通信制高校からの大学受験
「親の疲れ」の正体と、
高額な塾・予備校をおススメしない理由

※注意:本記事について
この記事は、大学受験を控えたお子様を持つ保護者の方に向けて書いています。「厳しい現実」や「本音」も隠さず記しているため、もし受験生本人が読む場合は、その点を理解した上で読み進めてください。現実を受け止めて前に進む覚悟がないと、傷つくことがあるかもしれません。
■ 「親の疲れ」の正体は、孤独と愛情の裏返し
不登校のお子さまを持つ親のみなさま。
ふと、スマホで「不登校 親 疲れ」と検索してしまったことはないでしょうか。
不登校に伴う親の疲れは様々あります。小学生であれば別の居場所を探すこと、中学生であれば少しずつでも学習を進めることや高校入試のこと。そして高校生になると、通信制への転学や大学入試のこと。
様々あるなかで、ここでは通信制高校に通うお子さまをお持ちの保護者を想定して書いてまいります。
全日制高校であれば、保護者会やママ友との立ち話で入ってくる「受験の相場感」や「愚痴の共有」といったネットワークが、通信制高校にはほとんどありません。
情報源はインターネットだけ。検索すれば出てくるのは「偏差値30からの逆転合格!」「不登校から〇〇大学へ!」といった、華々しい成功体験や広告ばかりです。
「うちの子も、環境さえ整えれば……」
「今まで苦労した分、大学では普通の青春を送ってほしい」
そう願うのは親として当然のことです。不登校という辛い時期を支え、大切に育ててきたお子様だからこそ、「18歳からの人生は順調にいってほしい」と強く願う気持ちが、親を焦らせます。
その結果、「私がなんとかしなければ」という責任感から、高額な塾や予備校のパンフレットを取り寄せ、課金することで安心を得ようとしてしまう。
この「正解のない場所で、一人で決断し続けなければならないプレッシャー」こそが、通信制高校生をもつ親の疲れの一因です。
■ 「模試を受けたくない」心理と現場の悩み
一方で、現場の教員や講師から見た「通信制高校からの大学受験(特に難関大志望)」には、特有の難しさがあります。
それは、プライドと現実の乖離です。不登校を経験したお子様の中には、繊細で聡明、そして「自分は本来もっとできるはずだ」という高いプライド(自尊心)を持っている子が少なくありません。
「自分はダメだ」という劣等感が根っこにあるからこその、反動での高いプライドです。常にプライドをもって行動し続けるエリート気質ではなく、自身の劣等感を覆い隠すためにプライドを鎧のようにまとっていることが多いのです。
しかし、学習ブランクがあるため、現時点での基礎学力は志望校に届いていないことが大半です。ここで起きる典型的な出来事が、模試の拒否です。「まだ準備ができていない」「体調が悪い」と理由をつけて、全国模試を受けたがりません。
これは怠惰ではなく、恐怖です。
模試を受けて「合格可能性はほとんどない」という現実を突きつけられ、自分の中にある「逆転の可能性」が否定されるのが怖いのです。
多くの個別指導塾などが謳う「自分のペースで少しずつ」という言葉は、こうした心理に心地よく響きます。しかし、現実に目を瞑ったまま「自分のペース」で進めていては、入試本番には到底間に合いません。親目線からすれば、それは言われなくてもわかっていることと思います。
傷つきやすいプライドを守りつつ、それでも厳しい現実を直視させ、ゴールまで引っ張っていくこと。
これが、通信制高校生からの大学入試における特徴的な障壁であり、一般的な学習塾や予備校のカリキュラムでは対応しきれない部分です。
■ 高額な課金=正解ではない。それでも合格は無理ではない
ここまで厳しいことを書きました。
では通信制高校から難関大学への進学は無理なのか?
