不登校からの高校入試ガイド
【京都 編】
公立・私立の選択肢と制度を完全解説

要約:京都府の不登校からの高校入試ポイント
(※以下は2026年7月時点で調査した情報を基にしています)
【この記事を読む前に】
京都府の公立高校入試は、令和9年度入学者選抜(2027年4月に高校へ入学する選抜。現在の中学3年生が受験するもの)から制度が大きく変わります。ところが、新制度の正式なルールブックである「選抜要項」は令和8年夏に策定される予定で、この記事の執筆時点ではまだ公表されていません。そこで本記事は、京都府教育委員会・京都市教育委員会が公表している新制度の基本方針、検査項目の概要資料、制度説明動画(YouTube)をベースに、すでに終了した令和8年度までの入試制度と比較しながら解説します。まだ確定していない部分は「未公表」「検討中」と明記します。受験の際は、必ず最新の選抜要項をご確認ください。
中学校にほとんど通えていない。
通知表は「1」と斜線ばかり。
それでも高校に、できれば全日制高校に行きたい。
そんな状態で京都府の高校入試について調べ始めた方に、最初に2つの事実をお伝えします。
1つ目。
京都府の公立高校入試では、中学校から高校に提出される書類(京都では調査書ではなく「報告書」と呼びます)に、欠席日数を書く欄がそもそも存在しません。「休んだ日数が多いから門前払い」という構造には、制度上なっていないのです。
2つ目。
その一方で、京都府の内申点は中1から中3まで3学年分の評定が使われます。中1・中2で成績がつかなかったぶんは、報告書の点数にそのまま残ります。
つまり、京都府の公立高校入試は、欠席日数には寛容だが内申点での不利は残る制度です。この基本構造は、令和9年度からの新制度でも変わらない見込みです。
そのうえで、内申点での不利がない特別な選抜や、不登校経験者を前提に設計された公立高校が京都には複数あります。
本記事では、京都府教育委員会・京都市教育委員会の一次資料と、京都の学習塾などの公表情報を基に、不登校の中学生が京都府の高校受験で取りうる選択肢を、公立、公立の定時制・通信制、私立の順に紹介していきます。
京都府の高校入試は令和9年度から大きく変わる
まずは制度の全体像です。京都府の公立入試には、他県ではあまり見られないローカルルールがいくつかあるので、そこから押さえていきましょう。
知っておきたい「通学圏」という京都のルール
京都府の公立高校の普通科には「通学圏」という地域区分があり、住所によって志願できる高校が決まっています。区分は、京都市・乙訓、山城、口丹、中丹、丹後の5つです。
全国的には学区を撤廃するところが多数派になっているなかで、京都は普通科の地域制限が残っている少数派の都道府県です。一方、府立の総合学科や専門学科、定時制・通信制の課程は原則として府内全域から志願できます。
不登校からの進路を考えるとき、後述する定時制や特別な選抜の実施校が「自宅から通える圏内にあるか」は大きな条件になります。志望校を探す際は、まず自分の通学圏を確認するところから始めてください。

令和8年度まで:前期・中期・後期の3回構成
比較のために、令和8年度まで(つまり2026年3月までに行われた入試)の仕組みを簡単に押さえておきます。
- 前期選抜(2月中旬):すべての全日制で実施。ただし普通科の募集枠は定員の2〜3割で、令和8年度の普通科等の倍率は2.32倍という狭き門。報告書135点(中1〜中3の9教科評定)も選抜資料に含まれる
- 中期選抜(3月上旬):メインの入試。報告書195点(3学年分、実技4教科は2倍換算)と学力検査200点(5教科×40点)のほぼ1対1で判定。第1志望に2校まで順位をつけ、さらに第2志望も書ける複数志願制
- 後期選抜(3月下旬):中期選抜の後に相当の欠員が生じた高校のみ実施
前期で不合格でも同じ高校を中期で再受験できる仕組みでしたが、多くの受検生が同じ高校を2回受けることになり、前期の不合格で心が折れてしまう生徒も少なくないという課題が指摘されていました。

