進学校で不登校…「人生詰んだ」と焦る君が再起する方法
不登校の原因といえば、自身の健康のこと、成績のこと、人間関係のこと、あるいは学校の空気が合わないこと。理由は多々ありますが、ここでは進学を重視する全日制高校(以下、進学校)特有の問題について考えてみます。
進学校での不登校は、見方によっては通常の不登校以上に重たく感じてしまうものです。「せっかく入ったのに」というサンクコスト(埋没費用)への執着と、「学歴社会レールから外れた」という恐怖、偏差値という明確な指標による挫折。
こうした焦りが視野を狭め、本来好きだったはずの「学ぶこと」まで嫌いになってしまうこと、そして自己効力感を失った結果、将来に対して投げやりになることこそが最大のリスクです。
ここでは、進学校ならではの事情を整理して、そこから距離を置きつつも、それでも学び続けることがいかに合理的かを考えてみましょう。
進学校の生徒が自信を喪失するまで
進学校に通う生徒が自信を喪失する背景には、個人の資質以外にも、構造的な要因があります。
これはものすごく単純な話で、進学校の生徒は成績による序列化(クラスの順位とか模試での偏差値とか)へのこだわりが異様に強いんです。それは、入学に至るまでのキャリアがそうさせてしまっているわけですから、どうしようもないところがあります。
そして序列化すれば、進学校の中でも成績下位層になる生徒は必ずでてきます。こうした生徒のメンタルは相当しんどいものがあります。
実際、進学校の学力下位層になるよりも、準進学校の学力上位層の方が自己効力感も得られて最終的には進路実現ができるなんていう話もよく耳にします。
- 「深海魚」という錯覚
中学まではトップクラスだったのに、周りもみんな優秀な環境に入ると、どうしても順位がつきます。全国的に見れば十分な学力があるのに、校内の序列だけで「自分はできない」「ダメだ」と思い込んでしまう。これはいわば「錯覚」ですが、実際の生活を送るうえではなかなか辛いものがあります。 - 速すぎる授業スピード
進学校の授業はとにかく速いですよね。一度つまづくと、挽回するのが物理的に難しい仕組みになっています。「理解する楽しさ」よりも「遅れないこと」が目的になって、勉強がただの苦しい作業になってしまいがちです。
こうした経緯による不登校は、ある種、進学校という構造が招いたものだといえるでしょう。
この環境で無理に合わせようとしても、勉強嫌いを加速させるだけです。ですから、無理に適応しようとしないのがおススメです。
学校・勉強・成績・進路を切り離す
こうした事情により、進学校に通う生徒が、ある日、どうしても学校に足が向かなくなったとします。そのときの不登校は「逃げ」ではありません。合わないシステムからの「戦略的撤退」です。
でも、問題はここからなんですよね。
そうはいっても、進学校の生徒は「勝ち負け」が大好きです。自分が学力獲得競争に「負けた」と思うその屈辱感は相当なもので、そこから立ち直るのは容易なことではありません。
その際に必要なのは、切り離すこと。つまり、学校・勉強・成績・進路をすべて一体として捉えるのをやめて、別々に考えていくことです。以下、細かくみていきましょう。
① 学校を成績から切り離す
実は、どれだけ成績が悪くても、元気に学校に通い続けられる生徒もたくさんいます。そうした生徒は「学校は勉強して成績をよくするための場所だ」と思っていないのです。
そう割り切ることさえできれば、普通に学校に通い続けられますし、その考えのまま「深海魚」でいることは何も悪いことではありません。ですが、これはその人の性格によります。このように割り切ることはなかなか難しいという生徒も少なくありません。
② 勉強を成績から切り離す
そんなとき、勉強と成績をわけて考えてみることが重要です。そもそも、同じタイミングで成績により序列化することは、勉強、すなわち未来を輝かせるためにする準備にとって不可欠ではありません。
実際に社会を見ても、学生時代に英語の成績が悪かった人が、そのまま勉強を続けて今は海外で働いている。そういうケースは少なくないのです。
順位や偏差値といったものから離れることで、他人と比べるストレスを一度断ち切りましょう。通知表が返ってきても見ない。保護者も気にしない。それでも何ら不都合はありません。
③ 勉強を学校から切り離す
進学校の生徒の多くが勘違いしていることですが、「学校に通えないこと」と「大学に行けないこと」はイコールではありません。
高校中退からの高卒認定試験で大学に進学する人も少なくありません。状況によっては、退学か通信制高校への転学といった形で環境を変えることも、あなたにとっての最適な判断となりえます。
その際は、学校から離れて勉強することになります。勉強は学校という制度の中でのみ存在するものではなく、自分の将来のために行うものですから、ある意味で、本来の勉強の姿に到達したともいえるでしょう。
④ 勉強と進路は切り離さない
ここまで、学校や勉強や成績といったものを、辛ければあなたの人生から切り離して考えてもいい(リセットしてもいい)と伝えました。
しかし、唯一切り離してはいけないセットがあります。それは「日々の学び(勉強)」と「あなたの未来(進路)」です。
学校という場所が合わなくなったからといって、大学へ行きたい、将来こうなりたいという目標まで捨てる必要はありません。むしろ、その目標を叶えるための「勉強」という武器は、学校を離れた今だからこそ、自分のペースで磨き直すべきです。
場所は変えても、未来への切符は手放さない。 この区別をしっかりつけることが、後悔しない選択への第一歩です。
孤独にならず、進路と向き合う
もしあなたが、全日制の進学校から通信制高校に転学したといったように、勉強と学校の切り離しを行ったとします。
そのように環境を変えたとき、完全にひとりぼっちで生活するのはおすすめしません。モチベーションを保つには、やはり「誰か」の存在が必要になります
とりわけ若年層はそういう性質があるようです。(大人が資格試験合格を目指すときは、誰にも言わずコツコツと勉強して合格するというケースが珍しくないですから。)
以前の環境が辛かったのは、他人との距離が近すぎたり、競争ばかりさせられていたからかもしれません。しかし、多くの人が、他人からの影響を受けながらでしか意欲が維持できないのもまた事実です。
学校から離れても、やはりいろいろな人との交流は続けるべきです。
その他人とは、別に「勉強する仲間」である必要はありません。むしろ、最初は同じ趣味をもつ人と仲良くなって、好きなことで話をするのがおススメです。オンラインでの関係も悪いものではありません。
そうした中から、徐々に将来の進路を考えるようになり、再び勉強と進路という切っても切れない関係に向き合うときがきます。
そんなとき、仲間がいることは大きな支えになります。傷をなめ合うのではなく、進路から目を背けるのではなく、前を向いてお互いの目標を尊重し合える関係がつくれていたら最高ですね。
まとめます。
進学校特有の挫折は様々ありますが、その一つは成績による序列化に起因しています。
「上」だけを見る苦しい競争から離れて、自分のペースで、でも孤独にならずに学ぶ。ポイントは切り離して考えること。勉強は成績を上げるためにあるのではありません。
「みんなと同じレール」を降りて、自分のペースで、自分に合った方法で学び直す。そのうえで他者との交流を続ける。そうやって能動的に環境を選び直すことは、あなたの人生にとって大きな「前進」になるはずです。
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