と問われれば、決して無理ではありません。できます。
実際、朝から晩まで学校に拘束される全日制の生徒に比べ、通信制の生徒には「時間」という武器があります。 基礎が抜けていようが、メンタルの波があろうが、年単位で時間をかけて、正しい戦略で積み上げれば、学力は着実に伸びます。
重要なのは、「学習塾や予備校に大金を払えば解決するわけではない」という点です。有名な講師の授業をいくら聞いても、本人が現実から目を背けていては意味がありません。逆に、高額な費用がかかっているという事実が、お子様への無言のプレッシャーとなり、親子関係を悪化させるケースすらあります。
少しだけ学力向上の仕組みに踏み込んでみます。
なぜ、塾や予備校の授業にお金をかければ受かるわけではないのか。それは、勉強という行為が授業だけでは完結しない構造になっているからです。
予備校の授業は、基本的に「予習(自分で問題を解いてくる)」→「授業(解説を聞く)」→「復習(解き直して定着させる)」というサイクルが回って初めて成果が出るようになっています。
学校の授業であっても同様です。教科書を開いて初めて知る形になっていますが、それでも「授業を聞く」だけでは知識は定着せず、その後の復習やテスト勉強があって初めて成績になります。
つまり、学習の本質的な成果は、授業を受けている時間ではなく、授業の「前」と「後」にどれだけ自分で手を動かしたかで決まります。
にもかかわらず、多くのご家庭が失敗してしまうのは、この「自分ひとりで机に向かう時間(予習・復習)」が確保できていない状態で、「授業」というサービスだけを買い足してしまうからです。
穴の空いたバケツにいくら高価な水を注いでも溜まらないように、定着させるプロセス(自習)がないまま授業を受けても、学力は積み上がりません。
必要なのは、高額な授業料を払うことではなく、まずはこの「授業の前後にある当たり前の学習サイクル」を回せる状態に戻してあげることなのです。
実際、大学受験の学習塾や予備校の費用といえば、年間で百万円を超えることも珍しくありません。しかし大学受験は、お金を払えば払うほどステータスが伸びるような課金ゲームではないのです。
必要なのは、百万円の授業料ではなく、プライドを否定せず、かつ現実(模試の結果など)を一緒に受け止めてくれる存在、「自分のペース」ではなく「合格から逆算したペース」を作ってくれる伴走者です。
これさえあれば、過去のブランクも不登校の経験も関係なく、大学受験は十分に戦えます。
■ 親のすべきサポートとは
では、親御さんは具体的に何をすればいいのでしょうか。焦る気持ちを抑え、以下の3点を意識してください。
1.「生活リズム」という土台を守る
メンタルの波や学習意欲は体調に依存します。昼夜逆転したままでは、どんなカリスマ講師の授業も頭に入りません。「勉強しなさい」と言う代わりに、朝カーテンを開け、栄養価の高い食事を出す。
地味ですが、これが親がすべき最大の支援です。
もちろん、ゲーム依存や推し活での散財など、目に余る行動があれば叱ってください。ただし、その際は「受験生なんだから」という枕詞は不要です。受験かどうかにかかわらず、生活として正しくないことは正しくない。あくまで親として、生活の規律だけを見てあげてください。
2.大学を「ゴール」ではなく「通過点」として語る
お子様の「プライド」を刺激しすぎないよう、「〇〇大学に入れないと人生終わり」という空気を作らないことです。「この空白期間を取り戻すための練習試合として、大学受験を使えばいい」くらいのスタンスで受験に挑戦するよう促してください。親が力を抜いたほうが、子供は安心して力を発揮し始めます。
特に注意してほしいのが、お子様の口から「Fラン」や「BF大学」といった言葉が出始めたときです。これは学歴で人を判断し、見下す感覚が芽生えている危険信号です。
仮に受験に成功しても、学歴差別をするような人間になっては意味がありません。大学名だけで人生が決まるわけではないと、人生の先輩として諭してあげてください。
3.親が教師役をやらない
勉強の遅れを見ると、つい口出ししたくなりますが、親が受験指導をすると親子関係は必ず悪化します。
実際、学校の教員や予備校講師であっても、我が子の受験指導はあえて別の同業者に任せることがよくあります。親子という「逃げ場のない関係」に、指導者という「評価する関係」を持ち込むと、うまくいかないことをプロほど知っているからです。
親はあくまで「スポンサー兼サポーター」に徹し、耳の痛い現実(模試の結果や進捗管理)を指摘する役目は、信頼できる第三者に任せてください。
以上の3点です。
これらを意識して、お子さまを真正面から大学受験に挑戦させてあげてください。
■ 1月からの「無料トライアル」について
改めてのご案内です。
2026年1月より、シン・ガッコウ Schorbitを開校し、Microsoft Teamsを活用したオンラインキャンパスをオープンいたします。おそらく日本初、難関大を目指す通信制高校生のために作られたオンライン進学校です。
この記事でも触れられていた、難関大を目指す通信制高校生の高いプライドを否定せず、かつ現実(模試の結果など)を一緒に受け止めてくれる存在であり、かつ「合格から逆算したペース」を作ってくれる伴走者がしっかりと面倒をみるような体制が整っています。
しかも驚くべきことに、無料です(正確には4月以降、フルスペックのサービスのみ有料化します)。
以下の無料登録を終えた方を対象とし、3月までは、すべての機能を無料でご利用いただけます。(以降は無料プランと有料プランに分かれます)
- 対象:大学進学を目指す通信制高校生や高校中退者(全日制高校生を除く)
- 内容:コミュニティ機能、オンラインHR、学習進路面談等
- 参加方法:コチラの無料登録のご案内ページより登録
※ 1月からのスムーズな参加のために事前登録をおススメします。
「自分に合う環境か確かめたい」「勉強のペースメーカーが欲しい」という方は、ぜひこの機会に第1期生としてご参加ください。
合わなければいつでも退会可能です。まずは新しい居場所を試してみることから始めてみませんか?