※年度ごとの選抜要項・広報資料PDFが掲載されています。
令和9年度から:前期・中期を一本化した新「前期選抜」へ
令和9年度入学者選抜からは、この前期・中期が1回の「前期選抜」に一本化されます。京都府教育委員会が公表している基本方針と概要資料によると、新制度の骨子は次のとおりです。
| 項目 | 令和8年度まで | 令和9年度から(公表済みの方針) |
|---|---|---|
| 受検機会 | 前期・中期・後期の3回 | 前期・後期の2回(後期は欠員時のみ) |
| 検査日 | 前期2月中旬+中期3月上旬 | 2月中下旬の連続する2日間(令和9年2月18日・19日を原則) |
| 選抜の枠 | 前期(学校ごと配点)と中期(共通配点) | 「独自枠」と「共通枠」の2本立て |
| 報告書(内申点)の配点 | 前期135点/中期195点 | 共通枠は135点(3年間の必修教科の評定合計)を基本 |
| 複数校志願 | 中期で最大3志願 | 独自枠1校+共通枠最大3校=最大4校まで志願可 |
独自枠は、各高校が求める生徒像に応じて検査項目や配点を独自に決める枠です。共通枠は、統一学力検査5教科と報告書135点という共通の物差しで選抜する枠で、現在の中期選抜に近い役割を担います。
そして、不登校の中学生にとって見逃せないのが次の一文です。
概要資料の注記には、報告書を用いない選抜方式として「D方式」を令和9年度から新設すると明記されています。内申点をまったく使わない方式が、制度として正式に位置づけられるということです(どの学校が採用するかは後述します)。

※基本方針、独自枠の学校別一覧、制度説明動画へのリンクが掲載されています。
繰り返しになりますが、正式な選抜要項は令和8年夏の策定予定です。
以下の各章では、確定している方針と、令和8年度までの実績を分けて説明していきます。

内申点が低くても京都府の公立高校に合格できる?
不登校の受験生にとっての本丸、内申点の問題です。
結論を先に言うと、通常ルートでの内申点の不利は小さくない一方、内申点での不利がない選抜や、実質的に当日点勝負になる状況が京都の公立入試には存在します。
内申点と当日点の比率はどうなっているか
内申点が低い受験生にとって本当に重要なのは、合否判定における内申点と当日の学力検査の比率です。当日点の比率が高い制度なら内申点のビハインドをテストで巻き返せます。逆に内申点の比率が高ければ、勝負は試験当日より前にほぼ決まってしまいます。
その観点で京都府を見ると、正直なところ、当日点で巻き返しやすい設計ではありません。
令和8年度の中期選抜(メインの入試)の配点は、報告書195点に対して学力検査200点。ほぼ1対1です。報告書の評定は中1から中3までの3学年分が対象で、実技4教科は2倍に換算されます。
具体的に計算してみると、この比率の重さがわかります。
仮に3年間の評定がオール1なら報告書は39点、オール3なら117点。その差は78点です。学力検査200点満点の中で78点差を追いかけるのは、得点率にして約4割のハンデを背負う計算で、現実的にはほぼ埋められません。
令和9年度からの共通枠では、報告書は135点(3年間の必修教科の評定合計)が基本とされています。実技2倍の換算がなくなるぶん計算はシンプルになりますが、オール1(27点)とオール3(81点)の差は54点。
そして肝心の学力検査側の満点、つまり報告書135点との比率は、現時点で公表されていません。学力検査側の配点が大きければ内申点の影響は相対的に薄まりますが、それが判明するのは令和8年夏の選抜要項です。
志望校を絞る前に、必ずこの比率を確認してください。
いずれにしても言えるのは、京都府の公立入試は報告書(評定)が合否資料の柱の一つであり続ける、ということです。中1・中2で登校できず評定が「1」や斜線だった場合、その点数は報告書に固定されたまま動きません。内申点に大きなハンデを抱えた状態で人気校に正面から挑むのは、かなり厳しい勝負になります。
だからこそ、次に紹介する「内申点での不利がない選抜」と、その後で触れる「倍率の実態」が重要になってきます。
内申点での不利がない「長期欠席者特別入学者選抜」(令和8年度まで)
ここからが京都府の特徴的な制度です。
令和8年度まで、京都府には「長期欠席者特別入学者選抜」という選抜がありました。中学校在籍中、第1学年から第3学年のいずれかの学年で年間30日以上の欠席がある生徒が出願でき、全日制普通科の4校で実施されていた制度です。
| 実施高等学校(令和8年度) | 募集人員 | 志願者数 | 合格者数 |
|---|---|---|---|
| 京都府立朱雀高等学校 | 10人程度 | 6 | 6 |
| 京都府立乙訓高等学校 | 5人程度 | 5 | 4 |
| 京都府立城陽高等学校 | 10人程度 | 11 | 10 |
| 京都府立西舞鶴高等学校 | 5人程度 | 0 | 0 |
| 合計 | 30人程度 | 22 | 20 |

