通信制高校から難関大に行くには「総合型選抜」しかない?
実は「一般選抜」こそが現実的な勝ち筋である理由

■ はじめに
「通信制高校に通っているけれど、大学には行きたい。でも、勉強には自信がない……」
そう考えた時、多くの生徒や保護者が真っ先に検討するのが「総合型選抜(旧AO入試)」です。
「通信制高校は自分の時間が持てるから、その時間で何か活動をして、面接や書類でアピールすれば合格できるのではないか?」
そう考えるのは無理もありません。実際にウェブで検索すれば、そうした内容の記事が多くヒットしますし、多くの教育関係者もそう勧めているからです。
しかし、正直なところそれらは甘言で、本気にすると損する可能性が高いです。
筆者は元高校教員であり、多くの「逆転合格」を見てきた立場ですが、けっしてそうは思っていません。むしろ、難関大学を目指すのであれば、その戦略は悪手であり、合格の可能性を下げています。
通信制高校生が難関大に合格するための最短ルート。
結論からいえば、それは「一般選抜(学力試験)」という王道です。 なぜ、あえて茨の道に見える「一般選抜」を勧めるのか?
そこには、感情論ではない「構造的な勝算」があるからです。この記事で詳しく解説していきます。
■ なぜ通信制高校生は「総合型選抜」に逃げてしまうのか?
そもそも、なぜ多くの生徒が一般選抜を避け、総合型選抜へ流れてしまうのでしょうか。理由は大きく2つ考えられます。
1.基礎学力不足のコンプレックス
最大の理由は「勉強の遅れ」に対する不安です。 不登校期間があったり、通信制高校のレポート(教科書レベルの基礎)しかやっていなかったりすると、全日制高校の生徒と学力(全国模試など)で競うのはとても無理だと考えるようになります。
「今から勉強しても間に合わない」「偏差値で勝負したら負ける」という思い込みが、無意識に「筆記試験がない入試」を探させてしまうのです。
2.「通信制は有利」という誤解
「通信制なら全日制高校のように朝から晩まで授業がない。だからその時間でボランティアや探究活動をすれば評価される!」
このロジックは一見正しそうですが、難関大入試においては通用しません。 難関大の総合型選抜で評価される「活動実績」は、全国大会レベルや、並外れた探究の成果であることがほとんどです。
しかもその確認は、書面上(肩書)ではなく、口頭での面接で行われます。つまり、肩書だけは立派でも、実態が伴っていたかどうかは面接試験で必ず見抜かれてしまいます。
単に「時間があったから少し活動しました」レベルで合格できるほど、難関大の門は甘くありません。すでに何か顕著な活動をし続けていて、それが大学からみて評価の対象になる(学術的な価値がある)ならば話は別ですが、学校に行かなくていい時間を多少趣味に費やしていたといったことでは難関大は評価してくれません。
□ 一本足打法の危険性(=詰み)
最も恐ろしいのは、総合型のみしか考えない大学受験は不合格になったときのリスクが大きすぎることです。
第1期の総合型選抜の合格発表は、多くが11月頃。もしここで不合格になったらどうなるでしょうか?
受かるつもりで勉強を避けてきた生徒が、11月から慌てて一般選抜の対策を始めても、入試本番まであと3ヶ月しかありません。間に合いません、事実上の「詰み」です。
総合型選抜一本足打法の危険性はここにあります。「総合型も受けるが、あくまでメインは一般選抜」というスタンスでない限り、競争の場から早々に退場してしまうリスクを背負うことになるのです。
■ 数字で見れば明らか。難関大のメインゲートは一般選抜
ここで、客観的なデータを見てみましょう。「今は推薦や年内入試の時代」と言われますが、それは大学全体の話。こと難関大学に限れば、現実は全く異なります。
□ 難関大定員の過半数は、依然として「一般選抜」
文部科学省のデータ等を見ても、国公立大学の入学者の7割以上は一般選抜です。 私立大学でも、早稲田大学、明治大学、東京理科大学といった難関校は、依然として入学者の6〜7割以上を一般選抜(共通テスト利用含む)からとっています。(主な出典元)
つまり、総合型選抜や学校推薦型選抜の枠は、難関大においてはまだまだサブゲート(狭き門)なのです。
□ 広い門を捨て、狭き門に並ぶのは悪手
人気の高い難関大の総合型選抜は、倍率が5〜10倍になることも珍しくありません(例えば慶應義塾大学の総合型選抜・FIT入試等)。 一方で、しっかり対策をして受ける一般選抜の実質倍率は、3倍程度に落ち着くことが多いのです。
例えば旺文社のデータによると、私立大一般選抜の実質倍率は平均して3倍前後であり、難関大であっても、見た目の倍率ほど狭き門ではないことが読み取れます。(※ここでは志願倍率ではなく実質倍率、主に私立大学の話をしています。)
あえて定員が少なく、評価基準が曖昧で対策のしにくい「狭き門」に、人生を賭けるのは得策でしょうか?
