通信制高校やフリースクールの情報提供を行う株式会社プレマシードが実施したオンライン意識調査により、興味深い傾向が明らかになりました。
同社は2025年4月、コロナ禍において小・中・高校生だった方と大学生以上だった方、計600名を対象に「積極的不登校に関する調査」を実施しました。この調査では、不登校経験の有無と年代(現中高生/大学生以上)に分けてデータを収集し、分析が行われています。
不登校経験者の若年層ほど「我慢してでも通うべき」と考える割合が高い
調査結果によると、全体の約7割が「無理して学校に通うべきではない」と回答しています。しかしながら、約3割は「多少のことは我慢して通うべき」と考えており、特に不登校経験のある若年層でその傾向が強く見られました。
この結果は、一般的な予想とは異なるものであり、現役の不登校生徒が「我慢してでも通うべき」と考える割合が高いことが示されています。これは、当事者性が高いほど不登校という状態を重く捉える傾向があることを示唆していると考えられます。
不登校経験者ほど「積極的不登校」を肯定的に評価
同じ調査では、「積極的不登校」に対する評価も尋ねられています。
「積極的不登校」とは、学校に「行けない」のではなく、「行かない」と自らの意思で選択することを指します。調査結果によれば、不登校経験者の方が「積極的不登校」に対して肯定的な評価をしていることが明らかになりました。
この結果は、一方で「我慢してでも通うべき」と考えながらも、他方で「自分の意思で通わない選択もありだ」と考えるという、一見矛盾するような認識を示しています。これは、不登校当事者や経験者が持つ「通えなかったという事実」と「今の自分を肯定したい気持ち」の間での心理的葛藤を反映していると考えられます。
調査結果から見える不登校当事者の心理的葛藤
このような調査結果は、不登校当事者や経験者が抱える複雑な心理的葛藤を浮き彫りにしています。
社会的な規範として「学校には通うべき」という価値観を内面化しつつも、個人的な経験として学校に通うことの困難さや通わなかったことの現実を持ち合わせているため、矛盾する考えを同時に抱えることになるのです。
このような心理的葛藤を理解することは、不登校支援において重要な視点となります。感情的な支援やアドバイスだけでなく、データに基づいた冷静な分析と理解が求められるでしょう。
本記事は、株式会社プレマシードが公開した調査レポートの内容をもとに構成しています。詳細な調査結果については、以下のリンクからご覧いただけます。
本記事の内容が、教育関係者や保護者の方々にとって、不登校に対する理解を深める一助となれば幸いです。