※特別入学者選抜を含む各選抜の志願者数・合格者数PDFが掲載されています。
この選抜の最大の特徴は、提出する報告書(調査書)の様式が専門のものに変わること(様式Cの3)にあります。
この様式には各教科の評定を書く欄がなく、記載されるのは出欠の状況、欠席が長期にわたった理由、欠席中の生活や学習の様子、特記事項といった内容のみ。選抜は、この報告書と国語・数学・英語の学力検査、面接、作文で行われていました。
つまり、内申点での不利が構造的に存在しない全日制ルートだったわけです。
令和8年度の結果を見ると、志願22人に対して合格20人。ほぼ全員が合格していますが、全入ではなく、不合格も2人出ています。学力検査と面接・作文で最低限の準備は必要だったということでしょう。
ただし、この制度を紹介するうえで、正直にお伝えしておきたいことが2つあります。
1つ目は、実施4校のラインナップです。
偏差値情報サイトなどでは、朱雀・城陽・乙訓の普通科はいずれも偏差値40台半ばと紹介されており、令和8年度の中期選抜でも朱雀0.89倍、城陽0.93倍、乙訓0.96倍と、3校とも通常の入試で定員割れか、それに近い状態でした。言い換えると、この特別選抜を使わなくても、当日点で堅実に得点すれば十分に合格を狙えた高校が中心だったということです。
内申点での不利がないという制度の強みが最大限生きる「内申は低いが学力は高い生徒が人気校に挑む」ような使い方は、実施校の構成上できませんでした。
2つ目は、令和9年度にこの選抜が実施されるかどうかが、現時点では公表されていないことです。
京都府教育委員会が令和7年12月に公表した独自枠の学校別一覧や、新制度の基本方針には、長期欠席者特別入学者選抜に関する記載が見当たりません。廃止と決まったわけでもなく、扱いは令和8年夏の選抜要項待ちです。
そのため、この記事では断定せず、「令和8年度まではあった制度」として紹介するにとどめています。
実は倍率1倍前後の高校が多い、という現実
制度の話から少し離れて、実態の話をします。
令和8年度の中期選抜は、全日制全体で受検者5,146人に対して合格者4,906人。倍率にして1.05倍でした。学校別に見ると、京都八幡(総合選択制)0.22倍、南丹(総合学科)0.15倍、木津(普通)0.70倍、西乙訓(普通)0.77倍、東稜(普通)0.87倍、洛西(普通)0.87倍、洛水(普通)0.90倍など、志願者が募集人員に届かない高校が京都市周辺部から郡部まで幅広く存在します。
中期選抜で不合格者がまとまって出るのは、一部の人気校に限られているのが実情です。
受検者数が募集人員以下の場合、令和8年度の要項では報告書と学力検査の合計による総合判断で合格者を決める仕組みでした。内申点が低いことだけを理由に機械的に不合格になる構造ではなく、実際、倍率1倍前後の高校であれば当日の学力検査で堅実に得点することが合格への最短距離だったといえます。
新制度でも高校の人気の構図が急に変わるとは考えにくく、共通枠で複数校(最大3校)を志願できる仕組みは、こうした倍率の低い高校を組み合わせる戦略と相性がよいはずです。
内申点にハンデがあっても、志望校の選び方と当日点次第で全日制高校進学への道は現実的に残る。これが京都府の公立高校受験の実態です。