定員が最も多く、合格基準(点数)が明確な一般選抜という「広い門」を目指すほうが、合理的な選択であるのは明らかです。
もちろん、一般選抜以外を考えるなと言っているわけではありません。総合型選抜はあくまでオプションとして捉えておくのが妥当だということです。
□ 高2なら、まだ十分に間に合う
とはいえ、タイムリミットはあります。
もしあなたが高校3年生なら、総合型以外では間に合わないと考えるのも無理もありません。
しかし、高校1・2年生なら、まだ時間は1年以上あります。 「勉強が遅れているから」という理由だけで、定員の7割を占める一般選抜を捨てるには、性急過ぎるのです。
■ 通信制高校生が持つ、全日制生にはない「最強の武器」
「でも、学力勝負じゃ進学校の生徒には勝てない……」
そう思うかもしれません。しかし、通信制高校生には、全日制高校生が喉から手が出るほど欲しがっている「最強の武器」があります。
それは時間です。
□ 勉強時間を多くできるのは通信制の方
全日制高校に通う生徒の1日を想像してください。
朝早く起きて満員電車で通学し、1日6〜7時間の授業を受けます。その中には、受験に使わない体育や家庭科、芸術などの授業も含まれています。時には学校行事もありますし、放課後には部活をやっている人も多くいます。帰宅してクタクタになった状態で、ようやく受験勉強を始められます。
自宅での学習時間が確保できないからといって、授業中にこっそり受験勉強をすること(いわゆる内職)も、進学校ではよく見られる光景です。それくらい全日制の高校生は時間がないのです。
一方、通信制高校生はどうでしょうか。
通学時間はゼロ。学校の拘束時間も最低限。つまり、進学校の生徒が学校に拘束されている「日中の8時間」を、あなたはすべて「難関大合格のための勉強」にフルベットできるのです。
これを活かさない手はありません。
□ 構造的有利を生かす
受験勉強は才能よりも、「正しい方向に、どれだけの時間と質を投下したか」で決まるゲームです。 たとえスタート地点(現在の学力)が大きく遅れていたとしても、1日に投下できる時間量が圧倒的に違うため、物理的に追い抜き、逆転することが可能なのです。
表面的にラクそうなルートではなく、一見険しそうなルートの方が、合格への近道ということもあります。
■ 中学レベルからでも「3教科」なら1年で戦える
「時間が有利なのはわかった。でも、中学レベルも怪しいのに、全科目を大学受験レベルに引き上げるのは到底無理だ!」
それはその通りです。だからこそ、いわゆる「選択と集中」が必要になります。
□ 私立の難関大なら「3教科」でいい
ほとんど常識のような話ですが、あらためてお伝えします。
国公立大学を目指すなら5教科7科目あるいは情報を含めて6教科8科目が必要ですが、私立難関大(早慶上智・GMARCH・関関同立など)なら、基本的に3教科(文系なら英・国・社、理系なら英・数・理)で受験できます。
全科目をやり直すのは数年かかりますが、3教科に絞って、1日10時間を1年間継続すればどうでしょうか?
中学レベルの英語からやり直したとしても、難関大の合格ラインまで持っていくことは、決して不可能な計算ではありません。
□ 人生への投資としての「一般選抜」
同時に、伝えたいことがあります。
勉強は、大学に合格するためだけにやるものではありません。勉強したことにより得られる最大の報酬は、「学歴」のような肩書ではなく、「学力」のような能力です。
仮に第一志望の大学に届かなかったとしても、一般選抜に向けて必死に勉強して培った学力は、あなたの人生を支える財産になります。
例えば、受験勉強で身につけた英語力は、大学入学後も、就職活動でも、その後のキャリアでも、私生活でも、一生役立つスキルです。
合格・不合格に関わらず、こうした基礎学力を身につけることは、あなたの人生の可能性を確実に広げてくれます。 だからこそ、私は通信制高校生に「一般選抜」をおすすめするのです。
■ まとめ:地道な努力を「仕組み」に変える
通信制高校生にとっての大学受験の勝ち筋。
それは、奇策(総合型)に頼ることではなく、「時間」という圧倒的な資源を味方につけた正攻法(一般選抜)です。
しかし、この戦略にはたった一つ、最大にして致命的な弱点があります。 それは「自宅で一人、毎日コツコツ勉強し続けることの難しさ」です。
自由な時間があるということは、サボろうと思えばいくらでもサボれるということ。 強制力のない環境で、一人で1日8時間以上机に向かうのは、大人でも至難の業です。
多くの通信制高校生が挫折するのは、ポテンシャル(地頭と呼ばれるもの)が低いからではなく、こうした自己管理の壁にぶつかるからです。
だからこそ、必要なのは「気合」や「根性」ではありません。 当たり前に机に向かうための「環境」と、正しい努力を続けるための「仕組み」です。
「自分には無理だ」と諦める前に、一度、その時間の使い方を変えてみませんか?
難関大学という、高くとも乗り越えられる壁が、挑戦するあなたを待っています。
■ 1月からの「無料トライアル」について
改めてのご案内です。
2026年1月より、シン・ガッコウ Schorbitを開校し、Microsoft Teamsを活用したオンラインキャンパスをオープンいたします。こちらは、そんな「難関大を目指したい通信制高校生」のために作られたオンライン進学校です。
進学校のような「学習のペースメーカー」と、一人ひとりに最適化された「戦略的な学習管理」。これらをオンラインで提供することで、孤独な戦いを、確実な成果へと変えていきます。
以下の無料登録を終えた方を対象とし、3月までは、すべての機能を無料でご利用いただけます。(以降は無料プランと有料プランに分かれます)
- 対象:大学進学を目指す通信制高校生や高校中退者(全日制高校生を除く)
- 内容:コミュニティ機能、オンラインHR、学習進路面談等
- 参加方法:コチラの無料登録のご案内ページより登録
※ 1月からのスムーズな参加のために事前登録をおススメします。
「自分に合う環境か確かめたい」「勉強のペースメーカーが欲しい」という方は、ぜひこの機会に第1期生としてご参加ください。
合わなければいつでも退会可能です。まずは新しい居場所を試してみることから始めてみませんか?
