などの上位進学校:「当日点 10 : 内申点 0」 (内申点を一切見ず、当日のテスト結果のみで合否を決定)
- 石狩翔陽高校などの場合:「当日点 6 : 内申点 4」 (当日点を重視しつつも、内申点も一定の割合で加味)
このことを踏まえると、上位進学校の方が不登校にとって不利がない入試をしているともいえます(その分、入学難易度が高いため、入りやすいといえるわけではありません)。
不登校からの進学校逆転合格:当日点に極振りしている高校を狙う
上記のような枠を狙わずとも、定員割れしている高校であれば、不登校により内申点で不利があったとしても、合格する可能性は高いです。一方、進学校のような高倍率の公立高校に進学したい場合はどうすればよいでしょうか。
もし不登校によって内申ランクが極端に低かったり、評価がつかず「Mランク(オール1相当)」であったりしても、公立高校を諦める必要はまったくありません。
学力にある程度の自信がある場合、基本的な戦略としては、「当日点重視枠の比率を、当日点に極端に寄せている(10:0や9:1など)高校」をターゲットに定め、本番のテストで点数を取るための勉強に一点突破で集中することが賢明なアプローチです。
もっと簡単にいうと、北海道の公立高校に合格したいならとにかく勉強すればいいということです。学力さえあれば合格できる公立高校の合格可能性は一気に広がります。
「内申点がないから公立は無理」と思い込む前に、まずは志望校の「15%枠の比率」がどう設定されているかを確認し、この制度を最大限に活かす方法を検討してみてください。

安心のポイント!「出欠の記録」は選抜の資料に使われない
ここまで内申点の話ばかりしてきましたが、一般入試において欠席はどう扱われるのでしょうか。
不登校の生徒や保護者様が最も心配される欠席日数ですが、自己推薦だけでなく、一般入学者選抜においても明確な安心材料があります。
個人調査書に記載される「出欠の記録」については、選抜の資料として使用しないことが、北海道教育委員会の実施要項に明記されています。欠席日数が多いこと自体が減点対象になることはありません。
欠席の背景や意欲を伝える「自己申告書」の活用
欠席日数は選抜の資料にはなりませんが、年間30日以上の欠席がある場合などに、欠席の理由や今後の意欲を伝える「自己申告書」を提出できる場合があります(詳細は各中学校にご相談ください)。
個人調査書に記載される「出欠の記録」については、選抜の資料として使用しないことが、北海道教育委員会の実施要項に明記されているため、欠席日数が多いこと自体が減点対象になることはありません。
では、なぜ年間30日以上の欠席がある生徒向けに「自己申告書」という制度があるのでしょうか。欠席日数が合否に影響しないのであれば、提出する意味がわからないと感じるかもしれません。
しかし、これは重要な役割をもつ書類です。
不登校によって定期テストを受けられなかった場合、「各教科の学習の記録(内申点)」が低くなってしまったり、空欄になってしまったりすることがあります。自己申告書は、そのような「不登校という特定の事情によって、調査書が生徒の真の能力を反映していない場合」に、その背景を高校側に正しく理解してもらうためのツールとして機能します。
高校側は合否を落とすために理由を知りたいのではなく、志願者を深く理解し、入学後にどのような支援が必要か(あるいは本人がどう頑張ろうとしているか)を把握するための補助資料としてこの書類を受け取ります。
そのため、自己申告書にはネガティブな弁明を書く必要はありません。「体調を崩していたが家庭やオンラインで学習を続けた」「高校では相談室を利用しつつ自分のペースで登校したい」といった、未来に向けた前向きな展望や希望する配慮を高校側に伝えるためのツールとして、堂々と活用すると良いでしょう。
なお、この書類が実際の合否にどういった影響があるのかは教育委員会発出の資料には明示されていないようです。
体調不良等に備える「追検査」と「受検上の配慮」
入試当日の極度な緊張や不安で体調を崩してしまうことも考えられます。北海道では、新型コロナウイルスやインフルエンザ等の感染症だけでなく、やむを得ない事情で本検査を受検できなかった生徒を対象に、約1週間後に「追検査」を受検できる制度が用意されています。
また、集団での受験に強い不安がある場合などは、事前に中学校を通じて教育委員会や高校へ相談・申請することで、別室での受検や試験時間の延長などの「受検上の配慮」を受けられる可能性があります。早い段階で中学校の先生に相談しておくことが大切です。
■ 全日制以外の「新しい学校」の選択肢はある?
北海道には、毎日朝から夕方まで通学する「全日制」以外にも、自分のペースや体調に合わせて学べる高校がたくさんあります。不登校を経験した生徒にとって、むしろこうした学校の方が水に合い、才能を伸ばせるケースも少なくありません。
昼間も通える!「昼夜間単位制」の定時制高校
定時制高校というと「夜に授業を受ける学校」というイメージがあるかもしれませんが、今は大きく変わっています。午前、午後、夜間の3つの時間帯から自分の通いやすい時間を選べる「昼夜間単位制」を導入している学校があります。
代表的なのが「市立札幌大通高校」です。単位制の最大のメリットは「学年」という概念がないため、制度上の留年がないことです。自分のペースで時間割を組めるため、心理的な負担を大きく減らすことができます。
また、定時制の一般入試では学力検査を行わず、面接や作文のみで選抜を行う学校も多いため、勉強の遅れが気になっている生徒でも挑戦しやすいのが特徴です。
ただし、札幌大通高校のような柔軟な学校は不登校経験者にも非常に人気が高く、入試の倍率が高くなる(1.2~1.5倍程度)傾向にあるという現実も知っておく必要があります。「定時制だから簡単に入れる」と油断せず、面接等に向けたしっかりとした準備が大切です。