不登校の「欠席日数」や「面接」はどう扱われる?
続いて、不登校のご家庭が最も気にする「欠席日数は合否にどう響くのか」です。京都府の公立入試の答えは、全国的に見てもかなり明快です。
報告書から欠席日数が消えた(2025年度入試から)
京都府の公立入試で中学校から高校に提出される報告書の記載項目は、学習の記録(中1〜中3の評定など)、総合的な学習の時間の記録、総合所見です。欠席日数を記入する欄はありません。
これは昔からそうだったわけではなく、府内公立高では、2025年度入試から志願者の中学校での欠席日数の報告を取りやめました。すでに実施されているものですので、令和9年度からの新制度も、この「欠席日数を報告しない」運用が定着した状態で勧められます。
つまり、高校側は欠席日数のデータそのものを受け取りません。
「欠席が多いことが審議対象になるのでは」という心配は、京都府の公立高校入試についてはまったくもって不要です。
ただし、2つの注意点があります。
1つは、繰り返しお伝えしてきたとおり、欠席日数が見えなくても評定は見えるということ。長期欠席の影響は、欠席日数欄ではなく低い評定という形で報告書に表れます。
もう1つは、これはあくまで公立の話だということです。私立の出願で使う報告書は別の様式で、そちらには欠席日数の欄があります(私立の章で説明します)。
面接・作文と、受検上の配慮
令和8年度までの中期選抜では、全日制で面接を課す高校は限られており、多くの受検生にとって学力検査のみの勝負でした。
新制度の共通枠も統一学力検査と報告書による選抜が基本方針で、面接が苦手だから公立は無理ということにはならない見込みです。
一方、独自枠では面接や作文を検査項目にする高校が多くあります。過去の欠席を弁明する場ではなく、高校で何をしたいかを自分の言葉で語る準備をしておけば十分です。
なお、京都府の公立入試には、他県で見られるような不登校生向けの自己申告書を全員が提出できる制度は見当たりません。欠席日数自体が報告されないため、欠席理由を説明する書類が制度として不要になっていると理解するのが自然です。
体調面や特性面で受検に不安がある場合は、別室受検などの配慮(特例措置)を事前に申請できる制度があります。
京都市教育委員会のページには、これまでに実施された特例措置の具体例や申請の流れをまとめた資料が掲載されています。検査当日にやむを得ない理由で受検できなかった場合の追検査も、新制度で1週間程度の準備期間を設けて実施する方針が示されています。
全日制以外に、不登校から通いやすい公立高校はある?
京都府のもう一つの強みが、不登校経験のある生徒の受け入れを前提に設計された公立の定時制高校です。「定時制」という言葉から夜間の学校を想像するかもしれませんが、ここで紹介するのは昼間に通える新しいタイプの学校です。
不登校経験者を受け入れる昼間の定時制(清明・清新・京都奏和)
その前に、言葉の整理を一つ。
京都府の入試には「特別入学者選抜」という総称があり、前章で紹介した長期欠席者特別入学者選抜(全日制4校の制度)と、これから紹介する清明高校・清新高校・京都奏和高校の3校の特別入学者選抜(学校ごとの独自選抜)は、名前が似ていますが別の制度です。
前者は全日制高校に入るための選抜、後者は昼間の定時制高校に入るための選抜で、前者は入試の不利を帳消しにするための制度であり、後者は学校そのものが不登校経験者らを想定してつくられているという違いがあります。
ただし、3校とも不登校経験者だけを対象にした学校ではありません。
たとえば清明高校は、公式サイトの入学案内Q&Aで、不登校を経験した生徒も在籍しているが対象として限定はしていないと説明しています。同じQ&Aでは、入学後に登校するようになった生徒はたくさんいるとして、4月当初のウォームアップ週間で少しずつ学校に慣れていく仕組みも紹介されています。
不登校経験を前提に受け止める設計がありつつ、特別扱いの学校ではない。この距離感が、再スタートの場としてちょうどよいと感じるご家庭も多いはずです。

3校の概要について、順に紹介していきます。
京都市立京都奏和高校は、2021年開校の昼間四部制・単位制の定時制です。特別入学者選抜の出願資格に、不登校経験のある者や、行動や認知の特性により学びに困りがある者等、学び直しを必要とする者と明記されており、不登校経験が受験のマイナス要素ではなく、そもそもの対象として位置づけられています。
令和8年度の選抜は独自の学力検査(国数英)と面接で、配点は学力検査90点に対して面接210点。報告書は提出しますが点数化されません。公式サイトでは、11時以降から始まる時間割、20名程度の少人数指導、中学校内容の学び直しの時間(ランアップ)、スクールカウンセラーなど専門スタッフの配置が紹介されています。
京都府立清明高校は、2015年開校の昼間二部制(午前・午後)・単位制の定時制です。
令和8年度の特別入学者選抜には、独自学力検査(国数英)・面接・作文・報告書で選抜するA方式(48人)と、面接と作文のみで選抜するB方式(72人)がありました。B方式は学力検査も報告書も使いません。内申点にも当日の学力にも自信が持てない状態から挑戦できる公立の入り口が、募集の過半を占めていたことになります。
京都府立清新高校(単位制・昼間定時制の総合学科)にも同様の特別入学者選抜があり、令和8年度のB方式は独自学力検査(国数英)・面接・作文で選抜され、報告書は点数化されませんでした。
そして令和9年度の新制度では、報告書を用いない「D方式」の採用予定校として、独自枠一覧にまさにこの3校が挙がっています(清明72人、京都奏和80人、清新15人。いずれも現時点の予定)。
長期欠席者特別入学者選抜の行方が未公表である一方、この3校の「内申点での不利がない入り口」は新制度に正式に引き継がれる方向が示されている、といえます。
公立の通信制高校もある(朱雀・西舞鶴)
昼間の定時制とあわせて必ず押さえておきたいのが、公立の通信制です。京都府には、府立朱雀高校と府立西舞鶴高校に通信制課程が設置されています。
令和8年度の選抜では学力検査は実施されず、報告書等の書類により選抜し、必要に応じて面接を行う形でした。願書受付は3月下旬で、他の選抜の結果が出た後からでも間に合う日程です。
通信制というと近年は私立の広域通信制が話題ですが、公立通信制は学費を大きく抑えられるのが最大の利点です。一方で、自分で学習計画を立ててレポートと単位を積み上げる自己管理の負担は、サポートが手厚い私立通信制より重くなりがちです。
私立通信制を検討している場合も、比較の基準として公立通信制を必ず候補に入れておくことをお勧めします。
このほか、夜間の定時制(朱雀・鳥羽・桃山などの単位制ほか)もあり、令和8年度の中期選抜では夜間定時制全体で募集455人に対して志願85人と大幅な定員割れでした。
これらの学校については、総じて入学のハードルは高くありません。

不登校から京都府の私立高校に合格するには?
続いて私立高校です。
京都は私立高校の存在感が大きい地域で、京都市内を中心に多くの選択肢があります。ただし先にお伝えしておくと、不登校の受験生にとって、京都の私立は公立より厳しいルートと考えておくのが現実的です。
順に説明します。
京都の私立入試の基本方式
京都府の私立高校入試は、例年2月10日を初日とする統一的な日程で一斉に行われます。ほとんどの高校で、出願時に専願(合格したら必ず入学)か併願(公立の結果を待って決められる)かを選び、多くの場合、専願は併願より合格ラインが低く設定されます。
五ツ木書房の解説では、ほとんどの場合、専願の受験生は併願より合格ラインを下げて判定する措置が取られると紹介されています。

また、2月10日の入試で不合格でも、2月中下旬に1.5次入試を行う高校があり、公立入試の後の3月下旬には二次入試を行う高校もあります。京都府私立中学高等学校連合会のサイトには、二次入試の実施校一覧が毎年掲載されます。
複数コースを持つ高校では、上位コースの基準に届かなくても下位コースで合格になる回し合格(地域によってはスライド合格等と呼ばれる)の仕組みも一般的です。1回の不合格で道が絶たれる構造ではありません。