自分のペースで高卒資格を目指せる「通信制高校」
毎日通学することにハードルを感じる場合は、自宅学習(レポート提出)を中心に、月に数回〜年数回のスクーリング(面接指導)で単位を取得する「通信制高校」も有力な選択肢です。
最近は、私立の広域通信制高校の名前を聞くことが多いかもしれませんが、北海道には公立の「北海道有朋高等学校(通信制の課程)」があります。学費が非常に安いのが魅力ですが、学習の進捗管理をすべて自分で行う必要があるため、自己管理能力が求められます。
一方、私立の通信制高校は、道内(特に札幌周辺)に数多く存在します。私立の強みは、手厚いサポート体制です。オンラインでの学習支援はもちろん、週1日〜5日まで通学日数を自由に選べたり、メンタルサポートの専門スタッフが常駐していたりと、生徒一人ひとりの状況に合わせた伴走型の支援が充実しています。
また、私立の通信制高校は、公立の全日制高校の合格発表が終わった後(3月下旬以降)でも出願可能な日程が組まれていることがあります。「もし公立がダメだったとしても、通信制という安心できる居場所がある」と知っておくだけで、受験のプレッシャーは大きく軽減されます。
■ 不登校から北海道の私立高校に合格するには?
今度は私立高校の入試制度や、不登校の中学生にとっての難所を説明してまいります。
私立高校の入試は「推薦入試」と「一般入試」の2種類
北海道の私立高校入試には、大きく分けて「推薦入試」と「一般入試」の2つのルートがあります。
多くの私立高校で推薦制度が設けられており、中学校からの推薦(中学校長推薦)だけでなく、近年は生徒自身で応募できる「自己推薦」の形式をとる私立高校も増えています。
また、例年2月中旬(A日程・B日程)に行われる一般入試には、合格したら必ず入学することを条件に有利な基準で受験できる「単願(専願)」や、公立高校などと合わせて受験できる「併願」といった制度があります。一般入試では、日程が重ならなければ最大2校の受験が可能です。
私立高校は「内申ランク」と「欠席日数」が受験要件になりやすい
公立高校の一般入試では当日のテストの点数で挽回が可能でしたが、私立高校では推薦・単願・一般受験を問わず、独自の明確な基準が設けられています。
特に、不登校生徒が注意すべきなのが「欠席日数」です。
多くの私立高校では、「中学校3年間で欠席20〜30日以内」といった明確な要件が設定されています。この基準を超えている場合、そもそも推薦入試を受けられなかったり、一般入試であっても「欠席理由書」の提出が求められたりすることがあります。また、出願の条件として特定の内申ランク以上であることが求められるケースも多いため、募集要項の確認が必須です。
重要なのは、私立の入試ルールは学校ごとに全く違うということです。「欠席が多くても理由書を出せば受験可能」な学校もあれば、「欠席が多いと門前払い」「特定の内申ランク以上が必須」の学校もあります。
私立受験を少しでも考えている場合は、できるだけ早い段階で志望校の募集要項を確認し、場合によっては、中学校の先生に「欠席理由書」の作成を含めた具体的な対策を相談することが合格への第一歩となります。

■ まとめ
以上、北海道の高校入試において、不登校の中学生がどのようにして合格を勝ち取るかを見てきました。
公立高校では、個人調査書の「出欠の記録」が選抜の資料に使われないという明確なルールがあり、過去の欠席が決定的な不利にならない仕組みが整っています。内申点が低くても、学力検査の成績を重視する枠を利用して当日のテストで挽回するチャンスが残されています。
一方の私立高校においては、欠席日数が受験要件になる場合が多いため、事前の確認と中学校との連携が重要となります。
不登校からの高校受験は、決して「無理な挑戦」ではありません。何といっても、高校でがんばりたいという意欲を、日々の学習につなげることが重要です。基礎学力さえ身に付ければ、北海道の公立高校入試はけっして難しいものではありません。
正しい制度の知識を味方につけ、ご自身にとって最適な高校への切符を掴み取れるよう応援しています。
■ 不登校からの高校入試(北海道編)よくある質問
■ 高校入試をがんばる不登校生、募集中
ということで、今回は、不登校の中学生が北海道の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。
ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。
実は、私たちSchorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学3年生の支援プロジェクトを開始しました。
その名も、Schorbit REBOOT。
不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。
そんな中学3年生(中学2年生の途中から参加可能)を応援します。
詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。