欠席日数は私立にどう伝わるのか
不登校から私立高校を受験したときにどんな問題が生じるのでしょうか。
まずは欠席日数の問題を扱います。ここで一番重要な事実は、京都の私立入試で使われる報告書は、公立入試の報告書とは別の書類だということです。
京都の私立高校の出願では、中学校が作成する「京都府私立高等学校報告書」という私立共通の様式が使われます。京都の私立学校が加盟する京都府私立中学高等学校連合会のもとで共通化されている書類で、各校の募集要項に出願書類として記載されています。
京都の私立高校の出願では「京都府私立高等学校報告書」という私立共通の様式が使われます。他の都道府県の傾向からすると、京都の私立学校が加盟する京都府私立中学高等学校連合会のもとで共通化されている書類ではないかと思われます。それらは各校の募集要項に出願書類として記載されています。(出願時期を除けばインターネット上を探してもまったくヒットしません。)
そして、この様式には、公立の報告書と違い、欠席日数を記入する出欠の記録の欄が設けられています。つまり、公立では制度として見えなくなった欠席日数が、私立では高校側にはっきり伝わります。
募集要項に「欠席○日以内」といった明文の基準を掲げる学校は京都では目立ちませんが、書類に載る以上、事実上合否に影響し得ると考えておくのが自然です。欠席の多さを理由に厳しい判断をする学校もおそらくあるでしょう。
これは京都に限った話ではなく、私立の全日制は「入学後に3年間通い続けて卒業できるか」を公立以上にシビアに見る傾向が全国的にあります。長期欠席の経歴がどう扱われるかは各校の非公開の運用に委ねられており、残念ながら、楽観できる材料はありません。
だからこそ、欠席の事情は隠して当日を迎えるのではなく、志望校の学校説明会・個別相談会に早いうちから足を運び、現在の状況と入学後の意欲を自分たちから伝えたうえで、そもそも受け入れてもらえそうか、どの入試区分で出願するのが現実的かを確認しておくことが、京都の私立受験では事実上必須の手順になります。
内申点は私立入試でどう影響するか
欠席日数とあわせて重要になるのが、報告書の評定(内申点)です。
先に大まかな傾向を書くと、京都の私立の合否判定は当日の学科試験の得点が中心で、内申点(報告書の評定)を点数化して当日点に合算する方式は一般的ではないと説明されています。
京都市の個別指導塾・高倉塾の解説記事では、京都の私立高校は専願であれ併願であれ、原則として学校の評定は見ず、当日試験の点数だけで合否を判断するところがほとんどだと紹介されています。
評定の差がはっきり効いてくるのは、次に述べる推薦の場面です。内申点(評定)は推薦・専願の出願資格や事前の目安としてはっきり効いてきます。
推薦の資格基準は報告書の評定で定められているのが一般的です。先ほどの京都市の個別指導塾・高倉塾の解説記事では、この基準で見られるのは主に中3の2学期の評定で、中1・中2の成績は関係ないことがほとんどだと紹介されています。

さて、ここまでを読むと「推薦でなければ合否は当日点勝負なのだから、内申点が低くても私立なら大丈夫」と思えるかもしれません。しかし、この理屈をそのまま不登校の受験生に当てはめるのは危険です。
同じ解説記事には、多くの私立は当日のテストが良ければ評定が低くとも合格させてくれるとも書かれていますが、これはあくまで、オール3の受験生がオール4の受験生を当日点で上回るような、評定が一定水準にある受験生同士の話と読むべきです。
不登校で中3までの評定がオール1や斜線に近い場合、その報告書が選考の場でどう扱われるかは、どの学校も公表していません。前節の欠席日数の記録と合わせて見られることを考えれば、当日点がそこそこ良くても不合格になる可能性は十分にあると考えておくべきです。
つまり京都の私立は、制度の建て付けとしては当日点中心でも、不登校で評定が極端に低い受験生にとって決して甘いルートではありません。
受け入れの姿勢は学校ごとに大きく異なるので、諦める必要はありませんが、全体としては厳しめにみられる前提で動いた方がよいです。個別相談などの場で、評定と欠席の状況を伝えたうえで受け入れの可能性を確かめてから出願する。これが京都の私立受験の現実的な進め方です。
倍率は上がっている。数字の読み方に注意
最後に直近の動向を一つだけ。
2026年度入試では、高校授業料の無償化の影響もあり、京都府の私立高校の出願倍率が全体として上昇しました。京都の学習教室が公開している分析記事では、特に専願者の増加が指摘されており、同時に、併願は多めに合格を出すため見た目の倍率ほど厳しくない一方、専願倍率の上昇はそのまま受験難易度の上昇を意味することが解説されています。

これは全国的な傾向でもあるので過度に恐れる必要はありませんが、「私立の専願なら楽に入れる」という数年前の感覚は通用しなくなりつつあります。私立を軸に考える場合ほど、早めの個別相談と、当日の学科試験で確実に得点する学力づくりの両輪が必要です。

まとめ:不登校から京都府の高校受験を成功させるには?
ここまで京都府の公立、定時制・通信制、私立を順に見てきました。
正直に総括すると、令和8年度入試までをみるに、京都府は不登校の受験生にとって「良い」とも「悪い」とも言い切れない都道府県です。
公立の報告書から欠席日数が消えたのは間違いなく追い風ですが、内申点は3年間分が使われ、当日点と比べた比率も軽くありません。令和9年度の新制度でその比率がどうなるか、内申点での不利がない長期欠席者特別入学者選抜が続くのかも、現時点では確定していません。そして私立は、公立とは異なり欠席について厳しめにみられる前提で動くべきです。
それでも、進める場所がないわけではまったくありません。現時点で言えるルートの整理は次のとおりです。
- 公立の共通枠:報告書135点+統一学力検査。内申点での不利は残るが、倍率1倍前後の高校が多く、複数校志願(最大3校)も可能。当日点を積み上げて堅実に狙う
- 公立の独自枠:面接・作文を重視する高校もある。志望校の検査項目を独自枠一覧で確認
- 清明・清新・京都奏和:報告書を用いないD方式が新制度に位置づけられる予定。昼間に通える定時制で、不登校経験者の受け入れを前提とした学校設計。学費面でも有力
- 公立通信制(朱雀・西舞鶴):学力検査なし。私立通信制と比較するときの基準として必ず候補に
- 私立:報告書に欠席日数が載り、公立より厳しくみられる前提で。個別相談で受け入れの可能性を確かめてから出願する
なお、令和8年度まで実施されていた長期欠席者特別入学者選抜が新制度でどうなるかは、現時点で公表されていません。続報は令和8年夏の選抜要項で確認してください。
過去の欠席日数と評定は、もう変えられません。しかし、志望校の選び方とこれからの勉強は、今日からいくらでも変えていけます。
倍率の低い公立を当日点で堅実に取りに行くにも、D方式のある3校の面接で意欲を語るにも、私立の個別相談で前向きな姿勢を示すにも、土台になるのは基礎学力です。制度がどう変わっても、中学内容の学び直しに取り組んだ時間は決して無駄になりません。
的確な情報収集に加えて、今できる学習を少しずつ続けましょう。
皆さまに吉報が訪れることを願っています。

不登校からの高校入試(京都編)よくある質問
~高校入試をがんばる不登校生、募集中~
ということで、今回は、不登校の中学生が京都府の高校入試(主に全日制高校)を合格する方法について考えてきました。
ここまで読んでいただいた方にはご理解いただけたかと思うのですが、不登校の中学生が高校受験を突破するために必要なのは、無理して学校に通うことでも内申点を上げることでもありません。
ひとえに、基礎学力を身につけること。
特に五教科の中学内容をしっかり学ぶ(学び直す)ことに尽きます。
実は、私たちSchorbitは、高校入試に向けて自宅から勉強する中学3年生の支援プロジェクトを開始しました。
その名も、Schorbit REBOOT。
不登校でも高校からはがんばりたい。
高校入試に向けて日中、家で勉強したい。
中学校の学習内容に抜けはあるけど何とか勉強して取り戻したい。
そんな中学3年生(中学2年生の途中から参加可能)を応援します。
詳しくはREBOOT | 中学3年間の学び直しプログラムをご覧ください。多くの中学生の参加お待ちしております。

